「おはよう」
今は09:00のグラウンドの真ん中
俺の目の前には明日、共に戦う仲間がいる
俺らを含めて18人、
それぞれの小隊から2・3人来ている
「おはようございます!」
「時間がないからさっさと決めるぞ、射撃に自信が有るもの手を挙げろ」
すぐに3人が手を挙げ、
遅れて2人 手を挙げる
「よし、お前らはこいつと組んでコレを使え」
そう言って、部下の1人を差し出し五丁のライフルを出した。
しかし、
「ちょっと待ってください」
隊員から声が出てきた、
頷いて聞いてみる
「何だ?」
「いや、メンバーを混同して良いんですか?」
……そんなことか。
「……あのな、別に禁止事項に触れていないから問題ない。それに勝たないと結構面倒だ」
「面倒って何ですか?」
「とにかく時間がない、射撃に自信があるんだな?だったらコレを使え」
そう言って、ライフル銃を5人に渡す
ボルト・アクション式のスナイパーライフルだ
「……これって」
日本にもわかる奴はいるらしい
「ああ、モシン・ナガンのカスタムバージョンだ、麻酔針が撃てるようになってる」
命中精度を考えればコレを上回る銃はなかなか無い
そして山を指差す
「お前ら5人はこいつと一緒に今は山に入れ。やる事は入ったらこいつが教えてくれる」
5人は突っ立ている
だが時間が無い、そのまま部下に指示を出す
「じゃあ頼んだぞ」
「了解です、よし全員物を持て!山を登るぞ〜!」
ゾロゾロと5人が黙って付いていく
とにかく3時間で、ある程度仕上げる。
あの5人は元戦闘班の男に託す
「次に、立ち回りに自信がある奴」
すると、3人が手を挙げた
なかなか手が挙がらないと思っていたが、ちょうどいい
「ならお前らはこの3人と組め」
残っている部下の女3人を指す
「お前ら3人、やる事は分かってるな?」
「ハイ!!」
当たりだと思ったのか自衛官3人の顔が喜んでいる
……一番キツイのはこのグループだと思う
「残った奴は……まあいい、」
「……ちなみに何をするんですか?」
残ったのは12人の中で慎重な4人。
なら、ある程度の事は出来る
「いまから俺らに奇襲をかける、顔を見られずにな」
すでに、09:00前に技術屋によって銃の改修がなされ
俺らと同じ様にゴム弾が撃てる。
すでにそれぞれ銃を手にしている
「着いたか?」
無線で山登り部隊に確認する
《ええ着きました、バッチリ見えます》
「よし少し待て」
《了解》
今から説明する必要がある
何せまだ集まって10分程度しか経っていない
「いいか、全員よく聞け」
無線に話しかける
すでに無線機は18人全員に伝わる
もちろん、暗号化もされている
「ついでに訓練するために、今日は混同している。
忘れてはいないと思うがコレは交流戦だ。なら文句はあるまい」
前にいる隊員から笑いが起きる。
どうやら、ネタは通じる奴らのようだ
「……だが、向こうは本気だ。すでに情報戦は始まっている。そのため、この形を取った。」
心当たりがあるらしい
笑い声は止み、俺を見ている
「残り時間は約3時間、この3時間にある程度仕上げる。
相当キツイ3時間だ、恐らく俺が挨拶に来た時よりお前らには過酷だ。
それでもやる奴は、初弾は空砲になっている。空に1発空砲を撃て!」
すかさず1発撃つ
数秒間の静けさの後に
聞き慣れた音が連続する
一呼吸置いて訓練内容を言う
「いいか、今から俺ら2人と山にいるもう1人が隠れる。
男3人対15で攻防戦みたいなもんだ
俺ら2人は山に入らないし、そっちの奴も山から下りない。
俺ら3人を見つけたら無力化して確保しろ
ただし、俺らも遠慮なく撃つ
俺らを脱走した犯罪者だと思え
1時間たったら休憩を挟んで交代、今度は俺らがお前らを探し出し確保する。
質問はあるか?」
《要するに、大人が武器を持って隠れん坊をするんですね?》
無線機から自衛官の1人が質問する
……遊びではないが確かにその通りだ
解釈は間違えてない
「その通りだ、ただし大人が本気でする隠れん坊だ。怪我しなければ何をしてもいい」
