オブジェクト整備長の雑用係   作:フリーザ様

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ガリバーを縛る雑兵達
ハンティング


 

アラスカ。その氷雪地帯。そこの超大型兵器オブジェクトの整備基地ベースゾーンの敷地内。

 

「くそ!こんな作業に何の意味があるってんだ‼︎」

 

ヘイヴィアがスコップを投げた。只今、絶賛滑走路の雪かき中である。オブジェクトで戦争が決まる時代なのに、戦闘機の飛び立つ滑走路など使いようがないから、余計にやる気がしないのだ。

 

「軍人っつっても色々あんだよ。俺は元々敵軍のオブジェクトのスペックを調べて弱点を見つけるためのレーダー分析官だぞ。こんな雪かきのために軍に入ったわけじゃねぇ‼︎」

 

「それなー」

 

テキトーに返すのはヘイヴィアと同じ正規軍人のヴレイアだ。訓練で生身なら最強と言われていたが、オブジェクト様々の世界では役に立たない。で、なんやかんやあって整備主任の下働きをさせられている。

 

「仕方ないんじゃないか。戦闘は全部オブジェクトに任せっぱなしなんだから。少しは仕事をしていますってところを見せないと、本国で税金納めている平和な人達は給料に使ってほしくはないんだろう。選挙で票が欲しいフライド評議員とかが節税節税って叫んでるの、CSのニュースチャンネルで観ただろ」

 

派遣留学生のクウェンサーが真面目に言った。

 

「それだ。お飾り任務だって分かってっから、余計にやる気が出ねぇんだっつの」

 

「じゃあやらなきゃいんじゃない?」

 

「そうだな、サボるか!」

 

ヴレイアの一言にヘイヴィアが賛同した時だ。

 

「やめとけよ、上官がうるさいぞ」

 

「………だよなぁ」

 

諦めるのが早かった。が、諦めたのはヘイヴィアだけだ。

 

「お腹空いた。ちょっと動物締め上げて来る」

 

「お、おいおい!雪かきどうすんだよ!」

 

当然のツッコミをするクウェンサー。

 

「自然に溶けるのを待つ」

 

「何ヶ月後の話だそれは!」

 

「仕事ってのはサボるためにあるんだよ。ね、ヘイヴィア?」

 

「ああ」

 

言いながらヘイヴィアもやる気満々で頷いた。

 

「お前らなぁ……」

 

「お前だってこの食える消しゴムみたいな飯は嫌だろ?」

 

ヘイヴィアが自分のポケットから軍の飯を見せた。

 

「それはそうだけど……」

 

「ま、残るってんなら一人で雪かき頑張りたまえ。行こう、ヘイヴィア」

 

「ああ」

 

「お、おい待てよ!」

 

仕方なくクウェンサーも後を追った。

 

 

 

 

ヘイヴィア、ヴレイア、クウェンサーの順番に山の中を歩く。前二人はライフルを持っていて、一番後ろのクウェンサーはコンパクトな釣竿をケースの中に入れて持っている。

 

「オイやめようぜ、バレたら上官がうるさいぞ。動物愛護の精神が足りないとかなんとかぐちぐち言われるに決まってるんだ」

 

「テメエだってあんな石油製品でこんにゃく作りましたみてえなレーションじゃなくて、お肉が食べたいだろ」

 

「そうだよ。あの巨乳が怖くて肉が食えるかバカヤロー」

 

「そーだコノヤロー」

 

「ッシャーコノヤロー」

 

「バーロー」

 

段々変なネタを交えながら言いながら馬鹿二人が前を歩くが、それに付き合ってられなくなったクウェンサーは凍った川を見つけた。

 

(あっちのが勝算はありそうだな)

 

そう思うと、「二人とも」と後ろから声をかけた。

 

「どしたの?うんこ?」

 

「………お前、優しい口調の割りに言うこと汚いよな」

 

ヘイヴィアがヴレイアをジトーっと見た。

 

「違うよ。俺は別の獲物を狙ってくるよ」

 

言いながらクウェンサーは川を指差した。二人は短く頷いて山の奥へ進む。

 

「……やっぱ寒いだけあって何もいないね」

 

「ああ。……いや、待て」

 

ヘイヴィアの声で前を見ると、鹿が一匹歩いてるのが見えた。

 

「よしっ……!」

 

銃を構えるヘイヴィア。それをヴレイアが止めた。

 

「なんだよ」

 

「銃声を聞かれて上官にバレたらどうするの」

 

「じゃあどうすんだよ!」

 

「僕が仕留める……!」

 

言うとヴレイアは雪の上とは思えない速さで駆け出した。当然逃げる鹿だが、あっという間に追い付くと上から飛びかかって首を絞め、ゴキッと骨を折った。

 

「任務完了」

 

そう呟くヴレイアを後ろから見ながらヘイヴィアは呟いた。

 

「さ、流石生身最強……ていうかCQCの無駄遣いだな……」

 

思わず感心した。ヴレイアは元気良くこっちに向かって手を振っている。

 

「鹿なんて仕留めたの初めてだよ!」

 

「そりゃそうだろうな……」

 

やれやれと呆れた時だ。顔が一発で蒼白する。ヴレイアの後ろに熊がいたからだ。

 

「後ろォォォォォッッ‼︎ヴレイアァァァァッッ‼︎」

 

「? 後ろ?」

 

と、間抜けに後ろを見た。熊と目が合った。

 

「嘘ォォォォォォッッ‼︎」

 

リアクションも虚しく飛びかかってくる熊。それを横に躱した。

 

「っぶないなぁ!」

 

「オイ!早くこっち来い!」

 

ヘイヴィアが呼んだ。熊は鹿の匂いを嗅ぐ。それを見てヴレイアの目の色が変わった。

 

「そいつぁ、僕の飯だァァァァッッ‼︎」

 

思いっきり後ろから蹴り飛ばした。ゴロッゴロッゴロンッ!と転がる熊。

 

「何してんのォォオッ⁉︎」

 

「ッシャアァァァァッッ‼︎」

 

ヘイヴィアのツッコミを無視して蛇のように吠えながら飛び掛った。

 

「熊は熊らしく、冬眠してやがれェェェェッッ‼︎」

 

思いっきり顔面に拳を叩き込んだ。だが、相手は熊だ。そんな簡単には殺せない。起き上がってタックルを喰らい、ヴレイアは後ろに倒れた。そこに襲い掛かる熊。

 

「ッ!」

 

そこで銃声が響いた。ヘイヴィアの銃声が熊の頭を撃ち、なんとか倒した。

 

「フゥ……サンキュー、ヘイヴィア!」

 

「バッキャロウ!何熊に挑んでんだ!」

 

「まぁ獲物が増えたってことで」

 

「って、こいつも食うのかよ!」

 

「荒らしに来たのはこっちだよ。責めて食べてあげないと可哀想だよ」

 

「………まぁ、その通りだが」

 

「それに、量は多いに越したことはないじゃん。運ぶの手伝ってよ」

 

「わーったよ……ったく……」

 

二人は獲物を引き摺りながら戻った。

 

 

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