面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語 作:ジャギィ
それでは、日常な第16話ドーゾ!
※漫才次元のテーマとテンポでドーゾ
「ようやくスタンダード次元についたか…」
「これまで大変だったわね、風斗」
「まったくだ。来る日も来る日もアカデミアを撃退して、黒咲と格闘戦して…本当に辛い3ヶ月だった……」
「で…でも、この平和な次元ならそんなことする必要なんてないじゃない!」
「あぁ、そうだな……おっと!悪い瑠璃、また後で!」
「え?どこに行くの?」
「黒咲に負けないよう毎日走り込んでんだよ!それじゃ!」
「兄さんと戦ってるうちに習慣として染み付いてしまったのね…ごめんなさい、風斗……」
望んだ日常
若干固めだが、柔らかさのある何かが後頭部を圧迫する。目を開けると、ぼやけた視界の先には黒い影がかかった知らない天井
「うぅんぅ………ふぁぁあ〜〜……ん?」
どこだここ?
目を覚ますとどこかの控え室のようなところのソファの上で黒コートをかぶって寝ていた。どうやら先ほどの柔らかい感触はソファの肘掛けの感触だったらしく、パーカーの前を開け放した状態で着ていたからか着崩れていた。普通にソファに座りなおしながら靴を履き服装を整えてると、対面側のソファにも人……つーか砕羽が寝ていた
「……どういう状況?」
『遊勝塾で一晩泊まった状況』
「ッ?!」
独り言を呟いたはずなのにハッキリと聞こえてきた返答に、思いっきりビクついてしまった。一通り周りを見渡すが、人影はおろか気配すら寝息を立てている砕羽1人分しかない…つーか、この声……
「黒星?」
『言っただろ?フォローはするって。
黒星の声と分かって気づいた。この声、耳で聞いているように聞こえるが、頭の中を反芻するみたいな響きを感じる。つまり黒星は「こいつ…直接脳内に…!」をリアルでやってるってことか…
そして思い出した。確か…スタンダード次元に跳んで夜遅くに瑠璃を迎えに遊勝塾に来たのだが、修造さんが泊まるように……あれ?僕から頼んだんだっけ…?……まぁ忘れたが、とりあえず一晩だけ遊勝塾に泊まることになったんだった。その際に寝るところがないからソファを借りた……と言ったところか?流れとしては
「そうか…遊勝塾に借りを作っちまったなぁ…」
でもよく考えればそれは瑠璃を預かってもらった時点でそうだし、特に変化はないか。う〜ん、礼はどうしよっかな〜……
明かりが扉から漏れる光のみの部屋でそんなことを考えていると、耳と脳内に黒星の質問が流れてきた
『白星、これからどうするつもりなんだ?』
「え?……どうするって、赤馬零児と話をしに行く、くらいだな。やる事それしかねえし」
スタンダード次元に来た目的は、赤馬零児らLDSとレジスタンスでの対アカデミアの同盟を一時結ぶためである。アカデミアの危険性や行動は
あとは赤馬が秘密裏に計画している
ちなみに同盟が一時的なのは、そういうのの判断は
『だから、どうやって話をしに行く…って聞いてんだよ』
「どうやってって、そりゃあ普通に……」
普通に…と、そこまで考えてふと思った。交渉しに行く相手は曲がりなりにもこの次元で超絶有名な企業の社長さん
一方、僕はこの次元の戸籍もなく出自も不明な
それだけ地位とかに差があるのに話をしに会いに行く……どうやって?堂々と会社に乗り込んでもアポ取ってないとか会えない可能性あり。外を出た時の隙をついてもボディガードとかに妨害されることもあり得る…つーかそもそも外に出る保障がない。そして話す内容が一般の方々には間違いなく頭イカれてると思われる他次元の話……
ダメすぎんじゃねーかコレ
「障害要素が多過ぎる…!」
『今更気づいたか』
「やかましい!」
何もない虚空に向かって怒りのツッコミを叫ぶ僕。おかげで多少スッとしたものの、気づいた事実はどうしようもなく問題だらけだった
まず赤馬零児との接触、これは現状ほぼ不可能と言っていい。さっきの会う過程で妨害をくらうこともそうだが、よく考えれば僕や砕羽(瑠璃はセレナの件もあって信じてくれるだろう)が他次元出身者だと証明できる手立てが、自分たちで用意したものしかないから向こうのこちらに対する信憑性が薄いものだという事……それだけじゃ、赤馬零児を交渉のテーブルに引きずり込む事はできない
交渉に持ち込めたとしても問題はある。アカデミアのディスクは証拠品としては流石に大丈夫だろうが、それはアカデミアの危険性を再度示しただけで、社長にディスクだけ押収される可能性もある。それでは交渉もクソもない
