鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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遅れながら新年あけましておめでとう御座います。

そして無事?にこの小説も読者の皆様のおかげで一周年を迎えました。

相変わらずテストやら何やらで不定期投稿ですが、首を長く待って頂けると幸いです。

今年もどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m






大規模作戦 偵察

12/10 21:30

 

南半球にいるおかげで発生した雨は止み、半分ほどに欠けた月が海を頼りなく照らしていた。

 

隊員たちを回収し島から撤退して6日、船団は極めて順調な航海をしていた。

行きは運良く深海凄艦と遭遇することがほとんど無かった、だが今は船団の周辺にジャマーを展開し全体を電子の目から覆い被せているため潜水艦と偵察機に注意すれば良いという護衛しやすい環境を整えていた。

これもMSFの研究開発班が出した成果であり、島に設置していた装置をティム達が急ごしらえで一番高さがあり、かつ装置の設置がすぐ可能なチョッパーに取り付けた成果である。

 

そのため、現在船団はすでにラバウルから直線距離にして東に約600km地点に到達、20時間以内に上陸可能な状況である。ただし船団が移動することを踏まえると24時間程かかることが見込まれた

そして、同時並行で進められている敵施設の破壊だが通信が無いため作戦が失敗・または何らかの

アクシデントが発生したとは考えにくいため、計画通り復旧中の港湾施設を破壊し次の再建中の泊地破壊に移っていると考えられた。

 

 

しかし、ラバウルへの予定上陸地点及びその周辺状況が不明な状況での接近はリスクがあった

 

 

一度、日本もとい艦娘によって解放されたラバウルだったが補給線の限界から撤退し現在はラバウルに補給基地を置くに留まっている。

そのため、ラバウルがどうなっているかは艦娘も含めて誰も知らない、強行偵察の時は敵施設の建設は確認されなかったが、なんらかの罠・または簡易的な前線基地になっている可能性も捨てきれないと判断された。

もっとも前線基地に関しては可能性は低いものの、何らかの罠が設置されている可能性は高いため事前の偵察が必要だと判断、少数精鋭の部隊を編成し先にヘリで輸送する事になった。

 

 

 

ただし、いくつか問題が発生した

 

 

 

《BOSS、すまないがちょっと良いか?》

 

「……どうしたカズ」

 

 

改装捕鯨船平和丸船内のとある一室。

そこはスネークに充てがわれた部屋だが他の隊員達と全く同じ広さで、机とベッドがある。

いまは銃をメンテナンスしていたのだが、突然の無線に少し嫌になりながらも一旦手を止め無線に答えた。

 

 

《あんたに任せる強行偵察の件だ》

 

「……別に強行偵察じゃない、ヘリで隠密で済ませる」

 

《いやっそれはそうなんだが……そうじゃなく、相談がある》

 

「なんだ、今更俺は止める気は無いぞ」

 

《あんたが隠密でしくじるとは思ってない、それにパイロットも優秀だ、そこに関しては俺は信用している》

 

「じゃあ何だ?」

 

《諜報班からの情報で明朝また雨が降るらしい》

 

「……また雨か、だがしょうがないだろう、いくら何でも天候までは操れない」

 

《あっああ、そうだなあ》

 

「……どうして動揺している」

 

《…………気にしないでくれ、だがそのおかげで夜間のヘリの運用が延期せざるをえない》

 

「それで」

 

《時刻を前倒して03:30に出発してもらう、それなら離陸が可能らしい》

 

「燃料は大丈夫なのか、いま運用できるのはハインドのはずだ、航続距離は最長でも450km程のはずだが……」

 

《それに関してはいま調整して増槽の用意をしている、それで飛べるようにはなる、ただ——》

 

「武装を取り外すために支援が難しい、か?」

 

《……ああ》

 

「元から俺は支援を当てにしてない、万が一深海凄艦がいればさっさと逃げる、それだけだ。

それにヤッコが戦闘班から選りすぐりを寄越してくれる、問題ない」

 

《天候が回復次第支援ヘリを飛ばす、それまで踏ん張ってくれ》

 

「まだ出発もしてないんだがな、まあ用心しよう」

 

