艦これ ~時が刻んだ傷跡~   作:杜木 馨

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おまたせしました!!!
さてだいぶ日が空きましたね!
艦これゲームの方も新しくなり、心機一転頑張って行きますよ!!
ではどうぞ!


Fleet 44『防空戦の先に』

 現在二手に分かれて進行中

 

 飛騨、こんごう、吹雪、榛名の深海棲艦Aを撃破する艦隊

 

 夕立、暁(大破)、神通(大破)、睦月(中破)、響(中破)、羽黒(小破)

 鎮守府に帰還する艦隊。

 

 だがそう簡単に帰ることが出来るわけなかった。

 鎮守府に帰還する艦隊と分かれ、深海戦艦Aと交戦状態に入るのにそれほど時間はかからなかった。

 ミサイルを使用した戦闘は残弾が不足しているので、先送りにしてすぐに砲雷撃戦に入った。

 戦闘はこちらが有利に動いていた。

 

「吹雪ちゃん!!4時の方向に駆逐艦!!!魚雷撃って!!」

「はい!!」

 

 右に40度向いて駆逐艦を視認して魚雷を発射する。

 吹雪は飛騨からの指示に的確に動いていた。

 発射された魚雷は真直ぐ、深海棲艦の駆逐艦に向かって進み、

 深海棲艦の数は情報通りで戦艦ル級が2隻、重巡ネ級が1隻、駆逐が4隻だ。

 今のところ問題なく処理できている。

 

「榛名さん!戦艦ル級に一斉射(いっせいしゃ)!」

「はい!榛名行きます」

 

 距離はそこまで遠くはない、正面に見える戦艦ル級に、二人の主砲、全砲門向けられ、轟音が轟く。

 水平に砲弾が飛翔し、ル級2隻に砲弾が命中する。

 1発も外す事のない飛騨の主砲。

 ル級は反撃する事なく、沈んでいく。

 他の深海棲艦も無事に撃沈したようだ。

 

「榛名さん、吹雪ちゃん損害状況は?」

「はい、榛名は大丈夫です!」

「私も大丈夫です!!」

 

 どうやら被害はなく、二人と無傷で済んだみたいだ。

 訓練をして、防空戦をした後でみんなよく頑張っている。

 飛騨は不意に「よし」と呟いた。

 

「こんごう!そろそろ向かうぞ」

 

 飛騨がこんごうに指示を出したその時だった。

 飛騨が何かを感じたようだ。

 それも良くない方だ。

 

「ん!」

「どうした、」

 

 飛騨の少し違う挙動にこんごうが反応した。

 

「くそ、やられた」

 

 どうやら向こうで護衛についていた二人の機体が撃墜されたようだ。

 

  ♢ ♢ ♢  

 

 飛騨と榛名たちがまだ深海棲艦Aと戦闘をしているその頃。

 

「これってまずいっぽい?」

 

 夕立が空を見上げながら、そう呟いた。

 進行方向とは逆の方向。

 斜め後ろ5時の方向から敵機、深海棲艦の艦上機が襲撃してきた。

 

「大破している神通さん、暁ちゃんを中心に両脇を睦月ちゃん響ちゃんが固めて!

 夕立ちゃんは周囲を警戒しながら迎撃して!!」

 

 重巡洋艦でまだ余裕のある羽黒が指揮を取る。

 

「夕立行くよ!!!」

「暁もまだ、出来るんだから」

「睦月も頑張るよ!!」

 

 暁は大破しているが、頑張るようだ。

 それに睦月や響きも、羽黒と夕立はさらに頑張って二人を、全員を守るようだ。

 そもそも深海棲艦の艦上機に気がついたのは、飛騨たちが護衛のために付けていた戦闘機からの情報だった。

 

 そしてまた、対空戦闘が始まる。

 敵機の数はおよそ50機。

 黒光りする逆三角の形をした深海棲艦の艦上機だ。

 それに数機だけ白い丸いのがいる。

 この損耗している艦隊になぜここまで航空機が追いかけて来るのか。

 深海棲艦は最初に艦攻による魚雷攻撃を始めた。

 