それに、向こうも僕たちの話を鵜呑みにするほどバカじゃない…絶対に
「……とりあえずそれは後で考えるよ…今考えても良い案思いつかないし、混乱してるし、何より面倒くせぇ……」
『結局そこに行き着くんだな』
言うな、自分で分かってんだから
「………白星……?」
結構重要な問題の後回しを決めていたら、聞こえたのは僕の名前を呼ぶ寝ぼけた声
どうやら砕羽が起きたようである。指で目を擦りながら
「よぅ砕羽、おは…ファアァァア〜〜……ンン、おはよう」
「クゥ…おはよう……今、何時だ…?」
砕羽のそんな質問に、僕も何時くらいなのか気になったのでカバンからスマフォを取り出して電源をオン。……ゲッ
「10時半回ってやがる」
「……ハァ?!もうそんな時間なのか!?」
しまった、いつもなら既に飯食って軽くハートランドを数周してたのだがなぁ……アカデミア襲撃の日にもやってないし、体力落ちなければ良いけど…。休みの日は必ず昼まで寝てた頃と比べるとかなり生活習慣改善されてるよなぁ…
「よっと…まぁ何を焦ってんのかは知らんが、お前はアカデミアに所属してないんだから規則正しい生活とかしなくて良いんだぞ。僕なんて前まで昼まで寝てるとかザラなんだから」
「いや、それは直したほうが良いだろ…いくらなんでも不健康すぎると思うんだが……」
「前までだからね?今は普通に朝起きれるからね……ん?」
とにかく修造さんたちに会いに行こうと思って、立ち上がりながらスマフォを弄ってると妙な変化が起きていた。というのも、見覚えのないアプリが「計算王」(前世の遊戯王をやるにおいての必須アプリ。互いのライフの細かい計算はもちろん、コイントスにサイコロなどの機能もついてある遊戯王万能アプリ)の横に追加されていた。題名は「更新王」……「計算王」の名前を踏襲してるような気がすんのは気のせいか…?
『…なんだコレ?』
「分からん。……とりあえず起動してみるか…ポティッとな」
軽いノリでアプリを起動させる…すると、2つの項目欄のようなものが浮かび上がってきた。それぞれ「リミットレギュレーション」「新規カード」と電子文字で書かれている。「リミットレギュレーション」…禁止制限か?「新規カード」は文字通り新しいカードの事だろうが……
「…これって、もしかして……」
試しに「新規カード」をタッチして、ズラッと並んだカードの一覧からカード1枚を適当に選ぶ。カード名は「スケープ・ゴースト」、カードの絵柄と名前を頭に思い浮かべてバックの中に手を突っ込み……取り出したカードは、先ほど思い浮かべたモンスターカード
脳内の仮説が正解だと証明する1枚だった
「やっぱり……」
『…このアプリは、前世の世界のカード情報と連動しているのか?』
「多分ね…信じられないしあり得ないけど」
「白星?何を1人でブツブツ言ってるんだ?」
他にもピックアップして出してみるが、「
だが正直言って、これは嬉しい誤算であった。この先現れるだろう鬼畜だのチートだののカードはOCGのパワーカードを大きく上回るかもしれない…いや、上回ると考えたほうが良い。だってここ、アニメの遊戯王世界だもの。そういう意味では、新しい武器を手に入れたと言っても過言ではない
…それに、デッキ作りが実に捗りそうだ。特に「メタルフォーゼ」とかのカテゴリ…そそる、非常にそそる…フフフフ……
『それじゃあ、次は禁止制限の確認だな』
「そうだな。それじゃあもう1回…ポティッとな」
さ〜て、どの辺が規制されたのかな〜……まぁ仕事しないことに定評のあるコンマイのことだ。今回も特に変わった改定は……
フムフム、「モンキーボード」と「ラヴァルバル・チェイン」と「ライフチェンジャー」が禁止、制限は「ドクロバット」と「ペンデュラム・コール」と「汎神の帝王」と「真帝王領域」と「名推理」と「モンスターゲート」……
『…………ゑ?』
もう1人の僕の間抜けな声が頭に反響する。だがその気持ちは僕も同じ、まるで意味が分からんのでもう1度羅列されてるカードを読み返してみる
禁止が「ラヴァルバル・チェイン」、制限が「ドクロバット・ジョーカー」「ペンデュラム・コール」「汎神の帝王」「真帝王領域」「名推理」「モンスターゲート」……「ダンテ」に「竜呼相打つ」に…で、「デスガイド」まで……
これらの制限によって確実に弱くなるデッキは、魔術師オッドアイズに帝王にインフェルノイドに満足に…準彼岸に、EM竜剣士にと…主力デッキのほとんど……。そ、それと…「チェイン」の禁止で、大半のデッキが使えなく……!