《ああ頼む、その代わりと言っては何だがクロードも同行させる事にした》

 

「メディックか、別に構わんがどうしてだ?」

 

《俺のせめてものバックアップだ、それに志願して来たからな、組み込んだ》

 

「まあ確かに頼り甲斐はあるな、それにサイドワインダーより継続して支援してもらえる」

 

《……それはアレか、何かの皮肉か?》

 

「別にそんなつもりは無い、まあせいぜい噛まれないよう注意しよう」

 

《……そうしてくれ、すまないな夜分に》

 

「別に夜だろうが昼間だろうが俺にはあまり関係無いがな、お前も休める時に休めよ」

 

《それだけ元気そうなら大丈夫そうだな、なら6時間後の03:30に迎えを寄越す。

他のヘリと一緒にそのままラバウルに向かって来れ、変更があればまた連絡する》

 

「了解だ、お前も頼むぞ」

 

そう言って無線を切り、再び銃のメンテナンスを始めた。

長い間使ってきた愛銃M16A1、イレギュラーな形ではあったが試作段階の時から世話になった。

今回もジャングルに入ることにもなるが……サプレッサーも念のために用意する事にした。

 

銃口の内部を掃除しススを取り出し、銃身をサプレッサーに取り替え調整。

サイトの邪魔にならない様調整、照星と照門がズレてないことを確認。

 

 

マガジンを取り出す

 

押し込む

 

薬室に弾を込める

 

構える

 

 

「……まあまぁだな、次はこっちか」

 

そう言って次にマグナムの整備を始めようとした……だがどうにもそんな気分になれなかった。

ちょうど小腹も空いていたスネークは食堂に行く事にした。

 

・・・外に人の気配は無い

 

マグナムをホルスターにしまいゆっくりとドアを開ける

 

廊下に人はいないらしい

 

今日の当直は確かビルサーか、だが当直部屋に人が居ない

 

見回りでもしてるかまだ部屋に居ないだけか……まあサボりだったら後で言っておくとしよう

 

そう思いながら足音も気配も立たせず階段に差し掛かる

 

下には……どうやら4人いるらしい

 

声からして三隈・村雨・時雨・それとフォレストか

 

同じ部屋同士で話しでもしている様だ

 

「フォレストさーん、お茶ちょうだーい」

 

「村雨、それぐらい自分でやりなよ」

 

「そういう時雨だって床に伸びてるじゃない」

 

「あっ私がやりますよ」

 

「いいの、3人とものんびりくつろいでて」

 

……随分くつろいでる

 

これなら問題無さそうだ、ドアも閉まっている

 

そのまま二階へ・・・!?

 

「フォレスト、ちょっと絆創膏ある?って随分な大所帯ね……」

 

「あらエアー、珍しい・・・ていうか久しぶりな気がするけど」

 

「奇遇ね、私も自分がどういうキャラだったか危うく忘れられそうな位で大変だったわよ。

もっともティムが躍起になった時に少し手は貸したけど」

 

「えっあの時居たの?」

 

「居たの、ずっと船の警備で誰にも気付かれずに島にも行かないでずっっっと船にいたのよ」

 

「…………そう言えば島に居なかったわね、はい絆創膏」

 

「まっそれが私の仕事だから、ありがとうね」

 

「……そういえばどこを怪我したの?」

 

「私じゃないわよ、千代田が包丁で指を切ったの」

 

「あら大変……けど食堂にある程度ストックあるでしょう?」

 

「霧島と千歳が使いまくったらしいのよ」

 

「ああ……なるほどね」

 

「まあ私は食堂に行くわ、3人も今のうちに休んでね」

 

……まさかエアーが現れるとはな、危なかった

 

それにあいつも気配を消すのだけは上手くなったな、ギリギリまで気付かなかった

 

階段が無ければバレたかも知れない

 

……だがどうやら食堂に行くらしい

 

 

カンッカンッカンッカンッ

 

 

そのままエアーの後ろに付いて食堂に向かう

 

ここまでくれば面倒な事にはならないだろう

 

……食堂が見えてきた

 

「料理長さん、絆創膏持ってきたわ」

 

