約束通り3日経った。
今日から、普通の指導を始める。
……挨拶が過激だったが、やはりタフなのが多い、3日もかからず全員が回復・復帰した。
この3日の間に 鎮守府内の案内もしてもらった。
—–騒動があるのはこの鎮守府では当たり前だと、2日でわかった。
どうやらあの提督は、時々とんでもないことを考えを実行するらしい
昨日はやりたいことがあり ここにはいなかったが、今日から仕事だ
やりたいと思う仕事ではないが、楽しめそうだ。
給料は……まぁ請求した。
さて 始めるか。
彼との契約、いや取り決め内容は
⒈彼らを鍛える
⒉艦娘を鍛える
⒊警備内容の改善 が主だ。
もっとも、これは上が知っている今の内容だ。
彼のように優秀……………いや凄い人物をフルに活用しないわけがない。
上は別の企みがあるだろうが知ったことではない。
しかし、今は彼れらを鍛えてもらう。
今日も提督室に大量の書類が並ぶ。
……焼却したいが、おそらく鳳翔に殺されるだろう……仕方なく仕事を始める。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
今日は第五小隊を見ることになっている。
この基地の警備を担当する小隊はローテンションで時間が決まっている。
1~5の小隊がここには存在する。
6:00~12:00 12:00~18:00 18:00~24:00 0:00~6:00
この四つの時間に各小隊が交代制で一週間、その時間帯の警備を担当する。
0:00~6:00を担当した隊は一週間の担当が終わると、一週間は警備シフトに入らない。
そのため、一週間ごとに面倒を見るのはその非番とも言える小隊だ。
……本来なら、基地には専門の警備課があるはずだが、その人員を割くほど状況は優しくない。
避難誘導・物資の搬入 輸送・治安維持に警察や消防 そして自衛隊はこれまでにない程忙しい。
鎮守府には本来なら技官以外は配備されない予定だった。実際、艦娘だけでも警備はできるだろう。
しかし、提督達の反対があったらしい。
……普通なら民間人からの成り上がりである人間の意見など聞き入れてもらえないはずだが
何せ普通じゃない人間が提督だ
何をしたか知らないが、こうして出向してきているのだから、恐らく艦娘の技術関係か何かを
ついたのだろう。
ここの提督も なかなかの人間だ。……ふざけが過ぎる事が多いみたいだが、気は抜けない。
「敬礼‼︎」
すでに着くと全員並んでいた。
場所は山に近い方にある グラウンド、広さは大人がサッカーをやるには少し狭い。
だが近接戦闘術(CQC)をまとめて教えるには十分だ。
「本日は宜しく お願いします」
その部隊の隊長だろう、挨拶を受けた。
……思ったが、こいつらは本当に真面目だ。
コロンビアやコスタリカでは、最初が厄介だった。
今まで 強いと思っていた奴 恐れなどないという奴 イカれた奴
……とにかく、何かしら問題が有るのがほとんどで 体で教えてやっと話が出来るようになる。
中には俺の噂を聞いてきた奴もいたが、それでも素直じゃない。
だが、ここにいる奴らは全員 俺を見ている。
本気だ
「今日から指導をする スネークだ。
…… 俺から言われるのも気に触るだろうが、お前らの無力さは理解できる。
だが、お前らにはまず自分を守るための術を教える。
まずはそこからだ………不満のある奴は一歩前に出ろ。」
試す気持ちで、言ってみる
一瞬後、全員が前に出てきた
……考えてみればそれもそうだ、彼らには何もできなかった
戦うべき事態で、彼らには奴らを倒す事が出来ない
・・・守るべき事態に、守りきれなかった。
「……よし、その覚悟をたたえて 予定を変更する。 全員、俺を倒しに来い」
腰を落とし 構える。
隊員達も、俺を囲み 間合いを取る。
今まで10人とは一人で相手にした事が有るが、40人は——ないな。
どうやら 今の自衛官達には相当のストレスがあるらしい、おかげで力加減が出来ない。
あいつは俺に、これを求めていたのか?……二人を押し出しながら思う。
……気にくわないのは、こいつらも同じなのだろう。
……救護がまた忙しいなりそうだ。
「状況は?」
私の仕事は朝から慌ただしい……わけではない。
ましてや、大規模作戦もない。
机に座り
書類を読み
決算し許可の判子を押す
これが 提督 の仕事だ、現実はほとんどこの事務作業になる。
—–軍隊の仕事はペーパーワークが支えている
戦争状態なら話は別だが、基本何をするにも事務手続きは欠かせない。
消耗品・日用品の補充、弾薬・燃料の補給 搬入にも許可証の発行は必要だ。
