トッキーに、G1アイアンハイドがログインしました。 作:イビルジョーカー
長々とお待たせしてすみません(汗
個人的に二次創作ではなく、オリジナル作品を書きたいと思い始め、別サイトでオリジナル作品を書き続けていました。
とは言え、別に二次創作をやめようと言うつもりはなく、ただ忘れてました(汗
この作品に関しては続けていこうか少し迷っていました。しかしトランスフォーマーが40周年を迎え、YouTubeにてG1やビーストウォーズがその記念として配信されたので『じゃあ俺もやるか!』と思い、書き続けることにしました。
感想もらったのも大きいです。
こんな見切り発車みたいな作品を好きになってくれてる人がいる、続きを待ってくれてる。
そう思うと応えないのは野暮じゃないかと。
そんなわけで、何とか完結に向けて書き続けたいと思います。
冬木市の倉庫街は閑静さを消し去り、今や喧騒と戦場の鉄火の空気が支配していた。
ディセプティコンによってセイバーとランサーは捕らえられ、そのマスターたちも拘束されてしまったのだ。
これだけでも十分最悪と言っていい状況だが、更に悪いことは起きてしまっていた。
「うぅ……あぁぁッ!!」
苦悶の声を漏らす銀髪の麗人アイリスフィール・アインツベルンことアイリ。
ディセプティコンに拘束された彼女はその体内に保管している聖杯を摘出する為、強制的に摘出手術を受けていた。
手術というより魔術的な行為になるが、とにかくレーザーウェーブことレザールの手によってアイリの体内から無数の光の粒子が出て、それが収束していくに連れて聖杯の形状の輪郭が顕になっていった。
「あとどのくらいで終わる?」
「はっ、あと数分程度で作業は完了します」
メガトロンの問いに、簡潔に答える。
「アイリスフィール!」
横にされ、強制的に聖杯の摘出手術を受けさせる彼女の姿に耐えかねてか、セイバーはアイリの名を呼ぶ。
あくまで切嗣の代わり、偽りのマスターではあるが、それでも彼女の存在は切嗣から嫌悪と拒絶を受けているセイバーにしてみれば、大いに助かっていた。
アイリは、謂わば緩衝材だ。
決定的に相入れないセイバーと切嗣の間を取り持つ、綱渡し。
彼女の純粋で温かい心の在り方はセイバーにとって心地良いもので、騎士として彼女を守りたいと言う気持ちがあった。
しかし、それは現状果たされてはいない。
果たしたくても、セイバーとランサーを捕える檻がソレを許してくれない。
「しかし、聖杯を保護する為だけに人格と肉体を造るとは……なんとも、酷い事をするな」
ほんの少し、雀の涙程度にだが、メガトロンの中でアイリに対する同情のような、そんな気持ちが湧いた。
彼女は、彼女自身が聖杯を守る為の外殻に過ぎない。
聖杯が"手筈通りに完成"すれば、その肉体も人格も用済みとなり焼失する。
簡単に言えば、聖杯という中身を覆う外面の箱に過ぎないのだ。
用済みになれば、容易く捨てられる。
ある意味、彼女の境遇はかつてのメガトロンに通じるところがあるらしい。
「倫理観、心情というものは私めにはよく分かりませんが、論理的、という観点で見るとあまり効率的な運営とは言えません。歩くパッケージなど中身を危険に晒すのも同然ですので」
そんなメガトロンとは対照的にレザールは、淡々と持論を展開する。
そもそも何故アイリが聖杯を保護する外殻となっていたのかと言えば、前回、第三次聖杯戦争の時に聖杯を破壊されてしまったことを踏まえて、という意図があっての事なのだが、それを踏まえてもレザールからすれば箱に意思を持たせるなど、効率的とは思えない。
例えば、もしアイリがアインツベルンに反逆の意思を抱いたならば、どうだろう。
例を挙げよう。
もし愛する切嗣が聖杯でしか叶えられない願望がそもそもなく、ただアインツベルンに雇われ、アイリと出会い、彼女を自由にする為にアインツベルンから連れ出すことが目的になったとしたら?
