どうにか来週の投稿も間に合いそうです
……そのあとはまた読者の皆様を待たせてしまいそうですが……
それでも投稿は続けていきますのでこれからもどうにかお願いしますm(_ _)m
「……でだ、改めて聞くがお前は日本生まれの“カシマ”って言うんだな?」
「ハイッ」
「……俺らとしては色々と聞きたいことがある、ただその前に確認したいこともある」
「何でしょう?」
1975年 12/11 11:30
間も無く昼下がりとなるラバウルには現在、MSFの輸送船団が向かっておりその先遣部隊が上陸していた。
その先遣部隊は港内で仮拠点を構え、範囲を指定しクリアリングをかけていた。
その途中、部隊は気配を察すること無く突如として現れた……話し方からして少女を診療所で発見した。
クロードが体の具合を見た後、診療所をあとにし仮拠点としている建物へ移動、事情を聞く運びとなった。
「とりあえず何だが……何か今の状況に意見はあるか?」
「意見?」
「不便だとか何か今欲しい物があるかという意味だが」
「そうですね・・・あっ」
「何だ?」
「えっと……その///」
「?」
「……お腹が」
「……なるほどな、クロード!」
「レーションですか?」
「もっと良いのがあるだろう」
「了解です、3分待って下さい」
「そういう訳だ、すぐに用意させる」
「何かすいません……」
「気にするな、生きていれば腹が減るのは当然だ、何も恥ずかしがることは無い」
「そうですか……もう12時過ぎ位ですかね」
「………………」
そうスネークに言われ顔を俯かせる少女……鹿島。
文字を書かせてみるとそう書き本人もそれを当然のように書いているため、とりあえず“カシマ”と呼ぶことにした。
「……でだ、俺たちは色々と情報が欲しいがここは生憎周りはむさ苦しい男ばかりだ。
しかも女1人の状況では話しにくいと思うのは当然だ」
「えっと……まぁ」
「そこで俺らについて聞きたいことを何でも聞いてくれ、できる限り俺たちは答えよう。
代わりに俺も質問する、それに対してお前が答えられる範囲で答えてくれ」
「それは……交渉という事でしょうか?」
「そんな堅苦しいものじゃあ無い、初めましての交流と言ったところだ」
「そうですか……わたしは構いませんよ」
「なら食べながら話をするとしよう」
そう言うとクロードが銀色の袋を持って鹿島の目の前に置いた
袋の端に切り口があり、そこを持ち横に引っ張ると中から液状の物が入っていた
独特の香辛料の香りが中から鼻を通り、食欲をそそる
それは日本海軍に所属していた者など関係無く、日本人なら馴染みのある食品
その銀色の袋にはレトルトと“3分湯煎”・そしてボ○カレーと書かれていた
「これって……」
「まあ今日はカレーの日だからな」
「・・・食べても?」
「はいスプーン」
そう言ってクロードがスプーンを渡す。
それを受け取ると嬉しそうに顔を綻ばせ「いただきます!」と元気よく食べ始めた。
隊員たちからして見れば少女が美味しそうにご飯を頬張る、それだけで十分だった。
相手が美人なら尚更その光景は目に優しく、ただただ眼福だった。
そう、その場はたった1人の少女のおかげで一時の平和と和やかな雰囲気に包まれていた。
「ハムッ・・・アムッ・・・・・・・ン〜〜美味しぃ〜!!」
「それは何よりだ」
「フゥー……ご馳走様です」
((((食べるの早くないか!?))))
「……お代わりもあるが?」
「是非っ!」
「……クロード」
「ハイどうぞ」
「ワアァ!」
隊員たちからして見れば少女が美味しそうにご飯を頬張る、それだけで十分だった
相手が美人なら尚更その光景は目に優しく、ただただ眼福だった
そう、その場はたった1人の少女のおかげで一時の平和と和やかな雰囲気に包まれていた
「フゥフゥ……これ、本当に美味しいですね」
「後でこれを作った料理人に会わせてやる、そいつに感謝してやれ」
「……じゃあそろそろ本題に入った方が良いですね、ならまずは皆さんの素性と言いますか経歴を教えてくれませんか?」
「そうだな、まずはそこからだ。
さっき名前は名乗ったから良いとして、聞きたいのは俺たちが何者かだな?」
「はい、だって皆さんどう見ても民間人では無いですよね……まあわたしも人の事を言えないんですけど」
確かに普通に考えて民間人が迷彩服や戦闘服を着てハンドガンとライフルを標準装備しているのはおかしい。
加えて雰囲気から察してもここにいる全員がただ者じゃ無い、少なくとも単なる軍人とも言えそうに無かった
「まあそう嘆くな、その質問には最初から答えるつもりだ。
俺たちはお前の見た通り軍人ではあるが……国家に属した軍隊じゃ無い」
「では……傭兵ですか?」
「まあ一応な、俺の相棒は民間の軍事組織だとよく言っているが」
「民間?けど軍人ですよね?」
「まあその辺りを説明すると長くなるんだが……俺たちは〈Military Sans Frontieres〉MSFという組織に属している軍人だと名乗るのが一番簡単だな」
「MSF……国境なき軍隊、ですか」
「ほお、良くわかったな」
「……ええまあ」
「なら今度はこっちから質問だ」
「わたしの所属、ですよね?」
「いや大方検討はついている、とりあえずお前は大日本帝国海軍に所属していた軍艦か」
「!?どうしてそれを——」
「知っているってか?それは俺たちはすでにお前と同じような存在を知っているからだ」
「わたしと……同じ?」
「その連中も今こっちに向かっている、詳細はそいつらから聞いた方が良いだろうが概要は教える。
