株式会社 鎮守府   作:不可

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11. 軽巡洋艦筆頭

 先頭を切って輸送船を先導しているのは軽巡洋艦の艦娘、球磨だ。

 球磨型軽巡洋艦一番艦と言う、いわゆるネームシップたる彼女は、姉妹艦の長女でもあり、ウチの鎮守府の軽巡組の取りまとめ役でもある。

 

 キノコみたいなのにロングな茶髪と、アンテナなのかと見紛うほど立派なアホ毛。

 これだけでも十分面白いのに、可愛い顔して「クマ」が語尾という、トンデモ艦娘の一人だ。

 

 しかしこれで中々頼れるヤツで、戦闘はもちろんのこと、艦娘たちの世話も結構焼いてくれる。

 独特のキャラからは想像もつかないくらい信頼を寄せられているお姉ちゃんキャラだ。

 

「おー、提督だクマ! 出迎えご苦労だクマー! お前たちー! もうちょっとだから頑張るクマー!」

 

 まだそれなりに距離があるんだが、ここまでハッキリ聞こえてくるとは、あいつ一体どんだけ声でかいんだよ。

 

「旗艦球磨、以下四名とおまけの龍驤。買い出し任務無事完了だクマ!」

「うむ、ご苦労様。急ぎの報告がなければ全員補給と修復後に休憩していいぞ」

 

 何事も無く入港したコンテナ船と左右後方で対潜警戒をしていた駆逐艦の暁・響・雷、それとコンテナ船に同調していた電、それにコンテナ船に便乗していた龍驤が波止場の一角で並んでいる。

 コンテナ船の荷物は妖精さんたちが港湾施設のクレーンやら牽引車やらで運び出し、購入物資は鎮守府の購買部へ輸送し、空コンテナには次の輸送物資を詰め込んでいっている。

 船体の簡易メンテナンスも平行して行っており、作業が順調に終われば明朝にまた出港していく。

 

「龍驤が出航時間に間に合わなずに、沖合で追いついて合流したことくらいクマ」

「ちょおっ! そ、それは言わんといてって、ウチお願いしとったやんかぁ~!」

「知らないクマ。遅刻したくせに一人楽してずっとコンテナ船でダラダラしていた軽空母なんか知らないクマ」

「……ほぅ。元一航戦の龍驤くんは作戦行動における時間管理に対する認識と、報告に対する真摯さに関していささか問題が見られるようだね?」

 

 作戦には真面目な龍驤が集合時間に遅れるとは珍しい。

 休暇中の行動をとやかく言うつもりはないが、買い出し部隊と一緒に行動する以上は予定された時間を守らねば。

 

「い、いやぁ。ややなぁ、もう! ウチは別に、そんなつもりじゃ……」

「あらあら、龍驤さん? でしたら詳細な報告を、執務室でしていただけますよね?」

「ち、筑摩までぇ……? 冗談キツイで……」

「冗談なものか。よし。とりあえず暁・響・雷・電の四人は解散。ご苦労だった。しっかり休んでおけよ」

 

 球磨の様子を見るに、他に急ぎの報告も無さそうだし、暁型の四人はもう解散させるか。なんだかんだで疲れているだろう。

 

「あら、レディーなら当然よ」

「ああ。それに艦娘に頼らない防衛施設の見学もできたからね。実に有意義だったよ」

「そうよ! 提督、もっと頼っていいのよ!」

「輸送船を動かすのも楽しかったのです」

 

 相変わらずこいつらは素直だし元気だな。

 駆逐艦組は元々元気なヤツが多いが、改めてそう思う。

 艦種が大きくなるに連れて、元気があるヤツは元気というか脳筋だったり一癖あったりするからなぁ。

 まっすぐに元気なこいつらは素直に可愛い。

 

「じゃあ詳しい話は執務室で聞こう。球磨、龍驤の両名は大人しくついてくるように」

「了解だクマ」

「ウソやろ! ウチなんも悪いことしてへんって! ついうっかり、不可抗力やねんって~!」

 

 きゃいきゃい騒ぎながら港を後にした四人を見送ってから、俺達も執務室に向かった。

 途中で往生際悪くも龍驤がぎゃあぎゃあ騒いでいたが、こいつも元気だよなぁ。

 やっぱり駆逐艦とサイズが変わらないからか、軽空母にしては珍しく、割りと素直に元気だ。

 

「なんや、よぉわからんけど、失礼な空気を感じるで……?」

「何だそれは」

「提督が失礼なのはいつものことだクマ」

「おいおい、球磨ちゃん? 随分つれないじゃねぇか」

 

 わしゃわしゃと球磨の頭を撫でながら文句を言う。こんなに愛情たっぷりに接しているのに、どうしてこうも素っ気ない言葉を言ってくれるんでしょうか、この娘は!

 

「撫で撫でしないでほしいクマ! そういうところが失礼なんだクマ!」

 

 普段はお姉ちゃんお姉ちゃんしているからか、球磨は自分から甘えるのはたまにしてくるが、こうしてこっちから可愛がってやると妙に照れる。

 今も口調こそちょっと強めだが、口元がニヤついているし、顔もちょっと赤らんでる。なんかもう、可愛いなぁこいつ。

 

「なんでウチ、こんな腹の足しにもならんイチャイチャを見せつけられてるん?」

「まぁまぁ。とにかく執務室に行きましょうね、皆さん」

 

 筑摩の声掛けで我に返った俺は、名残惜しさを覚えつつも球磨の頭から手を離した。

 離れ際、球磨の顔に少し残念そうな表情が浮かんだのを見て、言い知れない昂揚を覚えたが、努めて冷静に振り返り、ごく自然に何もなかったかのような態度で一路執務室を目指した。

 

「なぁ……なんであの人あんな固い決意秘めたような顔で歩いてるん……?」

「あらあら」




意外に優秀な球磨ちゃん、ってよく言ってるお人は是非とも今すぐ正座しやがってあそばされください。
意外ってなんっすか! 意外でもなんでもなく、球磨ちゃんは優秀です!
昼でも戦艦をワンパンで沈めたりするんですよ!
クマクマうっさい球磨ねーちゃん、マジ頬ずりしたいかわいい。

駆逐艦で初登場は龍驤でしたね。
暁型は人気高いですし、自分で書くのもどうかな、とは思っていたのですが、初期艦だったので、やっぱり登場してもらいました。
陽炎ちゃんも好きなんですが、陽炎型が我が鎮守府には揃ったことないので、難しいです。
ここまで書いてて思い出しましたけど、以前潮書いていましたね。
アワレにも天龍を訓練棲鬼のスペシャルトレーニングに招待するためのダシに使われた彼女ですが、作者はロリ巨乳も当然アリだと思います。龍驤ちゃんも好きです。
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