奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
「お嬢様〜
おりむー、連れてきたよ〜!」
のほほんさんは半強制的に俺を生徒会室に連れ込むとこの部屋にいる生徒会長にそのことを報告した。
ん?お嬢様?
今ののほほんさんの『お嬢様』という呼び方に俺は引っかかりを感じた。
いや、今だけじゃない。
さっきも彼女は生徒会長のことを『お嬢様』と呼んでいた。
普通は『会長』とか『先輩』じゃないのか?
違和感のある生徒会長の呼び方。
一体、どうして彼女はそう呼ぶのだろうか。
そう呼ぶのほほんさんと生徒会長にはどういった関係があるのだろうか。
そもそも、どうして彼女が生徒会長の指示で俺を呼びに来たのだろうか。
「ご苦労さま。ありがとね、本音ちゃん。
それと織斑君、わざわざ来てくれてありがとう。
ようこそ、生徒会室に」
「!」
のほほんさんと生徒会長との関係について考えを巡らせていると件の生徒会長に声をかけられた。
似てるな……
いや、少しだけ……
会長の第一印象は更識と姉妹だけあって面影を感じられるが、会長のほうが少し表情が柔らかく感じられた。
「早速で悪いのだけど……
織斑君、どうして私があなたを呼んだのかその理由はわかるかしら?」
「うっ……!」
会長は俺を呼んだ理由について分かっているのかと訊ねてきた。
それに俺は罪悪感を抉られた。
「すみませんでした!!」
「……え?」
「お、おりむー!?」
俺は咄嗟に謝った。
いや、謝りたくて謝った。
「知らなかったこととはいえ、会長の妹を傷つけてすみませんでした!!」
お礼参りはないとのほほんさんは言っていたが、それでも俺は更識の姉である彼女に謝りたかった。
本来ならば、本人に直接謝るのが筋だと思うし、そうしたいが、それでも目の前にいる妹を大事にしているであろう姉がいるのだから謝るべきだと考えた。
俺だって、千冬姉が苦しい目に遭っていたら、その加害者を許すか、許さないかは兎も角として最初に謝罪を求める。
だから、これは人として当然のことだと思っての行動だった。
「そう……ところで、織斑君。
本音ちゃんからは何処まで話を訊かされたのかしら?」
「え?」
しかし、俺の謝罪に対して会長は気にも留めず、のほほんさんに何処まで話を訊かされたのかと訊ねてきた。
「……えっと、雪風と会長との関係。
それと雪風が抱えている秘密についてです」
俺はのほほんさんに教えられたことは生徒会長が雪風の友人であること、彼女たちが雪風の秘密を知っているということだと答えた。
「……秘密って何のことかしら?」
「……え?」
しかし、返ってきたのは予想外な反応だった。
「え?それは―――」
俺は会長が何を言っているのか理解出来ず、訊き返そうとしたが
「―――!?」
ある可能性に気付いて自分が迂闊なことに気付いた。
まさか……騙された!?
思えば、のほほんさんは『雪風のことを知っている』としか言っていない。
いや、それ以前に会長と雪風が共通の友人であるということすら、嘘かもしれない。
のほほんさんが!?
そんな、まさか!?
人畜無害。
そんな言葉が似合いそうで誰に対しても穏やかに接する彼女がそんなことをしてくるとは信じられなかった。
しかし、実際に目の前の会長が俺を探ろうとしている事実がそれを否定しようとする。
「……はい。そこまで」
「え?」
俺が疑心暗鬼に陥ろうとした時だった。
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「全く。考えなしに他人を信じるのも、疑い過ぎるのもダメだよ?」
「龍驤さん!?」
その人物は龍驤さんだった。
その人物の登場によって、シロであることが増したことに安堵感を覚えた。
「織斑君。
今のは不注意だったよ?」
「え?」
しかし、そんな俺に龍驤さんは『不注意』だと告げた。
「……ごめん。おりむー。
今のは、その―――」
「……いいわ。本音ちゃん。
全部、私の責任よ。
ごめんなさい、試す様な事をして」
「試す……?
