奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
「山田さん、今回の作戦で旗艦を務める扶桑です。
今日はよろしくお願いします」
「は、はい!
よろしくお願いします!!」
提督役を務めることになったことを理解してもらった山田さんに対して、改めて旗艦を務める扶桑さんが彼女に挨拶をした。
山田さんは最早、緊張や不安などが全て限界を超えて、やはり、声が裏返っている。
多分、ここら辺は慣れませんよね……
それを見て私は山田さんのこの一面は直らないと感じた。
それでも経験を積んでいけば、実力は本物になっていくという確信はあるので気にしない方針でいくべきだろう。
「そんなに畏まらなくて大丈夫です。
それよりも今回、作戦に参加する娘たちのことを改めて紹介させていただきます」
「は、はい」
扶桑さんは山田さんに今回の作戦で参加する面々の紹介をしていくと伝えた。
一応、軽いものは全員でしたが、それでも、そこまで親睦を深めたという訳ではないので改めてした方がいいと判断したのだ。
特に艦娘に関しては一人一人戦い方が異なるうえに、何よりも提督には名前と顔を覚えていて欲しいものだ。
それだけでやる気が違ってくる。
「じゃあ、みんな。
挨拶を」
「……ええ。
先ずは私から。山田さん、改めて自己紹介をするわ。
加賀よ、よろしくお願いします」
「は、はい!
加賀さんには助けていただきましたので!!」
「……いえ、そんなに畏まらなくても……」
最初に挨拶をしたのは加賀さんだった。
と言っても、加賀さんは金剛さんと並んで、山田さんを含めたこちら側の人と話すことがある為、自己紹介の必要は特段ないだろう。
ただ、深海棲艦に追い詰められていた山田さんを助けたのは加賀さんであることから山田さんは彼女に頭が上がらない様だった。
「翔鶴。このままじゃ、何時までも続きそうよ。
あなたにお願いするわ」
「はい!
山田さん、私は翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴です。
よろしくお願いします」
「翔鶴……さんですか……
はい。よろしくお願いします」
「……?はい」
山田さんの少し妙な反応に翔鶴さんは首を傾げた。
それは恐らく、あの瑞鶴さんの姉ということで驚いているのだろう。
この世界では帝国海軍で最も活躍した艦は金剛さんと瑞鶴さんのどちらかと言われているらしい。
南雲機動部隊が伝説的な印象が強いが、当時五航戦であった二人もそれに劣らないはずだ。
葛城さんの気持ちですね……
思えば、葛城さんがあそこまで瑞鶴さんを尊敬していたのはある意味、私が神通さんを尊敬していたのと同じだ。
実際にその活躍を見ていればその姿は心に刻まれるだろう。
「次は鳥海」
「はい。鳥海です。よろしくです」
「鳥海さんですか……
私と同じで眼鏡をかけているんですね」
「はい。
あの、山田さん……
山田さんの下の名前って……「まや」何ですか?」
「え?」
『!?』
鳥海さんのその質問に全員が強い反応を示した。
「……あ!?」
しばらくして、山田さんも鳥海さんの質問の意味が分かった様子だった。
山田さんの下の名前は「真耶」。
そして、鳥海さんの姉の名前は「摩耶」。
読みが同じなのだ。
そのことで色々と気になってしまったらしい。
「す、すみません!」
「え?」
いきなり山田さんは頭を下げて謝りだした。
「お姉さんと同じ名前ですみません!!
えっと、ややこしくすみません!!
で、ですが、この名前は両親からもらった名前ですのでその……
本当にすみません!!」
「や、山田さん……」
山田さんの謝罪の連続が始まった。
どうやら彼女なりに摩耶さんがどうなったのかを考えて、そして、鳥海さんがそれを気にしていると察して申し訳なさを感じてしまったらしい。
ただ、名前が同じだからと言って謝られても鳥海さんも困ると思う。
「ぷっ……!」
「……?」
そんな山田さんの謝罪の嵐を目にして鳥海さんは噴出した。
「クスス……大丈夫です、山田さん」
「え?」
少し笑いながら山田さんに気にしていないことを告げた。
「同じ「まや」でも……全然、違うんですね」
「?」
鳥海さんは少しおかしそうに言った。
確かに同じ名前でも山田さんと摩耶さんとでは性格も違う。
そう考えると奇妙なものだ。
「すみません、ありがとうございます。
今ので少しだけ頑張れます」
「えっと……どういたしまして……?」
鳥海さんは姉のことを思い出せたことを感謝した。
思い出というものの切なさと幸せ。
その二つを思い出せるものかもしれない。
「じゃあ、次は朝潮」
「はい!朝潮型駆逐艦一番艦、朝潮です!
