Re:ゼロからはじめる俺のハンター生活は間違っているのだろうか   作:名無し@777

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三話

 雪ノ下からの取り調べからなんとか危機から脱したものの、問題の先送りになってしまった。我が家から逃亡し、この街、ドンドルマの集会所の一角でMAXコーヒーを飲みながら今後の事を考えていた。

 義題は一つ。

 

 俺がモンスターハンターであることをどう隠し通していくか。

 

 マイエンジェル小町の女神の一手があったから場を凌げたものの、今後は女神の一手は無い事の方が高い。

 今回ほどの危機は今まで無かった。最後の手段としては家でて独り暮らしをすること。これは本当はやりたくない。

 

 単純に料理や洗濯といった手間がのし掛かってくる。それに経済面でも悪いだろう。あと小町と顔を会わす事が必然的に少なくなってしまう。

 ダメ、絶対にダメ。おにいちゃん死んでしまいます。

 

 とならばハンターを辞め、本当に商売人になるか。

 

 否、そんな選択肢は取れない。

 

 理由は二つ。

 一つ、我が家は決して裕福ではないのだ。

 生活費に加え、小町の今後の学費の事とを鑑みれば最低でも数百回は大型のモンスターを狩らなければならないだろう。仮に俺が商売を副業から本職にすれば、利益は現在の半分、いや、三分の一くらいになってしまう。

 

 二つ、小町や雪ノ下達を守るために実力をつけていかねばならない。

 実際、副業である商品売買が軌道に乗れば解消出来る。しかし、ハンターを辞めて腕を落とせばモンスターの脅威から守ることは不可能になる。

 それは親父と母に対する裏切りであり、雪ノ下陽乃との戦争の始まりだ。

 俺の現在の実力ならば、リオレウス、ナルガクルガと言った飛竜種から守ることは出来るだろう。しかし、上位クラスの炎王 テオテスカトルといった古龍種や二つ名持ちのモンスターからは守ることは不可能に近い。

 無論、俺の命を擲ってでも助ける努力はする。が、俺の命ごときでは足りないのだ。きっと、逃がすことすらできやしない。

 

 もっと、もっとだ。力がいる。

 古龍だろうが二つ名だろうが、どんな脅威からも守ってやれるほどの力がいる。

 

 ふと、自分の足元を見てみれば俺の眼前に誰かの影があった。

 

「せーんぱい、なんでこんな隅っこでくそ不味コーヒー飲んでるんですかぁ?」

 

「やかましい。隅っこの方が落ち着くんだよ。気づけ。あと、くそ不味言うな」

 

「気づけって……あれですか? 一人でいるのは私に気がついて欲しかったからなんですか。ちょっと、きゅんって来ましたけどまだまだですね。ごめんなさい」

 

「自意識過剰過ぎんだろ……」

 

 受付嬢の細部に渡り手を加え、服を可愛らしく着こなしている眼前の女性───一色いろは。

 この『意図的天然ゆるふわビッチ』な彼女にまたもや告白をしていないのに振られるという奇妙な体験をさせられ、彼女から距離をとるべく、右端のテーブルに腰を落とす。だが、彼女は当然のように向かい側に座る。

 

「おい、受付嬢。仕事はいいのか」

 

「何を言っているんですか。ハンターの方々のアフターケアも私達の仕事ですよ」

 

「そうか、なら違うハンターの処に行け。俺はケアされなくても自分でケア出来るからな。自己管理もできるとか俺完璧」

 

「で、さっきは何を悩んでいたんですか?」

 

 無視かよ。無視しちゃうのかよ。先輩泣くぞ。

 

「……知らん」

 

「ふーん。教えてくれなきゃ雪ノ下さん達に───」

 

「わかった! わかったから! 言えばいいんだろ!」

 

 この女。雪ノ下や小町の事を知っているのだ。何処で知り合ったのかは解らないが、こいつの化け物染みたコミュ力ならば友達にもなるだろうさ。

 つまり、我が家族で孤高の存在は俺一人。すごい、八幡凄い。

 

「まったくいちいち手間をかけさせないでくださいよ、腐ってるのは目だけで充分です」

 

「文脈的に俺の目は関係なかったよね、無理矢理貶しにくるのはやめなさい。まぁ……あれだ。様はだな、雪ノ下達にどう隠し通していくかを考えていた」

 

「ふむふむ。それで? 」

 

「もう家を出て独り暮らしをするか、ハンター辞めるか……」

 

バンッ!と、机が軋む音をたてながら揺れる。

「何言ってるんですか!『死神』が居なくなったら大打撃ですよ、この付近の町は!」

 

「ちょ、止めてくれ。本当に」

 

「は?」

 

「いや、だからな。何度も言うが『死神』言うな。俺の黒歴史が思い出さらちゃうだろうが」

 

 死神。高難易度の依頼を幾つか達成し、名が売れたハンターは『二つ名』が勝手につけられる。俺の場合はそれが『死神』だった。

 

 どこのどいつがつけたのかは知らんが、末代まで恨むぞマジで。

 

「知りません。それよりも、ハンターを辞めるのはあり得ません。だから、家を出て……独り暮らし?」

 

「あ、ああ。最後の手段としてだが」

 

 何故、彼女は満面の笑みを浮かべているのでしょうか。あれか。俺がボッチの頂きに達するのがそんなにも嬉しいのか。

 

「しましょう。独り暮らし。もうバレるのも時間の問題だったんですよ。ええ、仕方がないのです。さぁ、明日にでも!」

 

 鬼気迫る表情で顔を近づけながら言ってくる。

 

「いや、最後の手段っていったよな」

 

「ええ、だから最後なんですよ、もう。だって、今まで今回ほどの危機は無かったのでしょう?」

 

先刻とはうってかわり、真面目な表情で問い掛けてくる。

 

「……。」

 

「時は来てしまったのです。大丈夫、物件や彼女達へのフォローは任せてください」

 

 彼女は真摯に俺のためを思って行動を起こしてくれると言っている。

 確かに、限界は感じでいた。ならば、彼女を頼ることが俺が出来る最善の策なのかもしれない。

 金銭面の重みは辛いが、背に腹は代えられまい。

 

「解った。部屋の手配を頼む」

 

「はい!!」

 

にっこりと優しく微笑みながら清々しく首を縦に振ってくれた。

 

***

 

 一色と今後の手筈を相談し終え、阿修羅観音が待っている我が家へと足運ぶ。武具等は一色に預け、明日取りに行く事にしたので問題はない。ハンターとして自信の身を守り、モンスターを狩るための武器を他人に預けるのは不安ではあるが、一日の辛抱だと割りきる。

 集会所から騒ぎ声がまだ聞こえ、この街がどれだけ活性化されているのかを表しているようだった。

 空には雲一つなく、星が煌めき月が夜の帳を照す。

 暗雲としていた気持ちは少しずつではあるが晴れていき、この夜道も何故だが楽しく散歩をしているかの様に思えてくる。

 

 未来は決して決まってはいないのだ、さぁ、希望ある明日に向かって進もうではないか。

 

 

 

 

 まぁ、数分後、または明日の朝には地獄を見ることは決定事項ではあるが。

 

 

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