面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語 作:ジャギィ
では決着の第12話ドーゾ
金属の擦れる音が、壁に反響して鼓膜を震わす。外からしか開かれることのない鉄扉が開くときは、決まって白星という人間か食事を運ぶ当番の人間がこの部屋に入ってくる。しかし今は日の暮れ様から食事時ではない…ならば白星か?
だが入ってきた奴はそのどちらでもない。強い意志を感じさせる瞳の男が入室してきた。背にはマントのようなものをつけている
「誰だ……?」
「俺の名前はユート。レジスタンスのリーダーで、風斗の仲間だ」
ユートと名乗る見知らぬ男の登場に…オベリスクフォースの男は、自嘲気味に話しかける
「…俺をカードにでもしに来たのか?エクシーズ次元の敵の…オベリスクフォースの俺を……」
「そんなことにしに来たわけではない。…話をしに来ただけだ」
「それに」とユートは付け加える
「みんなの仇だろうとお前をカードにしたところで、やってることはアカデミアと同じだ。俺たちは、未来を取り戻すために戦っている」
「未来を、取り戻すか……」
思い返す、自分がカードにしてきた人たちの顔を…恐怖と絶望に歪んだ表情のカードを
今までエクシーズ次元の人間に対して、とても酷いことをし続けてきた。残酷なことを。未来を奪って顧みず、自らを絶対強者と信じて疑わなかった……白星風斗という、異端者と出会うまで
「……何のつもりだ?」
「すまなかった……」
彼のとった行動は早かった。罪悪に耐えきれないオベリスクフォースのとった行動は…ユートに向かって地に這い蹲り、
だが今の彼には、エクシーズ次元に対して負け犬のレッテルや、自分がアカデミアのエリートなどと思い至る気持ちはなかった。偏見の垣根を取り除き、同じ人間にすべき行動…許しを、乞うた
「俺のしてきたことがこの程度で許されるなんて思ってはいないけど……許してくれるなんて思っていないけど!…すまなかった…ッ!」
この苦痛を、できることならば忘れたい…戻りたい…!何の躊躇もなく、人をカードにしてプロフェッサーを信じていた、あの頃に……。しかしそれはもうできない。心臓を握られるような、首に刃物を突き立てられたようなあの感覚…もう2度と忘れることのできない、死への恐怖
「ゴメン……!」
今まで自分がしてきたことの残虐さを気づかせるきっかけとなった、悪夢のデュエル。それが、彼の心の底に沈んでいた純粋さを引きずり上げた
「ゴメン……!ゴメンナサイ……!」
「…顔を上げてくれ」
ゆっくりと、緩慢な動きで顔を上げる。ユートの顔つきは依然険しいままだが…その声音は、先ほどよりも優しみがあった
「……お前が自分のしてきたことを間違いだったと気づいて、悔いているのは分かった。だが俺に謝ったところで何も変わらない」
「ッ…!」
「だから、助けてやってくれないか?色々な…たくさんの人を……」
その言葉には、聞き覚えがあった。ふとオベリスクフォースの脳裏に浮かんだのは、コートを着込んだ男の声
『だから自分で考えろ。後悔して苦しいなら何度だってやり直せる…僕でもやり直せるんだ、お前ならすぐにやり直す事はできると思うぞ』
『…まぁ、人間みんな間違えるもんだ、完璧な奴なんで絶対居ねえよ。……だから間違ったと思ったなら、自分の出来ることでも、他人に言われたことでも、誰かの助けになることをすればいいんじゃねえか?それはお前の自由だろ?』
自分と同じ…いや、自分以上に重く刺々しい十字架を背負っているであろう存在を知っている。そしてその男は、知らない誰かの為に戦っているのだ。身に絡みつく過去を振りほどこうとして……
今、彼は何をしているのか?また知らぬ誰かの為にデュエルをしているのだろうか?
オベリスクフォースの男が気になってやまない人物…白星風斗。彼は、ハートランドの街中で今……
「もっと速く
闇堕ちしてハイになっていた
大仰に両腕を広げ大声で叫ぶ彼の姿は、誰がどう見ても残念でかわいそうな人でしかなかった。オベリスクフォースたちの視線が人以外の、物を見る冷ややかな目だと雰囲気で察することができた。ユーゴは奇行に走る風斗を止めている
「おい!落ち着けって!」
「最高に高めた俺のフィールで最強の力を手に入れてやるぜ!!」
「お前何言ってんだよ!?」
…彼の名誉のために言っておくが、彼は自分の精神安定のためにこのような行動をとっているわけである。…断じて「スターダスト」や「ツィオルキン」がいる状態でライティングデュエルをしているから、などいう理由ではない…のだ
白星 風斗 LP2200 手札 6枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
伏せカード 2枚
&
ユーゴ LP3600 手札 5枚
レベル6 ATK2200
VS
オベリスクフォースA LP3500 手札 1枚
レベル7 ATK1800
融合塹壕–フュージョン・トレンチ–
&
オベリスクフォースB LP4000 手札 2枚
レベル3 ATK1000
伏せカード 3枚
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 2枚
レベル5 ATK1400
伏せカード 1枚
「……ふう、落ち着いた。ゴメン、ちょっと気が動転してたみたい」
「いや、動転なんてレベルじゃないだろ今の……」
気持ちを落ち着かせるため鼓舞を試みたものの、根元からポッキリと精神の柱的なものが折れた僕は、奇行に走ることにより己を保つことに成功した
フィール遊星はやってて楽しかったし、状況のヤバさも飲み込めた……とりあえず、早く「フュージョン・トレンチ」と伏せカードを破壊して速攻でケリをつけなければならない。もしあれが「
僕の場にはドロー加速の「ハイパーライブラリアン」がいる。状況突破のためにも、攻撃できなくともユーゴにはシンクロ召喚をしてもらわなくては…!
