幻想郷物語 ~if be if story~   作:竹馬の猫友

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もう一つの幻想郷。
平行世界でのもう一人の自分。
永遠に交差することのない世界。
互いは干渉することなく自らの時を刻む。

※いきなりですがタイトルを変更いたしました。ちなみに「if be if story」の意味は「”もしも”であり、”もしも”で無い、世界」という意味です。英語力弱いのであっているか分からないですけど(汗


第1話 真紅・演技・心配

 人間と妖怪が共存して生きている外と隔絶された地。幻想郷。それを聞くと「まるで理想郷ではないか。素晴らしい!」と言うものや、「ばかげている。そんな世界ありえない」と嘲笑するものもいるだろう。ただそれは、あくまでその世界を知らないものが聞いたらの話。幻想郷に住んでいる者は少なくともここにそんなこと微塵も感じていないだろう。

 

 そんな世界にとある妖怪達が引越しをしてくる。元いた世界では生き辛くなってしまった為とある妖怪の協力を経て住んでいた屋敷ごとこちらに来る、というわけだ。場所はとある湖の畔。木々が生い茂り、妖精達がのんびり飛んでいる自然豊かな場所に突如、周りの景観にそぐわない真っ赤な―――もはや真紅というべきだろうか―――館が現れる。妖精達はその屋敷から溢れる強大な力に恐れ一目散に逃げた。

 そんな様子を遠くの木の上で観測している人物がいた。その真紅の館を一瞥し少し微笑んだと思うと踵を返して飛んでいった。

 

 

 

 場所は変わりとある神社。この神社は一人の巫女の手で管理されており、外の世界との境界に位置する神社である。その名も「博麗神社」。その神社の境内を掃除する人影が一つ。鼻歌を歌いながらせっせと箒で掃いている。黒い髪に目立つ赤い大きいリボンを付け、少し変わった巫女服を着ている。そんな彼女の元へゆったりとした速度で空から近づいてくる人物が一人。箒に跨り黒い三角帽子をかぶり、白と黒を基調とした服を着て金髪のウェーブヘアーをなびかせて飛ぶ姿はまるで魔女。その彼女が境内前の石畳にトンと着地する。

 

「あ、魔理沙じゃない!いらっしゃい!」

「お邪魔するね霊夢」

 

 霊夢と魔理沙と呼ばれた少女はお互いを確認すると笑顔で言葉を交わす。霊夢と呼ばれた少女は箒を片付けると境内の前で立っている少女、魔理沙を中へと迎え入れた。玄関でお互い靴を脱ぎ、魔理沙は先程の自分の乗っていた箒を玄関に置き、改めて魔理沙がもう一度「お邪魔します」と言って家の中へと上がる。廊下を歩き、お茶の間の前へと移動すると先に襖を開け入った霊夢の後に魔理沙が続いて入る。

 

「ちょっとお茶淹れてくるから待ってて!」

「うん。わかった。気をつけてね?あなたドジだし」

 

 それを聞いて「大丈夫だよ~」と言って歩きながら魔理沙の方へと顔を向ける。その時、ゴンッという鈍い音が部屋に鳴り響く。刹那霊夢から叫び声が上がる。

 

「いったぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ほら言わんこっちゃ無い」

 

 ゴンッという音の正体は霊夢が余所見をして歩いたために茶の間の入り口の柱に足の小指をぶつけた音。相当な痛みだったのか霊夢はその場にうずくまり小指を擦る。目には少し涙が滲んでいたがすぐさま立ち上がる。そしてさも何も無かったかのような足取りで台所へとお茶を淹れに行った。

 

「はぁ…博麗の巫女ともあろうものがあんなので大丈夫なのかな」

 

 ため息混じりに一人お茶の間に残された魔理沙は一人呟く。その言葉は純粋に友人…いや親友を心配するが故に自然と出てきたものだった。魔理沙が「やっぱり私が付いてないと駄目」と改めて心に刻んでいるとも露知らず、霊夢は暢気にまた鼻歌を歌いながらお茶を淹れていた。

 

「新しい住人さん達、すっごく強そうな妖力出してたなぁ。楽しみっ」

 

 お茶を淹れながら霊夢は、ずっと先程こちらに来たのを確認した真紅の館の住人のことを考えていた。大体の場合新しい住人はこちらの世界を我が物にしようとするものが多い。力を持っているものに限るが。先程霊夢が確認した住人は館から溢れんばかりの力を放っていた。それで霊夢は確信する。

 

「きっとあの住人さん達はあれ(・・)を起こしてくれる」

 

 と真紅の館の住人のことばかりを考えていて手元に意識がいっていなかったようで手にお湯を零してしまう。しかし霊夢は「あちっ」と小さく言うだけでそれ以上何も無かった。河童印の電気ポットの設定温度は90度。なのにも関わらずだ。零してしまったお湯を手元にあった手ぬぐいで拭く。そして急須を傾け茶飲みにお茶を淹れる。テキパキとそれをこなす姿を見るに、もう先程のように失敗はしまい、と思ったらしくちゃんと手元に意識がいっているようだ。そしてお盆の上に茶飲みを二つ乗せると魔理沙のまつお茶の間に戻った。

