奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
内容が内容なので……
「な、何を言ってるんですか……?
連合軍……?何で味方が帝国を攻撃するんですか……!?」
私が口に出したこの世界に生きる、特にあの大戦の当事者であった日本人なら誰しも知る歴史を教えた瞬間に目の前の「雪風」と名乗る少女が衝撃を受けた。
その動揺はまるで己の根幹を揺らがされたかのようなものだった。
「「大和」や「雪風」を知っているのに……
連合軍に日本が所属している……?」
真耶は彼女の動揺と彼女が所属していたとされる旧日本軍の最後の敵である連合軍のことを彼女が知らない事実に驚きを隠せずにいた。
「大和」の名前は私も知っている日本の戦艦の代名詞だ。そして、「大和」が散ったあの戦いも日本人にとっては忘れられない出来事の筈だ。
私は先程の真耶の質問と私が口に出した事実を向けられた彼女の反応で私はようやく、にわかに信じられないことではあるが自分が辿り着いた彼女と私たちの話が噛み合わない理由と彼女と私たちの会話における違和感の正体に確信が持てた。
「やはりか……どうやら、貴様のいた世界と私たちのいる世界は違う歴史を辿ったらしいな」
「……え?」
「何を……」
私はとりあえず、目の前の少女を落ち着かせるためにその事実を口に出した。
それに対して2人は明らかに呆気に取られた。
実際、私も自分の発言がいかにおかしいのは理解できるがこれしか彼女と私たちの間に存在する溝は解決できない。
そう、私たちの話が噛み合わないのは、そもそも私たちの「IS」と彼女の「艦娘」という互いの当たり前だと思われる知識についてそれぞれ知らないことやお互いに知る戦後、いや、正確には戦時中ないしは戦前の歴史が全くと言って異なることが原因なのだ。
それが意味することはこれほど荒唐無稽な考えしかないのだ。
「お、織斑先生……?」
真耶は私の言葉を信じられないことを耳にしたかのような(いや、実際そうなのだが)目で見て来たが
「山田先生、少しだけ黙って聞いていてくれ……」
と迅速に目の前の少女と私たちとの間にある知識の壁を乗り越えるためには、今は単刀直入に事実だけを告げることが大事だと考えて制した。
「歴史が……違う……?」
目の前の少女は「艦娘」と呼ばれる存在らしく、それはどうやら大日本帝国にまつわる存在であるのにも関わらず彼女は戦後のことを知らない。
それは彼女の知る歴史と私たちのいる世界の歴史、いや、それどころか
「どうやら、貴様は異世界の人間なのだろう?」
彼女と私たちのいる世界そのものが違うと言うことなのだろう。
と言うよりもそれしか考えられない。
彼女が仮に旧日本の残党が主体となる組織が隠し持っていた「デザイナーズベビー」などの特殊な出生の者ならば未だしも先程から見せる彼女のあまりにも嘘と言うよりも法螺話と言った方が相応しい信じ難い身の上やものすごく任務中とは思えないと言えるほどのうっかりぷり。
仮にこれが演技だとすれば、彼女は相当な役者としか言えない。
しかし、それは彼女が異世界から来たものと言う可能性と同じくらいに極僅かな可能性に過ぎない。
ならば、ここで争ってしまうよりはもう少し対話を試みた方がいいだろう。
「……そちらの世界では第二次世界大戦……太平洋戦争は起きなかったのだろう?」
私は彼女が「連合軍」を知っていると言うことで彼女が第一次世界大戦を知っているということは把握できた。
となると状況が変わったのは第二次世界大戦以前のことになる。
それを確認するために彼女に訊ねた。
「第二次世界大戦……?
何ですかそれは?」
そして、彼女の反応は私の推測を裏付けるものであった。
あの大戦を知らないなどあり得ないことなのだ。
だが、これだけでは彼女の世界の歴史を把握できない。
やはり、問題となるのはあの日だ。
「1945年……いや、昭和20年の八月十五日に何があった……?」
それはあまりにも彼女に対して、残酷な質問であろう。
仮に彼女の世界では何もなかったとしても、この世界における歴史を彼女はどう受け止めるのだろうか。
それを解かっていながらも私は彼女に訊ねた。
「お、織斑先生!?その日は……!」
真耶は私の口に出した答えのあまりの突拍子のなさに呆気に取られていたが、どこかそれが事実なのではないのかと考えているのか、目の前の少女に私の今の質問をぶつけることに反発した。
普段は気弱で流されてばかりである彼女も目の前の少女が旧日本軍の関係者であった場合のあの事実を知らせることへは抵抗感を示したのだ。
そう、彼女が考える通り、これは目の前の少女に伝えるべきではないことなのかもしれない。
この日は日本にとって「終わりにして始まり」の日だ。
それを帝国の人間であり、命懸けで帝国を守ってきた彼女に訊くのはあまりにも酷だろう。
だが、
「その日は―――」
目の前の少女は少し辛い顔をしてからすぐに明るい顔になり口をそのまま開けて
「人類が―――」
そして、どこか無理をして微笑み続けていた。
その瞳を潤わせながら
「深海棲艦とのアメリカ大陸における決戦に勝利し……
太平洋を取り戻した日です……!!」
溜めるに溜め続けていた涙をついに抑えきれずに流しながらも朗らかにそう言った。
その表情を見て、私と真耶は彼女がどの様な気持ちでそう言ったのか理解できなかった。いや、できるはずなどなかったのだ。
歴史の違いなどどうでもいい位に彼女の心情の方に囚われてしまったのだ。
彼女の涙だけは本物にしか見えなかった。
雪風がどう思って、泣き笑顔で答えたのかは後ほど書いていきます。
ただ、雪風にとっては戦争て勝っても負けても辛いことなんだとは思います。