幻想郷物語 ~if be if story~ 作:竹馬の猫友
用事があるといって帰った魔理沙。
2人はまた翌日も顔を合わせることになる。
前回金曜日に投稿するといいましたが予定をかなり早めて投稿します。
※第1話の前書きにも記載しましたがタイトルを変更いたしました。宜しくお願いします。
魔理沙が帰ってしまいやることも無かったので人里へと向かう。その道中、里の人間と会った。どうやら神社に参拝しに行こうとしていたらしい。その道中で私と会ったというわけだ。人里から私の住んでいる神社は結構遠い位置に存在している。わざわざ参拝しに行こうとするくらいなのだ。何かよっぽどのことがあったのだろう。なので私はその人を神社へと招いた。
「あぁ、ありがとうございます。こんな私の些細な願いの為に付き添いまでしてくださるとは」
「いえ、そこまでのことはしていませんし、わざわざここまで参拝しに行こうとしていたということは何かお困りなのでしょう?なら、助けないわけには行きませんよ。ですから、どうか頭を上げてください」
お茶の間に案内するとその男性は手を合わせ感謝の言葉を述べながらずっとこちらに頭を下げている。私はそこまで感謝されるようなことはしてない。なので頭を上げるように男性に頼む。男性は見たところあまり裕福な暮らしをしていないのだろうか、服はボロボロで履いている草履も擦れてしまいもう変えなければいけないほどに磨耗していたのを玄関で確認した。
「それで何かお困りですか?私でよければ力になりますが」
「………」
男性は黙って頷くのだが内容を話そうとしない。きっと何かしらの出来事がこの男性を混乱させているのだろう。なので少しでも落ち着いてもらうためにお茶を淹れて男性に差し出す。幸い先程ポットや急須などをこちらの部屋に持ってきていたためにこの場を離れずに済んだ。その出されたお茶を男性は「ありがとうございます」と言い控えめに一口飲む。そうして何か決心したかの様に顔を上げた。
「…あれは、3日前のことでした」
そう男性は話を切り出した。男性は結婚しており、妻が1人子供が2人、という至って普通の生活をしていた。しかし3日前とある事件が起きた。遊びに里の外の山に行っていた子供のうちの1人、末っ子の男の子が突如姿を消したのだ。その子の字が書いてある1枚の手紙を残して。内容は「おかあさんおとうさんぼくはにえになります。さがさないでください」というもの。まだ7歳になったばかりだというのにそんな手紙を残して消えてしまった息子を家族全員で血眼になって捜したが見つからなかったらしい。「にえ」というのは生贄のことだろう。…何のだろうか。その手紙が無ければ妖怪の気まぐれで遊んでいる最中に攫われた、と言う風に考えるのだが、今回は違う。この男の子が自分の意思で手紙を残して消えた。
「操られた…のでしょうか」
「………」
男性は一通り説明した後に静かに涙を零していた。…なるほどボロボロの服装や擦り切れそうな草履はその所為か。むしろ子供2人を養えていたのだから至って普通の家族だったのだろう。だがその平穏な日々は崩れ去った。およそ妖怪の所為だろう。しかしその真意が分からない。…調べるしかないか。
「考えていても仕方ないですね。その事件私に任せてください」
「……!ありがとうございます!ありがとうございます!」
男性は畳にこすり付けるように頭を下げ礼を述べた。少しして男性を落ち着かせた後男性を人里のほうまで送り届けた。終始「ありがとうございます」とこちらにいってきていたため相当に息子が大切だと見える。…良い家族だ。男性を送り届け自分の神社まで帰る頃にはもう日が暮れ始めていた。男性には明日からすぐに調査を始める、と伝えてあるので今日は明日の準備に取り掛かる。
「妖怪相手となると…お札とか一応持っていったほうが良いね」
そう言って自身の部屋の押入れからお札の束を取り出す。それに付け加え封魔針も持って行く。念には念を。用心に越したことは無い。…にしてもなぜ男の子を「贄」としたのだろうか。普通生贄と言うのは神様に捧げるものだ。しかし神様は自身から生贄を乞うことは無い。これはあくまで予想であるがおそらく何かしらの妖怪が男の子を唆しそのような手紙を書かせ攫ったのだろう。
「…手遅れだなんてやめてよね…」
一つの未来が私の心を不安にさせる。その未来は決して誰も望まない悲しい未来。ただ、この世界には人間と妖怪がいる。その二つの種族は今まで良いバランスを保ってきた。人間は妖怪を退治しない。妖怪はむやみやたらに人間を襲わず人里を襲うことは許されない。といった条約のようなものが結ばれている。つまり、人里の外で行われた今回の事件は一概に妖怪の所為だけとは言えないのだ。そこが難しいところだ。今回の件で人間のほうばかりに肩入れをしてしまうと妖怪にとって不平等。またその逆も然り。
「一番良いのはその妖怪が知的で温厚だった場合なのだけれど…たぶん無いよね」
知的かも知れないが温厚の可能性は低い。話し合いで解決出来れば一番良いのだけれど今回それは望めそうに無い。そうなると、
「正当防衛、か」
襲われたから逆に倒した。そのようにするしかない。…不本意だが。もしくは他の食べ物をご馳走すれば許してくれるかもしれない。という淡い希望も考える。そう部屋の中で考える霊夢は気付いていなかった。
―――外が真っ赤な霧で覆われていると言うことに。
あれから時間は過ぎ夕ご飯、お風呂などを済まし布団を敷いて就寝するための準備をする。明日、どこを回るかを考え頭の中でまとめる。少しとはいえ頭を使った所為か少しの睡魔が襲ってくる。それに逆らうことはせずに私は眠った。
ダンダンダンッ!
