奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
話の内容よりもサブタイトルが(ネーミングセンスナッシングの悩み)!!
「なっ……!?あれは……!?」
雪風が行った戦術に私は衝撃を受けて目を大きく見開いた。
「織斑先生……あの戦術は……」
布仏も
「ああ……紛れもない……あれは「逆落とし」だ……」
「逆落とし」。
それは「IS」の戦術の一つだ。
「逆落とし」は相手に急接近した後に十分間合いを詰めた後にロケット弾などの飛行武装を相手に叩き込むものだ。
「逆落とし」の最大の利点は間合いを詰めることで元々高速を誇るロケット弾等の飛行武装をほぼ確実に相手に与えるところにある。
その威力と必中からまさに最強の突撃戦術と言われても過言ではないものだ。
だが、欠点としては相手が射撃を主とする「IS」の場合は間合いに入る前に「シールドエネルギー」が削られてしまうことやロケット弾を撃ち落とされたり外してしまえば無防備に陥ってしまうところもあり非常に博打的な戦術でもあるのだ。
……更識がランスを構えた瞬間に
雪風は更識の得物である「槍」の特性を逆に利用して自らの秘策を成功させたのだ。
見たところ、白兵戦には不向きな機体と思わせながらもそれすらも逆にしたのだ。
……川神との戦いを思い出す。
私には「逆落とし」を最初に世界で見せつけた人間とほぼ正確無比の「逆落とし」を見せつけた雪風が重なって見えた。
お前は本当に……戦いの中で生きて来たんだな……
あれを「IS」でも使える技術を学ぶことになった雪風の過去を理解しどこか胸が痛む気がした。
そして、同時に彼女にはせめてこの歪んでいるとは言え「戦争」がない平和な世界で平穏に生きて欲しいとも思ってしまった。
「ぐっ……!まさか、「逆落とし」を仕掛けてくるなんて……!」
私は雪風ちゃんに先に一本を取られたことに少し悔しさを言葉にして吐き出して気持ちの切り替えに入った。
―ズドーン!ー
「ちっ……!」
―ドゴォン!!ー
容赦のない追撃を今度は回避しながら私は体勢を立て直した。
私が悔しさを感じているのは『先手を取られたこと』に対してではない。
『逆落としの直撃を受けてしまったこと』に対してだ。
『初見殺し?相手が予想もつかない攻撃をしてくるのは当たり前です。
あなたは相手がお情けで初撃を外してくれると思っているのですか?
もしこれが
かつて私に「逆落とし」を何度もお見舞いした、たった一週間だけの鬼教官の容赦のない言葉による追い打ちを思い出して私は唇を噛み締めて心を奮い立てた。
これじゃあ……川神さんに笑われる……いや、しごかれるわね……!!
私は「IS初心者」である雪風ちゃんが「逆落とし」をして来るとは思わなかったと言う驕りを抱いていたのだ。
それが今の失敗の根本的な原因だ。
だが、今度は同じような失敗をするつもりはない。
これでようやく雪風ちゃんの専用機「初霜」の「高速射撃型」と言う意味が理解できた。
そして、再度突撃してきた雪風ちゃんに対して
「やっぱり……あなたはすごいわね……雪風ちゃん……」
私みたいな戦争もしたこともない人間が言うと失礼なのかもしれないが、私はそれでも敬意と感謝の気持ちを込めて対峙した。
立ち直りが早い……!やはり、更識さん、あなたはすごいです……!
私は先ほどの「先制」、「直撃」と言った誰もが自分が受けたらへこむであろう諸々の要素にぶつかりながらも戦意が挫けない彼女の姿を見て改めて敬意を感じた。
二発目の「逆落とし」……通用しませんね……
彼女の立ち直りの早さから私は現在進行系で用意している二発目の「逆落とし」が通用するとは思わなかった。
必ず、
なら……!!
それでも速度を落とさずに二発目の「逆落とし」を断行した。
元々、空中戦に持ち込まないための連続攻撃だ。
隙を与えた時点で敗北は必至となる。
だから、攻撃に重ねた攻撃しかない。
そうしなければ負けるのだから。
「魚雷発射……!!」
私は二度目の「逆落とし」を放った。
そして、彼女の反撃に備えて左腕の連装を構えて、比較的自由が利く単装砲を連撃及び迎撃のために右肩に力を抜いて自由にさせた。
しかし、次の瞬間
―ドゴォン!ー
「なっ……!?」
私の予想したよりも手前で魚雷が起爆した。
そして、それが暴発などではないことを理解させられることになる。
―ズドドドドドドドドドドド!ー
「くっ……!」
―ズドン!ー
―バシャー
―ドゴン!ー
爆炎が晴れるよりも先に更識さんが私に反撃を試みようと突撃しながら私の連装砲による迎撃を水のヴェールで防いだ。
そして、彼女が私の「逆落とし」を如何にして捌いたのか理解が追いついた。
ぐっ……まさか、魚雷を槍で弾くとは抜かりました……!
