Fate/choise of fool   作:直視明光

14 / 26
ようやく本格的な戦闘が書けました。少しは臨場感ある物になっているでしょうか?


vsforce

「マジかよ。彼女、まさか本物のハサン・ザッパーハじゃないだろうな。」

 てっきり憑依させてその力を使っているものだと思っていたけど、一つの魔術師に英霊は一人のはず。つまり彼女は、素の戦闘スペックであれだけ強いという事であって…。

『呆けている場合ではありません!相手としっかり戦ってください』

『そ、そうだな。まだ死にたくはないもんな』

 見る限りかなり強そうだ。慎重にいこう。

 突撃してくる相手を見据えて、重心を下げる。力技じゃ勝負にならない。まずは相手のバランスを崩さないと。

 右か、左か.どちらから切り付けてくるかな…。

「―――鮮血を散らせ」

 物騒な事を言いながら振り下ろしてきた剣は、威力こそ高そうなものの速さはさっき程じゃなかった。これぐらいなら魔術を使えば十分に避けられる。

『右です!』

『分かってる!』

「瞬間幻影(インスタント・ファントム)!」

 己の周りに大量の光球を展開すると同時、左に自分を吹き飛ばす。

 いつものが豆電球なら、今日のは派手な都会のイルミネーションだな。

 そう思いながら、自分にかかる強烈な空気抵抗に歯を食いしばって耐える。

「迅雷の拳(ライジング・ナックル)!」

 もらった、隙だらけだ!このタイミングで放てば躱しようが―

「―――甘い」

 あったようで、ものの見事に回避されていた。掠りもしない、もはやすがすがしくなるような外れっぷりだ。

 アサシンの体越しに大爆発が見える、今の一撃、当たれば絶対勝ってたのに…。

「すごいね。力の差がすごすぎて、泣きたくなってくるよ。」

 呼吸を整えつつ、間合いを測る。牽制の役割は果たしていたから良しとしよう。

「―――気にしないで。私と普通の人間が違うのは当然。あなたが悪いわけじゃない。」

 戦っている相手に励まされるのは初めて…ってわけでもない。最近こんなのばかりだ。

『いつになったらコントロール出来るようになるのですか!こんな事では魔術刻印と併用するなんて夢の又夢ですよ!もっとこう、努力してください!』

『してるよ!大体宝具を使ってなくたって魔術刻印との併用だなんて無理だよ!もっと練習すれば別だけどさ、とりあえず今すぐは絶対に出来ないね!』

「―――シャァァァァァッ!」

 アサシンの上半身が大きくぶれる。さっきよりも早い。ええい、本当に余裕がないな。

「風力発道(ロード・オブ・エアー)!」

『そうやっていちいち魔術名を口に出すのもやめてください!発動までに多少手間取ります!』

 言わなきゃ感覚的に使えないんだよ、悪かったな。

 辺りの空気をまとめて吹き飛ばし、それに乗って高く舞い上がる。遠距離から一方的に攻撃してやる!

「―――逃がさない」

 アサシンの曲刀が迫る。しかしそれは、ギリギリのところで右足をかすめるだけに留まった。

 ざっと十メートルぐらいの高さで浮遊する。これなら安心…かな?

「火炎爆発(フレイム・バスター)!」

 腕からバランスボールぐらいの大きな炎球が飛び出した。いつもよりずっと大きいな。

「『いっけぇぇぇぇぇぇぇぇー!』」

 アサシンの辺りに着弾すると同時、半径五メートルぐらいをまとめて焼き尽くす。これで決まりだ!

 火が収まるのを待って地面に降り立つ。やれやれ…どうなる事かと思った。

「よっしゃー!勝ったぞ!」

『良かったですね。これで一人目―』

 クイーンの嬉しさに満ちた声が、不意に止まった。どうしたんだろう?

