「あの馬鹿は全く……。自分が何しに来たのか完全に見失ってんな」
何重にも盾を重ね合わせ、魔女達の攻撃を何とか受け止めながら、ジョーはボソリと呟いた。
「悪あがきね。貴方の出す武器は、一流には届かない二流に過ぎないわ。いくら沢山出したとしても、英霊の宝具には対抗できないわ」
包囲を固めながら一人の魔女が宣告した。その顔には嘲りの表情が浮かんでいる。
「あん? 本当に届かないかどうか、その体で試してやろうか?」
ジョーが彼女をギラリと睨むと、全身から激しい殺気が溢れ出した。それは刻一刻と力を増し、周囲一帯を強烈に威圧する。ゆっくりと右手を持ち上げ、何かを抜き取ろうとして――
「……いや、お前たちに使うのは勿体なさ過ぎる。代わりにいい物見せてやるよ」
動作を途中で取りやめ、代わりに左腕を前に突き出した。その先ではマジシャンに作らせた宝具が、闇を切り裂くように煌々と光り輝いている。
「世界の礎とならん者(ジョー・ストーンズ)!」
真名を唱えた後、指を鳴らして盾を消した。完全に敵の前に生身を晒しながらも、口元の笑みは消えない。
「さぁ、かかってきな。力の差って奴を丁寧に教えてやるよ」
「馬鹿にするのも大概にしなさい! 総員、突撃!」
売り言葉に買い言葉。疾風怒濤の勢いで迫りくる魔女集団に対し、ジョーは一度全身をかがめ、
「どうだ、受け取りやがれ!」
宝具を横凪に一閃した。それにより強烈な風が巻き起こり、余波だけで魔女達を叩き落す。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
「ハッ、そんなんじゃ遅すぎるぜ!」
斜め後ろから食らい付く相手と、振り向きざまにぶつかり合う。その衝突は、一瞬でジョーに軍配が上がった。
「クッ、重い! これ程の得物を操るのは、人間技では不可能なはず……」
「その程度の奇跡も起こせない様じゃ、宝具とは到底言えないぜ? まぁ、勿論トリックはあるんだがな」
両腕を使い高速で宝具を振り回しつつ、油断なく出方を窺う。隙が出来れば、容赦なく打ち込み、一気に勝負をつけるつもりだ。
如何にも簡単そうに動かしてはいるが、地面を宝具が掠めた途端、其処が大きくひび割れ、大きく歪んだ。その反応だけで、どれほど宝具が重いか、容易に想像できる。
「おらぁぁぁぁぁ!」
大きく振りかぶり、裂帛の気合いと共に前に突き出す。叩き出されたその一撃は、加速度をそのままに魔女達をビリヤードのごとく鮮やかに叩き出した。
さらに勢いを増し、風をうならせながら宝具は空間を駆け巡る。その残像が美しい孤を描いた。
「そら、そら、そら、そら! どうした、もう限界かよ!」
三人がかりで押さえつけに来るのを薙ぎ払い、遠くから飛んでくる魔術をあっさりと切り落とす。突き出される箒を破壊し、宝具を振るうたびに相手が宙に舞う。
その姿は、まさしく現代に再臨した英雄そのものだった。
「あん? もう終わりかよ。つまんねぇの」
ジョーを襲っていた魔女達全員が地に伏すまで、十分もかからなかった。息1つ乱さずに、さらりと嘯く。
「七夢はHERMITと一騎打ちしてるし、流星はまだ戻って来ねぇ。助けに行ったほうが良さそうだな」
鼻歌交じりに歩き出すジョー。その動作には、自分一人でも戦えるという自負心が満ちていた。
主人公もこれぐらい活躍してくれるといいのですが……