「…お願いしてもいいかね、いや、…いいですか?」
目の前の何才にも見える海軍軍人に聞かれる。
いや、そういえば日本には軍というのは無いのか。いつかに聞いたそんな事を思い出す。
…それを言ったのもあいつだった。
いや、そもそも何でここにいるんだ。
俺は軍隊を作った
それも、人が 民族が 国家が この世界が ビジネスだった。 敵だった。
俺にそれが可能だったのは、最愛なる師が教えてくれた技術と、戦場で出会ったニホンジン。
その日本人のおかげで、ここにいる。…おかげか?
…なぜこんな話しをしているのか。
とにかく、そんな事をしていた。
そして 奴らに 潰された
「いや、ここに来れた事には感謝する。 ただ…」
「ただ?」
この目の前にいる男は一体いくつかはわからない、ただ歳は下だろう。
いやその前に言いたい事がある。
「ここは一体なんなんだ」
「……………確かに戸惑うな、この状況は。私も最初はそうだったよ。」
いつの間にか、彼は貫禄のある話し方をしていた。
「では なぜ少女が明らかに軍港とも呼べる ここにいる?」
いや彼のいうことは最もだ。……正しくは娘なんだが。
「あなたも見たはずですよ、あの艦を。」
「…………」
彼は黙った。しかし、押し黙っているわけでは無い。むしろ思い出している。
「……昔なら、できたが……」
「? 何が出来ると?」
「いや昔なら俺にもあの艦の一つや二つ、な」
……確かにそんな事をやっていたと聞いてはいたが、
「冗談はよしてください。我々のもつ武器は全て使いましたが、……我々では倒せませんでした」
「核もか?」
いや核は使っていない。いや 正しくはこの国では使えない……そういう事を知らないのか?
このひとは
「いや、使えないのは知っている。聞いただけだ すまない」
……驚いた、 確かに不愉快だったが、欧米人(少なくとも見た目は)が核兵器に関して謝られるとは。
「いえ 構いませんよ。 最も使っていたところで変わりはしないと思いますよ。 あなたが一番
分かっているはずです」
「……………」
また彼は黙った。 恐らく次は娘の事だろう。
では一体あの少女はなんなんだ。……核をも上回る破壊力なのか?
「俺は輸送船に乗ってきた。 飛行機は洋上では使い物にならなくなったからな。
だが、あの護衛艦はなんだ」
あの敵艦 いや本当に艦と言えるか分からないが、 この世界を変えた敵だ。
「……あの敵艦を、深海凄艦と呼んでいるあれを 仕留めていた。我々では出来ないはずだ。」 「我々ではな。そもそも、あの娘達は……艦だった」
目の前の、上司になるであろう男の発言に俺は 理解し始めた。
今この世界は危機的状況に他ならない 核戦争では無い。しかしあの冷え切った戦争より事は重大だ。
突如出現した 敵 深海凄艦
……輸送船で初めて見たが、あれを艦と呼ぶべきか?
禍々しいほか無い。 少なからず、人が思い浮かぶ船や艦では無い。
突如現れたそれは、まずアメリカ籍の貨物船を攻撃。明らかに軍事的な攻撃だった。
直ちに臨戦態勢に入ったアメリカは、調査を開始。
しかし、次はエールフランスの飛行機とロシアの貨物船だった。この事件では死者が初めて発生し
どちらも明らかに兵器を使った物だと断定された。
しかし、NATO諸国や日本 ロシア 中国 の使う兵器のものでは明らかに違かった。
ミサイルではなく艦砲射撃のように穴が空き、機銃のように穴が空いて沈没 墜落していた
テロリストにはこのような武力は無い、あったとしても不可能だ。
水上レーダー 対空レーダー共に映らなかったからだ。
この事態に国連安全保障理事会は緊急招集され、全会一致でこの事件の調査 及び
その為の武力の携行 使用を許可した異例の事態となった。
西側諸国だけでなくロシアも攻撃されたことも幸いした。
各国はそれぞれ軍隊を派遣、太平洋 大西洋ごとに輸送船の護衛 及び全海域の警備 が実施された。 そして太平洋で補足した。
それは海から来ていた
戦争を生業としていた俺は、各国の情報機関よりその手の情報は正確に早く届いた。
自分が鍛えた戦士が自国に戻って武官になっていればそうなるだろう。
しかしその情報は明らかに異常だった。
敵は海から来ていた。 駆逐艦のようなものから時代遅れの戦艦 そして空母もいるという。
調査により、奴らは深海から来ていることが判明。
敵を補足した調査団は連合艦隊を結成。駆逐艦はもちろん、原子力潜水艦 空母も動員し
地上からは アメリカ フランス イギリス ロシア 中国 によるミサイル攻撃による後方支援