「まぁいいか…俺のターン!」
ユーゴがデッキトップのカードを引き抜き、それを手札に加えると手札の別のカードをディスクにセットした
「俺は墓地の「ダブルヨーヨー」と「タケトンボーグ」をゲームから除外し、魔法カード「ヒドゥン・ショット」を発動!これでフィールドのカードを2枚破壊できる!破壊するのは、「融合塹壕–フュージョン・トレンチ–」と真ん中のやつのリバースカードだ!」
具現化した「ヒドゥン・ショット」の絵柄から薄くなった「ダブルヨーヨー」と「タケトンボーグ」が球状に形を変えていき、「フュージョン・トレンチ」と伏せカードに狙いを定める
よっし、嬉しい意味で予想外だ!これで次のターンから攻撃が…!
「バカめ、「フュージョン・トレンチ」を破壊してくることなど読めている!カウンター罠「マジック・ジャマー」を発動!手札を1枚墓地に送り、魔法カードの発動を無効にし破壊する!」
しかし現実は非常。オベリスクフォースが2枚と少ない手札のうち1枚を墓地に捧げると、緑に発光した非ィ科学的な魔方陣が「ヒドゥン・ショット」の下に現れ…強烈な閃光と共に砕け光の欠片を宙に溶かした
「マジック・ジャマー」…!?環境では殆ど見ないマイナーカード使ってきやがって!
「何!?」
「カウンター罠とはなァ…!あんな奴らでも多少は学習能力があったっつーことか!」
けどこれで…多分だけど分かった。あいつらは「神の」シリーズのカウンター罠は入れてない!
多対一を戦術とするアカデミアの連中は返しの罠なんぞ先に倒せば良いと踏んで入れてないだろうし、仮に入れるのだとしたらもっと範囲が広い「神の宣告」や「神の警告」とか入れるはずだ。けどそれらのカードは共通して重いライフコストが必要になる。プライドの高い奴らだから、より軽いコストでかつそこそこの範囲の「マジック・ジャマー」を入れた…といったところだろうか
…若干GXの偏見が混じってるが、そう思わないと正直動こうにも動けず負ける羽目になる。こんなところで死ぬ気のない僕からすれば、そんな結末はまっぴらごめんだ
「くっ……俺は、「
半分に折れた黄色のブーメランのうち1つに下半身が入り込み、もう1つを縦にさらに割り腕につけた、赤いバイザーで目を覆ったモンスターが出現する
レベル4 ATK2000
「モンスターが召喚・特殊召喚された時、「
射出された尖った牙が「シェイブーメラン」の胸部に突き刺さる。小さい破損箇所から電気がバチリッ!と漏れ出る
レベル4 ATK2000
「これで俺はターンエンド…わりぃ…」
「気にすんな。むしろ分かったことがある分全然良くやった方だから」
墓地アドが減ったとはいえ、まだ「三つ目のダイス」に「ベイゴマックス」とかの使えるカードが残ってる分、まだ復帰の仕様はある
意気消沈するユーゴを励ましながらも思考は別に働かせる。即ち、敵がどう動いてくるか……
白星 風斗 LP2200 手札 6枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
伏せカード 2枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
レベル6 ATK2200
レベル4 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP3500 手札 1枚
レベル7 ATK1800
融合塹壕–フュージョン・トレンチ–
&
オベリスクフォースB LP4000 手札 3枚
レベル3 ATK1000
伏せカード 2枚
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 1枚
レベル5 ATK1400
「俺のターン!バトル時に永続罠「フュージョン・トレンチ」の効果で1ターンに1度、融合モンスターはプレイヤーに直接攻撃することができる」
「融合モンスターだけダイレクトできるだと!?」
その顔を驚愕で染めたのは、ユーゴ。まぁ確かに、融合モンスター以外の攻撃抑制のみならず壁モンスターも突破する効果があるとか卑怯くさいだろうな。…環境じゃ使えないの一言で一蹴されるだろうけれど
だがそのカードのおかげで僕たちが追い詰められているのも事実であり…
「…ッ!つーことは!」
「「
命令と共にその2つ首から吐き出された火炎球は僕に迫り、少しの時間差で2つとも身体に着弾した。当たった箇所は右肩と右脇腹。酷い右イジメである
白星 風斗 LP800 手札 6枚
そしてあと少しで消し飛ぶ、風前の灯火とも言える僕のライフ
「俺はこれでターンエンドだ」
白星 風斗 LP800 手札 6枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
伏せカード 2枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
レベル6 ATK2200
レベル4 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP3500 手札 1枚
レベル7 ATK1800
融合塹壕–フュージョン・トレンチ–
&
オベリスクフォースB LP4000 手札 2枚
レベル3 ATK1000
伏せカード 3枚
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 2枚
レベル5 ATK1400
……流石に、そろそろ恐ろしくなってきた…!
「ハァーハァーハァー……」
「オイ!大丈夫かよ、オイ!」
「大丈夫…!大丈夫……!」
気を強く持て僕…!「
「俺のターン、ドロー!貴様のそのリバースカードは俺たちの攻撃を防ぐものだったのだろうが、残念だったな!「
「ッ!じゃあ風斗はリバースカードを使わなかったんじゃなくて、使えなかったってことか!?」
「これで貴様は終わりだ!俺は「
「
……だがのうのうとやられる気はない!
「風斗!俺は墓地の「
「手札の「速攻のかかし」を墓地に送り効果発動!相手の直接攻撃を1度だけ無効にする!」
ユーゴが墓地の「三つ目のダイス」を除外するよりも早く、手札の「速攻のかかし」を墓地に送る。すると「
「何だと!?」
「さっきの直接攻撃を受けたのは、そっちの方がダメージ量が少なかったのと…こうすれば、お前ら何の警戒もせずに直接攻撃してくると踏んだからだよ…」
僕の作戦を聞いて、あからさまな舌打ちと歯ぎしりをするオベリスクフォースたち。その様子から見て、「
「悔しいでしょうねぇ」
「クソが!俺はこれでターンエンド!」
ちょっとスカッとした
白星 風斗 LP800 手札 5枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
伏せカード 2枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
レベル6 ATK2200
レベル4 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP3500 手札 2枚
レベル7 ATK1800
融合塹壕–フュージョン・トレンチ–
&
オベリスクフォースB LP4000 手札 2枚
レベル3 ATK1000
伏せカード 3枚
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 2枚
レベル5 ATK1400
しかし…それでも、こちらの不利に変わりはない。このターンをラストと考えてやらなければ…
「僕の、ターン!」
ッ!……まだ、引かない…まだ出ない…!