《了解です》
「他にはないな?」
ないらしい。
少なくともここにいる10人はヤル気だ
「よし、では始める俺らが今から逃げる、見てていいが30秒は何もするな。
1時間後、またグラウンドに集合だ。」
「じゃあ、数えますよ〜」
女の部下が数え始めた
数え始めたならこっちは走り出す、山でもそうだろう
グラウンドの出口をすぐに通り過ぎる
「無線機は丸聞こえだから周波数決めとけよ」
走りながら、無線に言った後
決めてあった周波数に変える。
残り21秒
「カバーは頼むぞ」
《BOSSの方こそ、しくじらないで下さい》
「そっちも撃ちすぎてバレるなよ」
《…素人じゃ無いですよ》
「わかっている」
《…では》
「ああ___終わり」
無線が切れる
建物を右に曲がる
残り6秒
「どこまでいけますかね」
「まあ、3人がいるからある程度は大丈夫だろう。」
そして始まった
「全員、ひとまず隠れるよ!」
「え、何です____」
か、と言う前に弾が飛んできた
それは、山側で隠れているであろう人間が狙ってきた針だ
「倒れたくなければまず走れ!!」
既に全員走っている、
しかし、着弾する音とその後に続くライフル銃の音は止まない
「俺らが狩るんじゃ無いのかよ!?」
「向こうは獲物であって的じゃ無いよ!油断してるとこっちが死ぬぞ!!」
死にはしない
とにかく、グラウンドの外にある建物に隠れてからだ
でないと何もできない
さっさと隠れたい
しかし、建物の裏に隠れる前に、恐ろしい音が止んだ
「……諦めたのか?」
「違います、撃ちすぎると位置がバレるからです」
初めて聞く声だ
いつもしゃべるのは、元気の良いいかにも活発な女性だが
今のは清楚なお姉さんと呼びたくなる様な女性だ
「日本語、喋れるんですね……」
「ああ、確かにここに来てほとんど話してませんでしたね」
彼女が微笑む。
つかの間の平和
平和はアッサリと崩れるもの
「正面!!」
叫び声、
建物を右に曲がった所にソレはいた
「慢心はいけないな、少し寝てろ」
蛇に睨まれた後、
二箇所から弾が飛んできた。
スモークも張られ、一時的に行動が出来ない状態になった
「BOSSには素人じゃ無いですよ、なんて言ったが……ちょっとマズイ」
そう、初撃をやり過ぎたために位置がバレた。
今はとにかく逃げている、
散発的に撃っているが、結構正確だ。
自分で射撃の自信があると 手を挙げただけはあるらしい
「撒かれるぞ!」
「右、先に回れ!!」
「!」
その判断は正しい。
何せココは山で左は斜面だ、
逃げるなら右側にしかほとんど逃げ場は無い
結構できる連中だ
なら隠れてやり過ごすしか無い
横の草むらに飛び込んで隠れ様子を見る
「……待て!」
まさかの止まった
「足音が消えた、この付近に隠れたぞ」
「ペア組んで探せ!」
こいつら本気だ、少し見くびってた。
隙が無い
コレは簡単に発泡するのは控えた方が良さそうだ。
しかし、まずはここから離れる事だ。
山の上側に向かって空マガジンを投げる。
マガジンは放物線を描く途中
音を立てる
瞬間、5人の銃が音の鳴る方に一斉に撃つ
……容赦が無い
そのまま、確認の為に全員がそっちに向いた
そのおかげで後ろに回ることができた。
だが……こいつら相手にあと50分…結構キツい
「……全員、生きてる?」
返事が無い。
どうやら気絶しているのが____
「とりあえず、こっちに来い」
……そうでも無いらしい
声が聞こえるスモークが晴れている所に何と全員いた。
「……あんたら、何で無事なの?」
「いや、挨拶の時の反省で無闇に突っ込むのは止めたからですけど……」
……どうやらBOSSが慢心と言ったのは私にだったらしい。
「あの後、すぐに消えました」
「すごい逃げ足だったなー」
「事前に撤退するルートを選んでたのよ」
最初に教えられた事を思い出す
仕掛けるときは逃げ道も決めておくのが定石だと
……私は何も考えずに逃げていた
「…さて、ここからは二手に分かれて捜索します!」
とにかく、今はできる事をやるまで!!
