大惨事スーパーロボット大戦  Z After 天獄戦争 Muv-Luv   作:溶けない氷

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クロウ「俺は、因果律の都合で借金持ちでいることを 強いられているんだ!」(どやっ)


第21話 交渉人

 

「この基地の副司令をしております香月夕呼です、どうぞよろしくお願いいたします。

まずはこの基地の救援に対し心よりのお礼を申し上げます。

司令は現在、救護室で治療中につき私が今回の会談に出席することとなりました」

 

(ふぅん、思ったよりも地球人ね・・・・宇宙人じゃなくて白銀と同じ異世界人って可能性も・・)

香月博士の思考は今、自己紹介をした4人に向けられる。

まずスメラギと名乗った女性、ジャケットを着用していること最初に名乗った戦術予報士という知らない名称から指揮官だと伺える。

実際、女性士官はどこの国でも今や珍しくない。

(知らないことだがソレスタルビーイングの制服である。あくまでも連邦への『協力者』だということを強調したいスメラギさんの意志だろう)

次に黒のスーツを着用した男、交渉人ということから大使のようなポジション。

物腰からも紳士だと伺える。

そして、刹那と名乗った衛士・・・こいつがBETAに関して情報を持つという奴か。

やはり霞と同じテレパシー能力者?第3計画で失敗したBETAとの意思疏通が可能だというなら

あるいはそれ以上か・・・

(バッフワイト素子で作ったリボンをしておいてやはり正解ね・・・)

だとしたらこちらの思考を読まれる可能性もある、やはり霞にリーディングをさせないでおいたのは正解か。

ガンダムというのも恐らくは彼らの世界での『衛士』というのと同じ意味か

確かにF-4の衛士をファントムライダー、F-15乗りをイーグルドライバーと呼ぶこともあるし不思議ではないか。

そして・・・・最後の・・・仮面の男・・・

怪しい、怪しすぎる。ううん、怪しいというレベルを超越している。

「この仮面が気になるようですね、ミス香月」

(っ!思考を読まれた!?こいつも超能力者!?)

「ご心配なく、これは・・・そう言ってみればファッションのようなものです。

お気になさらずに」

(じゃぁ外せよ)

心の中でしょうも無いツッコミを入れる夕呼だったが、

まさかファッションだという言を本気で取るわけではない。

(考えられるのはあいつだけあの刹那という衛士とは違い超能力者ではないため

リーディングを妨害する素材でできた仮面を被っている・・・

あるいは逆でリーディングに類する超能力を持っているためそれを制御するために

ヘンテコな仮面を被っている・・・)

ある意味真実をついた思考をするがこの場では意味がない。

それにゼロはもうギアスを使わないと決めたのだから。

「自己紹介も済ませたことですし、今の状況についてこちら側から説明させていただきます。

現地時間2000年12月17日をもって貴方方の惑星は我々の太陽系に次元振動で転移してきました。」

「・・・・・・は?」

スメラギさんは現状について簡単に説明した。

現状でこの星が時空震動と呼ばれる異世界転移を起したこと。

それによって『この太陽系』に地球が転移してきたこと。

太陽を挟んで2天文単位向こうに、もう一つの別の地球がありZ-Blueはそこからきたこと。

「あの、もしもし?どうされました」

「え、ええ。ちょっと状況を整理してまして・・・」

夕呼は混乱していた、それはそうだろう。

目の前の人達は異世界人であり異星人であるというのだから。

確かにキリコは正真正銘別銀河の異星人だし、刹那はハイブリッド生命体だが。

 