「どうすれば……」
シンクロするか?それでカードをドローして、「フュージョン・トレンチ」を破壊できるカードを引く…引けるのか?確率はだいたい1/10……だが博打に出て、返り討ちにあったら……
「風斗、少し落ち着けって!」
「落ち着いて…、いられるか……命かかってんだぞ、このデュエル…!僕のターンで、僕があいつら全員倒さなきゃ…」
このターンで最低でも「
だから、倒さなければならない!僕が…僕が、僕が!
「俺がいるだろうが!」
脳を響くような声が前方から発せられる。ユーゴはこちらを向きながらヘルメットの蒼いバイザー越しで僕を見据える。薄い青緑のハイライトは、バイザーによってより深い蒼を醸し出させていた
「…ユーゴ……?」
「お前だけで倒さなくったって良いんだよ!…俺と一緒に戦ってんだから、少し力を抜けよ」
力を、抜く…?
「迷ってんなら、自分ができることをすれば良いだろ?ジャック……えっと、俺たちの街の最強の
ユーゴは心底嬉しそうに、ジャック…ジャック・アトラスについて色々語る。きっと励ましてくれてるのだろう…なんて思いながらも、頭は別のことでいっぱいであった
ジャックか…5D'sじゃ元ジャックだの転倒王だの散々な言われようだったが、この世界じゃガチのキングだったなぁ……。確か、遊矢相手に宣言通り3ターンでワンキルかましたり、零羅を励ましたり……なんて言ったっけ……?
『何かを成したいと思うならば、怯むな!!』
「…ッ!」
怯むな…?怯むな……僕は、この状況にビビって…怯んで、いるのか…?何かを成したい…僕は何がしたい…?瑠璃を助けたい…?それもある。アカデミアを打倒する…?それもある……
「………違う……」
いや違う、間違ってるぞ僕。その2つは、あくまで手段の1つに過ぎない……!
『今のお前には、デュエルに対する情熱が感じられない』
僕がこの世界で生きる目的は…!
『アカデミアを俺たちは必ず倒す。そして、いつかまた楽しいデュエルがしたい。みんなが笑い合えるデュエルを…デュエルでみんなを、笑顔に……』
僕のやりたいことは…!
「……みんなと楽しいデュエルがしたい……ッ!」
そうだ、何故僕はアカデミアと戦っている?…あいつらが楽しくデュエルするのにひたすら邪魔で、みんなを不幸にするからだ!だから僕は、みんなの命を背負った気になって…それで失敗して…!だがもうそんなのはたくさんだ!
だから、とりあえずこいつらは倒す!僕は1人じゃない…!みんなと一緒に、戦っている!
「…忘れてたよ…この世界に来てから……」
「風斗?」
その為にも思い出せ!前世のデュエルを思い出せ!床で、机でやったデュエル…命のかかってない、あの時の遊戯王は……楽しんでた!
楽しめ!デュエルを!
「僕は「ジャンク・シンクロン」を召喚!召喚時効果で、墓地の「ボルト・ヘッジホッグ」を守備で特殊召喚!」
ジャンク・シンクロン チューナー
レベル3 ATK1300
ボルト・ヘッジホッグ
レベル2 DEF800
「レベル2の「ボルト・ヘッジホッグ」に、レベル3の「ジャンク・シンクロン」をチューニング!シンクロ召喚!疾走しろ、レベル5!シンクロチューナー「アクセル・シンクロン」!「ハイパーライブラリアン」の効果で1枚ドロー!」
アクセル・シンクロン チューナー
レベル5 DEF2100
「リビングデッドの呼び声」。まだ引かない…ならば!
「墓地の「ボルト・ヘッジホッグ」の効果!自分の場にチューナーモンスターがいる時、墓地のこのモンスターを特殊召喚できる!そしてレベル2の「ボルト・ヘッジホッグ」をリリースして、墓地の「ジェット・ウォリアー」を特殊召喚できる!フィールドから離れた「ボルト・ヘッジホッグ」は、自身の効果で除外される!」
ジェット・ウォリアー
レベル5 ATK2100
「ユーゴ!加速しろ!」
「…ッ!分かった!」
僕の言葉に何かを感じ取ってくれたのか、ユーゴはDホイールをさらに速く走らせる。スピードの強風がフードを剥がし、同時に右手でネックウォーマーを首元にずらす
「あいつら、何をする気だ!?」
オベリスクフォースの声が、もはや聞こえない。周りの景色が薄紅色に変わってゆく。加速の先に…今僕は、スピードの世界にいる…!
孤独と不安を引きずるな!僕の、己の無力を呪った…あの日々を消し飛ばせ!猛スピードで突っ切れ!
笑わなきゃ……道はない!