…冷静な部分の塊だからこそ、黒星とは意見が違えることもこの先度々あるだろう…だが、後にも先にも今ほど黒星と考えが一致することはないと思う……
即ち、「デッキやべえ」という感情に関してだけは
「『ゴフッ』」
禁止制限のあまりのショックに、直立不動の姿勢で僕は勢いよくぶっ倒れた。砕羽の驚きの声も床と激突した痛みも、強過ぎる衝撃の前ではどうでもよく感じる。呪いの鎧を装備した時のBGMが聞こえたような気がした
ふうとは あらたなカードを てにいれた!
ふうとは きんしせいげんの のろいをうけた!
ふうとは めのまえが まっしろになった
「見苦しいところをお見せして、どうもすみませんでした…」
「いやいや、俺は気にしてないから大丈夫だよ」
あの後、倒れて数分後に騒ぎを聞きつけたのか修造さんと瑠璃が部屋に入ってきて、嫌でも冷静にならざるをえなかったので無理矢理クールダウン…瑠璃に少し怒られてしまった。年下の女の子に説教されるとか情けなさ過ぎるだろ僕……
そして注意を言い終わったあと、応接室でテーブルを挟んでソファに腰を掛けながら、遊勝塾塾長である柊修造と対面していた。ちなみに瑠璃は左、砕羽は右にとそれぞれソファに座っていた
まず僕は座りながらも、3人の中で1番の年長者として頭を下げて礼を述べる。当然、瑠璃のことである…あと一晩泊めてくれたこと
「まず、ほんの少しの間とはいえ瑠璃を預かっていてくれて、本当にありがとうございます。それと、一晩泊めてくれたことも感謝します」
「いや、礼には及ばないよ。ウチの娘…柚子も、瑠璃ちゃんと一緒に話が出来て楽しかったと言っていたからね。家に泊めた話も俺から言い出したことだから、あまり気にしなくてもいいよ」
「ありがとうございます」
そうか、今回の宿泊は向こうから切り出したことだったのか。これはあまり気兼ねしなくて良かったのかな…?…良かったな!
