奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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注意)今回の雪風は原作キャラ崩壊しています。


第7話「総旗艦の誇り」

「いい加減にしてくれませんか……?

 お二人とも」

 

 私は机に叩きつけた拳にまだ衝撃と痛みが残っていることを気にせず、当事者二人に対して先ほどから溜まりに溜まった鬱憤を晴らすように言った。

 

「陽知……?」

 

「な、なんですの……?

 あなたは?」

 

―ざわざわー

 

 私の行動に当事者二人だけでなく、この場にいる全員が騒然とした。

 また目立ってしまったことには反省はしているが、後悔をするのは後回しにしようと思った。

 

―ガター

 

 私は席から立ちあがり当時者の一人であるオルコットさんに対して睨みながら

 

「オルコットさん、あなたは確かイギリスの代表候補生でしたよね?」

 

 と彼女の身分に関して彼女に確認をした。

 

「え、ええそうですわ……

 わたくしは何を隠そう、栄えあるイギリスの―――」

 

 神通さん仕込みの「水雷魂」を受け継いで来た私は中華民国の娘たちや同じく日本から来た面々からも『怒らせたらシャレにならない』と言われる程度には怖いらしく、その眼光を浴びせられたオルコットさんは多少気圧されながらも自国のお国自慢をしようとしたが

 

「だったら、自分の軽はずみな言動が母国の威信を傷つけることぐらい意識しなさい!!」

 

「―――なっ!?」

 

 中身の伴わない愛国心をこれ以上、延々と聞かされることはうんざりなので私は言うべきことを口に出して止めさせた。

 

「わ、わたくしがいつイギリスの名を傷つけることをしましたの!?」

 

 すると、オルコットさんは本気でそれを言っているのかと呆れ返りそうになるぐらい無自覚のままに私に噛みつこうとしてきたので

 

「他人のことや他国のことを簡単に見下すような人間が代表の国家を誰が尊敬しますか!?」

 

 私は怒りのままに当たり前のことを言い返した。

 「代表候補生」とは、つまり、国を代表する立場のはずだ。

 それは私の世界で言う海軍の旗艦と立場はほとんど同じはずだ。

 これでも私は中華民国で総旗艦をしていたことからその「重み」は理解しているつもりだ。

 

『いいか、雪風。

 貴様はこれから、「総旗艦」になるのだ。

 この長門や金剛、大和たちが背負ったものをお前も背負うのだ。

 その誇りを決して忘れるな』

 

 私は今でも覚えている、昔中華民国で行われた私の就任式の時、かつて連合艦隊の旗艦を務めた長門さんに言われた言葉を。

 その「重み」を私は一日たりとも忘れることなどなかった。

 それに対して、オルコットさんはその「重み」を全く理解していない。

 また、それとは別にもう一つだけ彼女に対して申したいことがあった。

 

「大体、あなたの母国のイギリスは紳士淑女の国でしょうが!!

 あなたのその姿勢は淑女のするものですか!?」

 

 それは彼女があの英国(・・・・)の代表だからだ。

 つまりはあの紅茶好きな帰国子女であり、海の古強者でもある艦娘の故郷の国だ。

 

「私の知人にはイギリスの帰国子女がいました。

 その人は何と言うか……普段はノリが良すぎて周りを戸惑わせることはありましたが、しっかりと淑女としての品格を持っていました」

 

 私は金剛さんの英国淑女としての側面を見てきた。

 ゆえにオルコットさんの態度には私情もあるがイラついていた。

 

「それに比べて、あなたはどうです?