「みんな魚雷来るよ!!避けて!」

 

 密集していた陣形が崩れる。

 各々魚雷を回避して集結する。

 

「睦月ちゃん上!!」

「きゃー」

 

 次は爆撃や機銃掃射。

 鎮守府に帰還中の艦隊は防空戦を強いざれていた。

 

「数はそれほど多くないは、みんな各個撃破して!!」

「みんな頑張るっぽい!」

 

 深海棲艦の艦上機の攻撃がどんどん強くなってくる。

 訓練からの帰還途中である艦娘達は、訓練の疲れを残した状態での戦闘になっている。

 先の防空戦での疲れなど、砲撃の命中率はとても低い。

 数はそれほど多くはないが、弾薬が限られている中での戦闘だ、無駄撃ちはできない。

 

「これって、まずいぽい??」

「どうしたの?」

 

 夕立が空を見ながら指を刺していた。

 夕立の言葉に反応した羽黒が同じく空を見上げた。

 

「嘘...」

 

 と呟き、口を手で覆う。

 二人が空を見上げているの気がついて他の艦娘たちも空を見上げた。

 その空を飛ぶ深海棲艦の艦上機の数は絶望でしかなかった。

 ざっと見ても100機以上いる、それを目の前にして不安の表情を浮かべる艦娘たち。

 3分の1が丸い白い色をしたたこ焼き型の艦上機が

 

「み、みなさん、き気を引き締めてください!」

 

 羽黒がそう言う。

 そう言うしか言葉がない。

 

「うん、でもこれって……」

「暁ちゃん……」

「暁、目に海水が、海水が入っただけ……だもん……、ぐすん、」

 

 今まで我慢していたのか、暁の目に涙が滲み出て来る。

 流石にこれだけの深海棲艦の艦上機を見たことはここにいる艦娘たちは経験がないだろう。

 それも空母いない。

 護衛してくれる戦闘機すらいないのだから。

 絶望がみんなを襲う。

 だが一人まだ諦めていない。

 

「ガンバろう!みんなで必ず母港に帰ろう!」

 

 大破してボロボロになった神通がそういい後押しする。

 

 正直この艦上機の数相手に味方の航空戦力なしでの勝ち目はないだろう。

 敵機が降下し始め、爆弾の投下体制に入る。

 そして遠くからは低空で近づく敵機は、魚雷を発射し離脱する。

 羽黒たちは魚雷を確認すると、回避行動に入るが、うまく回避できない。

 燃料や、弾薬ももう底を尽きかけている。

 そのうえ直上からは爆弾が降り注ぐ。

 地獄絵図だ、こんな経験をすれば2度と外に、海上に出れないかもしれない。

 だが彼女たちは艦娘だ、覚悟はできているはずだ。

 

「あ!飛騨さんの戦闘機ちゃんが!!」

 

 飛騨が随伴させていたF-35JCが撃墜されたのだ。

 

 そして回避行動に夢中になっている夕立に、艦上機が迫る。

 夕立は直上の艦上機が見えていなかった。

 敵機が爆弾を投下するコースに入った時だった。

 誰も夕立の直上を見る艦娘はいなかった。

 自分たちのことで精一杯で他の艦娘達のことまで手が回らない。

 

 その時だった突如として、音速を超える白い物体が敵機を捉え、夕立の直上にいる爆撃体制に入った敵機に当り爆発霧散する。

 それが同時に艦娘達の近いところで爆発する。

 ドン!!ドカーンと、次々に深海棲艦の艦上機が撃破されていく。

 上空で黒煙が上がり、破片が海面に落ちて来る。

 

『敵機を捕捉。第二次攻撃開始します』

 

 少し離れた海域の上空を飛ぶ戦闘機。

 プロペラがない、零戦ではない。

 ジェットエンジンが搭載されている戦闘機。

 そうこれは雷龍から発艦したF/A-18EJ、その数はおおよそ30機。

 そのF/A-18EJが敵機をロックオンし細長く白いミサイルが次々と発射される。

 1機6発のミサイルが、計20機から発射される。そのミサイルの数は120発。

 それが深海棲艦の艦上機に向かって白い尾を引いて飛行する。

 ミサイルの速度は音速を超え、すぐさま防空戦をしている艦娘達の上空に達する。

 

