では
「勝手に動いた?モビルスーツがか?」
「はい、俺は何もしてないのに勝手に動いて……」
アイザックはしばし考え
「ありえないな、一応モビルスーツにもオートで動く機能はあるが、せいぜい物をつかむ動作や基本動作だ
君の……オーウェン君の言うことに対しては信憑性がない」
「でも、俺はモビルスーツに1回も乗ったことがないんですよ?
そんな素人が軍人の乗ったモビルスーツを落とせるわけがないですよ」
「そうだな……その通りだと思うよ」
オーウェンが連行されてから3日が経過していた
アイザックたちの厚意により、監視付きとはいえ拘束が解かれていたオーウェン
そして第8小隊は補給のためシグマ基地という場所にいた
「なんで俺がまたモビルスーツに乗らなきゃいけないんです!!」
「しょうがないだろう、あのモビルスーツはなぜか君以外が乗ろうとするとハッチが閉じるし、
おそらく乗れたとしても操作を受け付けないだろうと判断した」
「ちょっと!!トーマスさんもアイザックさんも押さないでください!!」
「いいから乗りなって、この機体はお前さんがお好きらしいんだからよ」
「喜べませんよ!!ちょっと……、落ちる!!」
オーウェンは横になっていたアデリーランドのシートに落ちた
「最近後頭部ばっか……!!」
『welcome aboard』
「何がようこそだ!!痛て……!!」
後頭部に残る痛みに耐えてると、ポケットに入ってる無線機から音がした
「あ、はい!オーウェンです」
『アイザックだ、無事に乗れたのかい?』
「無事ですよ、頭以外は」
『氷嚢を用意しておくよ、ところで、そのコクピットでシミュレーションはできないか?』
「シミュレーションですか?あ、あります自己主張が激しいですけど押せばいいのか?」
『engage in a simulation exercise』
画面に『GO』と出た瞬間、周りの景色が変わった
先ほどまで森林地帯にいたはずなのに、今では山脈地帯にいた
「すげぇ、リアルにできてる」
周りに気を取られているとコクピット内に警告音がなる
「どこ!?」
レーダーを確認すると、中心の自機の7時方向に赤い点が存在する
「後ろかよ!!」
即座に操縦幹を動かし、時計回りに回り、7時方向を見ると敵機の攻撃を受けたと表示された
オーウェンは操縦幹を動かすがもう動かない
『downed』
撃墜、ただその一言がでかでかと表示された
その後、7時方向の敵に対して時計周りをするな
レーダーを見過ぎである
など、画面内に映像つきで流れ、お手本の動きまで流れる
「下手くそって言いたいの?」
『yes』
「……やってやる、満点取ってやるからな!!」
コクピットにいるオーウェンにはわからなかったが、ここにアイザックや他の人物がいれば
このやり取りがおかしい事に気がつくだろう
コンピュータは時代の流れとともに進化していった、人工知能もそうである
受け答えができるロボットというのも考えられており、
既に簡単な受け答えができるロボットが試験的に導入されている
しかし、今日開発されているどのロボットであろうと、人間のような受け答えはできない
プログラミングされている音声以外は出ず、プログラミングされた言葉以外は理解すらできない
オーウェンがシミュレーションを始めて1時間が経過しているが、オーウェンと機械との会話はまるで
人間の会話のそれであった
「何が下手くそだ、やってやったぜ全機撃墜……!!
さすがに満点だろう」
モニターに出されたのは大量の手が拍手をすると共にモニター中央に出された”13点”の文字である
「おい、壊れてるんじゃないかこれ?」
『Am I broken?』
「あれで13点はないだろう」
『Worn-out article...?』
「ん?あぁ、ポンコツ」
『I'm not broken.
The result is because you're stupid and they're clumsy.