確かに戦争状態に近い、だがここは戦争を放棄した日本だ。
簡略化する法律を作ろうものなら
“国家総動員法の再来”
と大見出しがつくに違いない
そうなれば、自衛隊はおろか艦娘達が出撃できない、という事態も起こりかねない。
なので、大規模作戦中以外では通常と変わりなく書類手続きが必須だ。
それは、艦娘も例外ではない。
さらに深海凄艦に関する報告書や意見書、設備の改善を求める請願書等、むしろ提出される書類は
鎮守府には多い。
それを処理するのは、鎮守府では提督しかいない。……いや、秘書艦という存在もいる。
しかし、毎日のようにこれらは提出されるため二人では完全には処理するのは難しい。
そのため 必要最低限のもの以外……正確には期限があるものが優先的に処理されている。
「輸送部隊の護衛任務と、鼠輸送の任務 あとは周辺海域の警備 ですかね。」
さらに、深海凄艦への対処・作戦の指揮も執る。
また 艦娘には作戦海域での掃討作戦以外に 訓練・輸送任務やその護衛、演習、鎮守府のため、
彼女達自身を育成するためのものもある、それを行うにも、事務作業は外すことは出来ない。
……マウスをカチカチするだけが、提督ではない。
「今日からの、自衛官達への訓練だが」
「すでに、救護と衛生科には話しています」
「……そうか」
「あと、さらに受け入れる分の部屋もすでに整いました」
「それは助かる……すまないな」
「……いいえ、私ができることをやっただけです。……仕事量は減りませんが」
そう鳳翔は微笑みながら言った。
言葉を裏付けるように、こっちを見て会話はしているが手は止まっていない。
「だが、それが彼女達を守るためだ。それしか私達人間には出来ない」
「……そう ですね」
それ以降、会話は止まった。
何せ書類の量が尋常ではない。
今まで彼のために根回しが多く、処理がほとんど止まっていた。
この3日は事務処理に追われている。
だが提督の机の山には、読みにくく、無駄に分厚い書類があった。
夕方……にもならず、昼前に訓練は終了した。
まあ、あれだけやったら今日は動けないだろう
事実 ドクターからストップがかかればどうしようもない……誰も骨が折れていないだけマシだ。
……瞬間、イヤな予感がする。
あいつらが何をするかわかったもんじゃない
「・・・仕方ない」
久しぶりにため息をつきながら、正門に向かう。
ー正門にてー
「 あ 」
「体の具合はどうだ?」
そこには昨日、門番として倒されたやつがいた。
「……おかげさまで、身体中が痛かったりします」
「俺は知ってたんで服にインクがついた だ〜けだーがな〜」
腹を赤くしていた方は、やはり提督から事前に聞かされていたようだ。
「あ!テメェーあん時マジあせったんだからな!?」
「そ れ は す い ま せ ん で し た」
「……殴っていいか?」
確かに今のは気に食わない。
「俺もそれは止められないな、勝手に腹を赤くしてくれたおかげで時間を無駄にした」
「!?」
おいおい、顔が青くなっている気がするが……
「……おまえの顔が面白いから許すわ」
「………ところで、スネークさんはなぜここに? まさか、からかいに?」
そうだ、極めて厄介になりそうだから来た。
「おまえ、話が気にくわないからって 話題を変え——」
「……あぁ、イヤな予感がしてな。 ここが襲われる」
『!?』
一瞬、こっちを見て2人が俺に体を向ける
反応が早い、いい判断だ……トリガーに指が掛かっているのが気になるが
「……反応はいいが、俺がやるならもうやってる。それに提督からのお達しがあるだろう?」
「いつもあるわけではありません」
「イヤ、そもそもマジなのか?」
そう、そこを疑われるのは当然だ。
「俺の勘だから 確実ではない。だが来るのは俺の知っている奴だ。」
「それは……敵だったやつなんですか?」
「いいや、そうじゃないんだが……来るぞ」
話していたら来たらしい。
すぐに心の中で臨戦態勢をとる。
だが銃を構える必要は無い。
二人も向かい合わず、正面を警戒しあたりをうかがう。
「……誰かいますか?」
「5人はいる」
「3人じゃなくてですか?」
どうやら、腹を赤くした奴は目が良いらしい。
事実、この直線上には3人いる。
だがそれは見えているだけだ
「いや、……警戒だけしてろ、話は俺がする。」
『……了解』
二人とも緊張している。何しろ俺から散々な目にあったばかりだ。
再び死ぬような経験は勘弁だろう。
片方は痛い目にあっていないが、俺の実力は理解しているようだ。
素直に従っている
……相手も素直に従ってくれると助かるが、どうなるかわかったもんじゃない。