 空を覆うほどの白い筋。

 追いかけられている事を自覚し回避行動に入る。

 だがミサイル速度に勝てるわけもなく一瞬にして半分以上が撃墜される。

 ミサイルの白煙の筋が入り乱れ空の雲が乱れる。

 

 ミサイル攻撃のあとはドッグファイトに入った。

 ランダムな軌道でF/A-18EJを翻弄する深海棲艦の艦上機。

 だが振り切ることが出来ても反撃の余地がない。

 F/A-18EJの圧倒的な火力の前では無意味、至近距離で機銃を受け粉々に粉砕される。

 上空を覆っていた敵機は一機も残らずに撃破された。

 

 一瞬、正確には10分ほどの出来事だが、現場にいた艦娘達にとっては一瞬のように時が過ぎ去った。

 

「みんな大丈夫か!?!?」

「雷龍さん!」

 

 夕立が雷龍の元へ近寄る。

 空母の雷龍はミサイル駆逐艦である、みょうこうと一緒に来ていた。

 

「なんとか間に合ったみたいだね」

 

 雷龍は辺りを見て言葉を続けた。

 みんな海面に座り込んでいた。

 疲れた顔をしている、よほど大変な戦闘をしていたのだろう、と雷龍は瞬時に思った。

 

「飛騨から連絡を受けて近くを航行してたからよかった」

「ありがとうございます」

「だが、まだ油断はできない状態だよ、最悪の事態は避けたようだけど」

 

 そこに全速力で駆けつけた飛騨が合流した。

 飛騨レーダーで雷龍が来ているのを知っていたが、早くに合流したいと思って、飛ばして来たのだ。

 

「雷龍間に合ったようだな、ありがとう」

 

 飛騨が雷龍に近づきお礼を言う。

 雷龍は艦載機を左腕の甲板を利用して着艦させる。

 艦載機がエレベーターで消えた後少したって、砲弾らしきものを雷龍は手にしていた。

 

「にしてもこの海域は深海棲艦の出没率が低いはずでは?」

「そうなんだが、それに今回の敵のボスはどうやら空母棲鬼のようだ」

 

 わざわざ出没率が低いところに来たのだが。

 

「このまま見逃すのはまずいな」

「あぁ、それに彼女らの進行方向は鎮守府に向かっている」

「まさか、」

 

 二人の会話は少し途切れ時に吹雪が間に入ってきた。

 

「それってどういう事ですか?」

 

 吹雪は疑問に思ったことを聞いてきた。

 飛騨と雷龍の頭の中では言葉を交わさずとも分かっていた事がったが、それを答える。

 

「簡単な話だ、深海棲艦が我々の拠点としている鎮守府に攻撃を仕掛けに行く可能性がある。といことだ」

「早く長門さんや大淀さんに連絡しないと!!」

 

 その事を聞いて吹雪はすぐに長門さんに言う事進言した。

 だがその答えはすぐに返された。

 

「あぁ、そうだなだが今はできない。」

「なぜ!?」

「俺たちの積んでいる通信装置はこの世界の物と互換性がない、君たちにそれを託したいが、壊れているだろ?」

「そ、それは……、」

 

 そうこの戦闘でみんな無線が故障してしまっている。

 修復するにも手段がない。

 ヘリを飛ばすとい手段もあるがそれでも少し時間がかかてしまうえ、あまり信憑性がないと言われかねない。

 

「雷龍、お前は大破中破している彼女たちを護衛して帰還してくれ、俺はこのまま相手をする」

「飛騨何を言う!!ここ一回帰還して体制を立て直してから・・・」

 

 飛騨は単艦でこれから来るであろう深海棲艦と戦闘をしよとしているのだ。

 彼ら、艦帝たちは実弾も積んでいるが、エネルギー弾による攻撃も可能だ。

 だからまだ攻撃手段がなくなったわけではない。

 