Is your head anything soft?』
「は……!?俺が下手くそ!?ポンコツのくせに何言ってやがる!!」
『Poor』
結果、この日オーウェンがコクピットから出てきたのは夕飯の時間になった
氷嚢の中の氷はとっくに水になっていた
「まぁ、コンピュータから50点は取らなきゃ実戦は無理だなぁ」
「えっ!?トーマスさん、俺実戦に出ないといけないんですか!?」
「そうでもなきゃあ、牢屋で過ごすだけだぞ~?」
「……これが地球軍のやり方ですか?」
飲んでいたマグカップから口を外し、アイザックが答える
「そうだ、これが私たちのやり方だ
恨んでくれても構わない」
「だからって……戦争しろって!!」
「君はもう戦争したじゃないか、立派に」
「納得できませんよ……俺には」
オーウェンは顔に影を落としながら、皆の元から離れた
「…………」
「気になるか?イーサン」
「自分も……同じでしたから……」
「そうだな、お前も彼と同じような境遇だった」
フランスパンを齧りながら、リアはこの場にいる皆に聞いた
「結局皆はん、オーウェン君に何かありまふぅね」
「もの食いながらしゃべんじゃねえぞ?ボロボロクズが落ちてるじゃねぇか」
「ンッ……失礼しました」
「まぁ、そうだな……あのガキを見ると息子のことを思い出させやがる……
似てんだよなぁ……見た目じゃねぇが、雰囲気ってやつが」
「私も、恋人に似てると思うんです……境遇が似ているからでしょうか?
……そういえば、隊長からはオーウェン君が誰に似ているとは聞いてませんよね?」
「あぁ、確かに私は似ているとだけ言ってたな」
「で?誰に似ているんです?恋人さんですか?」
「リアちゃん……?自分の階級わかってる?」
「まぁ、今はそんなに厳しくしなくてもいいだろう
そうだな、私にも彼が似ていると思うよ……”ペットのアレックスに”」
「……ペットって」
「あぁ!!確かにあのガキはあの犬に似ているな!!」
「アレックスは彼みたいな犬なんだ
私が寂しい時にはいつも傍に居てくれてね……アレックスは寿命で死んでしまったが、
そのすぐ後に彼が来たから……雰囲気も似ていてね」
「確かあの犬は食いもんなら何でも尻尾振ってやってきたよなぁ……
おーい!!ガキ!!俺のデザートやるから戻って来ーい!!」
「いや、流石にそれじゃ……」
「本当にですか!?」
「…………。」
一秒くらいの沈黙の後、オーウェン以外の全員が笑っていた
「いや~、笑った笑った!!もう幸せだな」
「まさか笑った顔を見たことがないイーサン少尉まで笑うとは……」
「私が似ているとは言ったが、ここまで似ているとは思わなかったよ」
「くっ……ふふ……」
デザートがもらえると聞いてやってきたオーウェンだが、いきなり笑われたことに驚きと怒りと、
それを上回る恥ずかしさがあった
「結局!!デザートは!!」
「ほらあるぞ?アレックス」
再び、一秒ほどの沈黙の後、笑いが起こった
エレファント 近接型試作機
地球軍がスペースアースのMSの情報から製造した試作型のMS
地球に攻めてくるスペースアース軍の進行速度が速かったため、特殊な兵装はなく
機体の装甲はスペースアースのグラベルブルグに比べ、とても薄い
しかし、ジェネレータはグラネルブルグに比べ優秀であるため、機体の重量と相まって、近接戦闘能力が高い
近接戦闘を主とするためか、シールドは手から肘までの部分を防ぐことしかできない程の小型シールドである
シールドの先には突起が2つついており、格闘戦にも容易ることができる
本機は試験段階のビームサーベルを装備している、ビームサーベルの収納場所は機体によってさまざまであり、バックパックに装備しているのをa型、脚部(ふくらはぎ)に収納しているのをb型と呼称する
これはまだMSが地球軍にとって最新機であるため、様々な場所での運用のデータを取るためである
未だ、クラクストンとアデリーランドしか汎用機を持たない地球軍は、急遽作った近接型のエレファントからもデータを取る必要があったからだ
頭頂高17.3m 36.8t
100mmマシンガン×1
グレネード×1
※グレネードは場合によってフラッシュグレネードやスモークグレネードに変更する
試作型ビームサーベル×1
近接シールド×1