「では、私はそちらと一緒に行きます」
「あ、はい」
「……顔がにやけてるわよ、4人?」
言うと、4人は笑われる
……士気が高いのはとても助かる
なら、コッチもやりやすい
「向こうは獲物、しかも何もかも飲み込む蛇だ!後ろや、死角から攻撃されない様に!!」
「だとすると、…上もだな」
相当、BOSSにしごかれたらしい。
最初から上を警戒する集団は初めてだ
「無線の周波数はコレで。何かあればすぐに応援要請よろしく!」
「了解しました、では散開しましょう」
いつの間にか気軽に話し合えている
しかし今の相手はBOSS達だ、気が抜けない
二手に分かれ、ローラーしていく
「こちらウェーバー、スネーク応答願う」
時間の20分になった
決められたコードネームを言う
《ああ、状況はどうだ?》
「……結構キツいです」
ありのままの感想を言う
《…お前、あの質問に自分から手を挙げた連中だって事忘れてたな?》
「……はい」
____図星だ
まさか、訓練の指導側でこんなにへこむとは
《まぁ、反省は後でいい。作戦通りに、いいな?》
「……頑張ります」
《あと、くれぐれも撃ちすぎるなよ___終わり》
しかもバレてた!?
……とにかく、残り5分になるまで死角から観察しているしか無さそうだ
「あっちはどんな感じです?」
「どうやら初めに撃ちすぎて危なかったらしい、少し甘く見てた様だ」
実際声だけでも結構落ち込んではいた
「けど、そんな事でしくじる程俺らは甘く鍛えられていませんよ」
目の前に自衛官が通り過ぎる中、笑いながら言う。
確かにその通りかもしれない
「まあな……だが、お前が笑えているのは俺と一緒にいるからだろう、
あっちは1人で対処してるんだ、察してやれ」
そう、あっちは1人で支援をしながら逃げている。
できる奴はそういない
「わかってますよ、俺は単なるガンスミスですって」
……単なるガンスミスが諜報班にも入れるわけが無い
だが、それについて突っ込むのは止めた
今は目の前の事に対してのみ考え、行動するだけだ。
ヤバい、本当にヤバい
《ダメです、どこにもいませんよ》
「んなわけないでしょ!ちゃんと探して!ただし、死角から攻撃されない様に!!」
《わかってます、そっちも気を引き締め下さいよ》
もうすぐ残り時間が10分になる、
しかし、全く手がかりが掴めない。
アクティブレーダーを使ってもいいが、それは反則行為だ。
自衛隊の歩兵が使って無い
そもそも一人一人にレーダーやサーマルゴーグルをもたせている軍は無い
……しかし、ここまで手がかりが掴めないと使いたくなる
「さすがBOSSだわ」
つい小声で言ってしまう
「本当ね」
もう1人も同じ事を考えいたらしい
「ここまで人数差があるのに引っかからないものね」
「そもそも、BOSSはこの規模以上の基地に単独潜入をした事が有るんだから
当たり前って、言ってしまえばそこまでだけれど……」
そう、ここまで手がかりが掴めないのはそうそう無い。
私たち2人は元スカウト兵だ
自然の中に溶け込み、異変を感じ、それが敵なら倒す
それが私たちの任務だった。
あの人に初めて会った時、私は捕虜だった
けれど、気配を全く感じなかった。
足音が聞こえなかったからとかそういう次元じゃ無い、
声をかけられて初めて気づいた
目隠しをされてたとはいえ、
人が近づいて来たのを気づかなかった事は無い。
その時からあの人がとんでもない人間なんだと判ってはいたが
全く痕跡が無いこの状況に、改めて思い知らされる
あの人はすごい人なんだと。
「隠れられる所はもう探し尽くしましたよ?」
自衛官が報告しに来た
彼らも同じ様に、ここまで見つからないのに驚き、そして疲れている
例えるなら、落下した迷彩の効いた銃のパーツを探すのと同じらしい
なんでも、自衛官なら誰しも一度は経験した事はあるという。
それでも鎮守府内を3週しても人が見つからないのは普通じゃ無い。
「ダンボールも探した?」
「ええ、言われた通り銃を撃った後とって確認しました。」
「そう」
……もう、こうなったらヤケだ。
スゥーーーー
そして全て、空気も恨みも文句も吐き出す
「いい加減、でてコーーーーイ!!!」
…思ったより声が小さかったが、全ての毒が吐き出された感じがする。
………周りからの視線が痛い
「いや〜、ついね……」
周りからは笑いで答えが返ってくる。
残り時間はあと5分だ、
その時間を全力で____
「____なんだ、呼んだか?」
後ろを見る
仁王立ちしているのがいる
ターゲット・コンタクト
「……コンタクト!」
遅れて何秒たったか
ダットサイトを覗き
すぐにトリガーを引く
3点バーストで弾が発射される
マズルフラッシュが3回光る
光が消えたとき
すでに弾は中間地点を通り過ぎ
そのまま目標に直進する
そして止まる……はずだった
だが弾はそのまま直進していった
目標はいつの間にか地べたに張り付いていた
ダットサイトを再び覗く
だが標準が真ん中に来たとき
1回だけ何かが点滅する
構わずトリガーを引く
目の前が真っ暗になった
《……今のお前か?》
「すいません、もう少し早く撃てれば良かったんですけど」
《いや、助けが無くともどうにかなった》
「あと3発撃ってから移動します」
《了解》
無線越しでも少しBOSSが不機嫌なのがわかった
しかし今相手にすべきはスコープの先にいる
銃を構えているのを優先して狙う
T字サイトの下に人のあたまを置いて
撃つ
シャッコン
槓杆を引く
またスコープを覗く
下に目標が
来た
撃つ
シャッコン
槓杆を引く
だが、3発は撃てそうに無い。
もう来た
いったん離脱する
「すいません!バレそうなんで離脱します!!」
《了解だ、工廠前に引きつけるから頼んだ》
BOSSの声では無かったが、
比較的冷静ではある声が返ってきた
あと……3分!!
