オレは声の主に会いに行く   作:ほったいもいづんな

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た だ い ま 。

久しぶりの投稿で何だか不思議な気分になっています。

今回の3日目は全体的に短めにいきます。 あと所々時系列がおかしく感じるかもしれませんが……これもそれも全部転生者ってやつがいけないんだ!(責任転嫁)


3日目の周り道 1

6話

 

 

 

 

夜の町は静かで閑散としている。 当たり前の話だ。 だが、この日の夜は少し違っていた。 ぶつかり合った幾つかの閃光、何度もぶつかり合った光は次第に減っていき、最後には全ての光が去った。 光には様々な色があった。 桃色のような桜色、眩しくきらめく黄色、燃え上がるような赤など……それぞれを象徴したような光だった。

 

だが町の人間は誰も知らない。 誰一人として気づくことはなく、誰一人として視認することは出来なかった。 そのまま夜は更けていき、朝を迎える。

 

 

 

 

「おはようございま〜す!」

「……何で来てんだよ……」

 

朝の9時、八神家のインターホンを鳴らしたのは昨日訪れたばかりの祝歌だった。

 

「また来るっていったでしょ?」

「はぁ……間の悪いやつ……」

「?」

 

面倒くさそうに祝歌の相手をするのはヴィータ。 祝歌は昨日とは違う彼女の様子に困惑する。

 

「悪いが今はお前の相手は出来ないんだよ」

「……」

「だから帰れ!」

「ヴィータちゃん……もしかして……」

 

祝歌は雰囲気の違うヴィータを見て察する。 今のヴィータは昨日殺気を自分に向けてきた時と同じで、機嫌が悪いとか虫の居所が悪いとかそういう『生易しい事情』ではないと気付く。

 

「もしかして……」

「察したんならさっさと帰……」

「お気に入りのアイス……誰かに食べられたとか!?」

「違う!! 何だよ今のシリアスな間はよぉ!?」

「あれ違うの? 結構不機嫌そうだったからそうなのかと……」

「察する方向性が違いすぎるわ!!」

 

一瞬にしてヴィータが放っていた邪険な雰囲気が消える。 恐らくヴィータはツッコミ気質なのだろう。 目の前のボケにツッコミを入れてしまう、悲しい性の持ち主なのだろう。

 

「あれ? 祝歌さんや」

「あ、はやてちゃん。 おはよう」

「おはようございます。 ほら、ヴィータも挨拶しいや?」

「ちょ、はやて……はぁ……」

 

そうこうしているうちに残りの八神家のメンバーが出て来る。 祝歌は再び「闇の書」とのコンタクトを取るために来たと告げる。 もちろんはやてはそれを快く受け入れた。

 

 

 

 

二回目の「闇の書」への問いかけ。 だが祝歌の言葉に耳を貸さない「闇の書」の姿に頭を悩ませているとシグナムが祝歌に近づく。 そしてはやてとシャマルが離れたところで家事をしているのを確認すると、シグナムが祝歌に話しかける。

 

「……何故何も聞かん」

「シグナムさん? ……何のことですか?」

「トボけるな。 貴様の能力は未だ未知数だが、それでも理解したことはある」

「……」

「我々のような人間でない存在はお前の能力をモロに受ける。 隠し事など無意味だと全員理解している」

 

シグナムの言葉を静かに聴いている祝歌。 彼は分かっている、何故シグナムがこのような話をしてきたのかを。 それでも静かに聴き続ける。

 

「ヴィータだけではない、ヴォルケンリッター全員の精神が昨日より荒れていることなどお前には手に取るように分かるはずだ」

「……」

「だから問うた、何故我々に話しかけないのか、と」

 

シグナムはそこで言葉を区切る。 そして祝歌の答えを待つ。 その様子を見て祝歌は少し間を置いて答える。

 

「……聞くのが嫌だったんです。 少し……たどり着きたくない答えを導き出してしまったので」

「……言ってみろ」

「昨日……『不思議な二人組』に出会いました」

 

そこから祝歌は昨日出会った二人組の女性について話し始める。 始めは驚き動揺したシグナムだったが、すぐに冷静を保ち祝歌の言葉を聞く。 話し終えた祝歌、だがその時心悟がそこにいたことは話さなかった。 恐らく心悟にいらぬ迷惑がかかると思ったからだろうか。 話し終えた祝歌にシグナムが再び言う。

 

「なるほど……それが私の質問とどう関係がある?」

「それは……信じられないけどシグナムさん達が……何か『アブナイ事』をやっているんじゃあないかと、そう考えてしまったんです」

「……」

「でも、こんなにもいい人達が……そんな訳ないって思って……。 そしたら聞くのが嫌になって……」

 

祝歌の言葉を受け、シグナムは少し憂い目を閉じる。 だが祝歌の言葉はまだあった。

 