「空母棲鬼との距離はそう遠くない。それにこちらは低速だ、相手は空母棲鬼といえ速度は早いだろう。」

 

 この速度とは航行速度のことだ。

 時間はかかったとしても、鎮守府に着く前に追いつかれてしまう可能性がある。

 そうなれば損傷している艦娘達は沈むだろう。

 飛騨と雷龍の会話に榛名が割って入って来た。

 

「飛騨さん!!私も、榛名も付いていきます」

「俺も付いて行く」

「こんごう、お前は傷を負っている、そのまま帰還しろ、榛名さんは……」

 

 こんごうの肩を右手で抑えて制する。

 榛名の言葉に対してうまく返事ができなく口ごもる。

 

「飛騨、いやここ一旦帰還しよう。まだ後退しながらの戦闘の方が。」

「ダメだそれでは間に合わないかもしれない。それにいざとなればあれを使う」

「飛騨……」

 

 飛騨と雷龍は互いを見合う。

 飛騨は雷龍に対して話を続けた。

 

「雷龍……、それにん!?」

 

 飛騨が後ろをむいて、自分が来た方向を向いて呟く。

 

「どうやら判断が遅かったよだな」

「あぁ、」

 

 飛騨が来た方向から何やら黒いもやが、どんどん大きくなってくる。

 遅かった。

 そう、判断が遅かった。

 それよりも完全に防空戦で足を止められた。

 

「雷龍!発艦作業に入れ!!対艦戦闘をする」

「飛騨!」

「総員対艦戦闘準備!!!大破中破した艦は距離を取り回避行動を優先、戦線離脱を最優先とせよ」

「飛騨!勝手な戦闘指揮は、」

 

 雷龍が飛騨の指示に意を唱えるが、飛騨は背中を向けたまま腕を横に出して、雷龍を静止させる。

 雷龍はその腕をつかもうとしたが。

 

「今は俺が指揮をとっている、俺の艦隊だ口を出さないでくれ」

「飛騨さん」

 

 飛騨のいつもは見せない強気な態度にみんなが焦り出す。

 そして飛騨の名前を口々呟いた。

 

「飛騨、」

 

 飛騨は一度めをつむり、頭の整理をした。

 ここでは俺は深海棲艦の足止めをする。

 

「雷龍お前の言いたいことはわかる、だが俺は戦艦だ、戦艦はいざとなれば防御力の低い艦娘達を守らなければならない。

 それが俺の役目だ。わかってくれ」

 

 飛騨は目を開けた。

 一瞬深海棲艦と目があった気がしたが、流石に遠すぎるだろう。

 

「俺が全力で君たちを守る、全員生きて帰るぞ」

 

 飛騨はそう言うと、黒いモヤがかかった方を凝視した。

 

 

 黒い靄の中には2隻の空母ヲ級、さらに数隻の重巡洋艦リ級に、ホ、ヘ級の軽巡洋艦が航行する。

 空母からは艦上機が飛び上がり先行する。

 さらに無数のイ、ロ級の駆逐艦が先行する。

 奥の方に優雅に航行する大きな偽装を施した、ツインテールの深海棲艦が、飛騨達を見つけて、唇を少しはにかみさせた。

 その表情は微笑みは悪魔のように禍々しくも女神のように美しい。

 

「ヤット………、ミ〜ツケタ、」

 

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

いやぁ、長いっって!!(1ヶ月半・・・)
遅くなりました。
裏で新しい設定を考えたり、次章の準備をしたり・・・。と言い訳はこのくらいで。

今回は防空戦をメインで書いて見ました!
いやぁ最近あれですね、なぜか万全の体制で戦っていない気がするんですよね〜〜
そのほうが燃えないですか!?!?
苦戦しているところから形勢逆転!
いいですね〜
今回のヒーローは雷龍の艦載機ですね!
ミサイルと深海棲艦の防空戦も書いてみたのですが、上手く伝わっていたら幸いです。

さて次回はこの章最終回です!!!
さて無事に帰れるのか!お楽しみに〜〜

※投稿が遅れてしまい申し訳ありません。もうしばらくお待ちください。
では!

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