復讐教室~悲劇と憎悪の詩~   作:Mr.エメト

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第伍話 抜かれた刃と思う華と

彩菜と統磨が屋上で二度目の出会いをする前の話。

不良グループの蓮、一真、大輔に廃教室に連れ去られた。

暴力を振るわれ、純潔を奪われるのかと絶望しきったその時―――。

 

―――ドガシャン!!

 

ドアが蹴破られて、ガラスが粉々に砕け散っていた。

そこから入ってくる男子生徒―――黒土統磨。

 

「誰の許可を得て、この部屋をラブホしようとしてんだ?

 この部屋は俺がたむろするのに、使っていた部屋なのになぁ。

 ………出ていけ、野良犬ども」

 

統磨の眼光に大輔と一真は一歩下がる。

蓮はジッと統磨を見ていたが、フンッと鼻息を鳴らして近づく。

動かない両者――――。

 

バシッ!!

 

蓮が殴りかかろうとするが、統磨は止めて、蹴ろうとするが蓮は後ろに飛び蹴りのダメージを軽減した。

立ち上がろうとするが、統磨は使われてない椅子をブン投げるが、蓮も使われてない椅子を掴み叩き落とす。

互いに攻撃を繰り出しても防がれたりと攻防が続く。

だが、先に解いたのは蓮だ

 

「興醒めだ。いくぞ……」

 

蓮は出ていき一真と大輔はその後を追う。

統磨は彩菜を見て、

 

「災難だったな、おまえ……」

 

統磨が手を差し伸べるが、彩菜は手を振り払い出て行った。

 

(まだ、人としての理性を保っているが、あの眼は……俺と同じだ)

 

―――――全てに復讐し、破壊する眼。

 

「次に会った時は……人間でいられるか、怪物でいられるか」

 

フフフフフフッと嗤う統磨。

後に二人は再び出会い、復讐劇が始まった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「まじか、これ……隣町だろ?」

 

「美人局紛いで金を巻き上げたとかさ、最近の中学生って怖いな」

 

新聞を読んでいる若者二人、フッと白いニット帽子を被っている女を見て可愛いく見ていた。

とある書店にて新作ゲームを買いに来ていた、おかっぱ頭で太めの少年―――五十嵐隼人(いがらし はやと)。

お金持ちで何でもすぐお金で解決しようとする。

 

「……五十嵐君?」

 

不意に声をかけられて、振り向くと白いニット帽子を被った女だ。

 

「え?あの……君は誰?」

 

こんな可愛い女性とは会うのは初めてで緊張している

 

「私、藍よ。野村藍」

 

「ええっ!?野村さん!?」

 

そう野村藍だった。

眼鏡をかけていて目立たない子だったが、今では可愛らしくなっている。

 

「それにしても、隣町まで何しているの?」

 

「えっ……と、それは……」

 

「なんてね、私も五十嵐君と同じだったりして」

 

藍が取り出したのは五十嵐と同じ新作ゲームのチケットだ

 

「ふふふ、一期から見てたのよ」

 

藍の携帯には通話中~藤沢彩菜~となっている。

今回の作戦は……。

 

 

◇◆◇◆

 

 

=藤沢家・彩菜の私室=

 

 

色々な化粧道具や可愛らしい服を用意している。

 

「彩菜ちゃん、今度は何を……?」

 

「貴方に似合うのはどんなのかなって……」

 

「ム、ムリだよ!そんな可愛いの……私なんて地味だし……」

 

彩菜は藍の肩を手に置き大丈夫だと安心させる。

 

「そんなの思い込みよ。あなたは磨けばちゃんと光るよ。クラスの連中に見返してやりましょ」

 

「見返す?」

 

彩菜の意図が解らず藍は聞き返すが統磨が口を開く。

 

「お前を無視している上辺しか見れない奴らを驚かせてやるのさ」

 

「うー……私にできるかな?」

 

「大丈夫よ。私に任せて。それが今回のターゲット―――五十嵐隼人だからね」

 

「ボンボンの金持ち野郎でクラスに金をばら撒いていい気になっている奴だ」

 

「特に華やかな女子に対する金の使い方は豪快だから、必ず食いつくわ」

 

