奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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第60話「優れたる将」

 山田さんに『私の指揮を見てください』なんて、重ねて言うのは逆効果ですね

 

 この海域の完全な解放を求めて金剛さんたちを率いて行う作戦に対して、私は山田さんが心の休息を得るのと同時に見ることで私の技を盗むことを期待している。

 しかし、だからと言って、安易に長年の経験者である私が彼女にそう言うのは大きな誤りだろう。

 それは駆け出しの画家に既に何年も描き続けたことで技術を会得した人間が『これぐらいの絵も描けないのでは諦めろ』と言うのも同然だ。

 そんなことを言われれば、言われた側は自らの技術とその言った本人との力量を嫌でも比較してしまい、下手をすれば追い込められる。

 特に山田さんは今まで神通さんや千冬さんといった規格外の人間を見てきて自分を卑下してきた前例がある。

 十分、その点は考慮すべきことだ。

 

「雪風さん……その……」

 

 しばらく、黙っている私に対して山田さんは少し申し訳なさを感じて声を掛けていた。

 どうやらあれだけ言われても自分が何もしないでいることに後ろめたさを抱いてしまっているらしい。

 律儀な彼女らしい。

 

「……山田さん。

 大丈夫です。

 あなたのお陰で十分、戦えます」

 

「え」

 

 しかし、これだけは言わなくてはならないだろう。

 

「あなたが昨日の作戦で本隊を叩いてくれたお陰で今、戦う相手は弱小化しています。

 これなら直ぐに終わります」

 

 それは山田さんのお陰で今回の作戦が比較的に安全にこなせるという事だった。

 彼女の指揮は的確だった。

 それ故に敵の中枢まで辿り着き、加えて、敵の戦力をここまで減らしてくれる。

 既に山田さんの指揮官としての仕事は十分に全うされているのだ。

 何よりも戦う相手が弱いという事はこちらの被害は圧倒的に低くなるということだ。

 

「ありがとうございます」

 

「雪風さん」

 

 だから、一々、他人に見劣りすることを気に病む必要などないのだ。

 そもそもこういってはどうかと思うが、私は生まれて二十五年近く戦い続けたのだ。

 そんな私と昨日、指揮官を任されたばかりの山田さんを比べること自体がおかしいのだ。

 

 ……むしろ、総旗艦着任直後にやらかした私よりも山田さんの方が出だしは成功しているんですよね……

 

 思えば、私に至っては張り切り過ぎて旗下の艦娘に私にとっての当たり前の訓練を課して全員、疲労させてしまっている。

 そんな私と比べれば、山田さんの方が謙虚で素晴らしい指揮官だと思われる。

 

『ユッキー!』

 

 私が内心で山田さんの方が優れていることを考えていると金剛さんが呼びかけてきた。

 

 来ましたか……!

 

「敵の艦種と数は?」

 

 私は直ぐに敵の数と艦種を訊ねた。

 

『イ級二隻ネ!』

 

「……わかりました。

 「単縦陣」をお願いします」

 

「え!?」

 

 金剛さんからの情報に間違いはないと考え私は敵の数の少なさと、既に敵の指揮系統がなくなっていることから私は「単縦陣」による速戦即決を選択した。

 相手に考える隙を与えないという点ではこれが最善の判断だろう。

 

『OK!』

 

 私の判断に金剛さんも迷うことなく乗ってくれた。

 そこに私は少しばかり、嬉しくも感じた。

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