奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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冬イベ完走……
されど、資源回復が課題に……
大規模こわい。マジで怖い。

そして……

遂に陽炎型に改二が~!!
浜風、磯風おめでとう!!
我が鎮守府に磯風いないけど(笑)


第3話「訓練中止」

「訓練が中止……!?

 なんでですか!?」

 

 更識さんの口から出てきた衝撃の神通さんからの伝言を私は問い質した。

 神通さんが訓練を中止にする。

 それはあり得ない。

 あの荒天時には『今日はいい天気ですね。皆さん、頑張りましょう』と笑顔になり、晴天時には『非常に残念です。この悲しみは訓練を二倍にして乗り越えましょう』と悲しそうに言って訓練を絶対にやると言う鉄の意思を見せる神通さんが訓練を中止にする等あり得ない。

 あるとしても「深海棲艦」の襲撃が在って仕方なしに後日に訓練を倍にする位だ。

 神通さんのその言葉の裏に隠されているであろう意味に私は(おのの)いた。

 

「……やっぱり、そうなるわよね……」

 

「ですね……」

 

「……更識さんも経験済みですか……」

 

「ええ……

 先輩が一年に一回、私を招いて合同訓練をするんだけど……

 仮に一日中止になるとその日の遅れを取り戻すために普段よりも厳しくなる時があるのよ……

 フフフ……私、よく生きてこれたわね……」

 

「……神通さんは限界の一つ上で止めますからね……」

 

 二人の何かを悟った顔に私は親近感を感じると共に更識さんは私がまんま経験したことと同じことを黄昏ながら語った。

 恐らく、彼女は神通さんの訓練を乗り越えるために普段から努力を欠かしていないのだろう。

 だが、悲しいことに神通さんはその上を行く。

 

「一体、何があったんですか……?」

 

 神通さんが訓練を中止にさせる。

 それは余程のことがあったとしか思えない。

 

 はっ……!!

 まさか……!?

 

 まさか、学園内に工作員でも紛れ込み、何時でもその破壊工作に備えておけと言うのだろうか。

 実際、先月は工作員としてシャルロットさんが来たのだ。

 その可能性も十分あり得なくはない。

 ならば、何と不逞な輩なのだろうか。

 そんな輩の為に罪のない一般市民を巻き込むのは言語道断であるが、同時に一週間の総訓練量はともかくとして、一日の訓練量が二倍になったのだ。

 訓練は嫌いではないが、流石に一日の訓練量が二倍になるのは割と苦しい。

 

「更識さん……

 わかりました。神通さんにお伝えください」

 

「……え?」

 

 私はある決意をした。

 

「必ず、不穏分子を探し出してこの学園の平穏を守ってみせます」

 

「え!?

 ちょ、雪風ちゃん!?

 虚ちゃん、抑えて……!!」

 

「は、はい……!!」

 

「放してください、布仏さん……!!

 私の行動に学園の生徒たちと一夏さん達の運命がかかっているんです……!!」

 

「どうしたら、そうなるの!?」

 

「何か誤解していませんか!?」

 

 私は神通さんが憂いているであろう事態を解消する為に動こうとしたが何故か二人は私を押しとどめようとする。

 

「だって、神通さんが訓練を延期か中止にするなんて敵の襲撃くらいしかないじゃないですか!?」

 

「いやに具体的で想像しやすくて実感のこもった言葉だけど、違うから!!」

 

「じゃあ、何ですか!?」

 

 何故こうまでして二人は私をとめようとするのか本気でわからない。

 

 

「だから、臨海学校(・・・・)の準備だって……!!」

 

「……え?」

 

 更識さんは何故か私にはよくわからないことを打ち明けた。

 

臨海学校(・・・・)の準備……?

 どうして、そんなことで神通さんが訓練を取り止めるんですか?」

 

 確かに近々、学校行事で「臨海学校」と呼ばれる海に旅行に近い研修を行うのは知っている。

 しかし、何故そんなことで神通さんが訓練を取り止めにするのかが理解できなかった。

 

「はあ~……

 雪風ちゃんは日曜日に「初霜」の受け取りで倉持に行くから予定が埋まっているでしょ?」

 

「……?