 別にあなたが「女尊男卑」の考えを持っているのは個人の自由なのでどうでもいいですが!」

 

 本当はどうでもよくないし腹立たしいことこの上ないが価値観は個人の自由だ。

 私の価値観だって、結局のところそれは私個人の価値観に過ぎないのだから。

 まあ、私からすれば

 

「男とか、英国とか、日本と言った言葉を借りて相手を見下して恥ずかしくないんですか?」

 

「ぐっ……!?」

 

 そんなものを使って他人を見下す人間は自分の品性を落としているようにしか見えない。

 それで恥を感じないのはそれこそ「厚顔無恥」だろう。

 あと、もう一つ言っておきたいことがあった。

 

「大体、男性が弱いと言ってもそれは女性が「IS」を使えるからというだけ(・・)でしょう!」

 

「なっ!?」

 

―ざわざわー

 

 私の発した言葉に全員、信じられないことを聞いたかのような目をしていた。

 まあ、「IS学園」にいる生徒がそんな言葉を口に出したら誰もがそう思うだろう。

 

「逆に訊きますが「IS」が使えなくなったり男性も同じ条件で戦えるようになったらどうするんですか?

 それこそ、「IS」を使えると言った優位性に胡坐をかいてる私たちはただの「お山の大将」ですよ?

 情けなくないですか?」

 

 とオルコットさんに語りかけながらもクラス全体に聞こえるようにも私は言った。

 

 まあ……そう言った条件を整えるのも戦略なんですがね……

 

 駆逐艦と言う戦術の申し子から、戦略に関することも学んだことで私はそれ位は心得ている。

 ただでさえ、「深海棲艦」などと言う未知の敵と戦っていたのだ。入念にそう言ったことを研究する必要性はあるのだ。

 結局の所、私の言っていることも仮定論にしか過ぎないのだ。

 ただ、それでも仮に「IS」相当の兵器を男性側も使えるようになったら、今までの「女尊男卑」に対する憎しみやそれによる「ハンデ」を乗り越えようとした努力によって、女性側は敗北するだろう。

 そもそも、「IS」が優れているのは兵器としての質だけだ。

 それに胡坐をかいている様では兵站や戦術、戦略と言うことの重要性を全く理解していない可能性がある。

 それで『女が男よりも強い』だなんて、可笑しくてへその上で茶が沸きそうだ。

 「女尊男卑」のことについてはこれだけで十分だろう。

 これで考えを改めないのならその程度にしか過ぎないと言うことなのだから。

 こう言った手合いで真剣勝負ができない場合は遠回しに自らの浅ましさを考えさせるしかない。

 

「織斑さん……

 あなたも恥ずかしくないんですか?」

 

「……え?」

 

 オルコットさんと女尊男卑についても腹が立っていたが私は彼に対しても腹が立っていた。

 

「確かにオルコットさんが日本のことを侮辱したのは問題でしょうが、それに釣られてあなたもイギリスを馬鹿にしてどうするんですか?」

 

「え?いや、その……」

 

 まさか、自分までも非難されるとは思わなかったのか彼は反応に困っていた。

 相手が無礼極まることをしたからと言って自分まで無礼なことをするのは自らの品格を落とすことでしかない。

 もちろん、彼が若いのも理由の一つだとは思うが、これは誰かが彼に言わなくてはならないことなのだ。

 担任二人に関しては、山田さんはやはりと言うべきかあたふたしていた。彼女の気質を考えると仕方ないことだろう。まあ、彼女に似ていた気質の阿武隈さんなら何かを言うだろうが。

 織斑さんはと言えば、ある意味彼女の目論見通りに進んでいることもあるし、ここで動けば「姉」として弟さんの味方をしたと思われることから沈黙を決めこんでいる様だった。

 彼女も難しい立場なのだからこれは仕方ないだろう。

 仮にこれが弟さんが当事者でなければ、彼女は動いていた可能性もあるだろう。

 

「それに―――」

 

 あと一つ、私は彼に対して気に食わないことがあった。

 それは

 

「相手を一度「ハンデ」なんて言う言葉で見下しておいて、相手に敵わないと知ると撤回ですか……

 情けなくないんですか?」

 

「え?」

 

