中々話が進まない……でも物事には順序が必要だし……ネタを入れればいいだって? その通りだ。 でも人間には得て不得手があって……ボケとシリアスだってキャラによって得て不得手があって……。 ……おめぇ今回言い訳してばっかだな? 恥ずかしくないの?
3話
なのは達と別れて再び捜索を再開したが、目的地を絞り出す事が出来ずにその日の捜索は断念した。 祝歌は手頃なホテルを見つけそこで一夜を明かした。
「……すぅ……」
現在時刻は深夜の1時、心地よい寝息を立てていた祝歌は突然謎の夢を見始める。
(今日ーーこまでーー)
(早くかーーーーないとはやーー)
何も見えない暗闇の中で誰かの話す『声』だけが聞こえてくる。 その『声』はチューニングの合っていないラジオの様に途切れ途切れで聞こえてくる。
(まだぜんーー足りーーーー)
(急がねーーーー我があるーー)
祝歌はこの『声』が自分にだけ聞こえる『声』なのだと本能で理解した。 しかし夢の中にまで現れるのは今回が初めて。 祝歌は集中して『声』を聞いていた。
(ーー主の為にーーーー…………)
しかしその『声』も何時しか消えてしまう。 『声』の主が消えてしまったのか、はたまた『声』を使う必要がなくなったからか。
(……)
しかし、まだ気配はあった。 それは『今までも』感じたことのある気配。
(……主、申し訳ありません)
その『声』は誰かに謝っていた。 懺悔をするように、しかし救いを求めている様には聞こえない。
(このまま彼女達が続けていれば……)
「……?」
ここまで聞いて祝歌は疑問に抱く。 今まで自分は嘆きや苦しみの『声』を聞いてきた。 しかし一度もこのような、『自責の声』を聞いた事はなかった。
(あぁ主よ……非力な私のみを憎んでください……恨んでください……)
本当に自分が何時も聞いていた『声』なのか? と、そう思わずにはいられなくなった祝歌。 祝歌は叫ぶ、夢の中と理解しながら声の主に向かって。
「君は……君は誰なんだ!? 本当にあの『声』の主なのか!?」
『声』の主は答えない。 未だ懺悔を続けていた。
(あぁ我が主……■■の書の主よ……)
「頼む! 答えてーーーー」
闇は無に吸い込まれ、光が溢れ出し祝歌の意識は覚醒する。
「……」
祝歌は目を覚ます。 しかし体を起こさず寝たままの状態で先ほどの夢を思い返す。
「びっくりしたなぁ……まさか夢の中でも聞こえるなんて……」
祝歌は夢の中で聞いた『声』を一つずつ思い出す。
「一つ……二つ……最初は四つかな? あとからまた一つ……それも不思議な『声』……」
『声』のイメージでしか主が分からないが、それでも大きな収穫だろう。
「海鳴に来てからってことは……結構近づいてきたって事か」
祝歌は気持ちを入れ替える様には表情を変えて立ち上がる。 そしてテーブルの上に置いてあるペットボトルのフタを開ける。 近くに置いてあったカプセル状の錠剤を二、三粒口の中に放り込み、水で流し込む。 一息ついてから窓の外を見る。
「今日も1日頑張るか!」
本日の海鳴は晴天である。
ホテルを出てから町の中を探索する。 昨日の探索のお陰で大分方向は定まった。 その方向に向かってひたすらに進む。
「そう言えば……あの『四人』の会話は変だったな……」
ふと、思いついた疑問を歩きながら紐解く。
「普通の会話……ってよりは電話とか通信とか、『何かを介して』話していたな」
何故その様な解釈になったのかは祝歌にも分からない。 直感で四人の会話の方法を探す。
「……もしかして俺が集中したりすればああいう『声』を聞き取れたりするのか……?」
あまり自分の能力を深く掘り下げたりはしなかったのか、意外な発見をする祝歌。 さっそく立ち止まり精神を集中させる。
「ふぅー……ーー!?」
途端、祝歌に沢山の『声』が耳に入る。 車、道路、ポスト、信号、建物etc、etc……。 普段気にもとめない道端の物から沢山の声が発せられていた。
「おわ!?」
思わず声を上げる祝歌。 しかしもう一度確かめる様に目を閉じて集中する。 するとまた聞こえ始める沢山の『声』に思わず身を固くするも、すぐに平静を取り戻し耳をすませる。
「もっと聞かせてくれ……」
氾濫する『声』の濁流に呑まれながら、祝歌はひたすらに『声』を探す。 1秒間の間に膨大な数の『声』が祝歌に届く、その中から一際暗く悲観的な『声』を聞き出す。 その『声』はいつも聞くのと同じだった。