お前みたく軍艦としての記憶を持った少女が確認されている、そんな少女を艦娘と呼んでいる」
「艦娘……ですか」
「そうだ、恐らくお前は俺たちが発見し日本が保護するという形になるだろうな。
もっとも俺たちはさっきも言ったがまぁ傭兵集団だ、今回はこっちが日本に依頼したが所詮雇われ集団だ。
話を聞くだけしか認められんだろう」
「そうなんですね……じゃあわたしの姉もご存知ですか?」
「姉妹艦か、どんな名前だ」
「香取、と言うんですけど……」
「……すまんな俺はわからない、だが他の艦娘もすぐここに来る、その時無線で聞いてみるか」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「……気にするな、他に聞きたいことはあるか?」
「そうですね……そういえばなぜ皆さんはここに?」
「そんなことか?……まぁ確かに不思議だろうが俺たちはしばらくここを拠点にする事になってな、さっきの隊員を含めて先行偵察としてここに来ている」
「その最中、わたしを見つけたんですね」
「ああ、まさかこんな所に眠り姫がいるとは思わなかったが」
「そうですか?意外とここは良いところですよ、もっとも海にあんなのがいなければですけど」
「確かにな……ならこちらからも質問だ、お前はいつからここに居る?」
「………………」
和やかだった表情が曇り、そのまま俯いた鹿島。
それは明らかに照れ隠しなどでは無く、何かを深く考えているようでなかなか口を動かさない。
だが鹿島は知らない、ここに居るのは傭兵ではあれど単なる兵士では無い事を
BIGBOSSの称号を得て、姿をくらましたコードネーム“スネーク”
彼は伝説の傭兵として裏の世界で語られているが、元はCIAの諜報工作員
情報戦における立ち回りもわきまえている
「…………えっと」
「まあ無理をするな、察するにお前は1人ここで過ごしていた、つまりあまり情報を持ち合わせていない。
それこそ時間はわかっても日付までは把握してないんだろ?」
「…………はい」
「それならしょうがない、言葉に出来なければ伝えようが無いからな。
ことのついでに言っておくが今日は1974年の12/11金曜日だ」
「……すいません」
「別に構わん、気にするな、代わりにお前がどうやって産まれたかを教えてくれ」
「どうやって……産まれたか?」
「正しくはいつからお前は“鹿島”として意識があった、と言った方が良いか。
いくら何でもお父さんとお母さんから……って訳じゃ無いだろう?」
「そういう事ですか、それなら簡単、というか覚えてますよ。わたし、海から産まれたんです!」
「「「「・・・ハイ!!?」」」」
「……おいお前ら、彼女が言った事がわからないから大声を出すのはどうかと思うぞ」
「「「「……………………」」」」
つい意表を突かれ素っ頓狂な声を出してしまった他もろもろ。
しかし蛇に睨まれたカエルの如く黙る事になった、MSFでこの蛇に睨まれて平気なのは研究開発班の科学者とクロードやBJ・ヤッコ等の極少数の実力者だけである。
「……すまんな、驚かせて」
「いっいえいえ、そうですよねー海で産まれたって人魚みたいなおとぎ話ですよね」
「マーメードねぇ……スネークならあった事が有りそうですけど」
「ふふふっ、そんな美人さんに会ったことあるんですかぁ?」
「……いくら何でも人魚には会ったことは無いな」
「あらっ人魚以外には会ったことあるんですかぁ?」
「どうだったかな」
そう言われて思い浮かぶのは騙す側だった人類始祖の妻、あとは超能力使いの姉妹だろうか。
それ以外は…………あまり記憶には無い。
「……でだ、話を戻すが海で産まれたって言っていたがそれはどういう意味だ」
「ふふっ、けど言葉通りの意味なんです。
気がつくと海の上に居て、アレッなんでわたしここに居るの?って」
「……ということは、気がついたらその……なんだ、その……体になってたって事か?」
「そうなるんでしょうか?」
「俺に詳しいことはよくわからん、ただ記憶が飛んでるわけでも無さそうだが」
「はい、わたしは練習巡洋艦鹿島です、それに間違いはありません。
それと記憶喪失とかそういう訳じゃ無くて本当に気がついたら海の上で立ってたんです」
「……クロード、お前はどう思う」
「俺は医者じゃ無いんでどうとも言えませんが……記憶喪失の線は薄いでしょう。
無意識下で人格移動が起きた可能性も否定できませんがそれは向かって来ている艦娘たちと話せばわかる事で今は放っておいて問題無いでしょう、それに海上に立ってたんですからそれこそ艦娘に違いありません」
「そうか……そういえば、艤装の展開は出来るか」
「出来ますよ、見せましょうか?」
そう言って鹿島はスッとその場に立つといつか加賀が見せたように一瞬で艤装を着けていた。
スネークは別に驚くことでもなかったが初めて見たクロードを含めた他の隊員たちはあからさまに驚いていた
「ふふふ、驚きました?」
「……何というか摩訶不思議って言葉がここまでマッチする事は早々無いと思った」
「「「「ああ」」」」
一番若い隊員が日本語として正しいのか怪しい言葉を述べた。
だが、それに対して隊員たち全員が納得していた、全員がその言葉に共感してしまっていた。
もっとも一度加賀の艤装展開を見たことがあるスネークは珍しくは思わなかったが不思議なのは同じだった。
「……お前らが一番若いやつの言葉に頷く所を見ることになるとはな」
