オレは声の主に会いに行く   作:ほったいもいづんな

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新年明けました。 今年はちょっと喪中なんで今年もよろしくお願いいたします、とだけ言わせてもらいます。

今年も皆様のコメントを大事にしながら頑張っていきます。

最近知ったんですが、武内君はvividのエドガーの声もやっていたんですね。


1日目の出会い 1

 1話

 

 

 

 

「ふぅ……ようやく近くまで来たな」

 

 一人の男性が道端で一人呟く。

 

「……何々、『ようこそ海鳴へ!』。 海鳴って町なのか」

 

 男は大きめの看板にデカデカと書かれていた文字を読んだ。 どうやら名も知らぬ土地に来たようだ。 しかし、男にはしっかりとした道標があった。

 

「多分……この土地にいるはずなんだがなぁ……」

 

 男は小さく息を吐く。 その息は白く、すぐに周りの空気に溶けて消える。

 

「とりあえず……何か温かいものでも食べたいな」

 

 季節は冬、もうすぐ新たな年を迎えようとしているこの海鳴で新たな異変が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 ここ海鳴ではいくつかの異質な出来事がいくつか起こった。 謎の青い宝石、その近くで発見された化け物。 しかし、これらよりも遥かに異様な『転生者』と呼ばれる存在が一時期海鳴を騒がした。 しかし、それらはすでに数ヶ月も前に姿を消し、その存在を記憶している者は数えるほどしか今は存在しない。

 

「いってきま〜す!」

 

 朝、元気よく家から出た少女、『高町 なのは』はその内の一人である。 彼女は数ヶ月前に『転生者』、そして青い宝石の『ジュエルシード』、この二つが絡まった事件に挑み、無事帰還した一人である。

 

「あ、『フェイトちゃん!』 おはよう!」

「うん、おはようなのは!」

 

 フェイトと呼ばれたこの少女も同じである。 『転生者』によって辛い経験をしたが、一人の人間によって救われ、今では友達となったなのはと同じ学校に通っている。 以前までは母親とペットの犬と共に暮らしていたが、とある『のっぴきならない事情』により母親が他界。 現在は『ハラオウン家』に引き取られて生活している。

 

「そういえば、数学……じゃなくて算数の宿題やった?」

「あ゛! やってないぃぃ!」

「もう、なのはったら……」

 

 仲良く、子どもらしい会話をする二人。 しかし、この二人には共通の秘密がある。 それは『魔法』を扱えることである。 二人は経緯は異なるものの、魔法を扱う者としての『覚悟』を持ち合わせている。 しかし、普段は普通の女の子。 様々な出来事があったが、今の生活を楽しんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わって午後の海鳴の小高い丘。

 

「うーん、さっぱり分からん」

 

 男は丘から海鳴を眺めながらうんうん唸っている。

 

「海鳴には居るんだろうけど……色んなモノがあるから分からないなぁ」

 

 男はガックシと頭を下げる。 男は先ほどしっかりと腹ごしらえを済ませた。 気を取り直してナニカを探していたようだが……どうやら見つからなかったようす。 かなり困り果てているようだが、何故それぽど困っているかは彼にしか分からない。

 

「……しょうがない、小休憩だ」

 

 男は来た道を戻り始める。

 

「さっき美味しそうな匂いがした喫茶店があったな……名前は確か……『翠屋』だったかな?」

 

 男は一時間前に発見した一件の喫茶店を思い出しながら、そこを目指す。 目的地が決まっているからか、少しその足取りは軽やかだ。

 

「にしても不思議な所だ。 こんな場所は初めてだな……もしかして『これくらい』が普通なのか? だとしたら世間知らず過ぎるだろ俺……」

 

 周りの建物を見ながら歩くその姿は、「おのぼりさん」と呼ぶに相応しいだろう。 彼にとってそれほど珍しいのだろうか? しかし、キョロキョロしながら歩くのは危ない。

 

「きゃっ!」

「おっ?」

 

 男は曲がり角から来ていた女の子のグループに気づかなかった、故に一人の少女とぶつかってしまった。 男は慌てて少女の無事を確認する。

 

「っと、大丈夫かい!?」

「いえ、ちょっと転んじゃっただけで大丈夫ですよ」

「ごめんね、君たちが来ていたのに気づかなかった所為で……」

「いいんです。 ウチの『なのは』がドンくさいだけですから」

「『アリサ』ちゃんヒドイ!?」

「まぁまぁ落ち着いてなのは」

「えっと……大丈夫みたいですね」

「あ、あぁ。 ならいいんだ」

 

 突然漫才を始める女の子達に少々面食らったが、男は『なのは』と呼ばれる少女が無事なのを確認してそっと胸をなで下ろす。

 

「ところで、君たちはこの辺の子どもなのかい?」

「はい、そうですけど」

 

 それならと男は少女達に質問をする。

 

