奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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陽炎の新グラ……待っていたぞ!
少し、声が雪風よりだけどお姉ちゃんだから仕方ない。
今年度は雪風の改二相当の可能性も0じゃないですよね?
しずま艦枠は激戦区ですからね。一年に一回な気がします。
初風と時津風、天津風のレベリングも急がないと……!
後、次の丁改枠の大本命の不知火と谷風も……!!
今年は陽炎型の年だ!絶対にそうだ!そうだ!違いない!

……フ~……大変お見苦しい様をお見せしました。
申し訳ございません。


第8話「晴れと嵐」

「よ~し、着いた、着いた」

 

「お姉様の水着……フフフ……」

 

 白亜とすらいえる白い床や壁に囲まれ天井は米国式の様にガラス張りのようになっており白熱灯とは異なる灯りによって多くの光と白による反射によってその白さが映えている「ショッピングモール」の内装の奥に存在する服に溢れる店の一つ。

 それが衣服店なのは一目瞭然である。

 そこにはどうやら、この世界では常識となっているらしく、夏の代名詞と言わんばかりに水着が大量に並べられていた。

 

「………………」

 

 その光景を目にして私は立っていられることが不思議だった。

 

 こんなのを私が着るんですか……!?

 

 刻一刻と迫る運命の瞬間。

 それを私は身に沁み沁みと感じていた。

 私は足をゆっくりと背後に動かしそうになったが

 

「ゆっきー?

 どこに行くつもり?」

 

「……!?」

 

 私のその動きを察知したのか本音さんはすかさず私の顔を覗き見て組んでいる腕の力を強めた。

 完全に私に逃げ場はなかった。

 

「お姉様!!

 さあ、行きましょう!!」

 

「ほら、ラウラっちもこれだし。ね?」

 

「う、うぅ……」

 

 そこに追い打ちをかけるかの如く、動機は下心だけれどもほとんど無邪気なラウラさんの期待に満ちた目が私を襲う。

 私は論理的にも心情的にも後に引けなくなってしまった。

 

「ほら、行こ!」

 

「は~い……」

 

 私は本音さんたちに引かれると共に半ば諦めて衣服店に連行された。

 店の中には水着だけではなく、夏の暑さを考えていてか涼しさと芸術性を両立させる半袖や丈の短いズボン等夏を思わせる様々な服が陳列されていた。

 これだけの服が溢れるのを見ると、本当にこの時代は豊かだと感じてしまう。

 けれども、今の私の心は夏の空の様に晴れておらずむしろ台風に晒されている気がした。

 

 ……そう言えば、昔はスコールの中に逃げたり、スコールの中から敵艦を攻撃したこともありましたね……

 

 今の心の中の様子を感じてか、私は昔の戦場を思い出して現実逃避してしまった。

 

「さてと、どんな水着が似合うかな~?」

 

「そうだな。

 だが、お姉様のことだからどの様なお召し物を着ても溢れんばかりの光輝を放っているに違いない」

 

「美化し過ぎです!?

 そもそもなんでそういった下着染みた水着の方にお二人は向かっているんですか!?」

 

 最早、脱出は不可能だと理解しある程度の覚悟を決めたつもりではあるけれど、二人が向かっているほとんど下着同然の水着を見て思わず私は抗議した。

 店内を見回して見ると数は少ないけれども明らかに布面積が広く肌が隠れる水着は存在した。

 なのにどうしてこの二人はこちらの方へと向かうのだろうか。

 

「え~?

 ゆっきー、高校生になってもワンピース水着は逆に目立つよ?」

 

「……え?」

 

 そんな私の疑問に本音さんは呆れたような声で言った。

 

「め、目立つ……?」

 

 何故この様なほとんど下着同然の水着を着ない方が目立つのか私には本気で解らなかった。

 

「最近はね。

 みんなこういうのを着るんだよ?

 多分、ワンピース水着を着たら逆に目立って、おりむーに凝視されるよ?」

 

「えっ!?」

 

 本音さんのほとんど混ざり気のないその指摘で一夏さんにジロジロと見られることを想像した私は

 

「そ、それは……

 嫌です……」

 

 一夏さんに女の尊厳を辱められて憤慨しておきながら、彼に凝視されることを想像してしまい、恐怖を感じてしまった。

 確かに彼にはぎゃふんと言わせたい気持ちもあるが、それはあくまでも自分の尊厳を保つ為であって決して異性として主張したいわけではない。

 流石に恥ずかしいのは嫌だ。

 

「でしょ?