「別に俺らは戦闘面ではこいつに負ける点は無いんで、それにこれは戦闘面の問題じゃ有りませんから」
「そもそもその通りでしょう、この光景」
「摩訶不思議」
「ふふっ、面白い人たちですねっ」
「そうか?……まあどう思うかは人の自由だしな、それよりもう聞きたい事は無いか?」
「ハイッ、これ以上はお互いに話せる状況になってからの方が良さそうですし」
「…………良くわかってるな、ならこれ以上は俺は聞かん。お前ら、しばらくこいつと相手してやってくれ」
『・・・良いんですか!!?』
「……あのなぁお前ら……」
「冗談ですって、気楽にコーヒーでも飲みながら話してますよ」
「隊長、悔しがるだろうな」
「そうですね……まあ気にせず楽しみましょうよ」
「わかってるな!」
「……くれぐれも困らせるなよ」
『了解!』
「という訳だ、少し暇を潰しておいてくれ」
「わかりましたっ、じゃあお言葉に甘えてぇ……わたしとお喋りします?」
『喜んで』
「………クロード」
「わかってます、羽目はずさない様に見ておきます」
「頼む」
むさ苦しく見える男たちだがそれは戦闘服と装備のせいである事が大半で、大抵いい奴らばかりだ。
偶然にも今ここにいるほとんどが妻子持ちであり、相手が居ないのはBOSSとクロード・そして一番若い26歳の独身男性……いつから結婚相談所みたいになった?
そう思ったかはさて置き、スネークはクロードに隊員と鹿島を任せ一旦外にでる。
おもむろに胸ポケットから葉巻を取り出しライターで火を点ける、そして口に煙を含み味わい吐き出す。
……今はとにかく気を静めたかった
「・・・あの女、ただ者じゃない」
いくつか彼女に関してわかった事がある。
もっとも彼女自身が語ったことのほとんどは艦娘に関することで、彼女自身に関した事は名前だけだ。
だがそれは彼女自身が“語ったこと”だけの話、だ
語った最中の仕草、思考、口調から彼女自身の情報ならそれなりに引き出せる。
その中でも特に留意すべき事は向こうも情報の重要性を理解している点だ。
しかもその理解は金剛や霧島の比ではなく、体に染みついている程に。
男の扱いが上手いのは問題じゃない、高雄や金剛も手慣れていることから別に彼女だからという事では無いのだろう、もっと言えば艦娘だからという可能性もあるがそれは別問題だ。
“これ以上はお互いに話せる状況になってからの方が良さそうですし”
彼女は確かにそう言った、つまり自分の知っている情報の取り扱い方をわきまえているのだ。
そもそもの前提として完全武装した男に囲まれた状況で女性が1人で喋るなど“普通”は無理だ。
だから最初彼女に聞いた“何か今の状況に意見はあるか?”と。
怯えていれば話などまず男でも無理だ。
だが彼女は特に何も無いと言い、
出された食事を惜しみなく食べ、
話を聞く際、交渉という言葉を持ち出しその場で提示したルール通り話を進めた
この事からだけでも艦娘という事を置いて、彼女が情報のやり取りの仕方を知っているという事だ。
深海凄艦、という単語は出てこなかったが“あんなのが海にいなければ”と言っていたため恐らく知っている。
そしてお互いに交換しながら情報を共有した……が、重要な事は一切やり取りしていない。
怯えていなかったのは自身に最低限のアドバンテージがあると思っていたからだろう。
それは間違いではあるが……こっちとしても事を構える積もりは無いと見極めていただろう。
だから躊躇なく食事をし、互いにそれとなく話を交え自身の“増援”を待つ事にした。
「……全く、良く考えてるな」
特殊な状況にもかかわらず、極めて冷静な判断とそれを為すために必要な情報を見出す観察力。
そしていらない情報は貰わず、代わりに自らも語らない。
まったくもって良く訓練された文官だ……正しくは軍艦なのだろうが。
もっとも表情まで隠すことが出来ていないために諜報員としては少し荒削りだと言わざるをえないが、あれだけの度胸とやり取りが出来るなら文句無しだろう。
「……まあ、あいつらも気付いているから問題無いが」
だが既に手は打ってある
情報の重要性はMSFに所属している者は徹底して教育される。
彼らもこんな状況下でこちらから出した条件を忘れる事なく自分が情報を出した後、情報を引き出した。
……彼らが美人と話せて喜んでいるのも事実だろう、彼女が面白い人たちと言ったのも本心からだろう。
それに付け加えて何を考え、どう思いながら言葉を発しているかは本人にしか知りえない情報ではあるが、
そんな彼女が艦娘という器で説明つくほどの存在では無い事くらい彼らは気付いている。
「……考え事か?」
「……まあな、あの女が思った以上にやり手だったのに感心していた」
突然フラリと道の角から現れた男
気配は現れる前からわかっていたため驚く事でも無いが、くつろいでいたスネークを見つけ出せる実力者。
だが口調は砕けた敬語ではなく、ただただ信頼のおける仲間としてクロードと話すように自然な口調。
「・・・BOSS」
「どうした」
「・・・彼女はレディー、せめて女性と言って差し上げるべきかと」
「……お前もうすぐ50だろう、その物言いは若い奴が言うもんだ」
「何を言うんです、女性はいつでも敬い、もてなし、守る存在でしょう」
「……ぶれないな、BJ」
「……俺は女性という存在が変わってないだけだと思ってるだけだ」
BJ
隊員の前では隊員達が心配するためある程度気を使っているが、こうして2人の時は所謂タメ口で話している。