「それで、修造さん…でよろしいですか?ダメなら名字で呼びますが……」
他の…僕という人間を知っている人からすれば、確実に僕の喋り方と態度に違和感を覚えるはず。こんな低姿勢で敬語を使う人が、白星風斗なのか?…と
甘いな。現実世界で不景気の荒波に半年も揉まれれば、低姿勢と敬語など自然と身につくもの!何より学校社会でのヒエラルキーの底辺であった僕は、その時点で既に相手の機嫌を損ねない話し方というのは身につけているのさ!…言ってたら涙が出てきそうだ……
「いや、名前のままで良いよ。俺も風斗くんと呼ばせてもらうが、良いかい?」
「僕は構いませんよ。…それで、話したいのはお礼の件です」
しかし、やっぱり敬語は疲れる……それに、自分の言語能力の低さゆえに正しい敬語を使えてるのか不安で不安で仕方ないんだよね…
「…それってもしかして、「ブラック・マジシャン」のことかい……?」
「ぶ、「ブラック・マジシャン」?!あの伝説の?!」
上がったカード名に砕羽が驚きの声を上げるがこの際無視。真剣な表情で修造さんは、僕が手紙と一緒に渡させたカード…「ブラック・マジシャン」と他の2枚、「ブラック・マジシャン・ガール」と「カオス・ソルジャー–開闢の使者–」をテーブルに並べて揃えた。この世界では伝説とまで言われるレアカードの羅列に、より顔を驚愕に染める砕羽
「手紙にも書いた通り、そのカードは使うなり売るなり好きに使ってください。もうそのカードは、遊勝塾のものです」
遊勝塾は榊遊勝が注目を集めていたデュエルの日に消息不明になったことがきっかけで、臆病者等のバッシングを受けている。そうなれば入塾者はおろか、遊勝塾に残る人間すらいなくなり塾はまともに成り立たない
塾だって立派な経営の1つ…金が底を尽き塾が続けられなくなれば、遊勝塾は潰さざるをえない。誠に残念なことだが、こういうことに関しては金ほど頼りになるものはない…と、僕は考えている。信用は時間をかければ取り戻せるが、塾の維持に金は必要不可欠
だからこその、この世界を支える根源ともいえる1つ……カードを使う。今回は、金策の解決のために
それに、遊勝塾はARC–Vの主人公である遊矢の拠り所の1つ……ここが潰れてペンデュラム召喚が生まれなければ、ランサーズ結成のきっかけがなくなってしまう。それに、仮に僕がペンデュラムを広めたとしても、僕には榊遊矢たちのような特別性はない。遊矢シリーズのような存在もなく、特別な力を宿したカードもない……先のストーリーが分からない以上、僕はストーリーの補完に徹するしかないのだ
「けど…良いのかい?これは、君の大切なカードのはずだ。それをお礼と称して他人に渡して……」
「……構いませんよ。特に思い入れのないカードだし、今は使っていませんから…」
嘘は言ってない。「ブラック・マジシャン」に個人的な思い入れはないし、今後も特に使う理由…は、さっきの新規カードで何か増えてたからもしかしたら使うかもしれない。だが、僕が目を逸らしながらそう答えたわけは他にある
実は僕、生まれてこのかた遊戯王のカードを売ったことは1度もない。信じられないかもしれんがマジだ。売らなかった理由は…ぶっちゃけてしまえば、前の世界ではたくさん売っても特に金にならないって理由であった。それならまだ持っている方がマシだと思って残していたのだ
…けど、もっと言えば売る気になれなかった…というのもある。なんやかんや言っても10年近く続けてきた遊戯王、売るよりも自分で持ってた方がずっと価値があると信じて持ち続けきたのだ。…当然、ずっとカードを持ち続けるなんてのは実際不可能で、知り合いとカードを交換したり親しい子供にあげたりなんてのもしたが、売った経験は一切ない
だから、きっと罪悪感みたいなのだろう…僕が目を逸らしたのは。カードに対して感情移入するなどバカバカしい話だが、心にヌメリとした気色悪い感覚がへばりついて離れない。…だが、時の経過がきっとこの気持ちを忘れさせてくれるだろうし、やっぱりカードは渡そう。僕1人の我慢で塾1つが救われるなら、安いものだ。何より、そうした方が良いと心から思うから
「……何故、僕に渡すのですか…?」
だというのに、修造さんは無言で3枚のカードをこちらにズイッと寄せてきた。彼の顔に後悔などの感情が一切見当たらない
「風斗くん。君がどういう気持ちでこのカードを渡してきたのかは分からないが、君はカードを大事にしている人だ。…そうじゃなければ、そんなに辛そうな顔はできないよ」
「辛そう……?」
嘘でしょ?確かにこの決断は結構心にくるものがあったが、かわりに必死に無表情を貫いていた。なのにそれを見抜いてくるとは……大人って本当的確に指摘してくるな…あ、一応僕も大人の一員…か?