「……聞こえた!」
目を見開き空を見上げる。 そして思った事をそのまま言葉にした。
「……やっぱりこっちじゃなかったな! ははっ!」
自分の失態に気づき、それを笑ってどこかに飛ばす。 祝歌は前向きなようで、どこか天然なのかもしれない。
「じゃあ……待ってろよ……!」
祝歌は歩き出す。 もう大体の場所は分かった、もう見失う事はないだろう。 ……道に迷わなければだが。
「ついた……のかな?」
祝歌の足が止まったのは一軒の家の前だった。 表札には「八神」と書かれている。
「普通の一軒家……だよな……?」
祝歌はここに辿り着くまでに、『声』の主は一体どんな所にいるのかを考えていた。 古びた建物の蜘蛛の巣が張っている倉庫や海底に沈んだ眠れるお宝、地中に埋まった誰かの宝物等……思わず胸が踊るような冒険を期待していたからだ。 しかし現実はただの一軒家。 この落差に開いた口がふさがらない。
「ここまで来て……普通かぁ……」
祝歌は肩を落とし落ち込む。 確かに祝歌には『声を聞く能力』がある。 普通の人にはない力だが、現実が普通である限り祝歌に胸踊る冒険など訪れないのも事実。
「……まぁ気を取り直して」
祝歌は改めて目の前の家を眺める。 そして祝歌にのみ聞こえる『声』を聞く。 その声は間違いなくこの家から聞こえるのを確認すると、祝歌は腕を組み頭を悩ませる。
「どうしようか……このままインターホンを鳴らすか……いやいや、「お宅から『声』が聞こえたので調べさせてくれませんか?」何て言えないし……」
当然そんな事を言われたら警戒されるのは目に見えている。 もちろんなのは達のように、理解してくれる人間もいることにはいるが。 果たしてこの「八神」の家の人間は理解し、協力してくれるか……
「うーん……どうしようか……」
「……ほぅ、何かお困りか?」
「え? ……いやぁどうやってこの家に上がらせてもらえるか考えているんですよ」
「ほぅ……この家の主と知り合いなのか?」
「いや全然、全く知らない人だから困っているんですよ……ん?」
ここまでおよそ30秒弱といったところか、祝歌は突然現れて来た人物の存在に気づく。 そして自分と話をしていた人物の顔を確認する。
「ほぅ……まさかこんな白昼堂々と見知らぬ人間の家宅に盗み入る話を聞くことになるとはな……」
そこに立っていたのは凛々しい顔立ちをした女性。 少し色が抜けた赤い髪を後ろで結びポニーテールにし、身長は祝歌と目線が同じになるほど長身。 少し目線を下ろすと激しく主張する胸、それに気づいた祝歌は慌てて目線を上げる。 その様子を怪訝そうに見ていた女性の警戒心はますます増していく。
「貴様……何が目的でここに来た」
「え? ……その、信じられないかもはしれませんが俺にはある能力があって……」
「……何だと?」
この答えが悪かったのだろう、女性の視線はより鋭くなる。 ……まぁどのように答えたとしても女性の「のっぴきならない事情」を考慮すれば全て同じ結果になっただろう。
「……貴様、まさか『管理局』の者が! ならば生かして返さん!」
そう叫ぶと女性はどこから出したのか、一本の剣を手にして構えていた。
「わぁ! それ本物ですかぁ!?」
「その身で確かめてみろ……」
条件反射で両手を上げてしまう祝歌。 だが女性にとっては何の意味のない行動だろう。 剣を構えたままにじり寄る女性を祝歌はただ見ているだけだった。
「おいおいうるさいぞ『シグナム』、近所迷惑を考えーーーー何でデバイス構えてんだよ!?」
家の玄関から現れた一人の少女。 二つに分けたオレンジのおさげが特徴の少女は女性が武器を構えている光景を目にして驚く
《おいおい! どうしたんだよ!? こいつが何かしたのか?》
《何かした、というよりは何かしそうだ。 そう言った方がいい》
《まさか……管理局の連中か!?》
《そのまさかだ》
少女と女性は『念話』と呼ばれる魔法を扱う者が声を発せずに意思疎通を行うことが出来る特別な方法で状況を話し合う。 そして念話を終えた少女は身を低くし祝歌を睨み始める。 が、すぐに鋭い視線はすぐに変わる。 女性も同様に。 何故なら……
「……っ!? ……っ……??」
先ほどまで慌てふためいていた祝歌が目を見開き女性と少女を、信じられない様子で見ていたからだ。
(今……何だ……? 言葉は発していないのに……二人から『声』が聞こえた……!?)