「ックリアマインド!レベル5「ジェット・ウォリアー」に、レベル5の「アクセル・シンクロン」をチューニング!!」
「アクセル・シンクロン」は巨大な…5つの加速する輪を作り出し、それは全速力で走るDホイールと「ジェット・ウォリアー」をくぐらせる。ユーゴはとてつもない加速の重力に呻く
「グウゥ…ッ!」
「命を燃やす星屑の戦士よ!加速でその身を煌めかせ、暗闇を照らす一筋の
輪に入ったことによりさらに速くなるDホイールは機体で空気を後ろに流しながら…最高潮のスピードに達する
「アァクセルッ・シンクロオオオォォォォーーーーーーーッ!!!」
「な……?!きっ、消えた!?」
オベリスクフォースは目の前の光景を疑う。風斗の叫びと共に、Dホイールごとその姿を完全に消したからである。3人は狼狽えながらも周囲を見渡すが、どこにも見当たらない
「逃げられたか!?」
「一体どこに………ッ?!」
遥か後方から、見覚えのある…束ねられた光の輪が輝きを発していた。それの中からDホイールがモンスターたちを引き連れてオベリスクフォースを追い抜く
しかしその引き連れたモンスターの中に……見たことのないモンスターが、薄く白光していた
胸部に2つ、肩部に1つずつ青いクリスタルをはめ込んでいて、背中に二翼一対の硬質な翼。粒子を振りまきながら佇むその戦士の姿は、容姿を相まって、隣の「閃光竜 スターダスト」を戦士に変えたような……そんな姿をしていた
「光来せよ!「スターダスト・ウォリアー」ッ!!」
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
星屑の体現者が、大気を揺るがす唸り声をあげた
「……スゲェ……」
ユーゴが呟く。感嘆の感情に満ちた小さな言葉は僕の耳まで届き、Dホイールを走られながらもユーゴはこちらに顔を向けてはしゃぐ
「スゲェ!スゲェよ風斗!こんな切り札を持ってたのかよ!」
「落ち着け、前を見ろ」
幼い子供のようにはしゃぐ彼の姿は、なんとなく人懐っこい犬を想像させた。尻尾をパタパタ振る様子まで幻視してしまう
……だがまぁ、今はあいつらを下すことに専念しよう
「自身の効果で特殊召喚した「ジェット・ウォリアー」がフィールドから離れた時除外される。そしてシンクロ召喚に成功したことにより、「ライブラリアン」の効果でカードを1枚ドローできる!ドロー!」
…ッ!…正直、「ツイン・ツイスター」の方が良かったが……
「こっちでも状況は打破できる!「融合塹壕–フュージョン・トレンチ–」を対象に速攻魔法「サイクロン」を発動!」
「バカな?!ここで「サイクロン」を引いたというのか!?」
「効果は知ってるよな?何かチェーンがあるか?……ないなら効果発動!「フュージョン・トレンチ」を破壊する!」
これで攻撃をすることができる!正直あの伏せカードが怖いところ…「ミラフォ」の類か?…だが既に博打には出ている!ならば…
「カードを1枚セット!そしてこの瞬間「アルティマヤ・ツィオルキン」の効果が発動!」
甲高い咆哮…「ツィオルキン」がその喉を震わすと、空から一筋の流星が降り注ぐ。そしてそれは僕のフィールドに舞い降りる
「風に導かれし星屑の竜よ!集いし願いをその身に宿し、全てを守る新たな星となれ!」
眩い白。そのドラゴンは、名も容姿も「閃光竜 スターダスト」と似通っていた。ただ1つ、唯一の違いは……力の源が「光」ではなく「風」であること
「飛翔せよ!レベル8!「スターダスト・ドラゴン」!」
「スターダスト・ドラゴン」はその黄色の眼光で、オベリスクフォースたちを見据える
スターダスト・ドラゴン
レベル8 2500
「3体目の、ドラゴンだとォ!」
「バトルフェイズ!「スターダスト・ウォリアー」で、「
風が、吹き荒ぶ。その身を翻しながら「スターダスト・ウォリアー」は左拳を強く握りしめる。視線の先は、3つ首を動かしながらこちらを威嚇する古代の尖兵
殺人的な量の粒子が吐き出される。それを攻撃の推進力とし、目にも止まらぬ速さで「
オベリスクフォースA LP2300
「グゥ!」
「これで1人目!「
自分の前に手元の本を浮かせながら呪文を唱え始める。するとひとりでにページが高速でめくれていき、上空に現れたエネルギー体をオベリスクフォースにぶつけた
「グワアアアァァァァーーーーー!!」
白星 風斗 LP800 手札 5枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
スターダスト・ドラゴン
レベル8 ATK2500
伏せカード 3枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
レベル6 ATK2200
レベル4 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースB LP4000 手札 2枚
レベル3 ATK1000
伏せカード 3枚
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 2枚
レベル5 ATK1400
勢いよく吹っ飛ばされたオベリスクフォースの男は、身体を地面に接触させたまま砂煙を上げながら青い光になり融合次元へと消えていった
うっわ、なんかズザザザッーってえらい音鳴ったな…摩擦部分が燃えてもおかしくないレベルだぞあれ……
「…って言ってる場合じゃねえか。「閃光竜 スターダスト」で「
僕の指示と同時に「閃光竜 スターダスト」が光をその身に纏うと、一瞬の輝きを放つ…まるで流星のような美しさで軌跡を描きながら「
オベリスクフォースB LP2500 手札 2枚
「グワァッ!」
「「スターダスト・ドラゴン」で直接攻撃!「シューティング・ソニック」!」
倒れた敵に追い打ちをかけるように「スターダスト・ドラゴン」は開けられた口の中に大気を取り込み、真空波を吐き出す。空気を圧縮した無色の塊は風が逆巻き、景色を歪ませるほどの高密度な真空のブレス…それが、オベリスクフォースに向かって暴音を立てて迫る
これで2人目!
「リバースカードオープン!永続罠「
しかしオベリスクフォースは必死の抵抗で伏せカードを発動する。公開されたカード名に入っている1つの単語「蘇生」
「蘇生カードかよ!」
「このカードは1ターンに1度、俺の場にモンスターが存在しない場合に、このターン墓地に送られた「
カードの発動に合わせて、地面から「
レベル3 DEF1000
破壊系なら「スターダスト」の2体でどうにかできたんだがなぁ……
「モンスターの数が変化したことで戦闘は巻き戻る。攻撃対象を「
「くっ…もう1枚の「
「またそいつか!」
しつけえよ!いい加減にしろこのバカ!つーか「
またまた地面から復活を果たす機械猟犬。しかしその泥まみれでところどころ小さく壊れている姿は、捨てられた犬に見えて同情を誘うレベルだった。注視してみると少し落ち込み気味に走ってる
「お前は全てのモンスターで攻撃した!これで「
「風斗、あのモンスター!あいつを残したらお前のライフが……」
「分かってるっての!」
対策はあるが…一応危険な芽は摘んでおく!
