奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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遂にかげぬいに改二が来たことで来年あたりにしずま艦枠の改二は雪風の可能性もあり得そうですね。


第10話「改修」

「フフフ……」

 

 月曜日に受けた傷が余りにも深過ぎて私は折角、愛機の改修が終わり手元に帰って来るというのに乾いた笑い声をあげるしかなかった。

 あれ程の恥辱を味わった私はこの時代、いや、この世界の恐ろしさの片鱗を知った。

 だけど、思ったことがある。

 

『いや~、創造力が捗るね。

 今度はこの服いってみよう!』

 

 と秋雲ならば意気揚々とスケッチを行い

 

『ふっ、この程度容易いことだ』

 

 と磯風ならば全く動じることなく

 

『今度は何かな、何かな♪』

 

 と時津風ならば興味津々にこの時代の服装を堪能するだろう。

 我が妹たちながら何とという豪胆さだろう。

 恐らく、浦風や谷風、嵐、舞風辺りも積極的でなくても動揺することはなかっただろう。

 多分、あの頃の私も。

 

 ダメですね……

 昔の自分を懐かしむなんて……老人のやることです……

 

 我ながら年寄り染みた考え方に頭を振った。

 これでも私はまだ精神年齢は30代だ。

 そこまで歳は食っていない。

 確かに旗艦時代に「二水戦」の面々や「第十六駆」の写真を眺めて物思いに耽ることは在ったが、決して年寄りではないはずだ。

 

 そうです……!

 私は大人のお姉さんなだけです……!!

 

 今の肉体年齢と実年齢を足して割れば、ちょうど20代前半だ。

 私の主張には何も間違いはない筈だ。

 

「フフフ……

 はあ~……」

 

 私は心の中で主張した後に急に寂しくなった。

 折角、皆よりもお姉ちゃんになれたのにそれを本当に自慢したい相手が誰もいない。

 

 お姉ちゃんなら、頑張らないといけませんよね……

 

 私は姉だ。

 だったら、妹よりも強がりでもいいから、我慢しないといけない。

 お姉ちゃんはこれだから大変だ。

 それが私の知っている「姉」という存在だからだ。

 

 どうしようもないことですからね……

 

 少し溜息を混ぜながらもうどうすることもできないことへの切なさを割り切ろうとした。

 

「雪風さん。「初霜」を返却させて頂きます」

 

「あ、はい」

 

「はい。こちらです」

 

「ありがとうございます」

 

「いえ、では運用試験の準備も出来ましたのでよろしくお願いします」

 

 倉持の研究員の一人が私にそう言って預けた「初霜」を返してくれた。

 一か月ぶりに戻って来た「初霜」に私は安堵感を覚えた。

 やはり、彼女の名前を持つ機体であることや意匠が存在することには私は彼女が未だに一緒に戦ってくれていると考えているのだろう。

 そして、どうやら改修された初霜の運用試験の準備も行うらしい。

 何でも今回の改修は既存兵装をさらに扱いやすくしたために今までと武装の位置や使い方が異なっているらしい。

 そのため、すぐに慣れるために今から各兵装の試験を行うらしい。

 

「あ、雪風。来たんだね~」

 

「……あの、篝火さん……

 挨拶などを色々省いて大変無礼なのは承知でお尋ねしますが……

 ISスーツはともかくとして、どうして銛と魚を常に持っているんですか?」

 

 そう言って私はこの研究所の最高責任者である篝火ヒカルノさんに対して、その奇怪な格好に私は思わず挨拶を省いて訊ねてしまった。

 ISスーツに関しても十分、怪しさ満点ではあるが、「IS」の研究者で開発者であることからそれはまだギリギリ理解の範囲内であると無理矢理であるが納得はできるが、銛やら見た目から淡水魚らしい魚を手に持っていることに関しては流石に理解の範囲外だ。

 

「あはは。気にしない、気にしない」

 

「……そうですか……」

 

 彼女は私の質問に取り合おうとしなかった。

 それを受けて私はこれ以上の追求は無駄だと感じた。

 この手の灰汁の強い人は何かしらの強いこだわりを持っている。

 だから、いちいち気にしていたら負けなのかもしれない。

 

「……念の為に訊かせて頂きますが、「初霜」に変な真似はしていませんよね?」

 

「うわー。

 もう少し、私を信用してくれてもいいんじゃないかな?」

 