「でも! 信じてますから俺!」

「祝歌……」

「きっと皆さんは……はやてちゃんの為にやっているんですよね!」

「祝歌……。 ……ああ、当然だ!」

 

祝歌の問いに力強く答えるシグナム。 その言葉は聞き、それが紛れもなくシグナムの本当の言葉だと理解する。

 

「なら、今はいいです。 俺が……聞きたくなったら聞きに行きます」

「ああ、待っている」

 

そこで二人の会話が終わる。 シグナムははやての様子を確かめに行くのか、祝歌の側を離れる。 その際、シグナムは去り際に小さく言葉をこぼす。

 

「済まぬ……いや、礼を言う」

 

祝歌は聞こえたのか、それとも小さく呟いたから分からなかったのかは分からない。 だが祝歌は不思議と笑みが溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

異変に気付いた原因は臭いだった。

 

「な、何だこの臭い……」

「何ですかね……?」

 

庭に一緒にいた祝歌とはやて、そして側にいたザフィーラは家の中から漂ってきた異様な臭いに気付く。 思わず鼻を押さえてしまうほどの激臭だ。

 

「ゴファッ!?」

「ザフィーラ!?」

「は……鼻が……鼻がぁぉぁぁ!!」

 

ザフィーラは前足で鼻を押さえてのたうちまわる。 人間である祝歌やはやてが不快に感じるほどの臭いだ、嗅覚にすぐれたザフィーラには何倍もの臭いを嗅いでいるはず。 ザフィーラが悶絶していると庭にヴィータが飛び出してくる。

 

「やべえよ! やべえよ!」

「ヴィータ? 一体どーしたん?」

「シャマルが……シャマルが……!」

「シャマルさん?」

「そうだ祝歌! 逃げろ!」

「え?」

 

慌てふためいているヴィータに納得出来ない祝歌とはやて。 ヴィータはまくしたてるように祝歌に帰るよう促す。

 

「いくらシャマルの料理を処理できたお前でも、アレはだめだ! あれを口にしたらいい死ぬ!!」

「ええっ!?」

「……シャマルは一体何を造ったん?」

 

ヴィータのその余りの形相に圧倒され、祝歌は玄関に向かい靴を履こうとする。 その際、キッチンの方向からだろうか、シャマルのことを必死に食い止めるシグナムの声が聞こえた。

 

「やめろシャマル! いくらマズイめしが出てこようと……試食しようとしたスプーンが溶けるのはマズイ!」

「大丈夫よぉ、お鍋は大丈夫だったし。 今日のは自信作なんだか」

 

ここまで聞いた者達は思う、シャマルはいよいよ錬金術にでも目覚めたのか、と。 流石に身の恐怖を感じたのか、祝歌はそそくさと八神家から退散した。

 

もちろん「闇の書」に関して何も進展はしていない。 だがあの場で死ぬよりはマシだろう。 中々の英断だったとのちにシグナムは語っていた。

 

 

 

 

 

 

外に逃げてきた祝歌は町の中を適当に歩いていた。 外堀が冷めてから八神家に行けばいいと思っていたからだ。 歩いていると、ふと目に止まる人物が一人いた。 その人物は全身をスーツで纏い、帽子をつけた男だ。 祝歌は男から不思議な雰囲気を感じ取り、思わず立ち止まって男を見る。 すると男も祝歌の存在に気づいたのか、祝歌に近寄り話しかける。

 

「すいません、ちょっとお尋ねしたいことが……」

「え……あっ、はい!」

 

まさか話しかけられるとは思わなかったのか、祝歌は少しキョどる。

 

「息子と仲良くしてくれていた男の子を探してまして……名前は「木村 心悟」君と言うんですが……」

「心悟君ですか?」

「おや、ご存知でしたか」

 

男の紳士な佇まいに祝歌は思わず心悟の事を話す。 不思議と不安と疑問はなかった。

 

「心悟は放課後によく「翠屋」ってところに行くみたいです」

「「翠屋」にですか、そうでしたか。 ありがとうございます」

「あ、いえ。 どういたしまして」

 

祝歌に礼を言って男は去った。 とても紳士的な人物だった、そう思いながら祝歌はその場にしばらく立っていた。

 

 

 

 

 

祝歌と話した男は歩きながら一人言を呟いている。

 

「今はまだ学校だから……3時か4時くらいか、それくらいに……いや、今日は大丈夫だからすでに待っているのもありだな」

 

そう思うと男の足は自然と「翠屋」に向かっていく。

 

「久しぶりの長期休暇だ、海鳴でゆっくりさせてもらおう」

 

男ーー「都 正刀(みやこ まさと)」は妻の「霧江(きりえ)」と一緒に何年ぶりかの長期休暇を取り海鳴に戻っていた。 ……息子が居なくなった家に帰ってきたのだ。

 




意外と人気だったおっさん登場! なお出番はそんなにない模様。

新年度に変わりましたが、私はいつも通り適当にいきます。 ので適当に見ていってください。

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。
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