 だから、この中から似合う奴を選んだ方がいいよ?」

 

「わ、わかりました……」

 

 本音さんの語ったことを受けて私はこの中から選ぼうと決めた。

 

 私て意気地なしですね……

 

 同時に私は自分の度胸の無さを自嘲した。

 あの時からそうだ。

 いつも肝心な時に女としての恥ずかしさをいっちょ前に感じて異性を意識して行動できない。

 「司令」のことが好きだったのに、どうしても本心を隠してしまう。

 「司令」を異性として見ると何も行動できなかった。

 そして、今の私はあの時と同じだ。

 女としての自分を出すことが苦手なのだ。

 それなのに意地を張ってしまう。

 我がながらどっちつかずだと思う。

 

「ところで、お姉様。

 どれにしますか?」

 

 ラウラさんの声で意識を目の前で竿にかかっている水着の列へと私は視線を戻した。

 

 と言っても困りますね……

 ここで変に似合わないものを着て一夏さんに舐められるのも癪ですし……

 

 あまり煽情的なものを着るのは嫌だけれども、だからといって、似合わないものや格好の悪いものを着て一夏さんに馬鹿にされるのは気に食わない。

 しかし、

 

 ……これは何と言うか……

 長門さん辺りに似合いそうな気がするんですが……

 私には似合わないと思いますし……

 

 いざこの水着群から選べと言われてもこういったことに無縁だったことや私自身も自覚しているがこういった妖艶さを醸し出す服は似合わないと自覚していることから迷ってしまった。

 恐らく、長門さんならばこれを着ていても常に毅然としていてむしろ、その雄姿を遺憾なく発揮し勇壮さと美しさを両立させるだろう。

 元から、際どい格好をしているが彼女の場合はむしろあの格好は雄々しさすら感じさせるので何時もとは異なる魅力を発揮しそうだ。

 ただ私の場合は多少成長しても大人びた感じではなかったので似合わない気がするのだ。

 

「お姉様……?

 どうしたんですか?」

 

 私が悩んでいるとラウラさんが声をかけて来た。

 

「……ラウラさん……あなたはどういったものが私に似合うと思いますか?」

 

 私は明らかに人選を誤っているのを承知の上で彼女に助言を求めるが

 

「お姉様ならば、何を着ても似合うと思います!!」

 

「……そうですか……

 はあ~……」

 

 私の予想した通りの答えが返って来て当てにはならなかった。

 ダメだ。

 ラウラさんは私のことを美化し過ぎている。

 これでは公正な判断と助言を求めるのは難しい。

 

「ゆっきー、それじゃあダメだって」

 

「え?」

 

 私がどうしようもなく迷っていると不意に本音さんが介入して来た。

 

「まあ、見てて♪」

 

「え?あ、はい」

 

 そう言うと本音さんはラウラさんの方へと顔を向けて

 

「ラウラっちはゆっきーには()()()()()()()と思う?」

 

「何?」

 

「……!」

 

 質問の訊き方を変えて訊ねた。

 成程、確かにラウラさんはどう聞いても全肯定して否定しようとしない。

 だったら、どれが最善かを訊ねれば良かったのだ。

 こんな簡単なことにも気付かないとは私も未熟なのかもしれない。

 

「どれがだと……

 ふ~む……」

 

 ラウラさんは腕を組んで目を瞑り本気で悩みだした。

 こう例えるのは少し気が引けるが、今のラウラさんは合奏曲を鑑賞し称賛した後にどの演奏者が最も優れていたのかと問われているのも同然だ。

 迷うのも無理はない。

 

「あの、ラウラさん……

 そんなに悩まなくても……いざとなれば、本音さんを頼りますので―――」

 

「……!」

 

 他人のことは言えないが、ラウラさんは軍の生活やその出生が理由でこういったことに不慣れなはずだ。

 恐らく、外の世界を知らないという点では私以上かもしれない。

 ラウラさんに訊いたのは本音さんに訊いたら十中八九弄ばれそうだったからではあるが、今回ばかりは彼女に意見を求めたのは些か軽率だったのかもしれない。

 こうなったら背に腹は代えられない。本音さんにも確り訊こうと思った。

 だから、気負い過ぎないようにと言おうとした矢先だった。

 

「いえ!!

