ある日気付いたら、昔からやってたオンラインゲームのキャラクターになってた。
リアルの容姿より大分マシな顔だし、特殊技能――というか魔法も使えるし、と、そんなこんなで数年したら慣れてしまった。
ただまぁ、二回目の高校生活。日本に居てティーンエイジャーだったらば、学校に通わない奴は少数派なので、流れに身を任せてリスタートしてみた。案外それが楽しい。
そんなわけで、現在駒王学園二年生、占い研究会所属。秋津志岐。今日もおまじないシテオリマス。
俺が憑依したオンラインゲームのキャラクターは、アキツという不健康で気だるそうな少年の外見をしていた。
ステータスは、耐久スタミナパワーを捨て、魔法に特化。中でも、バッドステータスを与えることに全力を注ぐ厭らしいスキル構成をしていた。
毒や鈍足、衰弱に麻痺に幻覚などを使い、そのオンラインゲームにおいてバッドステータスの第一人者と言われたこともある。グランドクエストではデパフ使いとして重宝された。
といっても、この体が現実になってからは、大分変わった。呪いはまじない。研鑽によって、オンラインゲーム仕様ではない占い呪い祝福も出来るようになった。やはり呪いの方が遥かに強力なのだが。
さて、なんでこんなことを言うかといえば、俺の占いは的中率が高いと噂なのだ。占い研究会のエースとか言われている。エースといってもライバルいないのに何と戦うつもりなのか。
その俺に、今日も占いを頼む奴がいた。
「なぁなぁ、どんな感じだ?少しはいい結果になりそうかな!?」
そう言って目を輝かせる少年は、兵藤一誠。この学園において、変態三人組とかおっぱい野郎などと呼ばれている男だ。
覗きセクハラ発言当たり前。不埒な視線は標準装備。その上でハーレムを求める、よくわからん奴だ。
とはいえ、人間的には好ましい。真っ直ぐでどんなやつとも親身になって話せる優しさを持つ男。実際、覗きやらをしておきながら苛めやらに発展しないのは、女子が多少は寛大(報復はする)というのと、彼が嫌いにくい奴だからというのがある。
一言で纏めよう。バカ。
そんな彼に、彼女が出来たとかなんとか。詳しくは聞き流したし、めんどくさかったが、占いを頼まれたからには断れない。占いは俺のライフワークなのだ。
占いの内容は、デートが上手くいくかどうか。
なのだが………
「…あんまり、宜しくないね。その日、君の運勢は最悪。良いことがあった後に、最悪の不幸がある。フラれるとか、それ以上に」
「えええぇぇぇぇぇっ!!?」
うるさい。すぐそばで叫ばれて、眉をひそめる。
更には、肩を掴んでガクガク揺さぶってくる。視界が揺れて気持ち悪いし、肩も痛い。このボディはモヤシなのだ。もう少し配慮してほしい。
「な、なんとかなんないのか!?その不幸を、運勢をひっくり返す方法は!?」
「そ、の人の、好意、をっ、最だ、い限、引き出す、ことっ…そのく、らいっ」
「好意!?告白してもらえたのに、まだ好意が足りないのか!?ちくしょおおおお!!」
漸く解放され、痛い首に手を当てる。ため息。
叫ぶ変態に消しゴムを投げて言葉を続ける。
「…一応、まだ占いは残ってるよ。最悪の不幸、それを越えた先には変革が待ってる」
「へ、変革?」
「そう。周りも、君自身も。傷付くだろうけど、それ以上のものを得られる、そんな変革」
戸惑う兵藤の前でカードをシャッフル、一番上のカードを引き、見せる。
「…このカード。赤い竜が、君を変える。竜は強欲で暴力の化身。君は、力に溺れないようにね」
押し付けて、鞄を引っ提げ立ち上がる。思わせ振りな厨2態度だけど、気にしない。彼の間抜けた顔が見えるし。
教室の扉に手を掛けた俺に兵藤の声がかかる。
「お、おい!これ…」
「あげる。多分、ラッキーカードだよ」
開けて一歩踏み出した俺の耳に、兵藤のツッコミが聞こえた。
「これ、デュエッ☆モンスターズじゃねーかぁぁぁぁっっ!!?」
そう。俺が使っていたカードはデュエッ☆モンスターズ…この体になる前の俺が知る遊戯王OCGのデッキなのでした。
ちなみに渡したのはデーモン・レッド・ドラゴン...レモンのぱちもんみたいなやつ。250円(笑)
満足した俺は部活にいって呪いの練習をするのでした。
一般人より肉体的に劣る主人公を書きたかった
だって、にんげんだもの