……月曜日になった
今日はとても長くなりそうだ。
この2日間のうちに5人全員水上バイクを操れる程度にした
桜は……流石に艦娘はダメだった
後で修理する事が条件だが、まああいつなら時間がかかっても直すだろう。
だがまずは第1小隊の訓練だ
「空自は何て言ってる?」
「“天気良好、抜群の訓練日和”……だそうです」
「そうか、まあ予定通りに訓練ができるなら良い」
輸送機は訓練後、百里基地に着陸する
艦娘達は車で帰ってくるだろう
護衛も付いて帰ってくる
「それで、誰が今日はやるんです?」
「そうか、知らなかったのか。えーと……ああこれだ。
加賀・飛龍・蒼龍・瑞鶴
高雄・愛宕・摩耶・鳥海
夕張・球磨・多摩・木曾
暁・響・雷・電・秋月
天津風・時津風・浦風・磯風・浜風・舞風 の計23人だな」
「立候補……ですか?」
「ああ、あの後興味を持ったのがこの23人だ」
「軽空母の娘が1人もいないようですが……」
「4人全員で逃げるかの如く艦隊を作って遠征に出かけた」
「ふふ………そうですか」
「なんか怖いぞ、鳳翔?」
「そんなこと無いですよ?あの娘達に後で稽古をつけようなんて思ってませんよ?」
「……どうせ後でやるんだ、ほどほどにしろよ?」
「逃げ出したのが____いけないんですよ?」
……変な汗が背中に流れる
別に逃げたような事は……無いしな、ウン
「………まあいい、午後から始めるその訓練は私も見学する。鳳翔も来るか?」
「ええ是非!面白そうですもの!!」
「できれば本番が無い事が一番なんだがな」
「……けど、訓練をしなければ何も出来ませんし、救うことも出来ません。何も出来ません」
「まあ、確かに見るだけなら楽しめそうだがな」
自分から発案しといて何だが見るだけなら楽しめるだろう
だが、やられる方は結構____いや相当怖いはずだ
何せスネークの部下でも苦笑いする代物だ
しかも“桜”までいる
……実際に使うときはそんな現場なんだろうが相当怖いだろう
とりあえずここにある書類を全て処理しよう
空自への手続きで書類がいつもより増えた
____意外にも私は几帳面らしい
「全員いるか?」
『ハイ!』
……女子大勢から返事をされるのは俺にはキツイ物がある
部下5人は何故か喜んでる様子だ
女部下3人に限っては、はしゃいでいる
……子供か?いや、保育士の方が近いか
「鳥に成れるって本当!?」
「そうだよ〜、お空を飛べるんだよ〜」
部下が駆逐艦の質問に笑って答える
だが、それは親切から来るものなのか判断しかねる
時刻は13:30
14:00からこの上空で輸送機がフライパスをし始める
だがその事をこの娘達はまだ知らない
提督は「航空機を用いた脱出訓練の一環」としか言っていない
艦娘達はヘリが来ると思っているらしい。
____だが、輸送機が来る事を知っている加賀は気が気で無いらしく、
周りが気づかない程度に緊張している
この訓練の参加メンバーは立候補で決まった
加賀は強制的だが他の艦娘は全員興味本位で参加している
だからなのか……勘がいいのは参加をためらった
どの道、後で経験する羽目にはなるんだがな
「BOSS、全員いるのは確認できました。」
「なら全員、鎮守府正面海域の訓練海域に行くぞ」
『了解!』
「よし、それでは今回の訓練の具体的内容を説明する」
『ハイ!』
今この海上にいるのは艦娘以外では俺と元気の良い女部下1人だけだ
提督は湾口近くで双眼鏡を構えながら見物している
「まず、今回の訓練はあるシステムがお前達艦娘にも有効かどうかの実験だ」
「装置はコレです」
「……バルーン、なのです?」
「そうだ、このバルーンを膨らませて上空に登る。それだけだ」
実際、それだけだ。
後は回収されるのを待つだけだ
「それで、どうやって脱出するんです?」
「そうよ〜、まさか飛行機にそのまま乗るわけじゃあるまい____」
「よく分かったわね愛宕〜、その通りよ。アレ知ってた?」
金髪の艦娘は冗談で言ったらしいがその通りだ
……まあだから隠していたんだがな
「ちょっと待ってよ、それってヘリコプターが水面ギリギリでやって来るんじゃないの?」
「何を言ってるんだ?愛宕が言っただろうが瑞鶴、飛行機に乗るって」
