深夜業は厳しいものがありますね……
今回は2話前の続きです、では
第8小隊はマブル基地で1時間ばかしの休息を取り、マブル基地から出ていた
アデリーランドが行った暴走は、死者13名、負傷者24名の大きな騒動になっていた
マブル基地では第8小隊の立場はないに等しかった
「はぁ、結局休むこともできずかよ」
『トーマス少尉、少しは口を慎め』
「でも隊長さんよ、このままじゃまずいんじゃねぇの?次の基地まで2日かかる」
『わかっている』
「ならなんで……」
『黙ってろと言っている!!トーマス少尉!!』
「……了解」
アイザックはマブル基地での騒動の原因がマブル基地にあるにも関わらず、その責任を取らされることになったことに苛立っていた
何より、付き合いは短いが、仲が良かったオーウェンが隠れて暴力を振るわれていたことに苛立っていた
それは第8小隊の全員が
アイザックとの通信を切り、頭を掻きながらトラックの中のリアと通信回路をあける
「リアちゃん、ガキの様子はどうなんだい」
『上半身は軽度の火傷で済んでます、後は身体の所々に切り傷です
……チッ、何も知らない人たちのせいで……』
「そう感情的になるなよリアちゃん、この事は証言するから身体の怪我の具合をカメラに撮っておいてくれ」
『はい少尉さん』
通信を切ると、トーマスは深くため息をついた
「仲良くなりすぎたのかねぇ……」
その声は、トーマスのいるコクピットの中にしか聞こえなかった
通信が切れると、リアとオーウェンはオーウェンの腕に抱かれている球体に目を向けた
『オーウェン!オーウェン!下手くそ!大丈夫?大丈夫?』
その球体は耳のような蓋をパタパタと動かし、合成された音声が流れる
「あのさ、せめて下手くそはなしにしてくれると喜べるんだけど」
『怪我!大丈夫?下手くそ!』
「あぁ、やっぱこいつあのモビルスーツのコンピュータです」
「そうなの?これ一昔前のペットおもちゃだよ?」
家庭用ペット玩具『ハロ』、発売されていたのは10年も前の話で、
大ブームこそあれど今では知る者は少ない商品であった
「でもこいつ俺のこと」
『下手くそ!』
「こう言ってますし、これが外れたおかげで、あの機体が止まって、
アイザックさんもハッチを開けられましたし……」
オーウェンがアデリーランドを止めた後、アイザックが機体に取り付き、ハッチを外から開けたのだが……
アデリーランドは鍵をもっていないパイロット以外を機体に入れない使用なっていた
「んー……次の基地とかで解析してみようかな?」
「できるんですか?」
「機械なんだから出来るにきまってるでしょ?」
「そうですか……」
「……どうしたの?」
『どうしたの?』
「……いえ、こいつは何で俺があの状況になった瞬間に来たのかなと……
アイザックさんたちも気づいてなかったんですよね?」
「私たちも気づいてなかったことにこの子が気づいてることが分からないのよ」
「まぁ、助けてくれたのは助けてくれたのか」
『大丈夫か?大丈夫か?』
パタパタと耳を動かして音声を発するハロであった
「A.L.C.の稼働状況は?」
「現在、ポッド状態で所持者の情報を収集しています」
「少女の状態は?」
「依然、睡眠状態です……この状態でどうしてA.L.C.を動かすことができるのでしょうか?」
「それはこの少女がニュータイプであるからだよ、
そうでなきゃなぜ漂流者の少女を地球まで攫ってこなければならない?」
「私には非人道的な実験は向かないのです、博士」
「だから君はメンタルケアの人員にまわされているだろう?」
「はい」
「ならばしっかり少女の状態を見ておくんだな……私はこのことを上に報告に行く」
「お疲れ様です……」
博士と言われている白衣を着た男が部屋を出る
部屋には若い青年が1人、コンピュータのディスプレイの前で悲しげな眼をしていた
「君は必ず私が助けるよ、必ずね……
オーウェン・オルティース……君はこの子を助けることが出来るのかな……?」
青年はコンピュータを操作する、するとディスプレイにはリアと話しているオーウェンが映っている
再びコンピュータを操作し、ディスプレイに今度は一糸纏っていない少女が映し出されていた
その少女は体中に電極などが貼り付けられており、その姿は青年にとってとても痛々しい姿であった
「この子が……ハルちゃんがニュータイプと感じた君になら……」
青年は隣に設置してある2mほどの大きさの球体の装置を抱きしめた
その機械の中にはディスプレイと同じ少女が入っていた
ハル・ストロー……A.L.C.のために地球軍が攫った少女の名前であった
A.L.C.
Active learning character computer
能動的学習人格コンピュータというもので、地球軍は極秘に開発したもの
本来は人を使わないものだったが、コンピュータのみのシステムでは限界があり、その代わりに人を媒体に使ったコンピュータをキャメロン博士の元作られた
媒体にされた人は全部で12名で、その全てが少女である
あらかじめスペースアースに恨みなどを持つよう、洗脳や調整といったものがされている
現在、1番2番のポッドの少女が謎の死亡事故を起こしており、残っている少女たちはメンタルケア等のプロフェッショナルが常についている
12番と言われる少女の名前はハル・ストローであり、現在稼働状態である数少ない少女である