何を?」
どうやら騙すこと自体が嘘であったらしく、何やら彼女たちは俺を試すつもりらしい。
「……決まっているよ。
君が今みたいに安易に騙されたり疑ったりしないかってことだよ」
「どういうことですか?」
「さっき、君は更識さんの言葉で焦ったよね?
そういうことだよ」
「!?」
龍驤さんの答え合わせで俺ははっとした。
彼女の言う通り、俺は会長の言葉で自分が情報をうっかり漏らしたと思い、取り返しのつかない失敗をしたと勘違いした。
「まあ、君も分かっていると思うけど……
うちらのことと「深海棲艦」のことは絶対に漏れちゃいけないことだよ?」
「……それは分かってます。
でも、今回はどうして試す様なことを?」
彼女たちのことや深海棲艦のことは隠すべきことだろう。
それでも今回の様なことをされた理由が俺には理解出来なかった。
「……君たちみたいな人間ばかりが人間じゃないからだよ」
「?」
龍驤さんは何処か悲しそうに申し訳なさそうに答えた。
「「IS」……
この世界で最強戦力が一気に十機以上突然と現れた。
それがどういう意味か……分かるよね?」
「あ!?」
そ、そっか……
忘れたけど、「IS」が増えるって単純に考えてとんでもないことだよな……
思えば雪風以外の艦娘と出会った時にも「IS」で武装した女性が30人近くという時点で俺たちは度肝を抜かされた。
「IS」が大量にある。
たったそれだけでそれを狙う人間が出てくる。
十分に考えられることだった。
「あまり、こうは考えたくはないけど。
この学園の関係者の中にも信用できない人間は何人かいるかもしれないよ」
「!?」
学園の人間全員を信用できない。
龍驤さんはそう言いたいのだろう。
「どういうことですか?」
意味は分かる。
だけど、そうなる理由が分からず訊ねた。
「「銀の福音」だっけ?
例の暴走機の件だけどね、うちは怪しいと思うんだよね」
龍驤さんは俺達が彼女たちと「深海棲艦」と遭遇することになった原因である「銀の福音」の暴走事件について怪しいところがあると言ってきた。
「……君らだけに対処させようとした「IS委員会」はかなり怪しいと思うよ?」
「!?」
龍驤さんの口から出てきた疑念。
今まで背けてきた事実に俺は嫌でも気付かされることになった。
「……勿論、委員会全員がクロだとは思わないよ?
でもね……建前上は学生である予科練生に暴走した軍用機を対処させるなんんて緊急性があるとしても普通はおかしい。
でも、一つだけあの状況で一部の委員会の面々を動かせる旨味があるんだよ」
「まさか……」
俺はあることに気付いた。
あの時、普段の状況と異なるもの。
それは
「……第四世代……
「紅椿」!!」
箒が束さんから直接渡された世界で唯一の第四世代「IS」。
それがあの場所には在った。
「そう。もし、彼女らがそれを知っていてあえて篠ノ之さん。
ううん、それだけじゃない。
あの場には他にも最新型の「IS」が在った。
それだけでうちや更識の言いたいことは分かるよね?」
「………………」
龍驤さんの言いたいことは分かった。
恐らく、「IS委員会」を全員、敵視しているのではなくその中に自らの目的の為に平然と彼女たちを利用するかもしれない人間もいるかもしれないと彼女は踏んでいるのだろう。
そして、恐らくだが委員会が運営しているこの学園にもその人間の息がかかった人間がいるかもしれないと警戒しているのだろう。
「……それはわかりました。
でも、どうしてそのことで会長が?」
龍驤さんが俺に忠告するのは理解出来る。
しかし、どうして、会長までもが警戒するのだろうか。
「……それは私のもう一つの顔が関係するからよ」
「もう一つの……顔?」
会長は真剣な眼差しを向けてきた。
「それがあなたを呼んだ理由でもあるわ」