もっとも歳はスネークの方が一回り若いのだが。
「その相手が情報取引をわきまえどんな場面でもそのルールを忘れない存在でもか?」
「重要な事は大切な物を抜き取られない事でしょう、当然骨抜きにされることは悪く無いでしょう?」
「……さあな」
「スネーク」
「……なんだ」
「嘘つくの下手だな」
「……お前の嫁さんにお歳暮を贈らんとなぁ」
ブオオオォォォッフォォッ!?
「どうした」
「なんで・・・ここで俺の嫁の話が出る」
「効き目は一番だろうに」
「嘘ですよね嘘でしょうに 嘘に違いない何せアーニャは——」
「アメリカでこんな状況でも優雅に暮らしてるとお前の“部下”が連絡を寄こしてたらしいが」
「………………………ワイアットかッ」
「大声は出すなよ」
BJの頭の中で笑顔で「太尉!大丈夫ですか!」と声をかける好青年を思い出すが生憎彼ももうすぐ40である
そんな彼と自分の愛する女は現在、アメリカで暮らしている。
彼女に危害が加わることは無い、そして彼女は今はもうこちらの世界から足を洗っている。
それでも昔、自分の仕事を手伝った経験から時々MSF経由で“お手伝い”をしていたりする。
「葉巻、吸うか?」
「・・・はぁ結構ですよ、しかし思った以上にやり手ですか彼女は」
「やり手、というより経験が少ないだけといったほうが正しいかもしれん、ただ、あれが全部演技なら……」
「・・・ハリウッドに出れるな」
「そうだ、その位の腕はある」
表情豊かな情報官……それは普通ならありえない、存在しえないもの。
広報官なら持ってこいだろうが生憎ここは安全な後方部などでは無い。
だが彼女の話し方・仕草・そして思考はスパイのソレではあれど、噓偽りは見られなかった。
その感覚は直感に近いものでもあるが、少なくとも彼女が語ったことに嘘は無い。
……彼女が語ったことは嘘をつかれても大したものでも無いが、それはこちらも同じだ。
そして今まで見せた表情・感性も素直の一言で片付けてしまえる物だった。
諜報員の中には完全に感性を殺してしまったために、どうという事も無い感想や味覚を自分では表現できないという例もある……嘘みたいな話だが実際自分の存在がわからなくなることは良くある。
だが彼女からはそこまで末期とも言えるような雰囲気は感じなかった。
しかし、その雰囲気すらも偽っていれば……普通の方法では判断は付かない
「……そうだとすればシェイ達に動いてもらう必要がある訳だが」
「それは——」
「だがそれは最終判断だ、おそらく問題無いだろう。
それに他の連中の目がある中じゃあそもそもあいつらも動きたく無いだろう」
「……どっちにしろ俺はあいつらの事はそんな好きじゃありませんが」
「お前もわかってるはずだ、好き嫌い言ってられるほどの余裕が無くなる時もある」
「……だがそれは今じゃない」
「その通りだ、俺も好き好んで身柄を拘束したりはしない」
「知ってますよそれくらい、俺もそうだったんですから」
「……もうしばらく頼むぞ」
「……そう言わないでくれスネーク、俺はあんたに恩がある。
それに俺も随分な歳だがまだまだ若い奴らは育ってない、それにしばらく退屈にはならなそうだ。
それだけ忙しくなるなら人でも必要だ、それにあんたはしばらくまた日本だろ?」
「まあな」
「それならもうしばらく世話になる、俺は単純にあんたについて行きたいだけだ。
俺がここを離れることになったら……その時はまた頼む」
「その時か……だが任せろ、最も俺としてはそんな時が来ないほうが嬉しいが」
「それはあんた次第だろう」
「だがもうしばらく頼むぞ」
「当然だ、任されたからには俺も尽くさせてもらう、なんせあんたからの願いだからな」
「……ならそろそろ時間だ、お前達もキリのいいとこで切り上げてくれ、俺は一旦電波を拾いに行く」
「了解だ、ならあのレディーの相手でもしている」
「そうしておけ」
「……では、BOSS」
「ああ」
そう言ってBJは再びBOSSと呼び、スネークは海へ出かける
一方は一兵卒として
一方は総司令官として
されど互いの心の中では本質は変わらない
自分が戦う理由のために、
自信のもつ力を一人の戦士として闘う、
それだけだ
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
同日 12:17
《こちらグランド、燃料問題無し、武装クリア、そちらで計器の確認を》
「こちらピークォード、計器に問題はない、いつも助かる」
《何の事もありませんよ、それしかできないだけです、ご武運を》
「了解だ……Trance ship1, this is Pequod,request IFR clearance》
《Pequod clearance IFR,flight revel 0250,after the follow battle ATC ,read back.》
「Pequod clearance IFR flight revel 0250,after the followed battle ATC.」
《Pequod read back is correct》
MSFそのものを乗せた輸送船団は艦娘の護衛の下、ついに新天地ラバウルへと到着しようとしていた。
ただ、湾内の掃海が終わらなければ物資の積み下ろしが出来ないためあと2時間は足止めを喰らう必要があった
そんな中、ヘリのローター音に張り負けない程の大声を出すもの達ばかりいた
「全員よく聞け!これより新天地へ向かう!!