当然、アイリは切嗣に付いて行く。
困惑や不安があったとしても、最終的に愛する切嗣を選んでアインツベルンを裏切るだろう。
実際、そういった"世界線"が無い訳ではないが、今は関係ない。
ともあれ、そう言った事を予想せず、その為の対策も何も施さないアインツベルンの危機管理能力の無さには呆れる以外にない。
その証拠にこうして聖杯を摘出されても、何もない。防犯的作用を起こす魔術も、下手人の命を奪う呪術の類も発動しない。
そのおかげで難なく摘出できるのは良いが、再度レザールは呆れたように溜息を吐く。
やがて。それまでは器の輪郭だけだった魔力光が明確な実体を帯び、黄金の杯として顕現する。
すなわち、アイリスフィールの聖杯摘出の処置が完了した事を意味する。
「ほう。これが聖杯……」
まじまじと。手に取ったメガトロンは黄金の杯を眺めて見つめ、感嘆の声を漏らす。
手に取れば分かる。
この小さな器に秘められた願望機としての性能。それは世界規模で多大な影響を齎し、文字通り『奇跡』という形で望む物を与える。
「これが聖杯……しかし、まだ魔力が無いので願望機としては機能しませんが」
レザールは簡潔にそう告げる。
勿論、それについてはメガトロンも把握している。聖杯は土地の霊脈から吸い上げた魔力と
サーヴァントの魂を合わせる事で初めて、願望機として機能できる。
土地から得た魔力は十分だ。
しかし肝心のサーヴァントの魂が入っていない以上、手に持つ杯はただの容れ物でしかない。
「そんなことは百も承知だ。我々のケルヒコンを使い、サーヴァントを何騎か召喚して焚べてしまえばいい。可能だなレザール?」
「無論です。サーヴァント召喚限定のケルヒコンですが、汎人類史のサーヴァントを招き寄せるなど造作もありません」
方針は決まった。
手に入れるべき物を手に入れた。
なら後は……。
「コイツらを始末しちまえばいいってことですよねぇ? メガトロン様」
そう言って嘲笑するスタースクリームは両腕に備わったレーザー銃口をマスターたちに向ける。
ディセプティコンの目的は『最優クラスであるセイバーとランサーの確保』。
サーヴァントは無事問題なく捕獲した。
ならば、もはやマスターの存在は用無し。
強制的な摘出手術を受けて上手く起き上がれないアイリや襲撃のダメージで気絶状態の切嗣と舞弥。
そしてメガトロン直々に引き釣り出され、抵抗もできずにやられ、ボロボロなケイネス。
一応、意識はあり、腫れ上がり血も出ているその顔にはこれから待ち受ける最悪の結末を予想してか、恐怖を滲ませた凄惨な表情でディセプティコンたちを見ている。
起き上がって逃げたくてもダメージでろくに立ち上がれず、ただ唸るだけ。
そんな姿を見て、滑稽だと。
スタースクリームに釣られ、周りのディセプティコンたちはそれを止める事なく、ほぼ見せ物感覚で嘲り笑っていた。
スタースクリームの判断は至って正しい。
マスター全員は敵…と言うには実力的に劣る部分あるが、『敵』という枠組みなのは間違いない。
ならば、始末する以外にない。
捕虜にする意味はない。せいぜい、戦利品程度の価値しかないならないのが関の山だろう。
「やめんか馬鹿者!」
しかし、何という事か。
スタースクリームの行為を止める者がいた。
脳天に手刀を入れる形で、だ。
「あいッッッてぇぇぇぇッッ!!!!」
ディセプティコンたちが驚愕し響めくが、無理もない……それが紛れもなくメガトロン本人であるのだから!