「君が大切に使ってあげなさい。その方が、きっと君のためにもカードのためにもなる」
「……良いんですか?」
僕が確認の言葉を投げ掛けても、修造さんは真っ直ぐな瞳で強く頷くだけ。これを断るのは、物凄く無粋だと感じた
「………分かりました。また、別の形で礼をさせていただきます」
カードを受け取り、また頭を下げて礼を述べる。子持ちの大人なだけあって、とても優しく…心が強い人だと思った。こういう人には不思議と信じて良いような何かを感じさせる……これが、強い大人という奴の1人なんだろうな。僕と修造さんで人としての器を調べるなんて、それこそ無謀というものだ。確実に負ける自信がある
「行くぞ、瑠璃、砕羽。ずっとここの世話になるわけにはいかないからな」
まぁ、やるべきことは終わった。あとは静かにここを去るだけ……コート片手に塾を出るべく立ち上がる。…まぁストーリーの起点なだけに、ここにはちょくちょく訪れるとは思うけ……
「ところで風斗、寝床はどうするの?」
「………ア゛ッ」
空気が、凍る。いや違う、凍ってるのは僕の身体だけだ。身体中に血が行き渡ってるのにも関わらず、あらゆる神経に電子信号を送れずにいる。唯一動いている脳をフル回転させて、僕たちの現状を考える
戸籍がなくて出身地も瑠璃がエクシーズ次元、砕羽が融合次元、僕がOCG次元?という、一般人からすれば訳が分からないよ…といったもの。アパートやホテルなんて借りたら絶対どこかで警察に引っかかる。資金はまだどうにかなるが、今がストーリーからどれくらい前なのか分からない以上、すぐ底が尽きると考えた方が良い……
って、これメチャクチャヤベェじゃねえか!戸籍がない以上働いて金を稼ぐことなんてできないし、カードの売却だって個人情報は当然必要になるだろうし前世の経験的に!そもそも売る気あんまないけど!カード売る気ないけどね!
チ、チクショウ…………ッ!そうだ!こういう時こそ自分の分身と相談すべきだ!なんだかんだで理性的…というか理性な黒星なら、この状況を打開できる方法が何かあるはず……
『しまった…!赤馬零児のことで、すっかりそのこと失念してた…!』
根本的なところは何も変わらないもう1人の僕に軽く絶望した。未知の
「どうしよ……」
「風斗?身体が凄く震えてるけど、大丈夫なの?」
「いや、どう考えても異常なくらい震えてるだろ?!なんでそんな冷静なんだよ!?」
瑠璃の優しげに心配する声と砕羽の激しいツッコミが、二重奏になって鼓膜を細かく振動させる。どうやら現実の厳しさのあまり、心の震えが外にまで漏れてしまったようである。少し落ち着いたのを利用して、深呼吸を数回繰り返したあと頭の中で再び現状を考える……うん、だいぶ冷静になった
けど、うん……本当にどうしよう……。金はあるしな、節約しながら野宿……僕たちの精神衛生上よろしくないし普通に汚いのは無理だし、何より瑠璃に何かあったら黒咲に革命の火で焼き尽くされることは想像に難くない…これ以上、何も思い浮かばねえ……
「……すみません、修造さん。よろしいでしょうか?」
「あ、あぁ…なんだい?」
少し顔を引きつらせながらも会話に応じてくれる
だが、感傷に浸っている暇はない。修造さんの気が変わらないうちにやらねば…!