「…………ああ」

 

「エアーさんすいません、取りに行かせて」

 

「良いのよ千歳、どうせ出番少ないんだから」

 

「いきなり自虐なのね……」

 

「千歳おねぇー悪いけど絆創膏貼ってよぉー」

 

「はいはい、そういえば忘れてたわ」

 

「ヒドイ!」

 

「ヒドいも何もあなたが包丁で手を切るのが悪い」

 

「うぅ〜〜」

 

「あら、ここに有った絆創膏を使い切ったのはどこの誰だったかしら?」

 

「……千代田、指出して」

 

「わかればよろしい」

 

「お前は相変わらず直接相手を刺すな」

 

「ッBOSS!?」

 

「どうしたのエアーさん?さっきからスネークは居たじゃん」

 

「そうよ、後ろにずっと居たから一緒に来たんでしょ?」

 

「そうだな、フォレストの部屋から一緒に来た」

 

「えっいや……とりあえず私は知らなかったんですが」

 

「だろうな、後ろから勝手に着いてきただけだからな」

 

「……じゃあフォレストも知らない、と」

 

「ああ」

 

「……まだまだですね私も」

 

「えっちょっと待って!エアーさんは……スネークが居たこと知らなかったの?」

 

「知らなかったって言うよりわからなかったわ、油断してた」

 

「けどすごく近かったじゃん!?」

 

「千代田の言う通りね……肩が当たりそうな位近いのに気付かなかったの?」

 

「気付かないわね、BOSSの場合はいるかどうかは目で見なきゃわからないから」

 

「カズやクロードならわかるがな」

 

「……副司令やクロードさんと比べないでください、私はそこまで強くありません」

 

「そんな事はない、気配は俺でもギリギリまで気付かなかった、なかなか良くなったじゃないか」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「何か……底知れないわね」

 

「…………BOSSの底を知っている人は居ない」

 

「「「えっ?」」」

 

「……………………」

 

「そうだ、少し小腹が空いたんだ、何かあるか?」

 

「…………あるよ」

 

「じゃあ頼む」

 

そう答えた料理長が厨房に消えて行った。

食堂には椅子に座ったスネーク、手当をしている千歳に千代田、そしてエアーの4人がいる。

食事が出てくるまで暇なら自然と会話に発展する、それが大体の人の常である。

ここでも勝手に会話が始まった。

 

「……まさか料理長が喋るなんて」

 

「私も初めて他の言葉を聞いたわ……」

 

「やっぱりそうだよね……」

 

「どうした、3人も揃って」

 

「料理長って『ああ』とか『…………あるよ』しか言わないじゃないですか」

 

「そんなことは無いぞ、俺や気が合う奴とは良く喋るが」

 

「喋るの!?」

 

「ああ、もっともあいつはシャイだ、そんなに喋りはしないがな」

 

「……私もう2週間以上食堂で手伝ってるのに一度も喋ってる所見たこと無いわ」

 

「大丈夫よ千歳、私なんか何ヶ月も一緒にいるけど一回も聞いたこと無いから」

 

「……そういえばエアーはもう食べたのか?」

 

「ええ、さっきは千代田が怪我したっていうんでついでに絆創膏を取りに行ったんですよ」

 

「しかし千歳と霧島、あと高雄と金剛なんかが手伝ってたのは知ってるが……なぜ千代田もいる?」

 

「ああ、それは自分がどれだけ恵まれてるかを実感したらしくて手伝いたそうにソワソワしてたので私が誘ったんです、まぁその結果人参じゃなくて自分の指を切ったんですけど」

 

「人参ってあんな硬いなんて思わなかったんだもん、柔らかくないなんて」

 

「そこからか……」

 

「なんか艦娘でも料理できる娘と出来ない娘の差が激しいわよね?」

 

「まあいくら元船だろうと個人差は有るだろう、それに姉妹艦でも好みが分かれるんだ、料理の出来ぐらい変わるだろうな」

 

「……なんかすっごく馬鹿にされた気分」

 

「そんな事はない、それぞれ個人ごとにいい所も悪い所も有るってことだ、俺はお前たちの事を良く知らないが」

 

「まあ何にでも当てはまりますけどね、それぞれ得意不得意はある訳で」

 

「お前は後は気配を探れる様になれば一人前だ」

 

「……ウェーバーならわかるんですけどね」

 

「あいつは後方支援が専門だ、それにスカウトも出来なくは無いが得意でも無いからな。

……今度暇が出来たら相手をしてやる、それにまたこっちに来ればあいつらも訓練に励むはずだ。

ラバウルは赤道に近いおかげで年中サバイバルが出来るからな、訓練には持って来いだ」

 

「けど半年以上人がいない状況の島よ?