彩菜が藍を着替えさせようとしたが……統磨を見て。

 

「あん?なんだよ?」

 

「女の子の着替えをそのまま見るつもり?」

 

彩菜の言葉に藍は顔を赤くして、彩菜の後ろに隠れる。

 

「おっと、それは失礼……フフフフフフッ」

 

統磨は立ち上がり、部屋を出ていく。

その時間がかかったのは……2時間である。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「いやー、本物の声優さんからサインを貰えるなんて」

 

「近くで見ると可愛かったよね」

 

「そうだね。でも、驚きなのは君だよ。そうだ、これからランチでもどう?」

 

二人はマックで食べており、好きな作品を語っていた。

 

「驚きなのはそんなに美人だよ。いつもそんな感じでいればいいのに……」

 

「学校では目立ちたくないよ。それに私なんて敵わないよ……彩菜ちゃんには」

 

「彩菜ちゃんって……藤沢の事?」

 

隼人は訝しむ表情になる。

 

「藤沢は無愛想で自己中で……皆から攻撃されるんだ。

 特に最近では黒土と付き合っている見かけているよ。

 黒土は不良グループとは違った悪さをしていると聞いているし。

 あんな奴らと付き合っていたら藍まで酷い目にあうよ」

 

その言葉に藍は隼人を睨む。

 

「ど、どうしたの?大丈夫だよ!

 僕は不良たちに毎月お金を払っているからさ。

 だったら、藍に手を出すなって頼んであげるよ」

 

「やめて……そんなの必要ないから」

 

「そ、そうだよね。藍は皆からむしされているだけなんだし……。

 あ、いいや!!そんなことじゃなくて……。

 ごめん、ちょっとお手洗いに……」

 

隼人はそそくさとトイレへ向かう。

藍は隼人の本性や、いない者扱いされたこと、なによりも彩菜と統磨の悪口を言われて、ぎゅっと手を握った。

 

 

◆◆◆◆

 

 

気まずい雰囲気になり、なんとかしようと考えている隼人。

すると、ファンション店で可愛らしい服を見つけて、鞄から財布を取り出そうとするが……

 

「あっ?あれ……?」

 

「どうかしたの?」

 

「いや……その……おかしい、財布をどこかで落としたのかな?すぐ戻るから!」

 

隼人は先程の店に戻り、藍は隼人の背中を見ていた。

 

「上手くできたよ。彩菜ちゃん、黒土さん」

 

藍の背後に彩菜と統磨が立っていた。

隼人がトイレに行っている間、財布を抜き取ったのだ。

 

「凄いわね。どうする?戦利品としてもらう?」

 

彩菜は中身の金をとろうと勧めるが藍は首を横に振る。

お金には興味なく、親友を侮辱して冷淡な目となっている。

 

「いらないよ、汚らしい……」

 

「じゃあ……予定通り……」

 

財布は見つからず、トボトボと歩いている隼人

 

(……どこに行ったんだろう、交番にあるのなら……)

 

僅かな希望を信じて行こうとしたが―――。

ガラの悪い三人組が財布を持って話していた、良く見るとあの財布は……

 

「ん?何見てんだよ?……あ、もしかして、この財布の持ち主か?」

 

「カードに住所が書いてあるからさ。届けようかと思っていたけどさ」

 

「どうだ?俺たちと友達にならないか?これから毎日家に迎えに行くわ」

 

無くした財布が学校の不良連中とは違う意味で、捕まってしまった……。

 

 

◇◇◇◇

 

 

=黒土家・統磨の部屋=

 

 

順調に進む復讐、次なる獲物をどう始末するか練っている統磨。

すると、声がかけられる。

 

「統磨さま、お話宜しいでしょうか……?」

 

「……入れ」

 

部屋に入ってきたのは家政婦の麗華だ。

統磨は向き合って、彼女と話をする。

 

「友達ができたと聞いて、驚きましたが……復讐に手を貸すという契約をしたのですね」

 

「ああ、そうだ」

 

「……どうしてなんですか?」

 

「あいつは俺と似ているからだ。

 奪われて絶望し、全てに復讐し破壊するという眼をしていた。

 だから、俺はあいつに復讐する手助けをした」

 