「メイン2、魔法「地砕き」を発動!相手の1番守備力の高いモンスターを破壊する!お前たちの場には同じ1000の守備をもつ「
強烈な揺れと地鳴り。前触れもなく起こったその現象は新たな災害…地割れを起こし、小さく開かれた谷底に「
「どうだ!?流石にもう1枚も蘇生カードなんてことはねえだろ!」
ユーゴは「
「…ククククク……」
…だが、僕は耳を疑う。そんな挑発めいたことを言われたのにも関わらず、オベリスクフォースが返したのは不気味な笑み
えっ…まさか?その残りも蘇生カードとかじゃないよね?
「ハハハハハハ!!掛かったなサウザンド・フェイス!」
「…掛かった……?」
なんだ?何か食い違いが感じる。あの伏せカードが蘇生のものなら罠に掛かったような物言いはしないはず…
「報告通りの
「ア゛ァッ?!」
「俺の「
再び、地が割れる。その割れ目から「
「いにしえの魂受け継がれし機械仕掛けの猟犬たちよ!その10の首混じり合わせ、混沌にして、絶大なる力とならん!」
赤とオレンジの1つ目を収縮、拡大させ、巨大…機械仕掛けの巨人が、Dホイールの前に立ちはだかる。必然の減速が身体を揺らす
「融合召喚!現われよ!レベル10!「
レベル10 ATK4500
「攻撃力4500ッ?!」
「…ヤッバい……!」
ユーゴは驚き、僕は慄く。そして自己批判。「
己の浅慮さ加減に苛立ちをぶつけながらも、奴の効果とこちらの手持ちを整理する。確かユーゴの墓地には「三つ目のダイス」があったはず…
「ユーゴ、僕の手札ならあいつの攻撃を1ターンだけ防げる。「三つ目のダイス」を使うことにはなるがな」
「本当か!?」
「あぁ、シンクロのポテンシャルは計り知れない。お前なら
残念だがもう魔法・罠くらいしか除去手段が残っていないこのデッキでは、相手の魔法・罠を受けつけない効果をもつ「
「
「…任せていいか?」
「おう!その代わり、サポートはしっかり頼むぜ!」
「あいよ!僕はターンエンドだ!」
頼んだぞ、ユーゴ
白星 風斗 LP800 手札 4枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
スターダスト・ドラゴン
レベル8 ATK2500
伏せカード 3枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
レベル6 ATK2200
レベル4 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースB LP2500 手札 2枚
レベル10 ATK4500
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 2枚
レベル5 ATK1400
「俺のターン!俺は…」
「手札の「エフェクト・ヴェーラー」を墓地に送り、「
「なんだと!」
大方、バトルフェイズにでも移ろうと思ったんだろうがそうはさせねぇよ
「これでそいつの全体攻撃も耐性も、みんなこのターンは使えない。「
「だが攻撃はできる!少なくとも貴様は終わりだ!「
振るわれる、剛腕。凄まじい暴力の権化が機械猟犬の頭を模した拳を閉じ、「スターダスト・ウォリアー」を肉塊に変えるべく空気を震わせ殴りかかるが……
「墓地の「
ーーーDホイール全体を覆うドーム型のバリアが「
「なに!?」
「墓地の「三つ目のダイス」を除外したターン、1度だけ攻撃を無効にできる!」
「悪足掻きを!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
白星 風斗 LP800 手札 3枚
レベル5 ATK2400
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
スターダスト・ドラゴン
レベル8 ATK2500
伏せカード 3枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
レベル6 ATK2200
レベル4 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースB LP2500 手札 2枚
レベル10 ATK4500
伏せカード 1枚
&
オベリスクフォースC LP4000 手札 2枚
レベル5 ATK1400
「ユーゴ!」
「ッ俺の、ターン!」
雑な、だが力強くカードを引き抜き、カードを見る。…口元が、分かりやすいくらい笑みを浮かべる
「いよっしゃぁ来たぜ!俺は手札から「スピードリバース」を発動!墓地の「
レベル3 ATK1200
「さらに特殊召喚した「ベイゴマックス」の効果で、デッキから「
赤と青の奇妙な帽子を被った1頭身のモンスターが姿を見せる。ガンマンのような靴とボロボロの藍色のマント、そして両腕の手を除いた前腕にあたる部位にオレンジ色の籠手のようなものが装備されており……なんというか、
レベル3 ATK1000
こみ上げてくる笑いを必死に抑えながらユーゴの
「「オハジキッド」のモンスター効果!このカードが召喚に成功した時、自分か相手の墓地のチューナーモンスター1体と「オハジキッド」の2体で、風属性シンクロモンスターをシンクロ召喚できる!風斗!レベル2のチューナー、借りるぜ!」
「おうよ、やれ!」
手渡しで「フォーミュラ・シンクロン」をユーゴに渡すと、ユーゴはそれをディスクにセットして特殊召喚する
フォーミュラ・シンクロン チューナー
レベル2 DEF1500
「レベル3の「オハジキッド」に、レベル2の「フォーミュラ・シンクロン」をチューニング!シンクロ召喚!その躍動感溢れる、剣劇の魂。出でよ、レベル5!「
黄色い柄の、峰が赤く白い刀身の巨剣が光を切り裂く。峰の方向の柄の近くに、赤い鎧の騎士が両手に先端が軽く曲がった曲刀を持ちながら上半身だけ姿を現わした
レベル5 ATK2000
「シンクロ召喚に成功したから「ライブラリアン」の効果でカードドロー」
シンクロ召喚が行われたので効果処理を1人行う。こいつの効果強制だから終盤で面倒くさくなるんだよなぁ……あ、「ツインツイスター」引いた
「俺の場に風属性モンスターがいる時、手札の「タケトンボーグ」は特殊召喚できる!そして自身をリリースして効果発動!俺はデッキのチューナーモンスター「
登場してフィールドに穴を開け速攻退場する「タケトンボーグ」。出番が短すぎる
そしてそんな「タケトンボーグ」の作り出した穴から飛び出してきたのは、角が丸っこい黄色のサイコロ。ただしその出目の見た目は言葉通り赤色の目の模様であり、周りに一定間隔で一回り小さい紅い球が6つ宙に浮かせていた
レベル1 ATK100
「墓地の「タケトンボーグ」を除外して、「
「フン!この程度!」
オベリスクフォースC LP3500 手札 2枚
「いくぜ!レベル6の「魔剣ダーマ」に、レベル1の「赤目のダイス」をチューニング!」
「魔剣ダーマ」の線が緑に、面が無色に変化し、「赤目のダイス」が生み出したシンクロの輪と同調を開始する。やがて「魔剣ダーマ」は己のレベルの数だけ緑白の星になり…眩い光が通過する
「その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!」
光の柱を突き破ってきたのは、水晶のように透けた翼をもったモノクロのドラゴン。大きな腕・両足のない脚部・長い尾の先端・胸部にそれぞれ青いプロテクターがつけられており、頭部にもプロテクターと同質のもので後ろ向きに一本角のように伸びていた。何より特徴的なのは、やはり大きく目立つミントグリーン色で硬質な4枚の翼。
「シンクロ召喚!現れろ、レベル7!「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」!」
シンクロ次元を象徴するドラゴンは、その腕を大きく広げながら打ち震える咆哮をあげた
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK2500
