奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
言いたいことがあります。
色々と言っててごめんなさい!!
そして、あの二人を出してくれてありがとうございます!!
「え~!?恋び―――むぐぅ!?」
「シーっ!声が大きいです!」
私は昼休みになってから本音さんとなるべく早く食堂に着いてクラスの生徒たちにばれないように昨夜と同じように嵐のように訪れて、嵐のように去っていった「二組のクラス代表」にして「中国の代表候補生」である凰さんのことをつまびらかに説明した。
嵐、嵐と言っても決して私の妹ではない。
「うっそー……おりむーに恋人がいるなんて……」
先ほど、私に声が大きいと言われたこと本音さんはこそこそと小声で語り掛けて来た。
私としても非常に助かる。
「はい……私も最初は驚きました……」
「だよね~。
あ、もしかして昨日の衝撃的な出会いて……」
のほほんとしながらも勘の良い本音さんは昨日からの私の様子の異変の理由に察しがついたようだ。
「はい、彼女と偶然出会っちゃいました……
それで、衝撃の事実も……」
私は彼女の指摘を肯定した。
「でも、おかしくないかな?
渡された資料にはそんなこと一言も書かれていなかったし」
本音さんは凰さんの存在について訝しげに言った。
だけど、そんなことよりも私は
「あ、資料読むんですね」
思わずそう言ってしまった。
「ゆっきー……私のことを何だと思ってるの?」
私のその一言に本音さんは気を悪くしたようだ。
ただ、私としては
「……『いると仕事が増える』って自分で言いましたよね?」
彼女の私生活的における態度的にそう言いたくなる。
更識さんたちからは本音さんは「マイペース」と聞かされており、実際に目にしているとかなり不安になってくる。
と言うか、渡される資料は全て私が管理している。
「いや、実際そうだけどね~」
自他共に認めていることから納得してくれたようだ。
一応、言っておくがこれは本音さんと友人同士だからできる軽口だ。
そう考えると私はいつの間にか、本音さんに心を許してしまっている。
だから、こう言う相談事もできるのだ。
「でも、更識さんが資料に記載しないなんて考えられませんよね?」
「だよね?」
私は更識さんから護衛対象二人の資料を最後まで確認して交友関係を認識し、昨夜も彼女と出会ってからも確認した。
そして、今朝聞かされた名前と「凰 鈴音」と言う少女が一夏さんの過去の同級生の中の「凰 鈴音」であることも一致した。
残念ながら、私もそこまで交友関係については調べていなかったのでどう言った人物なのかすら理解していなかった。
しかし、資料にはあくまでも「友人」としか書かれていなかった。
あの更識さんが「恋人」と言う存在を書き漏らすとは到底考えられない。
更識さんならば、確実に私に伝えるはずだ。
「こんな時に連絡も取れないとは……
そう言えば、更識さんは今どうしているんでしょうか?」
私が確認したいことができたのにその更識さんが留守にしていることと連絡もできないことに焦燥感に駆られつつも彼女が今、何をやっているのか気になってしまった。
「あ、お嬢様だったら、川神先輩の「日本のIS部隊」の訓練に参加しているよ?」
「……え?」
本音さんのその一言に私は一瞬、理解ができなかった。
今、何と言ったのだろうかこの少女は。
「……すみません、本音さん。
確かに「強化合宿」と言いましたけれど……何の訓練ですって?」
私は事前に布仏さんに「強化合宿」とは伝えられていたが詳細まで知らされなかったことで混乱してしまった。
「いやだから、川神先輩の「日本のIS部隊」の訓練って―――」
「いやいや!?更識さんって「ロシアの代表生」ですよね!?
大丈夫なんですか、それ!?」
更識さんは「ロシアの代表生」だ。
国籍は「自由国籍」であり、その真の顔は日本の「対暗部用暗部組織」の長であるのだが、表向きの立場的に日本の安全保障に関わる可能性のある「日本のIS部隊」の訓練に参加するのはマズいのでは。
「う~ん、でも「IS」に関わる人ってぶっちゃけると「国籍」ってほとんどあってないようなものだし」
「あ~……」
本音さんのその一言に私は思わず自分の経歴もあって納得してしまいそうになった。
確かに私も「中華民国」時代に客将でありながら、「総旗艦」を務めている。
と言うよりも、当時の「中華民国」に海軍に所属していたのは各国の有志であったのが多く、仕方のないことだった。
ただ、今は私が鍛え上げた娘たちが私の前線引退後を継いでいてくれているので問題ないが。
ただあくまでも私がやったのはあくまでも「特別措置」だ。
地政学的に「二つの中国」では戦艦や正規空母よりも燃費のいい私たち駆逐艦の方が運用面で向いていたのだ。
いざ、厄介な姫や鬼が来ても近隣国の日本がすぐに戦艦や空母を派遣できたのも大きな理由だが。
つまり、多くの駆逐艦の中で私が選ばれただけだ。
しかし、そんな「特別措置」で選ばれたこともあって更識さんの訓練参加に関しては解せない。
「それに「もう一人の世界最強」相手にスパイなんて意味ないよ?」
「……え?」
そんな中、本音さんが再び意味の分からないことを言った。
「いや~、だからさあ……
川神先輩の訓練なんか見ていても殆ど意味のないものだよ」
「……どういう意味ですか?」
訓練を見られると言うことはこちらの戦術パターンをある程度予測されることに等しい。
それなのにそれが意味がないとはどういうことだろう。
確かに更識さんは日本の裏側の守護者だ。
しかし、それでも表向きは所属国家であるロシアが黙っていないはずだ。
何かしらの注文は付けてくるはずだ。
と私が国際関係におけるパワーバランス等のことを懸念していると
「だって、川神先輩のスパルタ訓練なんて他の国が真似できるはずがないもん」
「……はい?