「ここからは私が受け持ちましょう、ミス・スメラギ。

よろしいですかな?ミス・香月」

と目の前の紳士が今度は話しを変わる。

「と、ここまでは誰もが知る話ですが、詳しい話はこちらの本に・・・」

ロジャーが手渡した分厚い本には『大時空震動』以来の地球の蒼の星の大まかな歴史が書いてある。

「よろしいのですか?」

誰も知らない未知の星の歴史。

はっきし言って現状で、その地球の存在を確認できない以上最重要機密の一つとなってもいいだろう。

「はい、予備はそこそこありますから。」

ロジャーは安心するように伝えるがそこじゃない。

連邦政府発行の昔ながらの紙製の本だが、一般公開された情報なら殆ど載っているため蒼の星を理解してもらうに役には立つだろう。

どの道、口頭で伝えきるには情報量が多すぎる。

デジタルデータという手も考えたが、ここの規格と合うか不明な為このような古典的な方法を

とることにした。

 

(そう、『誰にでも教えられる範囲内なら』ってわけね)

 

無論、その中には蒼の地球で行われた地球人同士の足の引っ張り合い。

 

インベーダー、次元獣、宇宙怪獣、多種多様な宇宙人といった脅威を

目の前にして争うという醜い行為も書かれている。

長い説明になるため、今回は省略するが

「そうですか、BETAと類似した宇宙生物を撃退することに成功したというのですね・・・

羨ましいことですわ。

この国はご覧の通りBETAとの抗争で来年一杯持つかどうかも怪しい有様ですので・・・」

 

「ええ、ですから連邦としてはこの星のBETAの駆逐に関してできる限り協力したいとう姿勢です」

「それは我が国と協力してBETAの駆逐に協力してくださるということですか?」

(成る程、この星の人間も一致団結とは程遠いとは本当だな。)

ネゴシエイターもプロであるからには彼女の言葉の端から

『我が国』という言葉に持たされた意味について考えていた。

「成る程、この『星』を救うことがそちらの政府にとっても利益になると、

そういうことですね」

「ご理解いただけたようで、話が早く済みますな。ミス香月」

(成る程ね、BETAがそっちの星まで繁殖し始めたら厄介・・・

だから私たちを助ける・・・と。理にはかなってるわね)

Z-Blueが連邦軍から公式に外部監査部隊としてエルガン・ローディックに認められたのは

テロリスト・反政府軍・ゲリラ・傭兵の寄せ合い状態だった時代から

(今もあまり変わってないが)

人類の脅威に対して戦うという一点だけは疑いようのない部隊だった。

 

「助力には感謝いたしますが、正直今のこの国では何一つ見返りが出せる状態にはありません」

(さて、どう返すか?)

香月博士にしてみればこれも交渉の一環、相手に対する値切りだが・・・

(ふむ、事前の打ち合わせ通りのパターン3か。

腹に一物あるが、実にわかりやすい相手だな。)

魔王も戦術予報士も交渉人もこの手の会談は慣れている。

今回ばかりは流石の横浜の魔女もちょっと相手が悪かった。

 

だが、実際問題として連邦政府も天獄戦争とその後の復興で

今後50年間は大規模な軍事行動など起こせないと言われているほど予算が逼迫している。

かつての総兵力4000万の威容は既に影も形もない。

はっきり言えば地球近海の防衛だけでも手一杯の状況だということが事実なのだが

博士はそんなことは知らない。

 

(ここからが正念場ね・・・)

ここで少しでも有利な条件を引き出しておきたいところだが

欲を張るのは彼らの真意が正確には不明な以上、危険かもしれない。

陸戦で消耗するのは嫌だから、軌道上から絨毯爆撃します

などという米軍のような決定を下された日には目も当てられない。

「ええ、代償としましては我が部隊のアジアにおける拠点として貴国の何処かの土地を

貴女を通じて『この国』に対し租借したい旨

及びこの国での貴国とのかつての日米安保条約に準じた条約の締結をお伝え願えませんか。

無論、この件に対してもこちらから相応の代償を提供する準備はありますが。」

 

ロジャーの提案は今までのZ-Blueの蒼の地球での武力介入の反省から来ている。

(ソレスタルビーイングが構成員なので当然だが)