「……冗談よね?」
「後5分で輸送機が空中待機、その5分後にはフライパスし始める」
「……あっそう、まあ別に大した事無いなら良いけど」
〔BOSS〜〕
〔……お前、顔が笑ってるぞ〕
〔だって大した事あるじゃ無いですか〜〕
〔……他の4人は?〕
〔すでにスタンバイしてます、いつでも出来ます〕
「……まあそういうわけだ。
コレは訓練だ、しかもこいつを使う時は相当お前達がヤバイ時だ
何せ自力で帰還出来ない時だからな。
自分で装着させる方法もあるが自分以外の相手の救助にも使える
今日は体験だがこれの使い方を教える、必ず覚えろ」
『了解』
全員の雰囲気が変わった
この機械を使う時、それは逃げる時だ
しかも自力帰還が不可能な状況、つまり彼女達が沈みかけの時
気分も嫌でも変わるに決まってる
コレは艦娘に対して、フルトン回収システムが使えるのかの実験
……という事になっているが
実際は航空自衛隊の訓練で提督が貸しを作りたいらしい
だが、実際航空機は民間も軍用機もまともに飛べてない
戦闘機は、未だに領空侵犯や領海侵入の取り締まりで飛ぶ事はあるらしいが
輸送機などは緊急事態による患者の搬送以外ほとんど飛べない
物資の搬送は車輌や鉄道でどうにか まかなっている
燃料不足、という事もあるが領空の制空権は確保されていても貴重な輸送機を失いたく無いらしい
だが、上の考えとはいえパイロットにとって飛べないのはストレスだ
空自もこの機会には喜んでいる……らしい
「わからないやつはいるか?」
『大丈夫でーす』
そうは言っても装着方法は簡単だ
バランスが取れる所にフックをかけてボタンを押す
そうするとバルーンが膨らみ上昇する、それだけだ
「まだ、ボタンを押しちゃダメよ〜、回収できないで海に落ちるからね〜」
「……質問良いですか?」
「何だ?」
駆逐艦の1人から質問が出る
「コレは悪天候でも使えるんですか?」
「ああ、問題無い。回収出来る確率が低くはなるが、
慣れたパイロットが回収すればほとんど関係無い」
「ちなみに確率のおおよその目安は?」
「基本100%、砂嵐で80%ってところか」
「……そうですか」
「今日は失敗する事は無い……まあアクシデントは起きるが」
「は!?」
「他に何か質問があるやつはいるか?」
駆逐艦がツッコミたい顔をするが無視だ
でないと確実に面倒な事になる
《This is trans1.Shortly rendezvous zone point,over. 》
そんな事をやっている内にやって来たようだ
……艦娘にも分かるように日本語にしてもらおう
「This is Snake,艦娘も聞いているから日本語で構わない、over」
《そうか、了解した。
こちらトランス1、間も無く合流地点に到着する、そちらから見て北東だ、どうぞ》
「……こっちも捉えた、トランス1、空中で待機してくれ、どうぞ」
《トランス1了解、空中で待機する》
「みんな!、全員回避準備!!」
『ハイって!?』
「提督も言ってただろ、“脱出訓練”だと。俺の部下が射撃して来るから死ぬ気で避けろ」
「ちょっと待ってよ〜、いくらあなた達でも私達が演習で作る様な弾幕は作れないでしょ?」
「夕張さーん、私達の科学技術、なめてるわね〜」
「?、マーリンそれって___」
「つべこべ言わずに準備!」
夕張と部下達全員は妙に仲良くなっている
だがいまは、彼女の言う通り回避行動の準備は必要だ
「マーリン、お前もさっさとエンジン回せ」
「すでに出来てます!」
「あと30秒くらいだな?」
「そうです!!」
「ちょっとあなたたち!何が始まるっていうの!?」
「5分後の回避行動の後、合図したら一斉にボタンを押せ、それが訓練の内容だ。
当たったら気絶するが、俺ら2人がバルーンを押してやるから大丈夫だ」
「いや、だから____」
続く言葉は掻き消される、
音速を超える速さで物が飛んでくる
ソレは撮影様に飛んでいたドローンに命中し破壊する
「え、何?」
「始まるよ!全員散開!!」
「全員、迎撃のためなら発砲も許可する、味方に当てるなよ」
『えええええ!?』
こうして死のダンスを艦娘達が始める
……俺らも踊っている1人だがな