出た…「クリアウィング」!これで「
「バカめ!いくらシンクロ召喚をしようが、俺の「
わあ、テンプレなセリフどうも。ならばここは遊戯王風で返すのが流儀、この言ってみたいセリフが言える日が来るとは思わなかった
「それはどうかな?」
「なにィ?」
「俺の「クリアウィング」を甘く見るなよ!「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」は、どんなモンスターも乗り越える!」
「お前が言うセリフは「バカめ」じゃなくて「バカな」の間違いなんだよ」
指を後ろの2人に突きつける。きっといい笑顔であろう表情を浮かべながら……
「お楽しみは、これまでだ!」
勝利の宣告を相手に宣言する。そしてそれは、すぐに実行に移される
「「クリアウィング」のシンクロ成功時に
「おう!「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」の効果!レベル5以上のモンスター効果が発動した時、それを無効にし破壊する!「ダイクロイック・ミラー」!」
「クリアウィング」の翼に輝きが増す。水晶の翼に電子基板のような文様が光って浮かび、そこから波長の光を反射させる。モロにそれを浴びた「ハイパーライブラリアン」は悶え苦しみながら、光の中に消えた
「とうとう気でも狂ったか!味方のモンスターを破壊するなど…」
「さらに、ターン終了時まで「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」は破壊したモンスターの攻撃力分、攻撃力をアップする!」
「なに!?ということは…」
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK4900
「なっ…?!「
「「シェイブーメラン」の効果!「
忘れた頃にやってくる。「シェイブーメラン」は腕のブーメランを思いっきり投げつける。2つの頭部に直撃させた「
ちなみにブーメランは片手でしっかりキャッチしていた。ワザマエ
白星 風斗 LP800 手札 4枚
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
スターダスト・ドラゴン
レベル8 ATK2500
伏せカード 3枚
&
ユーゴ LP3600 手札 3枚
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK4900
レベル4 ATK2000
レベル3 ATK1200
レベル5 ATK2000
VS
オベリスクフォースA LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースB LP2500 手札 2枚
レベル10 ATK4500
伏せカード 1枚
&
オベリスクフォースC LP3500 手札 2枚
レベル5 DEF1000
「バトルだ!「
身体の連なった駒を回転させる。頭と尾の2つを残してギャリギャリ回転させるその姿はチェンソーのようであり…
縦一線。左右真っ二つに両断され「
なにこれ「ベイゴマックス」えげつねぇ…攻撃力1200の攻撃じゃねえよコレ……
「「シェイブーメラン」でダイレクトアタック!」
「ックゥ!」
投擲されたブーメランはオベリスクフォースの肩を掠めてそのまま戻っていく
オベリスクフォースC LP1500 手札 2枚
「「チャンバライダー」で攻撃!「チャンバライダー」は攻撃時に、攻撃力を200アップさせる!」
剣を持った手をクロスに交差させる。そして2回。剣を宙に振り、斬撃を飛ばしてオベリスクフォースのライフを根こそぎ刈り取った
「グアアアァァァァァーーーーーーーッ!!」
白星 風斗 LP800 手札 4枚
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
閃光竜 スターダスト
レベル8 ATK2500
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
スターダスト・ドラゴン
レベル8 ATK2500
伏せカード 3枚
&
ユーゴ LP3600 手札 3枚
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK4900
レベル4 ATK2000
レベル3 ATK1200
レベル5 ATK2200
VS
オベリスクフォースA LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースB LP2500 手札 2枚
レベル10 ATK4500
伏せカード 1枚
&
オベリスクフォースC LP 0 手札 2枚
「「チャンバライダー」は1度のバトルフェイズで、2回攻撃ができる!「チャンバライダー」で、「
「血迷ったか!先にそのドラゴンで攻撃すれば、俺に勝つことができたものを!」
「お前こそ忘れてんじゃねえ!「チャンバライダー」は攻撃時に攻撃力をアップさせる!だが、「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」の効果でそれを無効にし、破壊する!「ダイクロイック・ミラー」!さらに「チャンバライダー」が墓地に送られた時、除外された「
再び効果を発動する晶翼の竜。「チャンバライダー」は光の中で霧散し、その力を蓄え「クリアウィング」はさらに強くなる
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK7100
「な、なんだと……!?」
より高くなった攻撃力に表情筋を引き攣らせるオベリスクフォース。しかしよく見ると口元だけがまだ笑っている
…あの伏せカード、「リミッター解除」の可能性もある。普通ならありえないだろうがこいつらは今回「マジック・ジャマー」をデッキに投入してきているのだから、十分あり得る
「「閃光竜 スターダスト」の効果!ターンに1度、モンスターを対象に効果を発動!「クリアウィング」を対象!」
「風斗?」
唐突な僕の効果発動に疑問符を浮かべるユーゴ。ユーゴの疑問にしっかり答える
「あいつ、機械族の攻撃力を倍にするカードを伏せてるかもしれない」
「倍?!4500もあるのに、それをさらに倍!?」
「そうだ。だからもう1度「クリアウィング」の効果を使っておく必要があるかもしれない。分かったな」
「あぁ、分かった!「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」の効果!「スターダスト」の効果を無効にする!「ダイクロイック・ミラー」!」
3度放たれる光の奔流。「閃光竜 スターダスト」もそれに呑み込まれるが、最後に何か小さな光の球を「クリアウィング」に託す。悲哀溢れる声をあげ、「スターダスト」は溶けていなくなった…
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK9600
「こ、攻撃力っきゅ、9600…!?」
予想外の攻撃力に、完全に顔を青ざめさせる。だが走る力が衰えないところを見ると、戦意は萎えていない様子…どうやら伏せは「リミッター解除」とは別と考えていいな。…完全に知らないカードとかじゃなきゃいいが……
「最後のバトルだ!「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」で「
「ッ!攻撃と言ったな!?罠発動!「聖なるバリア–ミラーフォース–」!」
「な…!?」
最後に伏せられた、シンプルかつ強力な罠カード。それは「
「あ〜らら、まさかの「ミラフォ」かぁ〜」
「もう遅い!これでお前たちの攻撃表示モンスターは全て破壊!次の俺のターンで2人とも…」
「ま、そんなことにはならんがな」
「………なんだと……?」
教えてやる……「ミラフォ」は、仕事しねえのが仕事なんだよ!