 ただ「初霜」のことだけは別だ。

 一応、私のことを匿っていてくれている恩人の一人とはいえ、こういった割と悪い意味で無邪気に相手を自らの好奇心に巻き込む人は厄介な時がある。

 そもそも「初霜」の存在は数が限られている「ISコア」に突如として現れた特異的なものだ。

 私が違う世界から来たという点もだ。

 その為、整備や研究に関しては特定の限られた人間に頼らざるを得ない。

 その中で更識さんは信用が出来ると言うことから彼女やこの研究所を紹介してくれた。

 実際、更識さんの言う通り、彼女たちは私に興味を持って検査などを行っているが、大切に扱ってくれているうえに口が堅い。

 ただ青葉さんや秋雲のように篝火さんはある意味義理堅いが自分の趣味や興味分野に没頭しそうで怖い。

 何よりも「初霜」は私の大切な戦友の名を冠した機体だ。

 変にいじくられるのは嫌だ。

 

「……初対面の人間のお尻をいきなり触って来るような人を信用しろというのは無理です」

 

「えー」

 

 加えて私が彼女に怪訝な理由は初めて私がこの研究所を訪れた時にこの人は何時の間にか背後にいて何と私のお尻を触ったのだ。

 あれ程の屈辱は初めてだった。

 私は余りの恥ずかしさと混乱から思いっ切り彼女を殴ってしまった。

 

「ふ~ん。

 でも、流石は川神ちゃんの教え子と言うことはあるね。

 あの子も私に対して容赦なくアッパーカットを決めたし。

 少し、懐かしさすら感じたよ」

 

「………………」

 

「ちょっと、何を引いているのかな?

 私、そういう趣味(・・・・・・)はないからね?」

 

 どうやら、神通さんも同じ被害を受けたらしい。

 何でも、この人は織斑さんの同級生であったらしく、そうなると必然的に神通さんにとっての先輩にもなる。

 私としては神通さん相手にあんなことをしたこの人は命知らずであると感じると同時に今の発言でこの人は変人の粋を超えそうな気がして引いてしまった。

 

「それで……「初霜」には具体的にどんな改修を施したんですか?」

 

 改めて篝火さんのどこか本能的に危険な一面を感じて、一刻も早く私は「初霜」の安否を知りたかった。

 彼女もそこまで悪ノリはしないと信じたいが、それでも不安だった。

 

「大丈夫。大丈夫。

 ほら」

 

 そう言って彼女は休眠状態の「初霜」を私に差し出した。

 

「……!」

 

 不意に差し出された一か月ぶりの戦友に私は少し感動を覚えた。

 

 おかえりなさい……

 

 久しぶりの戦友の帰還に私は「おかえり」の挨拶を胸の中でした。

 あれだけボロボロにしたのが自分であるとはいえ、それでも私は彼女の帰還が嬉しかった。

 

「じゃあ、下の試験場で改修した内容を確かめてね」

 

「はい」

 

 彼女に促されるままに私は「初霜」と共に試験場へと足を進めた。

 そして、そのまま試験場に足を踏み入れた。

 試験場にはまだ何も存在せず、恐らくこれから研究所からの指示で標的が現れて、データを取ることになるのだろう。

 

「着きましたよ」

 

「じゃあ、とりあえず展開してみて」

 

「わかりました」

 

 私は言われるままに「初霜」を展開した。

 

「で、どうかな。

 新しくなった「初霜」は?」

 

 篝火さんに言われて私は展開した「初霜」の状態を目視した。

 左腕部と右腕部の主砲は変わらず、背部と肩部ユニットの機銃群、両脇部の魚雷発射装置はそのままだった。

 だが、明らかに以前とは異なる部分が存在していた。

 

「軍刀……?」

 

 今まで左の腰部に存在しなかった太刀が存在していた。

 一応、艦娘時代に艦娘は将校扱いであったことから儀礼的な意味で帯刀していたので、私はそれをそう感じてしまった。

 見た所、その鞘は独特な形をしており、刀身が収まっている部分は直接腰に繋がっておらず、繋がっているのはその下に存在している出っ張りだった。

 

 錨が繋がっていますね……

 

 その腰に直接繋がっている出っ張りのそのまた下の部分には今までのものよりも小さい錨が付いている。

 

 随分と奇妙ですね……

 

 特異な形に私は不思議に思ってしまった。

 

「浮遊ユニットも随分と変わりましたね……?」

 