朝、私は玄関の扉を叩く音で目を覚ました。随分と焦っているようなので、バッと布団から飛び起き、服装が寝巻きのままだがそのまま気にせずに玄関へと向かう。そして鍵を開け玄関の扉を開ける。
そこには息を切らし汗を流したいつもの冷静とは思えない魔理沙の姿があった。
「ど、どうしたの魔理沙!?」
焦って魔理沙に問いかける。魔理沙は手で「ちょっとまって」と合図し息を整える。と、その時気付く。周りの、空の異変に。
「なに、これ?」
「昨日の夜から発生したらしい」
昨日の夜…。私が男の子を捜す為の準備をしている頃か!
「人里のほうに向かってみたけれどどうやら普通の人間には悪影響を与えてしまうみたい。私は一応魔法使いだから効かないし霊夢も博霊の巫女だから効かない。けれどこのままでは人里に甚大な被害をもたらしてしまう!」
「…っ!男の子!そうよ!一人の男の子が妖怪に攫われたかもしれないの!」
人間に悪影響を与える赤い霧。男の子が無事かは分からないが、もし無事であったとしたら今度はこの霧の危険に犯される。最悪の場合は…、いやよそう。マイナスの考えはしない。
「…わかった。その男の子は私に任せて。霊夢は大変かもしれないけどこの赤い霧を調べて」
「でも、」
「でもじゃないの!あなたは博麗の巫女でしょ?だったらこの”異変”を解決しなくちゃいけないじゃない」
「っ!」
今魔理沙は”異変”と言った。もしかしたら普通に言葉を使ったのかもしれないが魔理沙からはそれだけではないものを感じた。そう、全て知っている。そんな雰囲気を感じた。
「魔理沙、あなた…」
「細かいことは後にしよ。それより今は目先の異変と男の子探しでしょ?」
「…そうね。そうよ!ありがとう魔理沙。今度お茶菓子奢るわ!」
「別に良いって」と頬を掻きながら少し恥ずかしそうに魔理沙が言う。その後で魔理沙に男性からあらかじめ聞いていた男の子の特徴と、人里近くでいなくなったということを言い伝え魔理沙と別れ、私は赤い霧の招待を探しに向かった。
<魔理沙side>
「霊夢、一人で何でも背負い込まないでよ」
私の呟きは誰にも届くことなく消えていった。
「…よし。私も自分のすべきことを果たそう」
そう言って箒に跨り空へと飛ぶ。霊夢の話では兄弟で人里近くの山で遊んでいたところ消えた、もしくは攫われたらしい。ならばまずはそこへと向かおう。もしかしたら痕跡が残っているかもしれない。
そう考え箒のスピードを上げる。
「3日前…か」
望みが少し薄い。最悪の場合も考える。その場合は何とかして男の子だと分かるものを持ち帰ろう。悲しいことではあるが仕方が無い。そう割り切る。
人里が見えてきたため一旦地面に降りる。
「結構広い。けど…」
「そんなもの関係ない」と呟き一つの道具をポケットから取り出す。取り出したのは私が作ったマジックアイテム。努力と時間を費やして作った私の道具。広範囲索敵装置。本来ならば半径3㎞圏内の敵などを探すために使う道具なのだが使い方一つで人探しの道具へと変わる。黒い金属のような六角形の箱を手のひらに乗せ魔力を供給する。すると2本の赤い線と一本の白い線が山のほうへと伸びる。伸びる、と言っても1mほど伸び過ぎると敵に感知されてしまう可能性があるためその程度にした。なのでここからはその装置を頼りに捜索をしよう。
「しかし赤い線が2本か…骨が折れるわ」