 彼の発した「ハンデ」と言う言葉に対してだ。

 彼は一度、オルコットさんに対して恐らく相手が「女」だからと言うだけで「ハンデ」をつけようとした。

 これはつまり、相手を「女性」だと言う理由で見下しているのと同じことになる。

 勝負の世界でそんな似非紳士面されてもそれは相手に対する侮辱に他ならない。

 それと何よりも彼はクラス中に笑われて『男が女より強いのは昔のこと』とあたかも『男は女よりも弱い存在』と言うふざけた「女尊男卑」の幻想に屈して撤回したのだ。

 確かに彼はこのクラスで一番弱いのかもしれない。

 それは彼が「男」だからではなく、「経験」と「技術」、「知識」によるものだ。

 しかし、この場で「ハンデ」を撤回すると言うことは

 

「あなたは相手が自分より強いと思ったら犬みたいに尻尾を振るんですか?」

 

「なっ……!?」

 

―ざわざわー

 

 そう思われても仕方ないだろう。

 もちろん、勝ち目のない相手に考えもなしに挑むのは「蛮勇」だろう。

 だが、一度自分から口に出したことをまだやってもいないのに最初から怖気づいてやろうとしないのは

 

「あなたのような人間を「腰抜け」と言うんでしょうね」

 

「なんだと……!!」

 

―ざわざわー

 

 「腰抜け」のやることだ。

 駆逐艦にとっての最大の禁句の一つ。

 それを私は冷めた目を向けながら口に出した。

 だけど、せめて負けてもいいから意地を見せるぐらいの気概はあってもいいだろう。

 私の一言が教室中に響くとクラスの何人かはごくりと唾を呑んだり、口をパクパクと開いたり閉じたりしたり、冷や汗をかきながら私たちの動向を見守っていた。

 肝心の彼はと言えば、拳を握りしめて歯を噛み締めていた。

 どうやら、「腰抜け」と言われて悔しさを感じる程度には意地があるらしい。

 

「いいですわ……

 ちょうど、男だけが相手ではわたくしの実力を示すには物足りないでしょう……」

 

 ここ十年あまりで類を見ないまでの暴言を言い放った私にオルコットさんはヒステリックなみっともなさを抑えながら敵意を向けて

 

「あなた……!わたくしと決闘しなさい……!!」

 

 私に宣戦布告してきた。

 

「はあ~……」

 

 私は彼女のその傲慢な姿勢と目立ってしまった自分に溜め息を漏らした。

 

 ここで引くのは……無責任ですね……

 

 改めて、自らの起こした行動の責任を噛み締めながら目を瞑ってから

 

 更識さん、すみません……

 わがままを言わせていただきます……!

 

 私の保護者的な立場にいるこの世界でできた敬意に値する友人の『もう少し、甘えてもらってもいいのよ』と言う言葉に甘えることに謝罪しながら

 

「わかりました。男とか女とか至極どうでもいいですが……

 その決闘受けて立ちましょう」

 

―ざわざわー

 

 オルコットさんからのケンカを買った。

 『売られたケンカは買え』。

 駆逐艦における暗黙の了解にして、モットーである。

 

「織斑先生」

 

 私は織斑さんにも多少の申し訳なさを感じながらも彼女に見えるように手を挙げた。

 

「なんだ」

 

 織斑さんは私を止めるのは無理だと悟ったような目をしながら私の要望を聞き容れようとした。

 

「陽知 雪風。

 クラス代表の一人として自薦させていただきます」

 

 私もまた宣戦布告した。

 私はトコトンやるつもりだ。

 たとえ、勝てずとも二十年以上「総旗艦」を務めた重み(・・)ぐらいは叩き込んでやるつもりだ。

 それに織斑さんの弟さんに()としての意地があるかを確認するのにもいい機会だ。

 仮にそれがなかったら、ただそれだけのことだ。




 テンポよく進めるのて難しいですね……
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