ーーーー明日に踏み切るための1%。
14話
「フェイトぉ〜起きてぇ〜」
身体が誰かに揺さぶられている。 そうだ、もう朝なんだ。
「ほら、早く早くぅ〜」
待ってて、今起きるね。
「あ、起きた!」
「おはよう
寝ていた私を起こしてくれたのは私のお姉ちゃんのアリシア。 こんな■■■■■の私と違ってしっかりした……?
「■■■■■……?」
「どうしたのフェイト?」
「……ううん、何でもないよアリシア」
「あぁー! また呼び捨てー! いい加減お姉ちゃんって読んでよぉ〜」
「ごめんねアリシア」
「うわぁ〜ん! フェイトがイジメるぅ〜!!」
あ、行っちゃった……別に悪気はないんだけどなぁ……後で謝らなきゃ。 っと、そろそろ私も起きなきゃ。 朝ごはんはなんだろ?
「……でね、フェイトってば私の事をお姉ちゃんって呼ばないんだよ?」
「あらそうなの? ダメよフェイト、ちゃんとお姉ちゃんって呼ばなきゃ」
「ほら、ママもこう言ってるよ?」
「でもアリシアってお姉ちゃんっぽくない」
「そんな!?」
「ほらアリシア、お姉ちゃんならお野菜ちゃんと食べましょうね?」
「むむむ……リニスもイジメるぅー」
ほら、やっぱりお姉ちゃんっぽくない。 アリシアは■■■みたいに子どもっぼいんだ……か……ら…………?
「……どうしたのフェイト?」
「ううん、何でもないよ。 ねぇねぇ母さん、また地球に行っていい?」
「あぁ、この間出来たお友達の所に行くのね。 もちろん構わないわ」
「私も行くー!」
「うん、一緒に行こ!」
何かを忘れている気がする……でも何を忘れたの? だって……母さんがいて、リニスがいて、アルフがいて……アリシアがいて……地球には友達のなのは達がいて……
「何も忘れてないよ?」
誰かに言い聞かせるように言った。
「……それでねフェイトが……」
「なのはがこの間……」
「昨日心悟君に勉強を……」
「先週転校してきた男の子が……」
「……そしたら翔次のやつが……」
『あははははは!!』
今日も地球に家族で行って、なのは達と沢山遊んだ。 母さんはなのはのお母さん達と仲良く話していた。 もちろんなのは達とも沢山話した。 最近なのはには好きな人が出来たって聞いた。 この間学校で授業参観があったことを聞いた。
いつもさよならする時は寂しいけど、私達はいつでも会える。
「私、今がとっても幸せ……」
こんな『夢のような毎日』がいつまでも続けばいいのに…………
「嘘つきだねフェイトは」
「……え?」
帰り道、立ち寄った公園の端の方でアリシアに言われる。
「え、私何も……」
「もう、ダメだよフェイト。 そんな……」
ーーーー自分に言い聞かせる嘘は。
アリシア……?
「こんな夢を見ていたいだなんて、フェイトはそんなにつまらない子じゃないでしょ?」
「つ、つまらなくなんてない! だって……みんながいる! なのはがいて、アリサやすずかがいて……!」
死んだ母さんもリニスも……アリシアだっているんだよ!? こんなに素敵なことなんて……!!
「こんな私に、これだけの幸せがあるんだよ?」
「……むぅ、フェイトってばそんなこと言っちゃうの?」
こんな私には勿体無いくらいの……暖かい幸せが溢れてるんだ、これ以上私は何も望まない。
「どうして自分の事を■■■■■だなんて言うの? 誰もそんなこと思ってないのに」
「……アリシア?」
「そんなに気にすることないのに……もしかしてフェイトってば思い込んだら一直線なの?」
「あ、アリシア? 何を言って……」
私には分からない。
「あ、もしかしてあの男の子……えぇと翔次君に酷いことされたせいなのかな?」
「た、確かに翔次には昔色々あったけど……」
「うぅ〜ん、それでもやっぱり『彼』のせい?」
「か、彼って……もう私の男の子の友達なんて心悟『だけ』だよ……?」
ワタシには分からない。
「そっかぁ……もしかしたら『彼』のせいで本来のフェイトよりも弱くなっちゃったのかな? そのせいで■■■■■だなんて思っちゃうのかな? ……うぅ〜よく分かんない」
ワタシニハワカラナイ。 『できそこない』って何? どうしてそんなこと言うの?
「うぅーん、確かこの『夢』って本人の望む『優しい世界』になるんだっけ? だとしたらフェイトは優しいなぁ」
「……何の話?」
「だって、『居なくなった』私達と『まだ一緒に生きている』人達の両方を天秤にかけているんだもん。 フェイトは凄いよ」
何言ってるの……? アリシアはここにいるよ?