「痛ッつー……何しやがるんですかメガトロン様ァァ!! 俺はアイツらを始末しようとしただけですよ!!」
「敗者に割くエネルギーも時間もないわッ!!たわけ! ……そんな連中、殺す必要はない。放っておいても何もできんわ。それくらいの事もお前には理解できんのか」
必要がないから、何もしない。
実に合理的だ。
普通のマスターであれば、メガトロンのようにわざわざ生かしておく事はない。
基本的に聖杯戦争のマスターはサーヴァントを失ったとしても、令呪自体は消えないが、その効力を一時的に剥離される。
もし、マスターを失ったサーヴァントがいれば、再契約が可能でその際に失われた令呪の効力が元に戻る(消費していた場合は除く)。
つまりマスターとして復帰できるというわけだ。
それを踏まえると、わざわざ捨て置く理由は無いとは思われるが聖杯は既に手の中にあり、再配布をさせないよう改造する事などディセプティコンの技術力を持ってすれば造作もない。
故に手にかける必要がない。意味がない。
基本合理性に基づいて行動するメガトロンにとって、それはエネルギーの無駄なだけである。
「では、行くぞお前たち。ディセプティコン、撤…「そうは行かないぞメガトォォロン!!」
最後の言葉を遮る怒号。
そして、それを合図にするかのように倉庫街を爆走する一台の大型トレーラーがディセプティコンめがけ、突進して来る。
「まさかッ……あのトレーラーを破壊しろ!!」
メガトロンだけではない。ディセプティコン 全員があのトレーラーが何なのかを悟った。
故に余計な思考を放棄して、メガトロンの命令に従い幾つもの光線を描き、トレーラーを破壊しようとした。
だが、止まらない。
命を奪いかねない破壊力を秘めた光線の雨をモノともせず、トレーラーは構わず爆走を続ける。
距離にして、10mの間隔。
そこまでディセプティコンたちに近づくと、なんと重厚な巨体のトレーラーが一気に跳び上がった。
台の類もない平坦なコンクリートの上で跳ぶなど、並のトレーラーではまず不可能だ。
それもその筈。
トレーラーの姿は、あくまで擬態でしかないのだから。
「トランス、フォォォム!!」
それは仮の姿から本当の姿へ戻る為のキーワード。
声と共にトレーラーは光輝き、やがていくつもの光のパーツとなって組み変わりと伸縮を繰り返し、小さくなって行く。
ギゴガゴ、という機械的な音を奏ながら、やがてトレーラーは大型車から人型のソレになり、同時に光が胡散して消える。
この間、5秒程度。
光のベールが消え、姿を明確に現した人物はなんと10代の少女。
赤いトレーナーを羽織り、その下に着た白のシャツに描かれたオートボットエンブレム。
下はアイボリーホワイトのホットパンツ。
両足に着けられたシューズはライトブルーのラインと金属のパーツが特徴的なもので、さながら近来さを醸し出していた。
「ハァァァァッッッ!!!!」
数秒程しばらく空中に浮かんでいたが、凛々しくも力強い覇気の籠った声を上げ、片手に赤色に光輝くエネルギーで出来た斧『エナジーアックス
』を召喚。
それを思いっきり振り翳し、一気に振り下ろす!
狙いは……メガトロンだった!
「させんわ!!」
だが、メガトロンも瞬時に紫色のエネルギーで構成されたモーニングスター『エナジーメイス』の鉄球部位で間一髪のタイミングでなんとか防いで見せた。
ジジジジッという、奇妙な音を奏でる両者の武器。だが、すぐに無駄と判断した少女が先に離し、長いポニーテールに纏めた一房の金髪を靡かせながら、後方へ跳躍。
仕切り直しだ。
「やはりお前か……"コンボイ"!!」
「メガトロンッ……!」
かつての宿敵同士が今、この瞬間に邂逅を果たした。