Fate/choise of fool   作:直視明光

25 / 26
サーヴァントを見るだけでステータスが分かることを今になって知りました。
流星にそれに関したコメントをさせたほうがいいのかな……。


追跡の末路

「あれ、どこ行ったのかな……」

『惚けている場合ですか。一刻も早く探し出さなければ』

 坂を下り切った俺を出迎えたのは、人の影一つとないただの更地だった。

 確かにこっちに落ちていったはずだけど、どこへ行ったんだ?

 辺りを軽く見回してみても、影も形も掴めない。どうやら逃げられてしまったようだ。

『……仕方ありません。流星、ここは七夢の援護に戻りましょう。何の手掛かりのないのでは、捜索のしようもない』

『そうだね。というか、本当はその為に来たはずだもんな』

 戦いに臨んで頭に血が上ってしまっていた。落ち着いてみると、自分のっ行動のおかしさがよく分かる。

「加速、開始(ラッシュ・バースト)!」

 今日一日でここを何往復するんだろう。そんな事を思いつつ、俺はもう一度坂道を駆け上がった。

 

 

『行ったようだぜマスター、相手が戦い慣れしてない魔術師で助かったな』

 流星が守宮の元に走り出したのを確認してから、地面に一つの影が降り立った。

 最もその着地は優雅な物とは程遠く、例えて言うならボールを高い所から投げ落としたよう、つまり完全なるただの自由落下だったが。

 十メートル以上の高さから垂直に落下しても、全くダメージを追っているように見えないのは、ひとえに英霊としての力のなせる技だろう。

『あいつも馬鹿だよなぁ。すぐ真上を見れば、探してる物が簡単に見つかったってのに、』

 くるりとその場で回り、流星の歩いて行った方に向き直る。その目は、悪戯心でキラキラと光っていた。

『それで、どうするマスター? 僕ならここでカウンターを仕掛けるけどね。やられっぱなしは性に合わない。大丈夫さ、油断しきった相手を不意打ちで倒すことぐらい、簡単だろ』

 ただし、目以外は全く生気が感じられない。だらんと腕は垂れ下がり、ピクリとも動かない。

 どたん、と音を立て膝がつかれた。全身に全く力が籠っておらず、風が吹いたら崩れ落ちてしまいそうだ。

『おい、返事ぐらいしなよ。何時まで僕を無視し続ける気だ』

『…………』

『もーしもーし、聞こえてますかー?』

 一方的にまくしたて続けるサーヴァントに対し、中々彼女は喋らない。ようやくくちからことばがもれでたものの、その声はひどく弱々しげだった。

「魔力使い過ぎなんだよ、この馬鹿……。お陰で念話さえ出来ないじゃないか。どうしてくれる……」

『仕方ないだろ、一度に二十メートルは飛んだかな? とにかく、これだけ一気に移動したんだ。放出する魔力量だってただじゃ済まないさ』

「それにしたって加減ぐらいしろよ……。そんな派手に動く必要はなかった。ただ軽く視界から消えるとか、それぐらいで良かったのに……」

『悪いな。僕、加減とか出来ない性質なんだ。死ぬよりはましだったと思って勘弁してよ』

「RELEASE」

ゆっくりと憑依が解けていくのを感じつつ、彼女は携帯電話を取り出した。

 聖杯戦争を魔力切れでリタイアする事だけは避けたいし、暫くは他のマスターの様子を見つつ、主に事態を静観することになるだろう。別に急ぐ必要はない。二十人の参加者が適度にぶつかり合ってくれれば、必ず勝機は見えてくるはずだ。

 それはとにかく、どこかでゆっくり休みたい。自身の協力者を呼び出しつつ、彼女は日本のグルメについて考えていた。本場の” 天婦羅”や、”ラーメン”は必ず食べねば。

 こんな時でも食い意地が張っているのが、彼女の性格を端的に表していると言えるだろう。

 

 

奔る緑の閃光。それを悉く撃ち落とす紫の光球。俺が最初に目にしたのは、そういう風景だった。

「この、往生際が悪いな。たった一人になったんだから、早く降参しなさい」

「余計なお世話だ。町の警護に回っている奴を呼び戻せば、十分に数は稼げる。それでお前を倒してから、もう一度体勢を立て直せばいい」

 一切の詠唱なしに、右腕を構えるだけで魔術が発動している。MOONも相当な使い手だけど、あいつのサーヴァントはそれ以上って事か?

「ちっ、新顔かよ。いちいち苦労させんじゃねぇ!」

 相手が左腕を前に突き出すと、そこから黒い煙と共に何かが大量に飛び出した。あれは……骸骨だ。

 二、三十体程が一斉に召喚された。風に合わせて、カタカタと不快な音を立てている。

「そら、行ってこい。いくらお前たちでも、文字通り礎になるぐらいは出来るだろ!」

 その一言を合図に、こちらに向かって突っ込んで来る。B級のホラー映画みたいだな。

『ぞっとしない光景ですね……。一体一体倒していたのでは、また相手に新たな敵を召喚されてしまいます。ここは一気に行きましょう』

『了解!』

 サーヴァントとモンスターの力の差を見せてやるよ!

 




彼らと本格的に戦うのはもう少し後です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。