それって―――」
本音さんがどこか親近感が湧いてきそうなことを言ってきた。
私が思わず口を開く前に
「川神先輩の訓練は確かに部隊の強さを向上させることができるけれど、それは単純に川神先輩が直々に訓練していて個々の強さを底上げしてるだけだよ。
だから、情報が漏れても別に問題ないし、むしろ、抑止力になっちゃうんだよ」
本音さんはそう言い切った。
「……どこの神通さんと山口提督ですか?」
川神さんの訓練の厳しさについては更識さんに聞かされて来たが、まさかここまで帝国海軍並みに厳しいとは思わなかった。
「なるほど……確かにそれじゃあ、戦術以前の問題ですね……」
恐らく、川神さんの訓練とは練度を高めると言う極めて単純なものなのだろう。
ただし、それ故に誰にも盗めない。
そもそも圧倒的な練度で築き上げた精鋭の何を盗めと言うのだろうか。
しかもそう言った精鋭は戦場である程度の無理が効くし、たまに常識が通用しないし、たまに戦術規模であるが戦局を変えてしまうことがある。
ただ単純に強い。
そんな相手に同じ土俵における奇策なんて通用しないに等しい。
奇策や搦め手等と言うのはある程度戦力が拮抗しない状況じゃないと意味がない。
しかも、神通さんや山口提督並みとなると……
精神面も……
仮に川神さんが私の知る人たちと同じならば、無茶ぶりを命じてくるはずだ。
例えば、山城さん相手の反航戦みたいな感じとか。
そんな人の訓練なんてスパイなんてしても確かに無意味だ。
そもそも練度なんて一朝一夕で身につくものじゃない。
「あ、雪風」
「あ、一夏さん―――いっ!?」
そんな風に私たちが語っていると聞き慣れた声が聞こえたので見てみると一夏さんたちが来ていた。
しかし、一夏さんたちが連れて来た面々を見て私は苦渋に満ちた声を出してしまった。
なぜならば、
爆撃機と弾薬庫が同時に来てる!?
そこにはセシリアさんと篠ノ之さん、そして、なぜか凰さんまで来ていたからだ。
「ん?どうしたんだ?」
「あ~!昨日の」
凰さんは私に気づいた。
「こ、こんにちは、鳳さん」
「雪風だったっけ、昨日は悪かったわね」
「い、いえ……こちらこそ……」
「……ん?二人とも、知り合いなのか?」
私たちが互いにやり取りを始めると意外だと思ったのか一夏さんが会話に入ってきた。
「昨日、ちょっとね」
凰さんはその疑問にそう返した。
彼女としても昨日の話は蒸し返したくないのだろう。
「そうか、なあ雪風悪いんだけど一緒にここを使ってもいいか?」
「え?」
「いや、席が他に空いてなくて……
迷惑だけどいいか?」
一夏さんはそう頼んできた。
見た所、彼らの人数は10人程らしい。
確かに席の確保は殆ど無理に等しい。
普段通りならば私は親切心で彼らに同席は別に問題はない。
そう普段通りならば。
爆薬と弾薬が同時に来ました……
しかし、凰さんと言う火種が可燃物に等しいセシリアさんと篠ノ之さんがいて一触即発が懸念されるこの状況での同席は恐ろしくて仕方ない。
何よりも普段よりもセシリアさんと篠ノ之さんの様子が明らかにおかしい。
どう動いてもこれは後が怖い。
本音さんの方を見てみるとあちらも珍しく冷や汗をかいていると同時に熱い視線を向けてきている。
どうやら、私に事態の収拾を期待しているようだ。
だが、こういったことには私は慣れていない。
これは対潜能力のない戦艦に潜水艦の掃討を任せるようなものだ。
無茶ぶりに程がある。
ただ、日向さんはやってのけたが。
私は……
「だ、大丈夫ですよ?」
やむを得ずに了承した。
流石に頼られているのに断るなど私には無理だ。
ボーキが500切った……
悪夢だ……