あなた達だから整備には苦労しないでしょうけど、それでも時間はかかると思うわよ」

 

「ここで訓練の話をするのもどうかと思うけどっ……マラリアとかの対策とかもあるよね」

 

「あら、意外と思ったより千代田ってしっかりしてるのね」

 

「思ったよりは余計よ!」

 

「意外とは問題無いのか」

 

「あるっ!!」

 

「……やっぱり私が支えないとダメね」

 

「姉も大変だな、色々と」

 

「そうね、けど……世話が出来るから良いのよ」

 

「……そうだな、手に届く範囲にいれば何かあれば手を出せるからな」

 

「そういうこと」

 

「なに!千歳お姉に手を出す気!?」

 

「……それに守ってもくれるし」

 

「みたいだな」

 

「ちょっと!何で良い感じになってるの!?それに千歳お姉も何で良い笑顔なの!?」

 

「あら千代田、妬いてるの?」

 

「や、妬いてないしぃ!千歳お姉が心配なだけだから!!」

 

「随分良い妹だな」

 

「そうね、いつもはお節介で手の焼く妹だけど……いざって時に頼りになるわ」

 

「集団っていうのはそういうものだ」

 

スネークは1人を好む。

潜入も単独潜入を請け負い、常に1人で戦場を乗り越えそれこそ歩んできた。

それでも組織・集団の良さを知っている、何より仲間との信頼が自身の生死を分ける事も知っている

 

できるだけ殺さずに敵を裁くのもスネークが得意とする所だが、それは自分の痕跡を残さないという点もあるが、それも麻酔銃があってこそだ。

その麻酔銃も元を辿ればCIAに所属していた時に渡された物であり、今も麻酔弾を研究開発班や医療班が開発・生産してくれているからこそ使う事が出来ている。

実弾を即席で作ることは不可能では無いが手間がかかる、それに麻酔弾は作ることは出来ない。

いくら銃を手入れした所で銃弾が無ければ何の意味も無い、ただの鉄の塊である。

 

人員も似た様な物で、個人の能力がいかに高かろうが集団で力を活かせた方が効率が良い。

そして扱う者によって使われる方の成果も変わってくるのだ。

何より、集団では良くも悪くも助け合うことが出来るのだ。

 

「だああぁぁぁぁぁ!!何で良い感じの雰囲気になってるのおおおおぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

「……………………」

 

そんな良い感じの雰囲気で良い話をしていた2人だが、それを見事にぶち壊す大声を夜の九時半過ぎに食堂で発する千代田の横を通り過ぎながら料理長がスネークへ食事を運んで来た。

 

「すまないな、夜分に」

 

「…………まだ夜遅くない」

 

「そうか、助かる」

 

「…………だが」

 

「うん?」

 

食器をテーブルに置き、スネークを背にして3人がいる方を向く料理長。

それが自分には関係ないことだとわかると、勝手に食べ始める事にした。

 

 

だが関係があるであろう3人はふと目線を料理長に合わせてしまった

 

 

「…………ちょっと静かにして貰いたい」

 

 

「「「……………………」」」

 

「……………………」

 

 

そこには知っている料理長はいなかった

 

そこいるのは厨房にいる鬼だった

 

千歳は突然背筋が凍り動けなくなった

 

張本人である千代田は鬼気迫る恐怖を体で感じ涙目になった

 

エアーはその気迫を肌で感じながらも慣れているためすぐに構えた

 

「・・・美味いな、相変わらず」

 

「…………どうも」

 

「「「……………………」」」

 