よろしくお願いします!」
「はい!よろしくお願いします!」
朝潮ちゃんの番になり朝潮ちゃんらしい確りとした礼儀正しい自己紹介に山田さんは一瞬、驚くも直ぐに慣れた。
……実際、私の代わりに朝潮ちゃんが先に来ていたらどうなっていたんでしょう?
私はもし私ではなく朝潮ちゃんが先に来ていたらという想像をしてしまった。
とりあえず、最初のセシリアさんとの喧嘩は……
殆ど同じですね
朝潮ちゃんの場合は恐らくだけれども私と同じ行動をしていただろう。
断じ方も少し丁寧さは朝潮ちゃんの方が上だけれども、全く同じことを言っているだろう。
ただ一夏さんへの『腰抜け』発言はなかっただろう。
霞ちゃんか満潮ちゃんだったら……
即座に殴り合いになってましたね
ただ朝潮ちゃんだったらいいが、妹二人ならばその場で殴り合い勃発確定だ。
それしか想像できない。
でも……鈴さんとは合わなそうですね
朝潮ちゃんと鈴さんは性格が合わないかもしれない。
朝潮ちゃんはお姉さんとしてならばその気真面目さが上手く他の勝気な相手に通用するが、陽炎姉さんよりも自由人な鈴さんと同級生という点では衝突しかねない。
陽炎姉さんが凄過ぎるだけなんですよね……
思えば、陽炎姉さんは堅過ぎず、自由過ぎなかった。
その癖、どんな相手とでもすぐに仲良くなれる。
本当に天性の人たらしだ。
「じゃあ、最後に皐月」
「うん!
皐月だよ!よろしくね!
頑張るよ!」
「げ、元気なこですね~」
「えへへ、そうかな?」
「皐月……!って、あなたの場合は無理ですね」
「ごめん、ごめん」
皐月ちゃんのどんな相手やどんな時でも気さくな態度に朝潮ちゃんは少し、提督(役ではあるが)と艦娘との最初の挨拶でも出てきたことに注したが、しかし、皐月ちゃんにそれは無理だろうと考えて気にしない方向でいった。
皐月ちゃんなら、多分「IS学園」で色々とやらかしたところを波風立てずに済んだでしょうね……!
その姿を見て私はそう感じた。
間違いなく、皐月ちゃんなら数々の私が直面してきた「IS学園」での出来事をなるべく穏便に済ませてそうだ。
それでも戦うことにはなるでしょうが……
いえ、それでもセシリアさんとの戦いから鈴さんまでは目立たないでしょうね……
恐らく、何だかんだで巻き込まれるには巻き込まれるが、そこまで荒立てはしないだろう。
するとしてもあの「無人機」やラウラさんの時ぐらいだろう。
彼女はそう言った娘だ。
真っ直ぐだけれども何処までも朗らかだ。
彼女ならばそう言ったことが出来る。
「皆さん、改めて見ますと個性的ですね」
山田さんはそう言った。
間違いなくそうだろう。
艦娘の私から見ても艦娘の娘たちはみんな個性的だ。
「それじゃあ、最後に阿武隈。
お願いね」
「は、はい!
よろしくお願いします、山田さん!」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
最後に山田さんの補佐を担当してもらう阿武隈さんの挨拶だった。
……やっぱり、似ていますね。この二人
改めて、私は二人の気質が似ていると思った。
二人とも妙にあがりやすいのはよく似ている。
でも、それも考慮して選んでもいるんですよね……
しかし、だからこそ私は山田さんに似ている阿武隈さんを選んだ。
きっと後でその効果も出てくるだろう。
「それでは、皆。
出撃の準備に入るわよ」
「えぇ」
「「「「はい!」」」」
「……うぅ」
最後に扶桑さんが締めて顔合わせが終わった。
これから長い戦いの始まりとなる小さな戦いが始まっていくことになる。