奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
本当にすいません。
……中々、やるじゃない
雪風ちゃんの初弾を水のヴェールで受け止めながら私は接近してくる彼女にガトリングで応戦した。
これである程度の時間稼ぎにはなるだろう。
今、飛んだらいい的になるわね……
最初に雪風ちゃんの一撃を受けて理解できたのは彼女相手に少しでも隙を見せたら確実に距離を詰められた挙句、そのまま至近距離からの猛攻を受けるのは火を見るよりも明らかであることだ。
彼女はあの距離でしかも一発目という中で確実に直撃していた射撃を行ったのだ。
それぐらいのことは容易いだろう。
つまりは空を飛ぼうとした瞬間にそれこそ狙い撃ちにされる。
なら……!そっちの舞台に乗ってあげるわ……!
あえて彼女が得意とするであろうヒット&アウェイ戦術を行いやすい近距離に誘い込んでからこちらの土俵である白兵戦に持っていく、
「第二水雷戦隊所属、陽炎型駆逐艦、雪風!!
突撃します!!」
そして、彼女が高速で近づいて来るのを確認すると
だけど……出演料は高いわよ……!!
彼女を迎え撃つために「蒼流旋」をしっかりと握りしめて「あの人」ともう一度戦う時のために用意した戦術を覚悟を決めて向かい合った。
「両者とも接近戦に持ち込むつもりか……」
開始直後に雪風の初撃を更識が水のヴェールのピンポイント展開で防ぐと言う初戦を終えた後、前者は加速しての接近を後者はランスを構え出した。
雪風は左右双方の砲門からなる連撃で水のヴェールのピンポイント展開すら許さないほどの連続攻撃のために、更識はあえて雪風を接近させてその後に自分の土俵である白兵戦に持っていき隙を見て雪風が慣れていない空中戦に持ち込むつもりなのだろう。
「しかし……最初の雪風さんの射撃には驚きました……」
布仏は一連の攻防を見た後に強い印象を受けたのか、雪風の最初の射撃に対してそう言った。
「ああ……確かにな……」
私もそれについて同感だった。
雪風の最初の射撃は開始直後の初弾にも関わらず早かった。
しかも、ただ早いだけではない。
確実に
何と言う正確さだ。
「恐ろしいことに……あれだけで更識の飛行を封じたな……」
更識が空中戦に持ち込まないのは
雪風はあの距離で当てたうえに今は距離を詰めている。次は正確さや相対的な弾速が増し、さらにはそこに数まで加わる。
そんな状態で無理矢理に飛行などすれば、目も当てられないことになる。
だから、更識は空中戦に持ち込もうとしないのだ。
雪風は最初の一手で更識の手をいくつか潰したのだ。
「しかも……更識に単発での攻撃が効かないと知るとすぐに接近戦を挑むとはな……」
そして、雪風は自分の攻撃が通用しないと理解すると即座に遠距離からの攻撃と言う白兵戦から中距離戦を得意とする更識に対しての一定のアドバンテージをかなぐり捨ててまでも攻勢に出た。
このことから高い状況判断能力と判断力、さらには度胸までもを兼ね備えているのが解る。
あの早撃ちに判断力に勇猛さ。
「まさに……「天才」と「天才」の戦いだな……」
お互いに相手の手の内を探りながらも決して、目の前のことから目を離さない。
更識と雪風、私は二人の戦いを見てそう呟いた。
「槍」ですか……これは気をつけないといけませんね……
更識さんは私が一撃―――いや、連撃離脱の戦いをしようと急接近しようとしていることに気づくと西洋の馬上槍に似た水の槍を構えてきた。
これはかなり厄介だ。
槍は刀や剣と同じ白兵戦用の武器ではあるが、その二つになくて槍にはあるものがある。
それは長さだ。
槍は刀や剣と異なり、白兵戦だけでなく近距離戦にも対応し、使い方次第では中距離戦にも対応する。
そして、相手に心理的圧迫を与える。
そもそも、刀や剣を使う「居合」においても『居合は鞘の内あり』と言う格言あるように武器において重要なのは「間合い」だ。
射撃戦に慣れているとうっかりと忘れがちだが、私たちの砲撃だって「射程」と言う「間合い」がある。
つまりは刀や剣相手でも警戒しなくてはいけない「間合い」がさらに広いのが槍なのだ。
その槍が相手となるとさらなる警戒が必要となる。
……槍相手には
あちらが槍を構えてくるのならばこちらも
多くの人々から「
速度を緩めない……?
速度を変えないまま突っ込んでくる雪風ちゃんの様子を見て私は訝しんだ。
私が「蒼流旋」を構えたことで雪風ちゃんが不用意に近づかないと私は予測していた。
言っておくが、それは雪風ちゃんが怯むと言う意味で言ってるのではない。
雪風ちゃんほどの相手だ。
「間合い」と言うものの重要さを理解していないはずがない。
私が彼女に信頼されているように私もまた彼女を信頼しているのだ。
だが、その彼女に全く減速する姿勢が見受けられない。
一体何を……
彼女の狙いが見当もつかない。
まさか、模擬戦が始まってからたったこれだけの時間でここまでの読み合いをするとは思いもしていなかった。
戦いと言うものはただがむしゃらにドンパチやチャンバラをするだけのものではない。
如何にして、相手よりも先に主導権を握り、その主導権を相手に奪い返されないかをすることなのだ。
だけど、このまま一気に抜けられたらそれこそドツボにはまるわね……
私は彼女が何を考えているのかは解らない。
しかし、ここで抜けられたら彼女は射撃を間髪なく入れてくるだろう。
だったら、こちら側からも近づいて彼女を迎撃することの方がいいだろう。
よし、いくわよ……!!
彼女が私の「蒼流旋」の間合いに入りかけたと同時に私は溜めていた「シールドエネルギー」を開放して
―プシュ!ー
「!?」
だが、エネルギーを解放した瞬間、雪風ちゃんの脇腹から何かが放たれ、私の目前に迫ってきた。
「これは……!?」
―ドゴォン!!ー
それは炸裂し爆炎をまき散らし轟音を鳴らした。
この戦いにおける最初の有効打。
それは雪風ちゃんにあがった。
徹底海峡か次発装填を聴きながら戦闘を書いてますが、やはり燃えてきます。