連合爆撃隊も結成し、まさに地上最大の作戦となった。
過剰と言われたがそれは間違いとしか言えない。
奴らはありえないステルス技術を使っていた。
補足できたのは人海戦術で人の目で探し尽くしたからだ。
その武力を駆使しても奴らは消えなかった、むしろ増えていった。
運良く各国は致命的な消耗は回避されたが奴らは侵攻を開始した。
シーレーン、及び洋上の制海 制空権を掌握し無差別に航空機 艦船を攻撃した。
世界中の沿岸地域は奴らの艦砲射撃で住めなくなり、
各国は自国民の保護や領土防衛で手一杯になり、奴らの凄さから
深海凄艦と呼ぶだけで対処のしようがなかった。
そして俺らの天国の向こう側も突然奴らに破壊された
……何人が生き残っているのか知らない、
俺には 俺たちには対処のしようがなかった。
そんな中で、俺と一緒にきた仲間のところに電話が来た、
「日本に行ってこい」 と。
アラスカから、俺は日本に行くことになり ……その護衛できたのが
彼女達 艦娘だった
「………つまりあの深海凄艦は、あの戦争で沈んだ艦船なのか?」
「そう考えれば、突飛押しも無い状態は説明出来る」
「どんなだ」
「そもそも、奴らの武装は 明らかにアナログだが あの戦争で使われた砲弾だ」
「何故そう言い切れる? 世界中の国で奴らの調査をしてー」
「あの戦争で使われた砲弾の実物を持っており、かつその調査ができる国は
太平洋ではこの国ではないですか?」
……確かにアメリカでは今それどころではない、警察や軍は国民の避難誘導と
治安維持で調査なんかしていられない。資料館も確かにあるがそのほとんどが沿岸地域だ。
太平洋上諸国は、さらに深海凄艦の攻撃を受けている。
……崩壊も時間の問題だ。
「さらに、最大の証拠がある。それはー」
『彼女達自身があの戦争で沈んだ船だと名乗っている。』
……2人で同じことを言った。目の前の、海軍……いや自衛官は表情を崩していないが
なにやら満足そうにも見える。
「そう、彼女達はあの戦争で沈んだ日本の軍艦を名乗り その時の記憶もある。」
日本に来る途中ある程度の事は本人……彼女達からきいた。
まさか気軽に話し掛けられるとは思わなかったが。
「しかし、それなら彼女達がここにいるのは自然でしょう?何が不思議ですか?」
いきなり挑発的な風に 目の前の ……提督は 言った。
……なら乗ってみる。
「それは単純だ。 何故、少女 いや娘達に武装を取り付ける?
あの武装をわざわざ娘達に取り付けなくても軍人に取り付けるのが当然だと思うが?」
結論は知っている、だが理由は知らない。
「それは単純だ。武器は使えても浮くことができない」
……それは新しい情報だ。
「道中、話は聞いたがあのドラム缶を背に 」
「……原因は分かっていないが彼女達 艦娘は海上で力を発揮する
地上や甲板上でも攻撃は可能だがせいぜい航空機を破壊できる程度で深海凄艦は倒せない。
そもそも彼女達の武器を借りても海上を高速で動くことは出来ない 出来ても撃破は不可能だ。
何より………………」
ここまで、すらすらと話していたのにいきなり止まった。
「……どうした?」
「…… 何より使用した 、いや……触った者は死んだ」
「……そうか」
この話はもう良さそうだ。 誰にも触って欲しくない過去はある。
この提督にはこの話はそれにあたる気がした。
それに、その原因が不明なのが嘘だとしても必要な情報ではない。
「要するに仕方ないんだな、その…艦娘を 運用するのは?」
「……ああ そうだ。 運用と言って欲しくないがな」
「失礼した、 ……あれは兵器でも人でもない 何かだな」
「……貴方は人には思えませんか?」
提督は先程までの貫禄ある人物ではなかった。
そして言った。
「いや? カワイイならいいだろ?」
先程までの軍施設に何故少女が と聞いていた人物とは思えない発言だ。
……まあ、向こうは大笑いだが。
「…………………………………失礼、…………」
無事(?)帰還したもよう。
「……さて」
再び声に貫禄が戻る。 印象はもどらないが。
「貴方に来ていただいた訳は……」
そう、俺は生き残っていたミラーに電話かかってきたからこの国に来た。
しかし、
「だが俺に何をしろと? この国は……いや今はアレだが 平和だろう。
傭兵の俺に何を求める? …… 暗殺は勘弁だ」
実際、時々ある……いやあった依頼だ。 しかしこの国は、娘を戦わせてはいるが一体何をするのか。
「……………警備です」