こっからが大詰めだ
工廠まで弾を避けながら走る
1発ぐらい当たっても倒れはしないが、時間の無駄だ。
何より戦場では命取りだ
「少し押さえ込みます!」
走り続けるだけでは誘い込む事は出来ない
1人か2人は犠牲になってもらう
このガンスミスは射撃の腕も良い
撃つべき間を理解している
壁に隠れ・・・撃つ
1人を無力化
2人の膝上を狙い当てた
膝を狙われた2人は走れない
こっちは残り5人
向こうも同じだろう
《捉えました!》
すでに着いていたらしい
無線から山に入っている奴の声が聞こえる
望んでいるはずの命令をだす
「攻撃開始」
《了解》
すぐに狙撃が始まり2人ダウン
驚いて山側を3人が向いたらしく視線を感じない。
遮蔽物の無い場所で
正面に敵がいる状態で
よそを見るのは命取りだ
振り向いて2人の頭に弾を撃ち込む
もう1人は狙ったところで倒れた
「そっちはどうなってる?」
《そっちを狙ってます!!》
言い終わる前に走る
瞬間、耳触りな風を切る音が聞こえる
遅れて発射音が聞ける
《支援します》
「いや攻撃中止、引きつけろ」
《……了解》
ここから撃っても意味が無い
撃っても、葉に当たって軌道が変化する
ゴム弾なら余計にそうだ
《もうすぐ、出てきます》
「場所は?」
《そっから見て1番右です》
言われた場所を見ると奴が隠れているのが見えた
場所は弓道場
そこなら当てられる
匍匐し標準がブレ無いようにしサイトを覗く
・・・来た
5人出てきた
階段付近から一気に出てきた
一気に2人で60発、
フルバーストで撃ち込む
鉛玉では無いためあまり銃身が焼ける事は無い
……あたりが静かになる
奴が手を挙げてこっちに合図を送る
《全員の無力化、確認しました》
「じゃあ、全員を起こしますか!」
そうだ、まずは全員起こす必要がある
しかし訂正するところもある
「こっちは2人まだ歩けるのがいる」
「ああ、そういえばそうでしたね、私がやったんだった」
そう、全員は無力化していない
2人は走れないだけだ
「全員隊員に告げる、訓練終了。歩けるものはグランドに来い
無理なやつは呼べ」
仕掛け始めた最初の方は
1人ぐらい起きているかもしれない
「じゃあ、そっちは頼んだぞ」
《了解。おーい起きろー》
無線機越しに、バンと音が聞こえた
こうして、20分かけて全18人がグランドに集まった
「よし、ご苦労だった」
『ご苦労様です!』
17人に向けて話す
やはりタフらしい、
全員整列し立って話を聞いている
「明日はお願いします」
朝とは違い、顔に決意が見られる
うちの隊員も気軽に話しかけることができている
「ああ、頼む。じゃあ、30分休憩してからもう一戦やるぞ」
『____あ!?』
……どうやら全員忘れていたらしい
うちの隊員も忘れていたらしく、ため息を付いている
自衛官達の方は何人か青ざめている
「次は俺らがお前らを探すからな、死ぬ気で隠れろよ」
おかげで次の時間は先ほどの1時間より
彼らのためにこっちも本気を出す羽目になった。
スネークは知らないが、後に彼らは実力を認められ
12人全員が習志野に配置されるのは偶然なのだろうか………