 ええ、まあ……そうですが……」

 

 一か月前の「VTシステム」との戦いで「初霜」は損傷してしまった。

 幸い、致命的な損傷はなかったが大規模の改修を受けることになり一か月の間預けることになったのだ。

 私としては大切な戦友の名前と艤装を彷彿させる機体をいじらくられることは不本意ではあるが、「VTシステム」との戦いで多少の強化は必要と考えて渋々肯いた。

 

「だから、雪風ちゃんが買い物(・・・)をするために休みを今日にしたらしいわ」

 

買い物(・・・)……?

 どうしてそんなことをする必要があるんですか?」

 

 どうしてそれが訓練を休むまでの理由になるのかが分からない。

 確かに私もかつては大反攻作戦前や戦時中には幾らかの休暇を第十六駆の面々と過ごすことはあったがそれはあくまでも申請したのが受諾されたり、そもそもその申請そのものが偶々空いた時に許されていたもので訓練があるのに休むこと自体が私には信じられないのだ。

 しかもそれが「買い物」と言う個人的な動機で。

 

「だから、臨海学校なんだから当たり前でしょう?」

 

「……?

 どうして、海に行くのに買い物を改めてする必要があるんですか?」

 

 「臨海学校」に関してはしおりで荷物を確認してみたが、別に改めて買い出しをする必要などないものばかりだ。

 何故、神通さんはわざわざ買い物を私にさせようとするのだろうか。

 

「だから、水着選び(・・・・)の為でしょ?」

 

「……水着選び(・・・・)?」

 

 更識さんはじれったそうに言った。

 私はその意味が分からずオウム返しをしてしまった。

 

「……確かにしおりの持ち物には「水着」はありましたけど……

 どうしてわざわざ買う必要があるんですか?」

 

 荷物の欄には確かに「水着」はあった。

 しかし、更識さんの言っていることはおかしい。

 何故、既に全員が所持している者を改めて買う必要があるのだろうか。

 

「……ちょっと、雪風ちゃん……

 あなた、「水着」を持ってるの?」

 

 私の指摘を受けると更識さんは訝しめに訪ねて来た。

 どうしてそんな顔をするのだろうか。

 

「……「学園指定の水着」があるじゃないですか?」

 

「「ぶっ……!!?」」

 

 私は少し顔を赤くしながらそう言うと二人はいきなり吹き出した。

 あのどう見ても恥ずかしさ満点の58さん達曰く『提督指定の機能美に溢れる水着』にそっくりな「水着」があったはずだ。

 それなのにどうして新しい「水着」を買う必要があるのだろうか。

 

「え!?どうしてお二人ともそんな反応をするんですか?」

 

 二人のその反応に私は戸惑ってしまった。

 私の発言の何処におかしいところがあっただろうか。

 確かにあの『学園指定の水着』は恥ずかしいが、それが理由でここまで彼女たちがこんな反応をするだろうか。

 

「ゆ、雪風ちゃん……

 本気であのスクみ―――、じゃなくて「学園指定の水着」を着るつもりなの……?」

 

「え?それがどうしました?」

 

 更識さんは明らかに動揺している。

 一体、どうしたのだろうか。

 学園側が「水着」と言うのならば、ある意味「水着」の正装とも言える「学園指定の水着」を持って行くのが道理ではないだろうか。

 

「あのね……雪風ちゃん……

 いや、この場合は……

 虚ちゃん、去年の臨海学校の写真を持ってきて」

 

「はい……

 実物を見せた方が早いですね」

 

 更識さんは疲れ気味に何かを悟り私に去年の臨海学校の写真を見せて参考にさせるつもりらしい。

 私としてもどうして私が「学園指定の水着」を持って行くことに抵抗を持たれたり新しい水着を買う必要があるのかその理由を知ることが出来るので願ってもないことだ。

 

「雪風さん。

 こちらです」

 

「そうですか。

 しかし、やはりこの世界の写真技術はすご―――」

 

 布仏さんから手渡された写真の映りの良さに改めて感心しながら写真の中身を見た時だった。

 

「―――ん?」

 

 私は違和感を抱いた。

 いや、違う。

 それは違和感などではなかった。

 私が今感じているのは

 

「な、なんですか!?