「……?」
「何だこいつ……?」
祝歌の能力は、決して人間には意味を持たない。 何故かは分からないがどれだけ物や動物の『声』を聞くことが出来ても人間の『声』はどうやっても聞くことが出来なかった。 だのに目の前の二人の人間から『声』が聞こえた。 ならばこの二人が人間ではないナニカではないか? そう思うのは無理がないことだろう。
「……」
「……? おい貴様、妙な真似をするんじゃないぞ……」
状況は変わらず睨み合い、おかしな真似をすればどうなるかは想像に難くない。 だが祝歌の頭にそんな事は浮かんでいない、この二人の事を知りたくて堪らないからだ。 ならばその為に祝歌は向こうの『話』を聞かなければならない、そう思うと祝歌の口から無意識のうちに言葉が出る。
「……『
「貴様……? 何を言ってーーーー」
「『
『な!?』
祝歌が咄嗟にした行動、それは女性が構えている武器の『声』を聞くことだ。 祝歌の能力の種を知らない二人は驚き戸惑う。
「貴様……何故我が剣の名を……!?」
女性の当然の疑問、だが祝歌はそれに答えずに『対話』を続ける。
「『
「答えろ!」
「……あなたの名前は『シグナム』さんですよね……!」
「こいつ……!?」
「レヴァンティンだけでなく私の名前まで……!?」
二人の中に生まれる祝歌に対する少しの恐れ。 二人は祝歌を危険な人物と認識してしまう。 が、二人に向けられた言葉がそれを消し去る。
「俺の名前は不ノ九是 祝歌、どうか俺の話を聞いてください! そして『あなた達の話を聞かせて下さい!!』」
それはいつも能力を使うときと同じ言葉。 これが有効的かは分からないが、少なくとも祝歌にとっては二人は人間以外の存在。 僅かな望みをかけて二人と『対話』を試みる。
「……いいだろう、貴様の話を聞いてやる」
「おいシグナム! いいのかよ!?」
「こいつと話す必要がある。 こいつの目的と……こいつの奇妙な力を知る必要がある。 我々にとっても……我が主にとっても」
「……わぁったよ、シグナムがそう判断したんならそうするよ」
「すまんな」
「気にすんな」
二人のやり取りを聞いていた祝歌は、自分が今ここでバッサリと切られる心配がなくなった事を理解してホッとする。
「ふぅ……」
「……だがもし我らの主の前で不審な動きをしたら……即刻切る!」
「そしてぶっ潰す……!」
「は、はい……」
ホッとしたのもつかの間、二人から女性から発せられるとは思えない程の殺気を浴び、再び縮み上がる。 こんな二人の主なのだ、どれほど恐ろしい人なのか祝歌には想像もつかなかった。 しかし祝歌には予想を裏切られる事実が現れる。
「二人共〜さっきからうるさいよ〜。 ご近所さんの迷惑考えないとあかんで〜」
車イスに乗った少女が玄関から顔をだす。 車イスを押しているのは物腰柔らかそうな女性、付き従うように隣にいるのは大型の犬。
「もう! そんな物騒なもんはしまいやシグナム! ヴィータも睨んだらあかんよ、女の子なんやから」
「はやて……でも……」
「主……しかし……」
「言い訳はええから、理由は何にしろ暴力はあかん。 反省しぃや?」
『ごめんなさい……』
車イスに乗った少女に窘められる二人。 子どものように叱られてバツが悪そうにする。 その光景を見ていた祝歌は、この少女がシグナムが言っていた主だと理解し……おどろく。
「あるじ……主? …………んん!?」
未だ衝撃のファーストコンタクトが終わらない真冬の午前、果たして祝歌は撃滅のセカンドコンタクトに耐えられるだろうか……
次回、殲滅のラストコンタクト。 何時になったら祝歌のキャラが立つのか!? そして何時になったら私は腕が上がるのか!?
あ、どうでもいいですけどコンプエースに付いてたなのはのポスターカレンダー。 あれめっちゃ季節感ゼロ何ですけど! 何で真冬に水着のポスター見ないといけないんですか!? ぐぅシコだけど!
今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。