「確かに『居なくなった』私達を大切に思うのは凄いけど、だからってそれのせいで自分を卑下にする必要はないんだよ? 今だってフェイトは戦っているんだもん」
やめてよ……
「自分は駄目だー! 何て言っていいのは私達だけ。 フェイトはまだ生きている、戦っているんだよ? 全然ダメなんかじゃない」
「違う、アリシアは生きている!」
アリシアは生きていないとーーーー
「私が生きていたら、自分はもうどうでもいいの?」
「……っ!」
「違うよね?
「違わなくない!」
「うぅん、私は分かるよ。 だって……ずっとフェイトのこと見てたから。 死んでからずっと、あなたの事を」
やめてよ! どうしてそんなこというの!? 冗談でもそんなこと言わないで!!
「アリシアが生きていないといけないの! 私は所詮ーー」
「『出来損ない』?」
「っ! ……そうーーーー」
「ぶー! それ以上は言わせませ〜ん!」
「むぐっ!?」
ちょっ、アリシア! どうして口を塞いでくるの?
「もう……そこまで重症だとどうやって説得しようか考えちゃうじゃん」
アリシア……? そろそろ手をどけて欲しいんだけど……
「どうして前に向かってくれないの?」
「わ、私はいつも前向いて……」
「ぶーぶー! 嘘はもうダメ! そうやって自分は大して悪くないのに、いつまでも後ろ向いているから……
「アリ……シア……」
……知ってたよ。 でもこの夢の中なら、きっとみんなが幸せになってくれるって思ったから……私……
「まだね、フェイトは『
「それはそうだよ……私にとってはどっちも大切なモノだもん……」
「あ、そのいじけた表情可愛い!」
ちょっ、茶化さないでよ!? ほんと、アリシアは■■■に似てーーーー
「……誰に?」
「お、思い出してきたね。 それじゃあヒント! ヒントは……」
「……ヒント?」
何のヒント? 私は何を忘れているの?
「ヒントはー……“キ”!!」
ーーーーーーーー何かが私の中を通ったんだ。
『そう言えばこ↑こ↓で何してんの?』
最初は女の子だと思ったんだ。
『正直者のフェイトちゃんにはこの金の犬耳をプレゼント!』
でも、不思議と心が惹かれていたんだ。
『安心しろ、お前らガキ共はオレが守るからよ』
だから男の子だって知った時は別に何も思わなかった。
『貴様を倒す者だ!!』
むしろ男らしさにもっと心を惹かれた。
『うああぁぁぁぁぁ!!』
だから涙を流した時、支えてあげたいって思った。
『約束する』
そんな彼と繋がっていたいと思った。
『行ってきます!』
何時しか彼のことが好きになっていた。 彼のことがーーーー
「ーーーー『キリン』……!」
「正解! おめでとうフェイト、ようやく思い出せたね」
アリシアか言っていた、天秤には50%ずつ乗っている。 その均衡を崩す1%、それがキリンなんだ。
「これで51%、フェイトがここから抜け出す理由。 これでデバイスを返せるよ」
アリシアからバルディッシュを手渡される。 持っていなかったけどアリシアが持っててくれてたんだね。
「おかえりバルディッシュ……」
「……さて、それじゃあそろそろ私も行くね」
「アリシア……」
「もう! そんな顔しないの! そ・れ・にぃ〜」
……どうしてそんな嬉しそうな顔してるの?
「天国で素敵な彼に出会ったんだぁ〜!」
「へ、へぇー……」
「今は『年上好き』だけど、絶対振り向いてもらうんだから!」
「……天国ってそういうところなの?」
目の前ではしゃぐ姿は……今までの行動も合わせてみると想像してたより子どもっぽい。 アリシアはやっぱりお姉ちゃんキャラじゃないね。
「それじゃ、私はもう行くから」
「うん、ありがとうねアリシア」
「気にしないで。 妹を助けるのは姉として当然だもん 」
アリシアは溢れんばかりの笑顔で手を振ってくれた。
「バイバイ、彼と幸せにね!」
「バイバイ、お姉ちゃん……」
「……っ!! うん!」
最後にそう言うと、アリシアは一瞬きょとんとした顔をして……また笑った。
さて、ここから出なきゃ。 まだなのはは戦っているのかな? なら行かなくっちゃね!
「行くよバルディッシュ!」
《Yes,Sir》
キリンみたいに堂々と、そして勇気を持って!!
「セットアップ!!」
今行くよなのは!!
キリンの所為で原作より弱くなったフェイトを助けるアリシア、この図がやりたかっただけ説。
……年上好きの彼って誰ですかねぇ?
今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。