「―――死ぬかと思った。この借りは必ず返す。」

 とっさに振り向く。顔に煤をつけ、全身の服を焦がしながらも、彼女は立っていた。

「―――仮面が焼けなくて良かった。でも熱い。こんな目にあったのはこっちに来てから初めて」

 眉毛をつり上げ、、鋭い目つきで睨んでくる。絶対怒ってるな…。

『そんなはずはありません。伝説や歴史上の英雄でもない限り、この攻撃で倒れるはずなのに。』

『聖杯戦争に参加してる時点で条件満たしてるよ。もう少し威力を上げないと、歯が立たない』

 こりゃ駄目だ。今になって日頃の訓練不足が悔やまれる。『どうせ上手くならないしなぁ。』とか言ってサボらなきゃ良かった。自業自得ってのは本当なんだなぁ。

「―――必ず、殺す」

 さっきより数段階速く迫る刃を見据えつつ、俺がどうやって逃げるか考えていると―

「■■■■■■■■ォ!」

 地面から巨大なゴーレムが飛び出し、俺とアサシンの間に割り込んだ。

「守宮七夢、ただいま参上!」

「ハッ、助けに来てやったぞ。ありがたく思え」

 振り向くと、憑依状態の守宮さんと、何故か素で立っているジョーがいる。助けに来てくれたんだ。

「ごめんね流星君、遅くなっちゃった」

「いえいえ、ありがとうございます」

 駆けつけてくれただけで十分だ。すごく嬉しい。

「本当はもっと早く来ていたんだけど、ジョーがもう少し出て行くのを待てってうるさくて…」

「ジョー!何考えてんだよ!」

「少しでも相手の戦い方を確認したいと思っただけだ。他意はない」

 他意しか感じないよ!って突っ込みたいとこだけど、今はそれどころじゃない。敵を倒すのが先だ!

「さぁ、行くよ皆!全員でコイツを叩きのめすんだ!どれだけ防御力が高くたって、協力すれば何とかなるよ!」

「そうだね。それじゃ、行っくよ―!」

「加速、開始(ラッシュ・バースト)!」

俺が走り出したのに合わせて、ゴーレムが全身に力を溜めた。二段階攻撃で仕留める。

「―――分が悪い。撤退する」

「今更遅すぎる。自分の行動の遅さを悔やむんだな」 

 後ろでジョーが言い放つ。かっこつけてないでお前も攻撃に参加しろ!

「―――そんな事はない。RELEASE!」

 唐突にアサシンが憑依を解除した。不敵な笑いが気になるけど、それじゃ攻撃は防げないよ!

 止まる事なく俺の拳が直撃する。クイーンとその宝具によって強化された一撃は、相手を大きく吹き飛ばした。

 続いて放たれた光弾を大きくのけぞってスレスレで躱し、空中で態勢を取り直すアサシン。回避は達人級だな。

 着地する寸前、両足を地面に叩きつけて弾丸のように飛び出す。早すぎてゴーレムが反応出来てない!

「STRIKE SWORDS!」

 ジョーが放った大量の剣をその場で拾った短剣で叩き落し、さらに跳躍、一気に間合いを詰める。

『思ったより速いです!気を付けてください!』

「―――もっと。もっと前に。誰よりも先を行くことこそ、私の力!」

やばい、このままだと首を持っていかれる!

「今よ!行きなさい、CRAWL NIGHTMARE!」

 地面から幾何学的な模様が描かれた縄が飛び出した。アサシンを縛り上げ、その進撃を止めようとする。

「―――こんな物じゃ、私は止められない」

 そのまま駆け続けている。全く効いてない!

「それはどうかな?どれだけ速くても、自分から逃げることは出来ないよね!」

 縄全体が黒く染まり爆発する。至近距離からまともに食らい、体勢を崩して地面に激突した。

「―――凄いね。あなたは優秀。そこの男とは違う」

 地面に倒れ伏したままアサシンが呟く。もう逃げられないぞ。

「―――でも、来るのが少し遅すぎ。」

 その声にあからさまな余裕を感じて身構える。

「諦めの悪い奴だ。無駄だよ、ここでお前はゲームオーバーだ」

「――それじゃまた。次あったときは殺すから」

 ジョーの戯言を無視して、彼女が別れの挨拶をした。ここでまだ切り札を隠し持っているのか?

見逃さない様万全の注意を払う。一瞬の油断すら、この状況では命取りだ。

「回想婉―(ザパーニー―)」

「人間爆弾(ヒューマン・ダイナマイト)!」

 さっきと同じ技を使った所で、対処方法は変わらない。もう一度同じ事を繰り返すだけだ!

「まずいよ流星君!この状況でそんな派手な技を使ったら―」

 巻き上がる大量の炎と風が視界を覆う。アサシンの姿も、ジョーたちの姿も、どちらも全く見えない。

「どさくさ紛れに逃げられても、攻撃のしようがない!」

これが狙いって事か!勘を頼りに攻撃しようにも、仲間に当たりそうでうかつに動けない。完全にミスった!

 荒れ狂う炎が消え去ると、そこには肩をすくめたジョーと、悔しそうな顔をする七夢さんしかいなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。