 その役目、この私が最後まで全うさせて頂きます!!」

 

「―――え?」

 

「この役目是非とも私にお任せください!!

 誰にも譲るつもりはありません!!」

 

「え?え?え?」

 

「うわぁ……

 逆に火に油を注いじゃったみたいだね?」

 

 私の言葉を受けてラウラさんは断ることを善しとせず、むしろ、そんなことはとんでもないと言わんばかりに熱意を燃やした。

 

「布仏……私は負けんぞぉ……!!

 お姉様、お待ちください!!」

 

「うん、頑張ってね?」

 

「えっ!?ちょっと、ラウラさん!?」

 

 その後、ラウラさんは本音さんに対抗心を燃やしながら、何処かへと走り去っていった。

 彼女に置いてきぼりにされ、しばらく呆気に取られている時だった。

 

「……じゃあ、ゆっきー……

 色々なのを着てみようか?」

 

「……え?」

 

 本音さんに声をかけられて私は意識を戻すと同時に身の危険を感じて春分から夏至に向かっている季節の流れにいるはずなのに寒気を感じた。

 振り向いてみると、本音さんはいつの間にか、買い物かごに様々な水着を何着か入れていて私の腕を掴んでいた。

 その中には布面積が広いものや全くないもの、上下が分かれているものやそうではないものと多種多様なものが存在していた。

 今の私にはそれは煮え滾る地獄の釜にも見えた。

 

「ど、どうしてですか!?」

 

 嫌な予感しかせず、私は不安を隠せず狼狽してしまった。

 今、ラウラさんがどれが似合うかを考えている中でわざわざ他の水着を試着などする必要がないはずだ。

 それにも拘わらず彼女は私に多くのものを着せようとしている。

 一体、何の恨みがあってこの様な仕打ちをしようとしているのだろうか。

 

「決まってるじゃん?

 どれが似合うかなんて、結局は着てみないと分からないし、それにゆっきーは水着は初めてでしょ?

 とことん楽しまないとね?」

 

「わ、私は全然楽しくありません……!

 そ、それにそれって直接肌に纏いますし、お店の迷惑に……!」

 

 本音さんはどうやら、私が初めて服を着ることで色々と楽しませようとしているつもりらしいけれども、私からするとこれは楽しいどころか拷問に等しい。

 私はそれに対抗するためにお店の迷惑になることや公衆の衛生を大義名分に何とか凌ごうとしたが

 

「こういうのは暗黙の了解で試着はOKだし、下着の上から着るから大丈夫だよ?」

 

「ぐっ……!?」

 

「それに今のを見ていると、これも社会勉強だしね?」

 

「そ、それは……!」

 

 ジリジリと迫る様に私の逃げ場は失われた。

 むしろ、私のこの世界の知識のなさが逆に墓穴を掘ってしまった。

 

「で、ですが……!ラウラさんが帰って来てませんですし……!!」

 

 既に手を失いつつある私は最後の手段としてラウラさんが帰ってきていないことを口実にして回避しようとするが

 

「ラウラっちには後で写真を見せるし、後で合流して一緒に試着してあげればいいんだよ?」

 

「しゃ、写真!?

 ちょっと、撮るつもりなんですか!?」

 

 それは更なる絶望を私に突き付けるだけのことだった。 

 本音さんは私のあられもない姿を写真に収めるつもりらしい。

 どう足掻いても私に救いはないらしい。

 

「じゃあ、行こうね♪」

 

 本音さんは私の腕に自分の腕を回した。

 

「ちょ、心の準備が―――!?

 ―――ま、待ってください!?」

 

 私は今日二回目の連行を受けた。

 最初、私は水着を着ることへの不安で一杯であったが今はそれが倍どころが二乗した気分だった。




雪風は改二相当なくても新グラは来ますよね?
大和が二回目ですし。

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