既にBOSSを中心に先行偵察部隊が後続の上陸地点を確保している!
だが港に関してはまだ不十分な可能性が高い!!
そこで俺たちはスリング降下でBOSS達と合流後、港全域を掃討する!質問はあるか!?」
「該当地域に敵性対象は!?」
「不明だ!発砲は確認されていないが何がいるかはわからん!!気引き締めて行け!!
他にも何かあるか!?」
『…………………………』
「無いか!?」
『ありませんッ!!』
「なら手筈通り一時間で該当地域を掃除する!他の分隊に負けるなよ!!」
『了解ッ!!』
「その返事を忘れるなよ!これより搭乗する!!」
「てめえらぁ!やることはわかってんなぁ!?」
『WEEEeeeeeeeeeeeee!!』
「無駄な発砲は許さねえからなぁ!!」
『WEEEeeeeeeeeeeeee!!』
「行くぞぉ!!」
『ヒャッハァー!!』
「…………………」
「…………………」
『…………………』
「…………………」
「…………………」
『……………………………………』
現在、改装自動車専用船は通常ではありえない運用をされていた。
装甲車を積んでいるコールサイン“シェーパー”では後方部の積み下ろし用のゲートを海上で下ろす準備をしており、最低限湾内手前の上陸地点周辺の掃海が完了次第上陸を開始するため、武装・隊員の装備の最終確認が行われている。
一方、同じようにコールサイン“チョッパー”の甲板では兵員輸送ヘリコプターから攻撃ヘリコプター仕様へとモデルチェンジを果たしたハインドが3機、そして輸送ヘリであるチヌークが3機展開している。
こちらは一足先にスネークら偵察部隊の増援として派遣される、MSFの戦闘班航空機機動部隊だ。
減りは他にもアパッチAH64や、ハインドのハイカスタム、さらにもう1種類あるのだが、洋上で展開できるのは4機が限界で、既に使用したハインド3機を護衛に付け隊員達を何人かチヌークで輸送する事となった。
「ピークォードから全機、準備は良いか?」
《ワモン、いつでもどうぞ》
《グリーズ、さっさとBOSS達を迎えに行こうやぁ》
《こちらトード、さっきからお客人がうるさいんで早めに届けたい》
「了解した、先ほどと特に変更は無い。
ワモンとグリーズはトードの護衛、俺はBOSS達のカバーに入る、何かあるか?」
《せいぜい燃料を節約させてもらう》
「そうしてくれ……パッケージは無傷で送り迎えるぞ、ピークォード離陸する」
エンジン出力を上げ、ローター音が高くなっていく。
機体周辺の安全は確認済み、先ほどまで最終確認をしてくれていた整備士が誘導員としてハンドサインを送る
ハンドサインを確認し、機体を浮かすため規定値までゆっくりと回転数を上げる
それに応じるように機械音がどんどん高くなって行き機体に問題が無いことを教える
甲板から機体が離れ宙に浮いている様な感覚を覚える
実際、宙に浮いている訳だがこの感覚は何度も経験して慣れるものだが違和感は拭えない
だがその違和感も最初だけだ
そのまま垂直に上昇し船から距離をとる
同時に甲板から離れ海上に移動する、エンストを起こしたら大事故にしかならない
図体の割に機体は素直にパイロットの言うことを聞く質で既に護衛の2機も離艦し陣形を合わせている
運ぶものが多いチヌークは最後にゆっくりとその体を起き上がらせるように船から発った
その動きは他の3機と比べれば重々しく、海上を這う6つの艤装と比べてもゆるやかな動きだった
《全機離陸を確認した、以降は戦術プランに沿って動いてくれ、グッドラック》
「全機異常は無いな、これよりラバウルへ向かう」
30名の隊員を乗せた輸送ヘリとともにピークォードは南方の島に位置するラバウルへ機体を傾ける
同時に無線にノイズが走る
《……が………えか……………ク、お…うよ………くれ》
「こちらピークォード、ノイズが酷い、もう一度頼む」
《ん……………………こうか、こちらスネーク、応答してくれ》
「こちらピークォード、よく聞こえますスネーク」
《カズも聞いているか》
「共通回線にっ……こちらで回しました、どうぞ」
《BOSSか、状況を報告してくれ》
ピークォードを経由し船団に残っている副司令に通信を届ける。
その副司令からの催促に、スネークは簡潔に現状を報告する。
《現在港の西部を確保したが、他は安全を確認していない。
BJが俺たちの仮拠点で信号弾を放つ、そこに隊員を降ろしてくれ》
「了解、予定より仕事が少なくてうるさくなりそうですが」