 

「お待たせ~」

 

 そういうと座っている魔理沙の前に茶飲みを置く。「ありがと」と一言だけ言い魔理沙はそれをふぅふぅと息を吹きかけ冷まし、啜るように飲んだ。霊夢も適当な場所に茶飲みを置き座る。茶飲みの位置を自分の元へと持ってくる。

 

「これお茶変えた?」

「あ、分かる?人里のおじいちゃんから貰ったんだー」

 

 にへーと笑う霊夢を見て魔理沙も自然と笑みが零れる。その様子を見るとまるで妹と姉のようだ、と思う人もいるだろう。それぐらいこの2人は仲がいい。とそんな風にまったり過ごしていると不意に霊夢が魔理沙へと問う。

 

「そういえば今日は何か用でもあったの?急に来たけど」

「ん、そうだった。あの湖わかる?」

「うん」

「そこに真っ赤ないかにも目に悪そうな館が行きなり出現したんだってさ」

 

 「へぇそうだったんだ」と霊夢はびっくりした様子で聞いていた。まるで魔理沙が言ったことを自分が知らなかったかのように(・・・・・・・・・・・・・・)

 それはあくまで魔理沙との距離を起きたくないが故の演技だった。霊夢はその見た目、その性格と反して戦いが好きだった。戦いと言ってもこちらの世界では”弾幕”と”スペルカード”を使って戦うもの。通称「弾幕ごっこ」。そのゲームのような戦いが霊夢は好きだった。その「弾幕ごっこ」という戦闘形式が確立されてから日は浅いが霊夢はそのゲームに一瞬で魅了された。弾幕ごっこは「いかに華麗で美しい弾幕を操り敵を倒すか」、と簡単に説明するとこういうものだ。色とりどりで人によって様々な姿を見せる弾幕。それに心躍った。だが、それはあくまで戦い。それが好きと言うのは年頃の少女からすると「戦いが好きなのは異常なのではないか」という不安があった。ましてやそれを親友の魔理沙に言ってしまうと「嫌われてしまうのではないか」という心配があり隠しているのだ。

 

「まぁそれだけなんだけどね」

「そっかー」

 

 そう。魔理沙は知らない。いや、知らなくていい。あの新しい住人が異変を起こしたら自分が解決しに行く。ここの博麗神社の巫女、博麗の巫女は神社の管理だけでなくそういった役割も担っている。異変と言うのは簡単に言うと事件だ。その事件を解決するためには元の世界のように見つけて逮捕、と言うわけではなく、異変の当事者を見つけ弾幕ごっこにて勝敗を付け解決するというものだ。つまり戦わなければならない。多少ではあるが危険も生じる。これは予想だが魔理沙がもし自分が戦わなければならない、と知ったらきっと「私も行く」と言うだろう。そうなると魔理沙に危険が及んでしまう。それに魔理沙は弾幕ごっこの経験が無い。だから内緒にしている。

 

「でもなんか嫌な感じがする」

「…嫌な感じ?」

「うん。なんていうか分からないけど………うーん、上手く言葉に出来ない」

「魔理沙は心配性だな~」

 

 そう言って霊夢は笑う。少し冷や汗を浮かべながらながら。「なんでこういうときだけ無駄に勘がいいのだろうか」と不思議に思いつつも口にはしなかった。と、悩んでいた魔理沙が残っているお茶をクイッと全部飲むと「そろそろお暇するかな」と言い席を立つ。神社に来て間もなかったため霊夢は少し渋る。

 

「えーもう帰っちゃうの?」

「ちょっとこの後用事があるからね」

「むーなら仕方ないけどさー」

 

 「ごめんね。また来るから」と魔理沙は言いお茶の間を後にする。見送りをするために霊夢も一緒に外に出る。玄関で靴を履き、箒を持った魔理沙と「バイバイ」と交わすと「お邪魔しました」と言って魔理沙は帰っていった。

 

「暇になっちゃった」

 

 そう呟き部屋へと戻る。先程の2人分の茶飲みを片付けこれから何をしようかと考える。また掃除を始めようにもほとんど終えてしまっているためにやる場所が無い。お昼は食べたし、夕ご飯の時間にはまだ早いため料理の準備はまだしなくていい。

 

「よし、人里に行ってみよ」

 

 もしかしたら何か困っている人がいるかもしれない。そう思った霊夢はすぐに行動に移った。




閲覧ありがとうございます。
初めての方は始めまして。竹馬の猫友と申します。
他の小説をご覧になってくださっている方はありがとうございます。
「もしかしたら既出かも?」と心配になり投稿しているしだいであります。
本当はきちんと調べてから書くべきなのでしょうが…(汗
そんな見切り発車の作品ですが宜しくお願いします。
また誤字脱字などありましたらご報告を下さるとありがたいです。

次回「第2話 人里・赤霧(せきむ)星弾(せいだん)

次回は金曜日の更新を予定しています。時間は未定です。

なんかハン○ー×ハ○ターのサブタイみたいになっちゃった。テヘペロ
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