奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
読者の皆様方に対して不快な気分を与えるかもしれませんが、どうかご了承ください。
推薦をしてもらえるとは思わず、文章にどうまとめればいいか困っております。
ただニシキさんや今まで支えてくれた読者のみなさまに対する感謝だけは伝えたいです。
ありがとうございます!
完走できるように頑張らせていただきます
重ね重ねありがとうございます!
「うぅ……いくらなんでも早すぎですよ……」
あの後、まったく姿を見せなかった更識さんの指示に渋々従って私はアリーナで更識さんを待っていた。
「あの人、絶対に私の性格を見越して顔を合わせようとしてませんね……」
恐らく、彼女が姿を見せないのは私が相手に頼まれたことに対しては、断固としてこちらが断る旨を伝えない限りは無視することができない私の性格を見抜いてのことだ。
……ああ言った手合いは将来、大成しますね。
現在の時点で私と言う人間の性質を見抜いて手玉に取るとは、中々の大物だ。
それが天性の才能なのか、彼女の努力の賜物なのかは解らないけれど。
「ある意味、陽炎姉さんとも似ていますね……」
あの人たらしとも言えるかもしれない手とそれを実行できる胆力は私たち、陽炎型のネームシップにして長姉の陽炎姉さんを思わせる。
陽炎姉さんは「二水戦」を構成する朝潮型駆逐艦のネームシップで長姉である朝潮ちゃんと並ぶ「二水戦」の駆逐艦におけるリーダーだ。
その性格はまさに人たらしのお調子者、と言ったところだ。
でも、だからこその人望があった。
陽炎型と朝潮型で真っ二つにならなかったのはあの二人のおかげだった。
陽炎姉さんの気さくさと朝潮ちゃんの生真面目さが「二水戦」を一つの家族にしていたとも言えるだろう。
神通さんもあの二人には一目置いていて、特に陽炎姉さんのことを次代の二水戦を担う存在として観ていた節もあったし、不在の時は陽炎姉さんに旗艦を任せることもしていた。
実際、私も黒潮お姉ちゃんやお姉ちゃん程ではないけれど、陽炎姉さんを姉として慕っていたし、尊敬していた。
「生きていたら……いや、そんなこと考えるだけ空しいですね……」
故人のことを想うと私がまず感じるのは思い出や人柄で、その後に訪れるのは無意味な「たら・れば」の想像だ。
それがどれだけ空しいことなのかは嫌でも解っている。それでも、私はそれを繰り返してしまう。
ソロモンで最後まで比叡さんと戦えば、ダンピールで朝潮ちゃんと一緒に撤退命令を無視すれば、コロンバンガラでもう少し次発装填が早ければ、野分を無理矢理でも引き止めれば、磯風の頼みを聞かなければ、初霜ちゃんに機雷の避け方を教えていれば。
どれだけの「れば」を考えて、その度に後悔し続けて数えきれない「生きてい
「いけませんね……何もしていないとどうしても暗い考えが頭に浮かんできます」
これは悪い癖だ。
私一人がどう行動しても救える人間なんて限られてるなんてそれぐらいは解っている。
いつからこうなったのかなんて忘れた。
直そうにも直せない。
よく考えてみたら、私があの戦いの生き残りの中で一番早くに死亡したのはそれが原因なのかもしれない。
「艤装」を纏っていると「艦娘」は年を取らない。
だけど、それは不老長寿を意味するのではない。
むしろ、「艤装」を纏っていると「艦娘」の寿命は人間よりも早く尽きる。
それは「艤装」を装着した「艦娘」が軍艦に近い存在になっているからだと「艦娘」の中では噂されている。
これは「艦娘」の中でしか知られていないことだ。
別に「艤装」を纏わない普段の生活では何ともないが、「艤装」を纏っている状態で致命傷を負えば寿命を迎えてしまう。
艦の寿命は長くて30年だ。
だから、「あの戦い」を終えた多くの艦娘たちは5年くらい復興に寄与した後には「艦娘」としては退任している。
だけど、私はどうしても踏ん切りがつかず、周囲の制止を振り切って最後まで「艤装」を纏い続けた。
そして、あの暴風雨が決定打となった。
我ながら、よく30年近くも「艦娘」を続けられたと思う。
「やっぱり……金剛さんはすごかったんですね……」
私は金剛型のネームシップであり、あの「伝説の戦艦」を除けば「海の女王」と言われても過言ではない彼女の生き方を尊敬してしまった。
金剛さんがあれだけ戦いにも恋にも常に情熱的だったのは金剛さんの「艤装」は老朽化が既に始まっていたからではないかと思っている。
だからこそ、あれほどまでに司令に対してストレートに好意を伝え続けていたのかもしれない。
「更識……本気で今日、模擬戦をするつもりなのか?」
私は午後から行われる雪風と彼女の身柄を預けた「学園最強」として知られる更識の模擬戦の件を告げられたことに対して、彼女に問い詰めた。
「ええ、本気ですよ?