白い線は人間のことを表し、赤い線は妖怪の意味する。つまり敵が2人もしくは2匹。なぜ「匹」と言ったのかと言うと妖怪でも人間のような姿をしているものもいる。また逆に虫のようなのもいる。そのためだ。そんなことを考えつつ黙々とその線が伸びるほうへと歩みを進める。若干地面がぬかるんでいて靴が汚れるが気にしない。気にしていられない。その時何かが言い争うような声が聞こえた。
「――ちゃ――め―って!」
「知―か!―が――えた―だ!」
どうやらすぐそこに妖怪がいるらしい。声がだんだん大きく聞こえる。念のために先程の装置を仕舞って違う道具を取り出す。今度は八卦炉と呼ばれるもの。とある知り合いの男性に作ってもらったのだ。
小さく開けた場所には1人と1匹の妖怪がいた。”1人”と表現したほうは一見すると年端もいかない少女のような妖怪。もう片方はゴキブリとカマキリを足して2で割ったような妖怪。その妖怪達の足元に苦しそうにうずくまるゲッソリとした少年が横たわっていた。そこでその妖怪達は言い争っていた。
「だーかーらー!まだこんな小さい子を食べちゃダメなのっ!」
「それこそ俺の知ったこっちゃねーよ!それは俺の餌だ!…あと、そこ!いつまで隠れてんだ!さっさと出てこい!」
「…っ!?」
ばれてる!?さっきの装置が原因でばれたのかは分からないがこのまま黙っていると攻撃されかねない。出ても攻撃される可能性はあるが大人しくここは出ておこう。
「餌が増えたなぁ」
そう虫のような妖怪は私を舐めるような視線で見てくる。気持ち悪いと無意識に嫌悪感を感じる。その様子を少女の妖怪が見て私と虫の妖怪の間に割って入る。そして私を庇うような体勢を取る。
「この子は関係ないっ!」
「ちっ…いい加減………」
虫の妖怪が鎌のような手を振り上げる。
「うっ………ぜぇんだよおおおぉぉぉぉっ!!」
ブンッという風切り音と共に虫の妖怪の怒鳴り声が聞こえたかと思うと、目の前の少女の妖怪が横薙ぎにされた鎌の一振りを喰らい血を流しながら右のほうへと飛んでいく。一瞬何があったのか頭が付いていかなかったが、このまま突っ立っていると私も危険だと手に力をこめる。そして戦う姿勢を見せる。
「ほう、お前
「………」
私の手のひらに魔力の塊が生まれる。これを”弾幕”と呼ぶらしい。所謂エネルギー弾のようなこの弾は当たると結構痛い。そしてこれを使い戦う”弾幕ごっこ”と呼ばれるものがある。と先日道士の服を着た金髪の女性に教わった。そしてその時霊夢の役割も聞いた。その時私は決意した。私も霊夢と戦おう、と。
「私は今日、霊夢と一緒に戦うための一歩をここで踏み出す。あなたにはそれの踏み台になってもらう」
「何を言ってるかわかんねーけど、つまり戦うってことで良いんだな?」
私は言葉を返すことなく頷き返事をする。その瞬間目の前から一発のエネルギー弾が飛んでくる。虫の妖怪が不意打ちを仕掛けて弾幕を飛ばしてきたのだ。その弾幕を自分で作った星型の弾幕で相殺する。ヒュウという口笛が聞こえる。随分と余裕な様子だ。それを皮切りに私達は空へと飛び上がった。その場でやってしまうと男の子に被害が及んでしまうし何より狭かったので移動した。そしてどちらとも無く弾幕を発射し戦いが始まった。
閲覧ありがとうございます。
今回は少し長めにしてみました。
このお話での魔理沙は火力重視の魔法使いではありません。
ちなみに他のキャラクターでもそういった形で得意なことなどを変更している場合があります。
次回「第3話 戦闘・氷結・門番」
次回の更新日は出来るだけ早めにとだけ言っておきます。
また次回も宜しくお願いします。