「「スターダスト・ドラゴン」の効果!フィールド上のカードを破壊する効果が発動した時、このカードをリリースして効果発動!それを無効にし、破壊する!」
「何ィッ!?」
「「ヴィクティム・サンクチュアリ」!」
「スターダスト・ドラゴン」が、無数の粒子に形を変えてゆく。その優しく、そして何よりも強い思いが委ねられた粒子は張られたバリアを粉々に砕き、「
「そ…そんな、こんな……」
完全に戦う気が失せたのだろうか、オベリスクフォースは走るを止め、呆然と「クリアウィング」を見続ける。「
んじゃ、これでフィニッシュだ!
「いけ!「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」!」
Dホイールをドリフト走行させながら、ユーゴは手をかざす
天高く、舞い上がる。翡翠の水晶を煌々と輝かせ、その身に烈風を纏わせる
「「旋風の!」
…さらに、「クリアウィング」の身体が発光し、光の熱も発する。「スターダスト」の力が「クリアウィング」の攻撃をさらに強くする。旋風と、閃光…
「スターダスト…!」
急下降するその姿は……正しく「
「「スラッシャー」アアァァァーーーーーッ!!」」
「星屑」の力を得た竜の旋風は、悪魔の巨人のど真ん中を貫通し……「
「ウオオォォォォ?!こんなバカなアアァァァーーーーッ!!」
盛大な土煙を巻き上げ、自分のモンスターの下敷きになった
…けど、煙越しに見えた青い光が、敵の無事を証明していた
白星 風斗 LP800 手札 4枚
アルティマヤ・ツィオルキン
レベル0 DEF 0
スターダスト・ウォリアー
レベル10 ATK3000
伏せカード 3枚
&
ユーゴ LP3600 手札 4枚
クリアウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル7 ATK9600
レベル4 ATK2000
レベル3 ATK1200
VS
オベリスクフォースA LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースB LP 0 手札 2枚
&
オベリスクフォースC LP 0 手札 2枚
「…ったく、あいつらにも学習能力あったんだなぁ…それがこのデュエル1番の驚きだよ!」
「お前って変なこと気にするよな……」
「ほっとけ」
Dホイールから降りて埃などを払いながら今日の反省点を頭に浮かべてみ…ようとしたら、ヘルメットを外したユーゴが真剣な表情でこちらに話しかける
「じゃあ、話してもらうぜ。リンを攫った奴について」
……?…………あぁ、そう言えば…
「そんなことを言ってたっけ、僕」
「忘れてたのかよ!?」
「色々衝撃的なデュエルだったからな」
思い返せば、かなり凄いことがあった。デュエル終盤での、アクセルシンクロ……今までただのカードだと思っていたが、もしかして僕の持つ伝説とか神のカードは特別な力を宿しているのか?それともユーゴのDホイールだったから?…分からん
「理解不能…理解不能…つーか考えるの面倒くせえ……」
「オイ、早く教えてくれよ」
「あぁ、うん。えっと、とりあえずだな…」
掻い摘んで…というか、かなり簡単に…大雑把に説明する。小難しいのはユーゴも嫌いだろうし僕も面倒だし……だが、単純に言えば何かの理由でリンや瑠璃が攫われた、という点だけはしっかり教えておいた
「何だよ、その理由って?」
「僕にも分かんないんだよ。アカデミアの連中って揃って命令バカばかりだから…あいつら見ただろ?あーゆーやつらが関係ない人間までカードにしてんだよ」
「…ヒデェな……」
「そうだな…だから、将来的にアカデミアは潰す。まぁそれが、瑠璃やリンを救う手っ取り早い方法なんだが……」
「マジかよ!?じゃあとっとと行くぞ融合次元に!早くDホイールに乗れって!」
Dホイールに跨りながら、早く後ろに乗れと言わんばかりに…つーか乗れと言いながらも手を忙しなく動かして乗れ乗れと催促する。うるせぇ…
「無理だ。アカデミアの戦力は未知数、たった2人で殴り込みに行ったら返り討ちにあって躊躇なくカードにされるわ」
「うっ……」
少し冷静になってくれたのか、今すぐにでも走り出しそうどころか次元を超えそうな雰囲気は脱してくれた。Dホイールには跨ったままだが
「まぁ今は待て。とりあえずユーリを追いかけろ。そうすればそのうちリンにも会える」
「本当か?」
「絶対とは言えんけどな。けど、攫ったやつの方が当然リンの現状について詳しいだろ?」
「うーん……?」
急に、ユーゴのデッキから眩い光が溢れ出す。って、これまさか…!
「眩しッ!?」
「「クリアウィング」…!?」
目がァ!目がアァ!!ほとばしる閃光に視界を潰され、思わず目を押さえて頭を振る。急に光るなよ!目に悪いな「クリアウィング」は!