《それ以上に厄介ごとが無ければ俺も良かったんだがな……》
《……何か問題でもあるのか?》
《……艦娘がいた》
《・・・なに?》
「・・・周辺に深海凄艦は」
《いや、その心配は無い、こうしてお前達に連絡できるからな。
とりあえず簡単な情報だけ交換した、何せ艦娘という言葉すら知らなかったから様だからな。
本人は“カシマ”と名乗っている》
《カシマ?……俺は鉄道が大好きが高じて軍艦にも興味はある、が……聞いたことも無いな》
《練習巡洋艦だとも言っていた》
《なら旧式艦か……それとも練習艦として建造された……いやそもそも何で練習艦が南方に?》
「……副司令、今は推測より情報共有が先では」
《俺としては船上でそっちの艦娘と同伴で話を聞きたい、本人もそれを望んでる。
それに変な言いがかりを付けられて彼女たちと揉めるのは勘弁したい》
《そうか……ならピークォードにそのカシマとあんた、あとそうだな……クロードを連れて一旦戻って来てくれ
俺もキャッチャーで合流する、確か今船に残ってる中に横須賀鎮守府の艦娘も居たな》
《了解した、話し合いの席はそっちで詰めてくれ、俺は部隊をBJに任せてからそっちに向かう》
《ならピークォードは事前の手筈通り隊員たちを合流させてくれ、それから3つのパッケージの回収を頼む》
「ピークォード了解、任務を受領します」
《そう改ることでも無いがな……そっちが見えた、なら後でな》
通信が切られ再び島と港を捉える。
つい6時間前と変わったところは見受けられないが、既にあそこには仲間が、BOSSがいる。
だからと言って操縦桿に力が入るわけでも無い、無駄に力んだところで機体が速くなるわけでも無く、むしろ事故を招きかねない。
ヘリの操縦に緊張が伴わないことは無い、だが緊張は過剰でも過小でも結局無駄になる。
例えそれが制空権を相手に取られた戦場でも、
墜落した友軍パイロットを救う時でも、だ
その島から1発の信号弾が上がる。
色は青、現在地だけを知らせる物で山が背景にあるためによく映える。
《こちらトード、信号弾を確認した、こっちには対抗手段が無いが急行する》
「ピークォードからトード、何のためにトライアングルを組んでると思ってる?」
《頼もしい限りだな、ならこのまま直進する》
そう答えチヌーク、コールサイン トードは3機に囲まれた中でラバウルの仮拠点へ飛行して行く。
もうすぐ任務が終わると信じながら
「見えてきた、3機編隊の真ん中にチヌーク、一番後ろがピークォードだな」
「相変わらずまぁよく見えるな、お前」
「目が良くなきゃスナイパーが出来るとでも?」
「それもそうか」
「……他のお三方は化け物じみてますが」
「あれは・・・まぁ神業だな」
「……それより今は任務でしょう、客人は隠密でエスコートでしたか」
「まだ全員に知らせるのは早いからな、それにBOSSからの指示だ、何なら元からいた事にも出来るしな」
「……俺に言って良いんですかソレ」
「ここにいる全員が知ることだからな」
「……了解、なら俺は移動します」
「そうしてくれ、くれぐれも“隠密”に頼む」
「ではまたあとで、隊長」
そう言うが早く、
MSFのスナイパーの一人であるホーマーは三階はあるこの仮拠点の屋上から相棒と共に飛び降りた。
それを気にもせず隊長……BJはヘリの誘導のため屋上に残り、降りてくる隊員たちへの状況説明と指示を出す
・・・という名の時間稼ぎをつい先ほど、具体的には信号弾を打ち上げる直前に、BOSSに
・・・というかスネークという名の男に投げやられた。
内容としては文句は無い、ここで無暗に情報を撒き散らせば多少とは言え混乱を招く。
それらは事実とは曲解されるのが常であり、それらが艦娘に伝われば協力関係の以前に話し合いすらままなら無くなる恐れがある。
それを避けるためにも客人……カシマをうるさい隊員たちに見られること無くヘリに乗せる。
まあそれは良い、それは良いんだが……
「俺に……面倒ごとを押し付けた訳じゃないよな?」
確かに自分は任せられたからには尽くすと言った、それに嘘はない。
……無いが何だかんだ言いながら書類仕事は当然ながら説明も面倒だと言う彼である。
それでいて戦場では適確な指示にサポート、挙句に単独での潜入をやり遂げる自分より優秀な戦士。
・・・俺も座学と書類は嫌いなんだが
そう思いながらもどうしようもない……具体的には自分に退路(という名の回避法) が無い事は明白。
なら自分が引き受けるしかない……もっとも、あとで何を頼もうか考えながらだが