 こ、これは……!!?」

 

 焦燥感だった。

 私はある物を目にしてしまったことでそれを感じた。

 

「何て……水着姿の私よ?」

 

 夏の強い日差しが雲によって遮られることなく、空と海と言う異なる二つの青は平行線の様に交わることなく何処までも続いて行くようにも思える水平線を背後に砂浜にいる更識さんを写し撮った写真だった。

 

「み、水着……!?

 こ、これがですか!!?」

 

 更識さんの指摘に私は混乱してしまった。

 何故ならば

 

「こんな下着みたいなほぼ半裸みたいな布面積がない服装が「水着」なんですか!?」

 

「そうよ?

 その言い方だとまるで私が痴女みたいに聞こえるわね?」

 

 写真に写っている更識さんは殆ど肌をさらけ出しているほぼ下着姿と寸分変わらない格好をしていたのだ。

 それを更識さんは「水着」と断言した。

 

「嘘です……!!

 そんな訳あるはずないじゃないですか!?

 どうせまた私をからかおうとしているんでしょう!!」

 

 更識さんにはこの手の事で何度も煮え湯を飲まされてきた。

 恐らく私を担ぐ魂胆なのだろう。

 その手は食わない。

 

「いえ……雪風さん、大変申し上げにくいのですが……

 事実です」

 

「……え?」

 

 しかし、そんな私の希望を打ち砕くかのように布仏さんは申し訳なさそうに更識さんの発言を肯定した。

 

「嘘ですよね……?」

 

「いえ、ですから本当です」

 

「いや、嘘に決まっているじゃないですか」

 

「ですから本当です」

 

「そんなことが本当のはず―――」

 

「「本当よ/です」」

 

「―――そんな~!?」

 

 真面目な人間で更識さんよりもこの手の事に関しては信用が置ける布仏さんまでにこれが水着であると言うことを告げられても私はしばらく現実から目を背けようしたが最後に二人に重ねて言われてこれが現実であることを認めるしかなかった。

 

「嫌です~!!

 なんでこんな恥ずかしい格好を周囲に見せないといけないんですか~!?」

 

 「学園指定の水着」ですら着ていて恥ずかしいのにさらにこのほとんど下着姿と変わらない水着を着なくてはならなくなり、私は泣きそうになった。

 「学園指定の水着」はまだ他の生徒たちも着るので何とか我慢できるがこの水着姿はそんな僅かながらの気休めすらも吹っ飛ばす。

 こんなものを着たら恥ずかしさで死にそうだ。

 

「断固として私は「学園指定の水着」にさせて―――」

 

 どんなに浮こうが私にはこれを着る勇気はなかった。

 これだけは絶対に避けようとしたが

 

「あ、もし今日水着を買わなかったらどんな手段を使ってでもこれを着てもらうから」

 

「―――ぶっ!?」

 

 更識さんの掲げた最早「下着姿」とすら例えようのない殆ど紐のような「水着(?)」を着せると脅されて私は止められた。

 

「ちなみにこれ。

 『あの娘の場合、普通の手段では首を縦に振らないでしょうからどんな手段を使っても結構ですよ?』と言う川神先輩からのお墨付きよ」

 

「じ、神通さんからの!?」

 

 まさか神通さんすらも加担しているとなると逃げ道はないらしい。

 

「じゃあ、放課後しっかりと選んできてね?

 ……確りと本音ちゃんに報告を聞かせてもらうから」

 

「そ、そんな~!?」

 

 完全に逃げ場を失った私は水着を買わなくてはならないらしい。




雪風は訓練は好きですが、神通さんの訓練を恐れています。
しかし、何故かその恐ろしさすらも大好きです。
あれ?訳が分からないよ?

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