それがどうかしましたか?」
更識は私の問に対してケロッとした表情でそう言った。
「いくらなんでも早すぎないか?
少なくとも、一週間は待つべきだ」
更識の返答に対して批判気味に私は言った。
「IS」は確かに初心者であろうとある程度の基本を覚えれば、なんとかなるものだ。
実際、私が更識と同じ立場ならば、一週間後に模擬戦をやらせただろう。
「IS」の操縦は慣れるより慣れろを行くからだ。
だが、更識は一週間どころか昨日本格的な運用を行ったばかりの雪風にいきなり模擬戦をやらせると主張したのだ。
それはいくらなんでも私でさえ、無茶苦茶だと思えてしまった。
「織斑先生、今回ばかりは誰が何と言おうと決定を変えるつもりはありません」
そんな私の言葉を更識は断固として聞き容れるつもりもなかった。
「……それほどまでの理由があるのか?」
更識が根拠も確証もなしに今回のような無謀なことを提案することなどないとは思うが私は訝しんだ。
「織斑先生。
私も最初は早計だと思えましたが、雪風さんの昨日の様子を見ますとお嬢様の判断も間違いではないと
更識に対して懐疑的に思っていると更識の付き人とも言える布仏が彼女のフォローに入ってきた。
「……それほどのものなのか?」
普段、暴走しがちな更識を止める役割を担っている布仏までもが肯定したことで私は耳を傾けた。
「学園最強」と謳われる更識が意味もなくに模擬戦を行うと言い出すとは思えないが、さすがに更識の判断だけで決めるのは浅慮だ。
しかし、何かと更識の抑え役を買っている布仏も更識ほど乗り気ではないが、今回の模擬戦に対して言っての理解を示していることから無下にはできない。
「はい。
彼女は基礎の訓練内で教えてもいないのに応用ができていました」
「……なに?」
布仏の語った雪風の訓練における様子に私は驚きを隠せなかった。
「それだけじゃありません。
不慣れな「飛行操縦」で、しかも、暴走時における回避すらも彼女は自分で思いついて対処しました」
「なっ!?暴走!?それに自分でだと!?」
布仏のさらなる報告に私は雪風が暴走したことも驚いたが、それ以上に雪風の適応力に驚いた。
確かに雪風は彼女の言葉を聞く限りは「IS」と似た「艤装」なる武装を纏って戦っていたらしいが、初運用でそこまでやれると思っていなかった。
今まで私が見てきた中でそこまでのことができたのは考える限りでは二人しかない。
「………………」
「では、織斑先生。
先に待ってます」
「失礼します」
私が言葉を止めると更識は布仏を伴って先に行ってしまった。
私は彼女たちが明かした雪風の実力の側面にしばらく佇んだ。
「雪風ちゃん、お待たせ♪」
「雪風さん、お待たせしました」
「更識さん、それに布仏さん」
更識さんと布仏さんの到着に緊張気味であったこともあり、一瞬躊躇いを帯びた声をあげそうになったがそれを飲み込んで彼女たちに向き合った。
「あの……更識さん、本当に今日、模擬戦をするんですか?」
一縷の望みを以て私が彼女に確認しようとすると
「そうよ」
相も変わらずにこやかに彼女は決定を変えるつもりはないことをたった三文字で叩きつけてきた。
後方を見ると、布仏さんがどこか申し訳なさと同情と『どうか頑張ってくださいね』と言いたげな感情が入り混じった顔をしていた。
「はあ……」
腹を括るしかありませんか……
彼女らの反応を見ていよいよ、模擬戦が避けられないことを確認して私は覚悟を決めようと思った。
なぜ更識さんがそこまで頑なにこの決定を覆そうとせず、模擬戦を推すのか納得がいかないが。
また、彼女の抑え役とも思える布仏さんまで止めようとしないかのは解らないけれど。
「雪風」
そんな二人のやり取りを終えて不満はあるが模擬戦の心構えをしようとしていると意外な人物の声が聞こえた。
「あれ?織斑さ―――じゃなくて、先生?