「実はこの辺に美味しそうなケーキを売っていたお店があった気がしたんだけど……名前は翠屋だったはずなんだけど」

「あ、それウチのお店です!」

 

 店の名前を出した途端、なのはは元気よく手を上げながら飛び跳ねる。 自分の両親が経営している店が出している商品が美味しそうと言ってくれたからか、かなり嬉しそうだ。

 

「おや、君の所のなのかい」

「よかったら案内しますよ!」

「ならお願いしようかな」

 

 男はこれも何かの縁と思い、少女達と共に歩き出す。 すると思い出したようになのはは男に向き直る。

 

「そういえば自己紹介してませんでした」

「そういえばじゃないわよ、あんた少し舞い上がり過ぎよ」

「にゃはは……ぇっと、私は高町 なのはです」

「フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウンです」

「私はアリサ・バニングス」

「月村 すずかです」

 

 順番に名乗っていく少女達。 男は一人一人の名前を頷きながら覚える。

 

「なら俺も名乗ろう。 俺の名前は不ノ九是 祝歌 (ふのくぜ しゅくか)。 よく分かんない名字してるから祝歌って呼んでくれ」

 

 男の名前は不ノ九是 祝歌。 彼がこの先巻き込まれる事件は彼に『祝福』をもたらすのか、『絶望』をもたらすのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、ようやく現れたねぇオリ主が」

 

 真っ白で何もない空気にいる一人の人物。 この人物は『神』と呼ばれ、転生者を生み出したり、世界の管理をしている。

 

「にしても……ちょっと遅かったね。 おかげで彼は……まぁいいや、きっと面白い事になってくれるはず」

 

 神は面白そうに笑う。 しかし、その笑みはどこか彼らを見下している様に感じられる。 それは当然の事だろう。 何故なら神の上には何も存在しないのだから。

 

「……そうだ、拳の奴に教えとかないとねぇ。 『高町 なのはのピンチを救えるのは君だけ』ってね」

 

 神は常に先を、未来を読む。 何十先の事、世界の終わりまで一瞬で理解する。 そしていくつかある結末の内、一番面白そうな最後を選び、そうなるようにする。 これから海鳴で起こる出来事も、全ては神の暇つぶしも同然なのだ。

 

「せいぜい頑張って欲しいな、君たちが頑張れば頑張る程私は退屈せずに済む」

 

 神は世界で何が起ころうと、飽きて仕舞えばすぐに興味を無くす。 何が起ころうと、神は決して満足しない、決して人の為に行動をしない。 故に『神』なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……む」

 

 そこは遥か遠い銀河、その中の一つの星の桜が咲き誇る地。 そこにとある三人組の子どもがいた。 一人と一人は向かい合い、一人はそれを眺めている。

 

「スキあり!」

 

 向かい合った一人の男の子が不意に視線をそらす。 それに反応した男の子が、身丈に合わない刀を振りかざして斬りかかる。

 

「甘い」

「グェ!!」

 

 不意打ちを狙った攻撃、しかしその行動は読まれていたのか、躱されて拳を脳天に叩き込まれる。 その衝撃に二つの足は耐えきれず、そのまま地に伏せる。

 

「1本! それまでぇ〜!」

 

 眺めていた白髪の男の子が審判の真似事のように高らかに宣言する。 どうやら1本勝負をしていたらしい。

 

「まだまだダメダメだねぇ翔次君(・・・)

き……輝凛(・・・・・)に言われたくはない!」

「いやいや、オレは体力が無いだけでそれ以外はそれなりにあるから」

「くそ、納得いかない……」

 

 翔次と呼ばれる少年と輝凛と呼ばれる少年。 この二人はかつては争っていた関係だったが、今では共に旅をする仲間の間柄になっている。 翔次は刀を鞘に収め、それを杖代わりにして立ち上がる。

 

「そもそも、その刀の『能力』は拳君(・・)には大して意味ないじゃんアゼルバイジャン?」

「拳が規格外なだけだ! ボクだってもっと体を鍛えれば『始解』せずに拳を倒せる!」

「格闘の心得があるオレがさっぱり敵わないんだから、初心者の翔次君には……あと80年はかかるんじゃない?」

「ぐぬぬ……」

 

 そのまま先ほどの勝負の反省に移る二人。 しかし、その相手をしていた少年、拳の表情は何やら浮かない様子。 それに気づいたキリンが声をかける。

 

「およよ? どうしたの拳君?」

「まるで苦虫を顔に投げつけられた様な顔をして」

「……翔次の例えがよく分からんが、神からメッセージが来てな」

 

 拳は頭を少し抱えて、面倒そうに息を吐く。

 

「どうやら少ししたら地球に行かないといけないらしい。 ……なのはに危険が迫るそうだ」

 

 二つの物語が交差するのは……もう少し先のこと。




これから暫くはキリン達の出番はありません。 だいたい……最終話の一つか二つ前くらいにまた登場しますよ。(無慈悲)

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。
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