ポッキーを一本取り、食う。

 

「それに、彩菜を助けなかったら女としての尊厳を奪われるところだった。

 ネットで拡散していた彩菜の情報を虱潰しで削除していたことを忘れたわけじゃないだろうな?」

 

「存じております。あのような非道が行われるなんて……同じ人間なのに」

 

「同じ人間だからだ、躊躇(ちゅうちょ)無く人を傷つけても何も思わない。

 だが、やった人間は忘れるがやられた人間は死ぬまで覚えている。

 ……復讐しても何も変わることは無い」

 

「解っているのでしたら……!!」

 

「復讐を止めろってか?一度、決めたモノは止めることはできない」

 

麗華は俯き、身体を震わす。

 

「麗華、いや……ねえさん。俺は拾ってくれた義母さんに感謝している。

 遊び相手として教育係として育ててくれたアンタに感謝している。

 こんなバカな事をした、俺を侮蔑し恨んでも構わん」

 

「侮蔑しません……恨みません……。ただ、私は貴方が無事でいて欲しいのです」

 

麗華は統磨の手をギュッと握りしめる。

いつかは報復される時が来るかもしれないが、この復讐劇は止めることはできない。

全てを―――狩るまで。

 

 

◇◇◇◇

 

 

=旧校舎=

 

 

「あぐっ!!」

 

「森谷直人、おまえ……蓮に唆されて、彩菜と付き合っている勘違いしているんだろ?

 ククククッ、頭の中まで花畑か?傑作だな?」

 

統磨は直人に問い詰めていた。

夏休み前、彩菜と同じクラスの亮と告白しようとしたが、直人と付き合っているという事になっていた。

だが、それは蓮が裏で糸を引いていた。

それを勘違いしたのか、ツイッターやラインなどでしていたのだ。

このまま、こいつをどうやって始末しようかと考えていたが――――。

 

「今の話本当なのか……?」

 

声がする方を見ると北浦亮がいた。

 

「本当だ。こいつは蓮に唆されて、お前の告白を滅茶苦茶にしたさ」

 

「う……うわああああ!!」

 

森谷は転びながらも逃げるが、途中で転んだためかボロボロになるがそんな事は気にせずに逃げた。

 

「お前は、彩菜と一緒にいると聞いてたけど……何かしたんじゃないよな?」

 

「何かした?あいつの身体を貪っていると言ったら?」

 

亮はキッと鋭い目で睨む、統磨は両手を上げてククククッと笑う。

 

「おいおい、冗談に決まっているだろ?あんな貧相な身体は俺の好みじゃない。

 じゃあ、良い事を教えてやるよ。

 蓮はなぁ、一真と大輔を使って彩菜を凌辱しようとしたさ」

 

その言葉に驚愕する亮、彩菜のイジメがそこまで深刻になっていたとは……。

 

「まぁ、俺が寸前の所で止めたけどな。

 他にも優斗だって多くの女性と関係を持って部屋に連れ込む。

 彩菜だって、危うく餌食にされそうになったところを救ったんだ。

 感謝してほしいね」

 

「だけど、彩菜をイジメから助けていないだろ!!」

 

「それを言うなら、お前だって同じだろ?

 大方、お前の友人が見せない様にウソの情報を流していたんだろ?

 真実を見せないようにするのは本当に友情と言えるのか?」

 

統磨は亮の隣を通り過ぎていく。

 

「正義感が強いと聞いてたが……あの告白で、弱虫になったのか?偽善者」

 

統磨はそう言って、立ち去る。

亮は確かにあの時の告白で弱気になって彩菜を見捨てたようなことをした。

だが……先程の会話を聞いて、全ては蓮が仕組んだことを知る。

 

「彩菜、許してくれとは言わない。偽善者だと思っても構わない。今度こそ、守りたい」

 

そう決意し、蓮に会って、真相を確かめるべく行動する。




今回はそれほど派手に復讐はしてない。

タイトルは統磨と麗華との会話。

姉弟のような感じに育った二人は特別な関係だが……復讐の手助けをする彼女はただその行動を静かに見守ることしかできない。

次回は……復讐関連は休みで少しの日常です。
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