どうしてここにいるんですか?」
私は思わず、学園内にも関わらずに「~さん」付けになりそうだったのをすぐに「先生」呼びに直しながら、彼女がここにいる理由を訊ねた。
「織斑先生には今回の模擬戦における見届け人をしてもらおうと思ってね」
その疑問に答えのは更識さんだ。
「そうなんですか?」
「ああ、そうだ……」
私が織斑さんにも確認すると織斑さんは否定しなかったが
「なあ、雪風……」
その後に重たげに口を開いてきた。
「なんでしょうか?」
私が反応すると彼女は
「……本当に今日、模擬戦をしても大丈夫なのか?」
「……え?」
どこか私のことを気にかけるような表情を見せながら彼女は訊いてきた。
「ええ……まあ……大丈夫ですが……」
意外な彼女の言葉に私は戸惑いを覚えた。
熟練者であろう更識さんは早くも私に模擬戦をやらせようとしているが、その彼女よりも「IS」に精通しているであろう「世界最強」と言われる織斑さんは今回の模擬戦に対しては乗り気ではないようだ。
「織斑先生。
雪風ちゃんの訓練のことに関しては全て私たちに委任してくれたのではありませんか?」
織斑さんのその問いに対して、更識さんが少し低いトーンで反応した。
これはまるで、司令と上層部とのやり取りのようだ。
「……確かにお前には雪風のことを任せた。
だが、いくらなんでも二日目……いや、正確には一日半しか訓練をしていないのに模擬戦をやらせるのは早計だ」
あ、やっぱり……早すぎですよね?
そんな更識さんの主張に対して、一歩も譲らないつもりで織斑さんは今回の模擬戦に対しての反対の意思をぶつけた。
「意外ですね。
あなたのことですから、仮に自分の弟が模擬戦をやるとなると問答無用で強行すると思いましたよ」
弟……織斑一夏さんですか……
更識さんはそれに対してかなり失礼な物言いをしてきた。
「よく解ってるな。実際、私は今回のような場合だったらあいつに対して前もって最低限の期限しか与えないつもりだ」
そんな失礼な物言いに対して眉一つ顰めずに織斑さんは自分の弟に対してもかなり厳しく、いや、むしろ弟だからこそ厳しく接するのだろうが、そのつもりらしい。
どうやら彼女は神通さんほどじゃないがかなりの鬼教官らしい。
「だが、雪風とあいつとでは決定的に異なることがあるぞ、更識」
しかし、そんな彼女にも例外があるらしい。
「……それは?」
織斑さんの発言が意外だったらしいのか、更識さんは不思議そうな表情でその理由を訊いた。
すると織斑さんはどこか溜息を漏らすように
「……雪風の場合はなんとなくだが、自主的に特訓をするだろうし猛特訓に対する打ち込み方も相当なものだと思うが、私の弟の場合は自分の置かれている状況に気づけば安心できるが、あいつはそれを自覚するまでが本当に時間がかかる。
後ろから尻を蹴り上げるようにしないとまず気づかん。だから、そう言ったことを自覚させることも含めてそう言ったプレッシャーをかける必要があるからそういったことをやらせる必要があるのだ」
「「「………………」」」
そう言った。
織斑さんの肉親に対する辛辣で容赦のない評価に対して、私たちはどう反応すればいいか困ってしまった。
ここで否定しようにも恐らくだが、私はもちろんとして、更識さんと布仏さんも資料でしか彼のことを知らないことから人柄については何とも言えないし、肯定しようにもそれは人格否定にもなるからかなりの失礼に値するのでそれはもっと無理だ。
「だが、雪風には無理に模擬戦をやらせずとも継続力はあるだろうし、しばらくは様子見を兼ねて訓練だけで十分だと思っているのだ」
織斑さんは続けて私の評価を下した。
それはかなり的を射ていた。
実際、私自身も神通さん仕込みの特訓に日々の影響で鍛えないと逆に落ち着かなくなっている。
おかげで中華民国時代に『頼むから、休め!!お前が休まないと他の駆逐艦も休めないから!!』と上官から止められて渋々と休んだこともあったが。
そんな私が訓練に妥協することなど自分でもあり得ないと思っている。
だけど
「……確かに私も雪風ちゃんの性格ならそれでも大丈夫だと思います。
けれど、私は雪風ちゃんには模擬戦をやらせる方針がなおいいと思っての判断を下しました」
……更識さん。
織斑さんの理に適っている慎重論を聞かされても更識さんは自らの主張を曲げようとせずに毅然と主張した。
そんな更識さんの姿勢に対して
「だが、何度でも言う……いくらなんでも―――」
「模擬戦をやらせてください」
「何……?」
心を動かされたのか解らないが、私は自らの意思で模擬戦を行うことを露わにした。
「雪風、正気なのか……?」
私の発言に対して、織斑さんは戸惑いながら確認してきた。
それに対して、私は彼女に心配をかけないように笑顔で
「はい、大丈夫です!」
とそう言った。