彼女は私の魚雷を槍で薙ぎ払ったのだ。
私のいた世界では「魚雷」は海中を高速で移動する兵器でありそれを防ぐには避けるしか手段がない。
だが、この世界では撃ち落としたり叩き落すなどの多くの手段が存在するのだ。
情けない……!これでは「二水戦」の名折れです……!
水上から空中へ。
戦いの舞台がそうなったのだからこれぐらいのことは予測できることのはずだ。
「二水戦」の名を冠しながらもこの醜態。
ですが……!
悔しさと高揚感と言う一見矛盾した関係の感情を抱きながらも私は
―バシュ!ー
―バシュ!ー
「これはどうです……!!」
「……っ!?」
水雷戦隊の十八番である「釣る瓶打ち」を放った。
中段に一発と下段に一発による連続雷撃。
槍で最初の一発を弾けば硝煙で視界が曇り後発が直撃し、初発が直撃すればそれこそ悪手。
そんな危機に直面した彼女が取る手段は一つしかない。
私は彼女を逃がさまいと左腕を構えた。
二発……!?
全速前進で彼女との距離を詰めながら、今まで単発だったロケット弾を予測もしていなかった二段攻撃を目の前にして、私は限られた手段に乗せられることになった。
恐らく、私が今やろうとしていることは彼女の狙い通りなのであろうが。
……こうなれば、一か八かよ!
私は「賭け」に出るために速度を保ち続けた。
そして、そのまま
―シュン!ー
離陸して雪風ちゃんの
奇しくもこれは雪風ちゃんが昨日行った『前に道がないのなら上に進めばいい』と言う回避法と類似している。
―ドゴン!ー
―ドーン!ー
―ドゴン!ー
―ドーン!ー
「ぐっ……!?」
やっぱり……そう来るわよね……!
そんな私の行動をやはり予見していたのか如く、雪風ちゃんは跳び上がった私に狙いを定めて、左腕の二連装の大砲による攻撃を加えてきて一発目の弾丸は辛うじて防げたが、二発目が直撃し大幅に私の「シールドエネルギー」を削った。
だけど……!
だが、私はそれも予測の範囲内であったことからそれでも上昇しながら前進した。
そして、
もらった……!!
私は雪風ちゃんを飛び越えると言うやり方で空中に踊り出ることに成功しそのまま彼女に背後から一突きを加えようとした。
だが、
「……流石ですね」
「……!?」
雪風ちゃんのその一言でそれが彼女の計算の内であることに私は瞬時に理解させられた。
―ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!―
「がっ……!?」
「……対空は私よりも
それはまさに対空砲火と言えるものであった。
背面に……機関銃……!?
彼女の背中及びに肩部に突如として現れた左右の肩に一つずつで二門、背部ユニットの左右部に一つずつで二門、そして、中央部に一門で計五門の機関銃。
それらが一斉に火を噴いて一気に銃撃が私に降り注ぎヴェールを貫き、至近距離からの銃撃によって「絶対防御」が発生し私の「シールドエネルギー」を致命的にまで削る。
彼女はこれを狙っていたのだ。
その銃撃の雨から逃げ出そうとした瞬間
―ガチャ!ー
「……次発装填!」
それを雷雨にするかのように雪風ちゃんが振り返り、あの雷撃とも言えるロケット弾を叩きこもうとした。
これでこの戦いの「王手」が決まった。
「……一か八かだったけれど」
―バシュ!ー
そうそれは
「どうやら「賭け」は……
―ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォン!!ー
私の「逆王手」によるものだが。
「ぐ……!?一体、何が……!?」
突如、私の放った魚雷が謎の起爆を引き起こし、さらには魚雷による爆発だけでない爆風と爆炎も加わりそれを至近距離で受けた私は体勢を崩してしまった。
そして、
「たあっ!」
「しまっ―――!?」
それを更識さんが見逃すはずがなく、気迫を込めた一撃をもろに受け、私の「シールドエネルギー」が削れ爆風で削れた分も合わさり勝負が決まった。
呆気ないですがこれで模擬戦に決着がつきました。
鉄底海峡をbgmにしながらだとはかどります。
ようやく、次の話で導入部が終わって原作入りに……
原作ファンのみなさん、お待たせしました。
あと、次発装填装置て艦これ的にどんな感じなんでしょうね?
やっぱり、カートリッジ的なものなのでしょうか?
アニメだと二水戦に所属しているのが神通さんしか出てませんし、デザインに出ている初霜改二が出ませんですし、神通さんも改二じゃありませんし……
と言うことで自分なりに解釈してみました。