オブジェクト整備長の雑用係   作:フリーザ様

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怒っています

一発だけ撃たれたヴレイアは、整備基地ベースゾーンで応急処置をしてもらっていた。簡易的な治療室みたいな所からクウェンサーとヘイヴィアが顔を青くして出て来た。

 

「どう?ヴレイアの様子」

 

その2人にフローレイティアが声を掛けた。

 

「元気そうでしたよ。身体は」

 

「そう。身体は、ね」

 

言いながらフローレイティアは治療室に入ろうとした。

 

「あの、入んない方がいっすよ」

 

そこにヘイヴィアが声をかける。

 

「そうはいかないわ。部下が撃たれたのよ?」

 

そう言うと、フローレイティアは治療室に入った。中ではヴレイアがベッドの上に座っていた。

 

「大丈夫?ヴレイア」

 

フローレイティアが後ろから声を掛けるが、返事はない。

 

「前回に引き続いてお前が銃弾もらうなんて、珍しいわね。まぁ10倍以上の兵士を相手に1発しか喰らってないことの方がおかしいけどね。普通の兵士なら蜂の巣になってたわよ」

 

言いながら、ヴレイアの隣に腰を掛けた。

 

「分かったら、これからは1人で無茶なマネしないように……」

 

と、言いながらヴレイアの顔を見た。が、台詞が途中で止まった。思わず、フローレイティアですらゾクっとするほどに、ヴレイアは怒っていた。

 

「………フローレイティアさん」

 

「な、何?」

 

「少し頭を冷やします。申し訳ありませんが、出て行って下さい」

 

「………分かったわ」

 

言われるがまま、フローレイティアは出て行った。

 

(あの子が怒ると、あんな顔するのね……。思わずビビっちゃったわ)

 

心の中でそう呟くと、フローレイティアは尋問室に向かった。

 

 

 

 

狙撃したジャーナリスト、シーワックスの尋問をモニターで見ながら、クウェンサーとヘイヴィアは眺めていた。

 

「なぁ、クウェンサー。オセアニアの『犯人探し』が終わるまで、あとどれくらいかかると思うよ」

 

「電子シミュレート部門の予測が正しければ、軍事国が使ってるオブジェクトは0.5世代。大雑把に考えて4〜5時間ってところだ」

 

「つまり、あと4時間でオブジェクト見つけてぶっ壊さなきゃいけないってことか」

 

「壊すだけなら簡単だろ。なんせこっちにはオブジェクトが二機あるんだ。問題は見つけるほうだ。衛星以外の視点から、何か新しいことがわかるかもしれない」

 

「ダメよ。上層部から命令が出てるの」

 

尋問室から出て来たフローレイティアが2人の会話を遮った。

 

「コンクリートの建物を脱ぐオセアニア提供のストリップショーで0.5世代のオブジェクトが出てくるっていうならチャンスよ。奴がどこのベースゾーンから出てくるか、衛星で観察したいんだって。それまでに下手な内偵をひて勘付かれたら、せっかくの機会を棒にふる羽目になるの。私達も無意味で地道な策索敵の日々に逆戻りよ」

 

「じゃあ、オセアニア軍が小さな村に行う『犯人探し』は放っておけって言うんですか⁉︎オブジェクトが生身の人間に牙を剥いたらどうなるかは分かっているはずでしょう‼︎」

 

「私だってお前達だけでも行かせたいの。だが、上層部の命令は今更覆らないのよ」

 

悔しそうにフローレイティアは俯きながら言った。

 

「良い?軍のデータベースに触れようとしないで。ただでさえ、多国籍軍を編成している今はお互いのオブジェクトの情報が漏洩しないか、チェックを厳しくしているの。この状況で軍の方針とは違う目的でデータに触れようとすれば、あっという間に軍法裁判にかけられるから」

 

「どうすんですか、それじゃ」

 

「準備をしておくの。衛生監察官からの情報が来たら、一刻も早く現場に到着できるようにね」

 

言うとフローレイティアは立ち去った。

 

「なあクウェンサー、どうするよ」

 

「大丈夫だ」

 

言うと、クウェンサーはポケットから折り畳まれた地図を出した。

 

「デジタルとアナログを上手に使い分ける事にしよう」

 

 

 

 

フローレイティアは再び治療室に入った。直後、こけた。アレだけシリアスな雰囲気を作っておきながら、ヴレイアは爆睡していたからだ。

 

「このガキ……」

 

思わずため息をついた。というか、正直少しイラッとした。が、少し安心もしていた。これなら大丈夫そうだと。なにせ、一度寝れば、記憶がリセットされてるのかってレベルで記憶力がない。寝起きに「僕は誰だっけ……」とか言い出した時は割と本気で引いた。

 

「どちらにせよ、お前達に仕事は残ってない。ゆっくり休め」

 

そう言いながら、頭を撫でてやろうとした。だが、

 

「ふ、フローレイティアさん!僕の部屋でナニしてるんですか!」

 

という寝言が聞こえた。

 

「は、はぁ⁉︎」

 

ビクッとして手を引っ込めた。

 

「そんな……ダメですよ……僕とフローレイティアさんは……上司と部下なんですから……」

 

蹴り起こされた。

 

 

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