「……だが」
それでも織斑さんは引き下がらずに私のことを案じている。
私はそのことをありがたく感じながらも
「……私は更識さんのことを認めました。
だったら、最後まで信じるつもりです。
そうしなかったら、「駆逐艦」の名折れです」
「駆逐艦の誇り」を口に出して納得させようとした。
「「駆逐艦」の……名折れだと?」
私の口に出した言葉にこの場にいる私以外の全員が私に視線を向けた。
「「駆逐艦」は一度信じた仲間や上官を最後まで信じることを「誇り」としています。
だから、私は一度でも認めた更識さんがこうまで主張するのならば、私も信じるまでです」
「雪風ちゃん……」
「雪風さん……」
「駆逐艦」は最も死亡率の高い「艦娘」だ。
しかし、だからと言って、私たちはそんなことでふてくされるつもりも腐るつもりない。
そんなことをしているぐらいなら生きる努力に力を費やした方がマシだからだ。
また、他の艦種や人間の軍人すらも私たちのことを消耗品のように扱うことなど決してない。
だから、私たちは「駆逐艦」同士で互いに固い結束を築き、直属の上司である軽巡や提督たちに対しても全幅の信頼を置く。
そして、必ず仲間が助けに来ることや見捨てないことを知っているからこそ、私たちは全力で戦える。
それこそが「駆逐艦の誇り」だ。
それが時に自分たちを苦しめることに繋がろうと私たちはその信念だけは捨てない。
私はただそれだけを目の前の織斑さんにぶつけた。
「……何を言っても……曲げるつもりはないのか?」
私の意思を理解すると織斑さんは少し諦め気味に改めて訊ねた。
「はい!それに―――」
私は織斑さんを安心させるために少し嘘を混ぜながらも
「雪風は沈みませんから!!」
一番、私が言うと誰もが安心できるであろう発言でそう断言した。
「ぷっ……なんだ、それは……」
それを聞くと織斑さんは呆れながらも
「……解った。
だけど、無理はするなよ?」
と苦笑しながらも模擬戦を行うことを認めてくれた。
「はい!ありがとうございます!」
自分の信念を曲げないですんだことと更識さんの信頼に応えることができたことに感謝の意を織斑さんに伝えた。
「雪風ちゃん、ありがとうね」
私は通信を使って先ほどの雪風ちゃんの言葉に感謝を伝えた。
「いえ……まあ、確かに私はあなたを信頼はしてはいますが。
今回の模擬戦に関しては納得はしてはいませんよ」
「あら?手厳しいのね」
雪風ちゃんは私の判断に対して全面的に肯定したつもりはないらしい。
どうやら、信頼と信用は別の扱いらしい。
「ですが……
一度認めたあなたがああまで教師である織斑先生に楯突いたんですから、
それに応えなかったり信じないわけにはいかないでしょう」
だが、それでも私のことを信用してくれたのだ。もしかすると模擬戦を避けられたにもかかわらずにも
ここまで言われるといささか恥ずかしいものだが
「駆逐艦の誇り」か……
なぜか嬉しかった。
彼女のその言葉はなんて重いものなのだろうか。
「二人とも、用意はできたか?」
やり取りを続けるうちにいつの間にか、模擬戦の開始時間になったらしい。
「「はい」」
私と雪風ちゃんは同時に応えると互いに構えた。
「……わかった。
では、模擬戦を開始する!!」
開始の合図が流れた直後、私は即座に空中に浮かぼうとするが
―ズドン!ー
それよりも先に開戦の号砲とも言える爆音が響き渡ると共に戦いの火蓋が切られた。
―ドゴーン!ー
先ずは牽制……!!
開始の合図を聞き終えた私は挨拶代わりに右腕の単装砲から一発の弾丸を撃ち込み、さらなる追撃を試みた。
「ハイパーセンサー」の補正と今までの経験からくる慣れからとりあえず、初弾は至近弾、あわよくば直撃したはずだが
「……!」
―ズドドドドドドドドドドド!!ー
「ちっ……!」
更識さんは今ので怯むことなくどうやら機関銃らしき武装を使って応戦してきた。
水のヴェールですか……
普通ならば至近弾ないしは直撃していたであろう砲撃を受けながらも彼女が怯むことなく反撃してきたのは、彼女は私の放った一撃を避けたのではなく、水の障壁を即座に一点だけに集中して形成したからなのだろう。
これは……遠距離からの攻撃は意味がないですね。
遠距離からの攻撃ではどうしても単発になり連撃することができず彼女に対応されて全て防がれるのが関の山だ。
これではあちらが一日の長がある空中戦に持ち込まれて手詰まりになる
だったら、私のすることは決まっている。
「第二水雷戦隊所属、陽炎型駆逐艦、雪風!!
突撃します!!」
私はそう言って、急加速した。
遠距離が無理なら「二水戦」で培った「水雷魂」と「駆逐艦魂」を見せるだけだ。
……陽炎型の新規きたあああああああああああああああああああああああああああああ
ようやく、黒潮の僚艦来たよ……どれだけ長かったことか……