ここはあくまでも『異星』なのだから母星のように好き勝手をして

外交関係を破綻させるわけにはいかない。

それを警戒した上でのZ-Blueととりあえずの日本との緩やかな同盟関係の締結を目指す。

さしあたって事前にそのような打ち合わせをしておいた。

「それに関しましては、私の一存では決定しかねますが必ずやこの国の然るべき方々にお伝えすることを確約します。」

(理は通るけど。やっぱ、話がうますぎるわね)

日米安保が破棄されるのは掻い摘んで言えば、

馬鹿げた話だが日本軍が米軍の指揮下に入る義理はないのに

指揮に従わなかったという理由でしかない。

これに対しZ-BLUEの戦力は今の時点でも明らかに在日米軍よりも上だろう。

拠点となる土地を提供するのは明らかに安すぎる代償だ。

「無論、貴国の方々の中にはこの条約締結に反対される方々もおられましょう。

そういう方々のために説得材料としてある物をお渡ししたく存じております」

交渉人が畳み掛ける、実際には香月博士の帝国での影響力は

第4計画が順調とはいえないため大きいとはとても言えない。

では、ロジャーが帝国と直接交渉しようとしても

明らかに異星人が協力しましょうと言っても門前払だろう。

ならば最善はこの星のある程度、権威のある人間に武器をもたせて

共犯者に仕立てあげればいい。

それがゼロの考えた手段である、相変わらず悪どい。

Z-Blueは異種を撃滅できてハッピー

帝国は強力な援軍を得られてハッピー

香月博士は自分の権限が増えてハッピー

『皆で幸せになろうじゃないか』by ゼロ(胡散臭い笑顔で)

 

「説得材料とは?」

香月博士としても学者である、異星人の言う交渉材料には興味があった。

「駐機場の方に既に用意しておりますが、擬似GNドライブと呼ばれる動力炉です。

あなた方もご覧になった機体の中の幾つかに同じものが搭載されております。

詳細に関してはこちらのマニュアルに記載しておりますので。」

アレハンドロ・コナーの裏切りによって流出したGNドライブのデータ。

だが現時点では既にある程度一般化されており民間でも利用されている。

知的財産権に関しては問題は無い・・・・筈だ

(CBのフロント企業に回収させたのを、リビルドして売るとして・・・

いくらくらいになるかしら?)

スメラギさんの疑念として再世戦役の頃から大量生産されて

世界中で破壊されたGN-Xから回収されたリビルド品が民間市場にすら

出回っているのだから、問題はないだろう。

無論、高性能化した戦術機で人類間戦争を始めればその結果は再世戦役と同様

悲惨なものになるかもしれないが。

「っ!それは興味深いですね。ええ、必ずや帝国の上層部も興味を持つでしょう。」

未知の技術で作られた動力炉、あの機体の戦闘力の全部とはいかなくとも

戦術機に搭載することが可能になれば戦力の大幅な増強につながる筈だ。

食いつかないワケが無い。

「それと別になりますが『国連軍』所属の貴女にもう一つお願い事があるのです。

通信で我々の仲間がフランス・ノルマンディー地方に跳ばされたようなので貴女を通じて

現地の部隊に彼らを攻撃しないように伝えていただきたいのです」

「ええ、わかりました。

それでどのような方々なのでしょうか?」

(彼らを攻撃?戦術機とは違うっていうの?)

彼らの仲間がどんな外見をしているかはわからないが人間ならすぐにわかるだろう

それを飛ばして攻撃されるのが心配ということは・・・・

まさか外見が人間じゃないとか?

「ありがとうございます。

一人は碇 シンジ。エヴァンゲリオン13号機という大型の人型兵器に搭乗している

14歳の少年です。」

(14歳・・・ね、そっちの星もやっぱり戦局が厳しかったってのは本当らしいわね)

確かに蒼の地球は一時期全土の9割近くがサイデリアルに占領されたがそれとは違う。

「もう一人は流 竜馬。

こちらはブラックゲッターという黒い大型人型兵器の搭乗者で・・・・・

なんというか・・・・・その・・・・非常識な男です」

「・・・・・・はい?」

ロジャーのなんとも言えない表現に思わず間抜けな声で反応してしまう香月博士であった。

 

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