だがそれを物ともしない人間がそこに居た。

普通に料理を食べ、それを味わい、普通に美味いと言った。

そしてそれをいつも通りに答える鬼、だがそこにはもう鬼ではなく良く知る料理長が居た。

 

「料理長〜そろそろ仕込み始めましょう〜」

 

「…………ああ」

 

そういつも通り答えて厨房に帰って行った。

そして食堂に残ったのは食事を進めるスネークと警戒を解いたエアー、背筋が動く様になり真っ先に妹の方を見る千歳、そして涙がこらえられず姉の方をゆっくりと振り向く千代田の4人だ。

 

「まあ公共の場で騒ぐのは不味かったわよね」

 

「し、死ぬかと思ったぁ……」

 

「……ちょっと料理長さんがあんな顔するなんて信じられないんだけど」

 

「お前たち2人は知らないだろうが、炊飯担当だがあいつも後方支援として戦える奴だからな。

少なくとも真っ向勝負ならマーリンに勝つぞ、あいつは」

 

「……それ、ほんと?」

 

「ほんt・・・ほんとうなの?」

 

「……まあ五分五分ね、少なくとも正面から戦うって条件だと厳しいと思うわよ」

 

「本ッ当にここは化け物ばかりじゃない……」

 

「……奇遇ね千代田、私も同じ様に思ったわ」

 

「化け物じゃなくて変人と言って欲しいかな、化け物は深海凄艦みたいなのだろうに」

 

「ウェイターか、どうした?」

 

「ウェイターは俺たち全員なはずなんですけど……まっ良いです、料理長がお詫びでデザートです。そちらのお2人にどうぞ」

 

そう言って出てきたウェイターことムンクが2人分の小皿をちとちよの2人に差し出す。

そこには随分と洒落たチョコレートケーキが乗っかっていた。

 

「あら、随分とオシャレなケーキね、誰が作ったの?」

 

「もちろん料理長ですが?」

 

「「・・・えっ?」」

 

「あいつ、そう言えば霧島や金剛がデザートは作るのが美味いとか言っていたからな、対抗して作ったんじゃないか?それに島に着いて砂糖も少し手に入ったみたいだしな」

 

「私は出入りしかしてなかったけど、食堂でもケーキとかマカロン、あとアイスクリームも自作していたからそんなおかしくは無いと思うわよ」

 

「……なんか料理長の印象が私の中で一変されてるわ」

 

「あっ!これすっごく美味しい!」

 

「もうあなたは食べてるのね……」

 

「まあ美味しいだろうね、だって食堂でもなぜかケーキが評判で移動販売もやってるもの」

 

「……お前ら、そんな営業までしてるのか」

 

「私はほとんど関わってませんけどね」

 

「俺はケーキの飾りつけとトッピング、あとは箱詰めですかね」

 

「もう……この人たち何なの……」

 

「千歳お姉も食べなよ!これ本当に美味しいよ!?」

 

「ちよださーん、さっき料理長に怒られたばかりでしょう、少しお静かに」

 

「はーぃ」

 

「……じゃあいただくわ」

 

そのうちに遅い夕食を食べ終えたスネークは戻るウェイターに皿を持たせた。

一方で千歳は満足そうにケーキを食べている妹を見て、何かこう色々と諦めたらしく自分のケーキも食べ始めた。

 

「・・・美味しい」

 

「良かったわね、騒がしい妹のおかげでおいしい物にありつけて」

 

「ええ、ていうか本当に美味しいわ。

ビターチョコじゃ無いのに甘過ぎなくて、それでいてカカオの香りがすごく鼻に通って、生地もこれ……一番下がスポンジじゃなくてクッキーなのね」

 

「まあ少しカリカリなのがあった方がよく噛むからより味わいやすくなるからね、本当はナッツとか有れば良いんだけど、そんな贅沢言えないから」

 

「いや十分すぎる、これだけ食事を充実させてくれてるんだ、誰も文句は言うまい」

 

「もっとも男たちには絶対デザートなんて出しませんけどね、彼女たちだから特別ですよ特別」

 

「でしょうね、うちの連中に甘味の良さがわかるとは思えないもの」

 