「…うぅ……あぁ、やっぱりか」
目をこすりながらも視力を回復させ、ユーゴがいた場所を見やる
先までそこにいたユーゴがDホイールごと消えていた。「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」のカードにのみ宿っているとされる次元移動能力。それによりまた次元間を移動したのだろう……
しかし今度はどこに行ったのか…スタンダード?シンクロ?……まさか融合次元とかは止めてくれよ、胃が痛くなる
レジスタンス基地に向かいながら思わず呟く
「……まぁ、仮に会ったら助けてやるか……」
決断は早いほうがいい。今夜、決行だ
深夜3時……オベリスクフォースの男は物音で目を覚ました。いや、物音ではなく、足音。ギィ…と、鉄の扉を軋ませながら夜の訪問者は部屋を訪れた
「…ドーモ…オベリスクフォース=サン……」
「白星…?なんだ?こんな時間に」
白星であった。それも、完全に外に出掛けるつもりなのかカバンも持ち込んでいる。…何故か、デュエルディスクは2つあるが
「…デュエルディスクを使ったデュエルがしたくて、こんな夜遅くに来たのか…?…流石の俺でもまだ眠いんだ……デュエルならまた」
「融合次元に戻りたいか?」
爆発。落としたのではなく、すでに爆破されていた。それも、超弩級の爆弾を
特大の爆音で一気に眠気が覚めた。ゆえに、彼は白星の真意を確かめようとした。確かめる必要が、あった
「なんだと…?」
「正確には、アカデミアに行きたくないか…といったところだ」
あまり変わらない行き先。正直に言えば彼の返答はイエスである。もう人をカード化など出来るわけがないが、プロフェッサー赤馬零王の真意は知る必要がある……知りたいのだ
しかし、ここの人たちを裏切る行為ではないのだろうか?ここから出て融合次元に戻る……それは、白星にも捕虜の男にも言えることである。裏切りは、決して許されない
だが白星は止まらない。迷いも何もかもを無視して語りかける
「だがタダで出すわけではない。ただ脱獄の手引きをしたのならば僕はただの裏切り者だ。そんなのはゴメンだし、そもそもそういうのが目的じゃない」
「何が……言いたいんだ…?」
デュエルディスクをオベリスクフォースに手渡す。少し表面の焦げた、あの時のデュエルのディスク
「交渉の時間だ」
「ユートさん!見つかりましたか!?」
「いや、こちらにも見当たらなかった」
「あいつ…一体どこに逃げた?」
今レジスタンスはちょっとした騒ぎが起こっていた
捕虜として捕らえていたオベリスクフォースの男……その男が、鍵の掛かったコンクリートの部屋から突如姿を消した。部屋のベッドの上には1枚の小さな書き置き
『ごめんなさい。だけど、俺はプロフェッサーの口から聞きたい。融合次元が本当に間違っているのかを
…敵である俺を、優しくしてくれてありがとう。恩をあだで返して、本当にごめん』
要領の得ない…しかし固い決意を感じさせる一文。この手紙の通りならば、融合次元に移動するためにアカデミアのディスクがある研究施設に向かう必要がある。しかし誰も基地の外に出てないと見張りのものが言う以上、まだこの中にいるはずなのだが……
「ユートさん!黒咲さん!半田さん!」
「ッ!…暗斎か……」
「どうしたんですか?そんなに慌てて?」
呼吸を乱しながら走ってきたのは暗斎。手には一部シワのできた紙が握られている
「こっこれ……朝、起きたら…師匠が……!」
差し出される白い長方形の紙。紙の内容を読もうとしながらも、なんだが見覚えのある紙である。そうユートは思った。そう、つい最近…それも今朝見たような……
「ッ!!」
「…これは……!」
「えぇっ?!」
三者三様。しかし共通する感情により起こった反応なのだ。驚愕…このひと言に尽きた
同時にユートは理解した。この用紙は、朝のオベリスクフォースの男が書いた手紙と同じ紙だ……いや、正確にはオベリスクフォースの方が同じだった、といったところであろう
「あいつ……」
「な、なんて無茶なことを!」
「隼、光磁。今はこの混乱を止める方が先だ。暗斎、君も手伝ってくれ」
「あ、ハイ!」
「隼と光磁は向こう側を頼む。暗斎、俺についてきてくれ」
「わ、分かりました!」
二手に分かれて騒動を解決すべく動き出す。全ての原因は、暗斎の手に握られた手紙……
『レジスタンスのみんなへ
とりあえずこれはみんなに対しての手紙だ、要点だけを伝える
僕は瑠璃を助けに融合次元に向かう。捕虜のオベリスクフォースがいないのも僕が案内のために連れて行ったからだ
無事救出できたら当分別の次元で瑠璃を匿うことにする。行き先はユートに聞いてくれ、あいつならその次元に行く目的と理由にも心当たりがある
最後に、誰にも相談せずに自分勝手な行動をしてゴメン。だけど瑠璃は必ず…今度こそ助ける。そして必ず戻ってくる
だからそれまで、前線を頼む
白星 風斗より』
前回のデュエル含めてなんですが、感想欄で「タッグデュエルはどういうルールなのか?」と言われたので答えますね今ここで
俗に言う「バトルロイヤルルール」で勝手にチームを作っている感じです。手札も墓地もフィールドも全て自分の身で、自分を対象のカードは自分にしか打てません。けど、対象が相手などの場合はタッグパートナー…正確には味方と判断した相手に打ってサポートする、なんてことは出来ますよ。遊戯王アニメのバトルロイヤルのオベリスクフォース戦を想像していただければ分かりやすいと思います
それと今回の「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」と「赤目のダイス」はアニメ効果です。「クリアウィング」は効果が何度も使えて、「赤目のダイス」は召喚時にのみ効果が使えます
融合次元に向かった主人公たち2人。果たして瑠璃を救出することはできるのか!?そして予期せぬ裏切りが…!?
「可笑しくって腹痛いわぁ〜」
次回 面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC−V物語
第12話「裏切りの序曲」
デュエル、スタンバイ!
(かなり嘘です)