ヘリコプターの中。ずぶ濡れのフローレイティアは上空からトライコアとお姫様の戦闘を見ていた。すると、無線機に連絡が入る。
「もしもし?」
『え、えっと……フローレイティアさん、ですか?』
「ヴレイア?何の用?てか何処にいるのよ」
『バッカ!テメェるっせぇーよ殺すぞハゲェッ!』
「ああっ⁉︎」
『いや違いますよ!フローレイティアさんに言ったんじゃ……しつけぇんだよ!(パァンッ!パァンッ!)ないんですよ!』
「あなた何処で何してるのよ!クウェンサーとヘイヴィアは?」
『邪魔!殴るぞ牛肉野郎!』
「………さっきからいい度胸ねあなた」
『だから違うんで……クウェンサー!後ろ!敵来てる!シュウマイ食べてる場合じゃないよ!死ね!』
「OK、お仕置き決定ね」
『そ、そんなぁ……だから女の人は苦手なんだよ……』
「聞こえてるわよ?」
『うえっ⁉︎』
『おいおい、女の人っつーか通信の向こうの和服マニアがおかしいだけだぜ』
「後でその苦手な女性をキッチリ克服してあげるから覚悟なさい。あとヘイヴィアは殺す」
『クウェンサーのせいだぞ!どうしてくれるんだよ!』
「で、今どこで何をしてるの?トライコアには特に異常も出てないし……もしかしてサボってるんじゃないでしょうね」
『………やだなぁ……何させられるんだ僕は……』
「話を聞きなさい!」
『うるせぇよ!今、後のお叱りでショック受けてんだ!邪魔すんな!(ゴキッ!)』
「うん、もう絶対許さないわ」
『だからフローレイティアさんの事じゃ……!あ、変わってくれる?サンキュー。さぁ、素敵なパーティしま』
『……お電話変わりました。クウェンサーです』
「……どこで何してるわけ?さっきからよくもまぁ私に暴言吐いてくれたけど。あとでしばく」
『だってよヴレイア』
『……ここで死んで2階級特進しようかな』
『お前に死なれたら俺たちも終わりなんだよ!』
「おい、テメェら全員しばかれてーのか」
『ああ、すいませんフローレイティアさん。なんでしたっけ?』
「あんた達今どこにいるのよ。お姫様のオブジェクトが来たから撤退していいのよ」
『トライコアの上です』
「…………はっ?」
『俺たちはこれから、トライコアを鹵獲します。だから、お姫様にレーザー系の武装に変更してもらってください』
「はぁ⁉︎ハイジャックって……何をする気⁉︎」
『(プツッ)』
「………やっぱ三人まとめてぶっ飛ばす」
○
「……ふぅ、大体落ち着いたな」
ヘイヴィアが弾切れになったライフルを捨てて言った。
「あいつは落ち着いてないけどな」
クウェンサーの視線の先には、壁をガンガン殴ってるヴレイアの姿があった。
「……ざっけんなよ……、あと人に何させられるだ僕は……」
「いいから行くぞ。と、言ってもほとんど敵はいないけどな」
言いながら三人はトライコアの整備場へ潜入した。室内になっていて、さらに整備場からトライコアの内部へと進む。
「……しかしまぁ、ほとんど宇宙戦艦だなこれ。ホワイトベースの中にいるみてぇだ」
「外の衝撃が中まで響いてきてやがる。どっちかが沈む前にコクピットを見つけねぇと」
「おい、言い出しっぺ。なんか考えてねぇのか」
ヘイヴィアがヴレイアに聞いた。
「その辺の兵隊見つけて拷問か……しらみ潰しか……」
「お前に聞いた俺がアホだった。クウェンサーはなんかないか?」
「これだけ広いんだ。もしかしたから地図とかあるかもしれない。とりあえず探す以外に手は……」
ギンッ!と金属音がした。壁に銃弾が当たる音だ。
「チッ!見つかったか!」
「って、なんだこの廊下!隠れる所がねぇ!」
ヘイヴィアとクウェンサーはガラ空きのまま敵から奪ったライフルを構える。ズガガガガッ!と銃撃戦。向こうと違ってこちらに盾になるものはない。それでも、ヴレイアは見事な射撃でヘイヴィアと一緒に目の前の敵を撃っていく。
「ラスト一人……!」
と、その一人に銃口を向けた時だ。構えた銃がガギンッ!と音がする。
「あ?銃口……⁉︎」
銃口に敵の銃弾が入り、詰まった。その一瞬の隙を突かれ、ヴレイアは右肩を撃たれた。
「っ! ヴレイアッ‼︎」
「野郎……‼︎」
ヘイヴィアがヴレイアの前に立ち、ライフルを乱射して向こうを仕留めた。
「おい!大丈夫か⁉︎」
「………だい、じょうぶ……掠っただけだから……」
「掠っただけでこんな血が出るかよ!クウェンサー、爆薬はあったよな⁉︎全部仕掛けて撤退だ!」
「あ、ああ。立てるかヴレイア?」
「馬鹿言うな!あれだけフローレイティアさんに大口叩いといて何もせずに撤退するのかよ!」
ヴレイアが言った。
「そんな状況で大口も何も関係あるか!」
「とりあえず手当しないと……!」
三人は整備場みたいなところの狭い個室に隠れた。で、ヘイヴィアがヴレイアの傷口を応急処置をする。
「ったく……最強の兵士がなんてザマだよ……!」
「まさか銃口を狙われるとは思わなかったんだよ。狙えてもできるやつなんて僕しかいないと思ってたし……」
「軽くウザいな。それに多分、向こうも偶然だと思うぞ」
「それより、何処から撤退するかだ。海に飛び込むか?」
「いや、それだと傷口に海水が入っちまうぞ」
「ま、待って。さっきも言ったけど僕はまだ退くつもりはない」
二人の会話にヴレイアが口を挟んだ。
「本気かヴレイア!お前が撃たれたんだぞ⁉︎」
「このくらい、戦場なら当たり前だよ。今までの戦場がぬる過ぎたんだ。それより、任務を遂行しよう」
「待て!元々、俺たちの作戦はこいつを沈めるってだけだ!爆弾も序盤にある程度仕掛けたし、ここで退いてもいいだろ!」
「じゃあ全部またお姫様に任せる気か⁉︎」
「っ!」
ヴレイアはクウェンサーを見た。
「クウェンサー、アラスカの時に言ってたよね。今まであのバケモノと戦うのを全部お姫様一人に任せてたって。それが嫌ならここで戦うしかないんじゃないのか⁉︎」
「…………」
「それに、今回の相手はたかだか人間だ。さっきから撃ちまくって残ってる敵も少ない。僕たちなら、やれるはずだ」
ヴレイアが言うと、二人はため息をついた。で、クウェンサーが言った。
「……お前、戦いたいだけだろ」
「まぁ、それも4割ほど……」
「分かったよ」
「本気かクウェンサー⁉︎」
ヘイヴィアが食って掛かる。
「この海から飛び降りるよりはこの中の方が安全だろ?」
言われて、ヘイヴィアもため息をついた。
「仕方ねぇなヒーロー。付き合ってやんよ」
三人はもう一度突入した。