「「ご馳走様です」」

 

「……早いわね、食べるの」

 

「というか千歳さん千代田さんより後から食べ始めたはずじゃ……」

 

「まあ満足したんだろ?」

 

「「もちろん!」」

 

「残りの航路も護衛を頼む。ウェイター、あとでレーションを取りに来る、用意しておいてくれ」

 

「………了解です、01:00には用意しておきます」

 

「助かる、じゃあな」

 

そう言ってスネークは食堂から出て行き、階段を上っていった。

 

「……さて、私も部屋に戻ろうかしらね」

 

「私はもう少し手伝わなきゃ」

 

「なら私もっ!」

 

「あなたはもう今日は部屋に戻ってなさい」

 

「え〜何でよ千歳お姉?」

 

「あなたはまず包丁の使い方から教えないとダメだからよ、それに皿洗いにしたって絆創膏が外れたらまた騒ぐんだからそうなったらここの皆さんに迷惑をかけるのよ?」

 

「うぅぅ……」

 

「・・・そういえば千代田の部屋でフォレストが何人か集めてパジャマパーティーしてたわよ?」

 

「そうなの!?」

 

「ならそっちに行きなさいよ、少し休みなさい」

 

「うんそうする!じゃあね千歳お姉!」

 

「じゃあ私も行くわ」

 

「……すいません」

 

「気にしないで、またあとでお話しましょ?」

 

「ええ」

 

「……なら俺も働きますかぁ」

 

そう言ってスネークが出て行った少し後に千代田とエアーも食堂を出て行き自室へ。

千歳はムンクと共に夜食の下ごしらえを始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、当直を担当していたビルサーだが

 

別に仕事をサボっていた訳では無かったのだが、のちにエアーに叱られたのはまた別の話である

 

別にBOSSに背後を取られたのが悔しくて八つ当たりした訳では無い

 

 

 

 

 

断じてないハズだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

時刻は進み03:25

船団の状況は穏やかで、一定の速度を保ちながら之ノ字航行をしラバウルまであと400km程となった

 

《こちらピークォード、間も無くピックアップします、待機を》

 

「こちらスネーク、くれぐれもキャッチされないでくれ、アウト」

 

キャッチャーボートにピークォードが捕まる、何とも言えないジョークではあるがそんな事を言える程度にパイロットの腕は確かだった。

 

半分ほどしかない月明かりで暗視ゴーグルを付けているとはいえ、夜間飛行は動物の本能のおかげで大変恐ろしいものである、ただ薄暗い空間が目の前に広がる中で高速で動かなければいけないからだ

だが、スネークが乗るパイロットは目隠し飛行をしても半径60マイル(約96.5km)旋回を行った後に誘導無しに寸分違わず再びヘリパッドに戻って来る。

 

目隠し飛行とは某宇宙な兄弟でも出てきたが、航空機のコックピットを完全に遮蔽しレーダーと計器だけを頼りに飛行する訓練だ。

これだけを聞けばわざわざ危険を冒している訓練だが、実際の夜間飛行は目隠し飛行と同じ状況下に等しくレーダーと計器のみで全てを把握する必要がある。

 

そんな状況下で60マイル旋回を行った後に再びヘリパッドに管制誘導無しで寸分違わず再び同じ場所に戻るには相当な技術と自分の操縦する機体のクセを把握していなければ不可能だ。

 

《こちらピークォード、ランディングポイントに到着!》

 

夜の海を半月が照らす中、ヘリ独特の空中を裂く音と共にぼんやりと大きい図体が艦尾に接近した

ぼんやりとしか見えないのは第二次大戦のドイツ空軍夜間戦闘機に施された様なライトグリーンの地に所々ダーク グリーンで塗り込められていたためだった。

 

船体側面に機体を横付けされそのまま降下、パワードアが開きスネークを迎い入れる

 

そのドアへ船の手すりに乗っかりそのまま飛んで搭乗

 

「……相変わらず無茶しますね」

 

「燃料が勿体無いからな、それに怪我をしてもお前がいるからな」

 

「……よく言いますよ」

 

《離脱します》

 

