Re:ゼロからはじめる俺のハンター生活は間違っているのだろうか   作:名無し@777

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九話

「なんだよ」

 

「御主、名を何と申す」

 

 一体何故俺がお前に俺の名前を教えなければならない。個人情報、大事だと思います。

 

「知るか」

 

「むっ、ならば良い。ただ一つ質問がある」

 

「……なんだよ」

 

「『死神』、もしくは『孤高の戦乙女』こと平塚静という人物を知らぬか」

 

 知ってるよ。なんならお前の目の前に居る奴とその師匠だよ。

とは言わず、無論、何時も通り「知らない」と答えて終わりだ。

その一言を口にするため、声を出そうとする───が。

 突如、肺の中にあった酸素が押し出され、大腸を圧迫破壊せんとばかりの衝撃が俺を襲う。数十秒宙に浮くこの感覚は早朝に受けた暴力……ではなく、教えと酷似していた。

 

「比企谷。お前は何万回時間私を待たせれば気がすむんだ」

 

「……今までの経験から推測するにあと八万時間くらいですかね」

 

「つまらん」

 

 ゲシリと足蹴にされる。

 ネタを振っといて返せばこの言い様。残虐にもほどがある。しかし、伝えていた帰宅時間からもう十分を過ぎている。全面的に俺が悪いと自覚しているため文句は言えない。今回どころか何時も文句は言えないが。

 

「静さんっ、お久し振りです!」

 

「うむ。久しいぶりだな、一色」

 

「今日は狩りに行かれるんですか?」

 

「そのはずだったんだがな。何処かの馬鹿が遅いせいで迷っている」

 

 ジロリと女性二人から睨まれるが大丈夫。目を遇わせない。うん。大丈夫。

 

 彼女建達と目を遇わせないように材木座へと向くと、ベタなコメディ漫画の様に口をあんぐりとあけていた。

 

「あああ、あにょ、そ、そちらの女性にお伺いしたいことがあるのですが」

 

 材木座に呼び掛けらた師匠は改めて、彼の存在に気がつく。

材木座、噛みすぎ。噛みすぎだから。お前は俺と同じくコミュニケーション苦手な奴なのか。

 

「ん? 私か? 」

 

「はひっ。あ、あの、貴方は『孤高の戦乙女』 平塚静さんでしょうか?」

 

「ははっ、その名で呼ばれると少しばかり恥ずかしいものだな。いかにも、私が平塚 静だ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、材木座は瞬時に平塚師匠の足元に正座し、流れるような動作で頭を地面につける。この一連の行動には一切の無駄が無く、まるで何万回と練習を積んできたように感じられた。

 

「私は材木座義輝と申します! 貴女はあの『死神』と呼ばれるハンターの師匠であることは周知の事実。どうか、私目にも稽古を、いや、二番弟子にしてくれませぬか!!」

 

 平塚師匠は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするも、苦笑気味に材木座の肩に手を置いた。

 

「材木座、といったな。そこまで知っているのならば解っていると思うが、私が弟子を取るのは一人のみ。君が言う『死神』と呼ばれているハンターで最初で最後だ。悪いな」

 

「そう、ですか」

 

 材木座は目に見えて落胆し、見ている此方が悲しくなってくる。

だが、平塚師匠は自身の言葉を覆す事は無いだろう。それが平塚 静という人間であり、俺が全幅の信頼を置く人物だ。

 

 本来であるならば平塚師匠は弟子を一人のみに制限する必要はなかった。

だが、俺が『死神』という二つ名で呼ばれ始めた頃から、俺のためを想い、この誓約を自らにつけたのだろう。

 

 平塚師匠ほどのハンターが弟子を取らなくなるのはルーキー達だけではなく我々ハンター全体にとっても大きな損害と言える。

 

 俺は別に正体がバレても気にしないという旨を伝えたが返ってきたのは

 

「そんなことはどうでもいい。私が弟子をとるのが面倒なのだ。誰がお前のためにそんなことをする。自意識過剰にほほどがあるぞ」

 

 そんな厳しくも優しい言葉だった。

 

 だからこそ、俺は材木座に罪悪感を感じられるずにはいられない。

間接的に俺が、彼の成長できる場を奪ったのだ。

 

 だから、これは罪滅ぼしなのである。

こんな奴でも俺ごときが邪魔をしたならば償わねばならないのが世の通りというものだ。

 

「平塚さん」

 

「……なんだ、比企谷」

 

 

「こいつ、狩りに連れていきませんか?」

 





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