 次に私が注目した差異は今まであまり目立つことはなかった肩部に相当する浮遊ユニットが増量していた。

 あくまでも「初霜」にとっては浮遊ユニットは装甲やバルジ、機銃群を収めたような役割しか担っていなかったが、今の「初霜」は鈴さんの「龍砲」やラウラさんの大型カノンみたいな役割を持ち始めている。

 

「どういった改修……いえ、改造をしたんですか?」

 

 明らかに見た目が変わっている「初霜」を目にして私はこれでは改修ではなく、改造だと感じて一刻も早くその違いを知りたかった。

 戦友の名を冠し、その艤装の意匠を残す機体だ。

 それを変に改造を施されたのならば彼女への冒涜になる。

 それだけは避けたい。

 

「そうだね。

 まずは予備の左脚部のロケットランチャーだけど、それを浮遊ユニットに移させてもらったよ。

 見てわかると思うけど、左右含めて全部でロケットランチャーの発射装置5基にした」

 

「……確認できました。

 確かに左の脚部に存在していたものはなくなって、左右のロケットランチャーが増設されましたね」

 

 彼女に言われて私は左右の浮遊ユニットを確認するとそこには未だに全て使い果たしたことのないが、魚雷が増設されていた。

 北上さんや大井さんがいたら大喜びしそうな改造だ。

 どうやら、空きスペースが多かった部分を活用したらしい。

 

 ……ちょっと、陽炎姉さんたちの艤装と似ましたね……?

 

 左右の装着された魚雷発射装置を見て陽炎姉さんたちの艤装と共通点があると感じた。

 陽炎姉さんたちは背部から伸びる左側の義腕に四連装魚雷を配置していたが、あの艤装の優れた所は背中や肩から魚雷を発射できるところだった。

 ただ、今の私の場合はそれが両方に付いている。

 これは余談ではあるが、私の雷撃の仕方は身体を横に向けて相手に急接近して突撃するといった感じだ。

 私の本来の魚雷発射装置は腰部の後ろに固定されており発射できる向きは下と左右だ。

 

 そう言えば、初春ちゃんや子日ちゃんもこんな感じでしたね……

 

 また、この新しい魚雷の配置を見て初霜ちゃんの姉である初春ちゃんと子日ちゃんも同じ感じだったのを思い出した。

 そう言えば、初霜ちゃんはよく『初春型の基になった駆逐艦は陽炎型や夕雲型を完成させるための試作艦だった』と語っていたが、同時に『私の基になった駆逐艦は問題点に気付いてそのまま使うために改良した』と言っていたことから初霜ちゃんとその一つ上の姉の若葉ちゃんの艤装が特型駆逐艦に似ているのももしかするとそういった理由があるのかもしれない。

 

 ……陽炎型(私たち)は彼女たちのお陰で完成できたんですね……

 

 この艤装の形から私は陽炎型が初春型を含めた多くの駆逐艦たちによる試行錯誤によって完成されたのだと改めて感じた。

 

「じゃあ、この太刀と錨はどうしたんですか?」

 

 私は魚雷の次にもう一つの大きな差異に関して訊ねた。

 新たに着けられたもう一つの武装。

 これの意味が分からなかった。

 

「これは「打鉄」の「葵」だよ?」

 

「それはわかっています。

 私も使ったことがありますので」

 

 当初、私は「初霜」ではなく「打鉄」を使っていく予定だった。

 しかし、セシリアさんとの件が在ったことや更識さんの何時かはバレるという危惧から露呈する前に敢えて、先に情報を出しておいた方がいいという判断から「初霜」を使うことになった。

 当初の計画とは異なるが、そのためある程度「初霜」に近い「打鉄」を使うことを想定していたので私は一通り「打鉄」の装備と操縦は出来る。

 

「ですが……よりによって、近接用の武装を?」

 

 けれども、大体の「打鉄」の装備を扱えていたが唯一この「葵」だけは不慣れだった。

 そもそも私は砲撃戦や突撃戦は十八番中の十八番だったが、近接戦は殴り合い以外はあまりしたことがない。

 一応、帝国軍人としてはある程度はこなせるが達人級ではない。

 加えて、中華民国の総旗艦時代は殆どそれらに関わることもなく、仮に剣道の基本中の基本である正面素振りをしたら剣筋は曲がっているだろう。

 下手をすれば、私の学年の「専用機持ち」だとセシリアさんを除くと近接戦闘では私は最弱だ。

 

「そうだね。

 確かにそうだけど、私が「葵」を追加したのは白兵戦だけが目的じゃないんだ」

 

「え?」

 

 すると、彼女は意外なことを言ってきた。

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