そう言うとヘリが急激に上昇、そのまま船団の前方に飛行する

 

《BOSS、聞こえるか》

 

「ああ、よく聞こえる」

 

《そうか、なら今回の任務を伝える。

今回は俺たちが上陸するラバウルの現在状況の把握・及びトラップの事前破壊だ。

こちらでもある程度調べようとはしたが、俺たちが預かった軍事衛星では南西海域や東南アジアまではカバー出来なかった、艦娘たちにも確認はしたが状況は不明。

機雷の掃討は彼女たちが請け負うとの事だが、上陸地点までは専門外だ。

そこであんたは部下を引き連れて先にラバウルへ潜入・・・じゃないな、上陸して現在状況の確認と上陸地点の安全を確保・維持してくれ》

 

「ヘリはあと2機いるんだったな?」

 

《そうだ、コールサインは“グリーズ”と“ワモン”だ。

機種はピークォードと同じハインドをフルカスタムしたものだが増槽を付けた為に攻撃能力が大幅に減少している、それに燃料の事も踏まえるとあんたや部下たちの支援は難しい》

 

「だろうな、だが問題ない」

 

《そう言われると心強い、だが3機とも高級仕様だ。いいか、壊すんじゃないぞ?》

 

「当然だ」

 

《絶対にだぞ?絶対に撃墜されるんじゃないぞ!?》

 

「……どうしたカズ」

 

《あっ……いやっ…………何という大衆の前でフルカスタムのハインドが燃え尽きていく様を見せられた事がある様な気がしてな……》

 

「そんなことある訳無いだろ」

 

《……とにかく、今回は陸路での脱出路は無いぞ》

 

「当然だ」

 

《…………そうだな》

 

「本当に大丈夫か、カズ」

 

《……問題無い、とりあえず無事でいてくれ。

俺たちも準備が整い次第上陸を始める、支援ヘリも昼過ぎには追って向かわせる。

だがそれまでしばらく無線封鎖をかけることになる、今後は情報は一切緊急信号以外はやり取り出来ない、今のうちに知りたい事はあるか?》

 

「……そういえば、ラバウルも日本軍が占領していたんだよな?」

 

《ああ、太平洋戦争中に日本海軍の航空基地と軍港があった。

だが基地や重要施設は爆撃によって破壊、その後の戦況の悪化で撤退した。

深海凄艦が出る前まではオーストラリアの信託統治領で人口も一万人前後ではあったが、一昨年内政自治権を獲得して今年独立する予定だった、だがそれも頓挫したみたいだ》

 

「そうか……それで今もその航空基地は残っているのか?」

 

《流石にそのままでは無いが基地の名残から滑走路は残っているらしい、もっとも今は弾痕だらけだろうがな》

 

「……わかった、なら試しにその基地にも行ってみよう」

 

《構わないが……上陸地点の確保が先だ、それに敵が隠れてる可能性もある》

 

「心配するな、無理はしない」

 

《……そうか、そうだな、あんたの事だ、深海凄艦がいた所で捕縛しそうだ》

 

「流石に捕まえないがな、うまく立ち回る」

 

《なら以降は無線封鎖とする、指揮はあんたに任せる》

 

「了解だ、ならしばらく空の旅を我慢するとしよう」

 

そう言って無線が切れる。

ここからラバウルまでは約400km程はある、巡航速度を考えると約2時間のフライトとなる。

それまでにやる事は…………特に無い、せいぜい仮眠を取るぐらいだ。

幸い、ハインドのキャビンは人が寝るには十分過ぎる広さがあった。

 

「BOSSは……寝ますか」

 

「どうせやる事は無い、整備は済ませたしな」

 

「俺は眠くは無いんで上陸地点の情報を整理しておきます」

 

「わざわざか?お前も随分細いんだな」

 

「怪我人が出て仕事が増えるのが嫌なんですよ」

 

そう言うとクロードはiDroidを取り出し目標地点に分布する罠が設置されてるであろう予想範囲を表示しどの様に対処するかを考え始めた。

 

……現地に着いてからでも構わない気がする、がそれは個人の見解のため何も言わず仮眠を取る事にした。

 

 

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