《こちらトード、間も無く周辺地点に到着する、着陸地点はあるか》
「こちらBJ、あいにく強度の確認までは出来ていない、ファーストロープを使うことを勧める」
《了解、そちらの現在位置を確認したあと3分で到着する》
「ならそっちのお客様の代表者を出してくれ」
《…………俺だ》
「レッカーか……なら良い、隊員をまとめておけ」
《…………ああ》
「……あいつも良く部隊を動かせる」
無線に出た責任者はほとんど喋らない事でもMSFで有名なレッカーだった。
彼は米海兵隊に所属していたが、そこで分隊長も担った。
……それ以外彼に関しての情報をほとんどの隊員たちが知らない。
だが戦闘に関しては常に冷静、と言うよりいつもの調子で淡々と指示を出すためまず取り乱さない。
まだ30にもなっていないが妙な貫禄から若い隊員の指導・及び指揮を執っている。
今回もそれを買われて一個小隊、30名の指揮官を担っている。
…………もっとも一言しか話さないのに何故部隊指揮を執れるのか幹部勢は疑問を持ったままだが
「よーしお前ら、部隊編成と各3分隊の配置は頭に入れてあるな」
『当然』
一旦屋上から降り、室内に残っている8人に声をかける。
この先行偵察部隊のほとんどがその幹部勢、またはそれ相応の歳と経験を経ている。
もっともBOSSにクロード、そしてBJという大ベテランが混ざっているため幹部というより一兵卒に見えるがこの場で一番若い隊員を除いて全員10年以上のベテランである。
「部隊を編成次第、港を完全に掌握する」
「あり得ませんが……敵がいた場合は?」
「あくまで港の掌握だ、殺傷より足止めを優先しろ、各員にも徹底させておけ」
「了解」
「……さて、援軍の到着だ」
《こちらトード、周辺地点に到着》
「わかった、屋上に向かうあいだ回避運動でもしてくれ」
《了解》
誘導のためBJが屋上に立つ
すると無線通り空にはトードことチヌーク
そして3機のハインドが空中をホバリング……などせずダッチロールの様な機動をしていた
「……トード、降ろしてやれ」
《了解、これよりビックリドッキリメカを射出します》
「……そうか」
トード(toad)
学術名:脊椎動物門、両性網、カエル目ヒキガエル科
いわゆるヒキガエルと呼ばれるカエルの英語名なのだが、CH-47チヌークに名付けられた由来はこのチヌークの後部ハッチを見たときカズヒラが《……カエルみたいだな》と言い、さらに垂直降下訓練中にカズヒラが
《ビックリドッキリメカじゃないか!?》と言い出し、チヌークのコールサインはカエル系に統一された。
当初は何のことかさっぱりわからなかった隊員たちだが、次第に日本語を学ぶうちに理解した。
……彼らがなぜこの時代に毎回毎回爆発オチが決まっている3人組なんかを知っているかは謎だが
きっとカブトムシか何かでタイムワープでもしてアニメーションが向こうからやって来たのだろう
なんて回想を書いているうちにチヌークからロープが垂れ、そこから隊員たちが次々と降りてきた
一番怪我をする可能性があるのがこの時だが、何せ訓練時間が普通じゃない。
彼らは今回も怪我すること無く1分もかけず全員が屋上に降り立った。
「援軍の輸送ご苦労だ、全員降りたぞ」
《トード、これより離脱する、部隊の幸運を祈る》
「短距離だが気を付けろよ」
《了解》
《グリーズからBJへ、トードを護衛した後そちらの支援に入る》
《ワモンも同じく》
「わかった、燃料に注意しろよ」
《あいよ》
軽口を叩きながらも二機の戦闘ヘリコプターはカエルを伴いながら一旦ラバウルを離れていった。
それを見送りつつ、目の前にいる総勢30名の隊員たちを見渡す。
「……さてお前ら、早速だが任務だ」
『…………………………』
「知っての通りこの地は今日から俺たちの拠点だ。
だが見ての通り一部は破壊されている、それに加え一帯の安全を確認できていない。
俺たちはその安全を上陸部隊が到着する前に確立する、異議はあるか
『…………………………』
「……良いか、俺たちは長い間地下に閉じ籠っていたが体を鈍らせた覚えは無い。
今日から俺たちは化け物染みた相手に戦う事にもなる、だがお前らをそんな化け物如きにやられる様な鍛え方をした覚えも無い、何より化け物染みた奴ならたくさんいるだろ」
その言葉を聞いた何人かが苦笑いする。
何せそう言ってる本人が化け物染みた……いや、化け物そのもの の様な存在だ。
一体何処に金属パイプだけで崖を登り防弾ガラスごと頭蓋をかち割る人間が居るだろうか?
いや居る、というか目の前にいる。
銃が無ければパイプで刺し、相手の銃と弾丸を奪えば良いと語るご老体が居る。
「それだけ余裕があるなら問題無い、さっさと終わらせて美女と語らおうか」
『おおおぉぉ!』
「そうと決まれば話は早い、全員下に降りて小隊編成、各隊ごとに決められた地域のクリアリングを始めろ」
『了解!』
何だかんだ言って所詮男である。
流石に手を出すのはアウトどころか命が危ないと体が悟ってはいるが、相手は美女と美少女である。
酒の席で話を聞いてもらう相手としてこれほど極上の環境は無い、ましてやその美女は20人近くいるのだ。
5.6人のグループを迅速に作り話し相手になってもらう位彼らにとってどうと言うことは無い。
意気込みながら階段を降りていく隊員達
……もっともその競争率が約10倍以上にもなる事をすっかり忘れている隊員達だが
「…………BJ」
「どうしたレッカー?」
そんな隊員達の中で唯一いつも通り、無口で冷静なレッカーが声を掛けてきた。
別段珍しいことでも無いためそれに応じるBJ。
「…………それは無理だ」
「……何だと?」
「…………予感がする」
「・・・つまり何だ、お前は祝賀会なんてやる暇が無いとでも言うか?」
「…………違う」
「どう違う?」
「…………暇が無くなる、そうなる」
「・・・予感で終わってくれる事しか祈れんが、とりあえず今は目の前の任務だ、違うか」
「……………………」
「分かればいい、今は任務が優先だ」
「…………了解」
レッカーは簡潔にそう答えて他の隊員達を追う形で降りていった。
だが簡単な受け答えしかしていないBJの方はそのやり取りのおかげで疲れていた、主に精神的に。
「……あいつだけの予感だったら良かったんだがな」
長年の勘というのは恐ろしい物で、〇〇なら良いなぁと思うのは良い方だ。
・・・コレはヤバい事になりそうだと証拠も無しにふと思った任務が想定外やら情報不足などで酷い目に合う事などざらである。
それは経験を積めば積むほど正確になるもので、先ほどまでポーカーに興じていた面々もこの輸送作戦で無事終了だとは全く思って居なかった、むしろここからが本番だと感じていた。
すでに幹部勢はもちろん、戦闘班や諜報班などの外部で活動する班には全体像を説明している。
諜報班の見立てでも泊地や港湾施設が中途半端な復旧であれば罠に違いなく、少なくともやり合う程度の戦力を集中させているのはわかっている情報だけでも確実だという。
艦娘がその戦力に勝てるかどうかはこちらが認知すべき事では無い、だが場所が場所である。
場合によってはトラック島に一時避難となってもおかしく無い。
もっとも色々と……主に政治や国際慣習法的にだが……問題があるのは確実であり、最終手段である愚策だ。
できるだけ使いたく無い、と言うより選ぶ手段としては最下段に位置する。
そのため採る対抗手段としては先日突き付けられたラバウル上陸後の指揮権を行使する、これは絶対だ。
そしてラバウルでの情報収集及び通信のための環境、並びにレーダー網の早期構築。
どうなるかは定かで無いにしてもこれからの備えとしてもこの2つは必須、それを最優先で実行する。
上記3つさえ取れれば基本的に大きな問題……無駄な人命が失われることは無い。
燃料に関しては一般貨物や他の船に工夫すれば三ヶ月は持つ程度の量の燃料を乗せた。
……この際法令は安全基準を満たせば無視とした。
船員達からも苦情は来たが航行に支障をきたさないレベルで、こちらからは無理をさせない様船員の指示に従って燃料を搬入したため特にこれといった問題は起きていない。
船員達が言うには「爆発物があるのは落ち着かないが、1発でも当たれば沈んでしまうから変わらない」らしい
「……とにかく今は任務だな」
結局のところ、事態が起こらなければ詳細は詰められない。
不測の事態など起こさないために備えることはあらゆる可能性を見出しそれらの対応プランを練ることで可能ではあるが、何らかの事態の対策は起きた事・起きる可能性が極めて高い物に対して行わなければ効果が無い。
であれば・・・誰もが行き着く単純な結論
それがたとえBJの様なベテランでも
「隊長、分隊編成完了しました」
目の前に与えられた任務があれば
「……始めるぞ」
その任務を生きて完遂するのみ
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「・・・問題なさそうです、いまなら行けます」
「……お前もそれで良いんだな?」
「ハイ、お願いします」
「……こちらスネーク、回収3名頼む」
《了解》
「……ちなみに聞くけど、カシマさんは空の経験は?」
「空、ですか?」
「そう」
「無い……ですね、今まで海を駆け抜けた事は有りますけど」
「そうか……そうかぁ」
「ハイ?」
「……喜べ、鳥に成れるぞ」
サッ
パシュッ
「えっ・・・エエッ!?」
簡単な動作音とともに白いバルーンが膨らむ
……鹿島の腰あたりから
「……良いんですか」
「構わん、歓迎の印だ」
「アノ!これって——」
「口を閉じろ、舌噛むぞ」
「ふぇ?あっ・・・キャアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァ…………」
《・・・こちらで回収した、他にまだ有ります?》
「あと2人前だ」
《了解》