足を折りたたみ、地につける。背筋もピンと伸ばした姿は、日本人のみが習得していると言っても良い見事な正座。そして僕は…流麗に、滑らかに、ふつくしいまでに腰を曲げ……
「どうか!住み込みで働かせてくださいッ!!」
…整えた掌とデコを地面にこすりつけ、人生で何度目かも覚えてない土下座をかました
遊勝塾に居させてもらう許可は、貰うことに成功した。驚きである。それどころか働かせてもらうことになった仕事内容が、機材を運んだりデュエルを塾生たちに教えてやってくれ…という内容だった
ハッキリ言って、本当にそれだけで良いのか!?…と問いただしたくらいである。いやだって考えてみなよ?いきなり見ず知らずな3人を居候させてくれるだけに飽き足らず、食事まで3食出してくれんだよ!?オマケに仕事内容が緩すぎて……これじゃニート同然だろうが。流石に家賃は渡すことになってはいるが、その金額も月3万円……絶対に5万円は渡そうと思った。神様なんて信じてないが、そうじゃないとバチが当たりそうだったから。あと働くのは当然だが僕だけ、瑠璃と砕羽の2人は手伝いくらいである
とにかくそういう契約の元、遊勝塾で住み込みで働くことになった。瑠璃たちの所属も遊勝塾。学校から帰ってきたみんなに軽く自己紹介をして…で、なんか修造さんが思い出したかのように溜息を吐いたので、話を聞いてみたのだが……
「うぅ…僕の10万円……」
『いや、必要経費だろオイ…それくらい割り切れ』
黒星テメェ、なんで一応は自分のことなのにそんな他人事なんだよ
財布の中身の1/4が消し飛んだことに嘆きながらも、必死にそれを抑えるべく自身にエールを送る。頑張れ僕!金は命より重くとも負けるな!…いや、やっぱ10万はイテェ…あと30万くらいかぁ。慣れない善意なんてするんじゃなかった……
でも
「すまんな、白星殿。まさか
浮き沈み系主人公に対し呪いを吐きまくってると不意に、ごつめで特徴的な声が僕に向かってかけられる。そちらを向くと、白学ランで太い…俗に言うガタイの良い漢がいた。男ではない、漢である。その言葉の方が彼…権現坂昇に相応しいと言えるだろう。ちなみに所属はこの遊勝塾ではなく権現坂道場というところである。キャッチフレーズは「不動のデュエル」
赤いハチマキを頭部につけている権現坂はそんなことを言ったのだが……
「別に気にすることはないよ。
精神的にくるものがあるんだよ。ただでさえここまでしてもらってんのに、そんな状況下でさらに厚意に甘えられるほど腐った性格はしてないと自負はしてるし、何より良心が本当にキツい
…でも、結局いつか金は尽きてしまうから、どこかで解決しないとなぁ……猶予ができたと考えれば良いけど
「…うむ、白星殿には本当に感謝しておる。おかげでまたアクションデュエルができるようになったのだからな。遊矢たちもとても喜んでおった」
「そうかい、そいつは良かった……ん?」
権現坂と話していると、オベリスクフォースの軍服を着崩した砕羽がこちらにデッキ片手で近づいてくる。何事?遊矢たちにアクションデュエル教えてもらってたんじゃないの?
「白星、少し良いか?」
「何?デッキ調整か何か?別に僕は良いけど……」
「いや、そうじゃないんだ。聞いてくれ…」
なんだか、とても剣呑…というか覚悟を決めたかのような顔つきで僕にデッキを突きつけてくる。思わずそれを受け取って、中身を確認する……「
「そのデッキを、お前に受け取って欲しいんだ」
「何…?」
「何だと!?」
僕が疑問、権現坂が驚愕の声をそれぞれ上げる。デッキを受け取って欲しい、だと?唐突に何を言ってんだこいつは?これ、お前の唯一のデッキだろ。デュエルはどうする気なんだ?
訝しむ僕に察したかのように、真剣な面持ちで砕羽は語り始める
「俺は、ずっとあそこでそのデッキと共に戦い続けてきた……だけど、俺はもう決別したんだ。俺が俺であるために生きていくと、決めたんだ…そのデッキを持っていたら、また引きずってしまうかもしれない。だから、これは俺のケジメなんだ」
沈痛な表情でそう話す砕羽の目は、本気なのだと如実に物語っていた。こいつは、共に戦ったデッキを封印することで…アカデミアと違うことを、完全に証明する気なんだ
だが、そんな事情など知らない権現坂からすれば信じられない行動に移ったのだろう。その大きな手で握りこぶしを作り、砕羽に怒鳴りつける
「竜太郎!今の口ぶりからすれば、そのデッキはずっとお前の傍に居続けたデッキのはずだ!それを簡単に人に渡そうなど、けしからんぞ!」
「簡単にじゃない!俺だって迷ったんだよ、このままで良いのかって…このデッキを手放して良いのかって……。けど、このままじゃ俺はずっと過去に縛られてしまう!そんなのはダメだ!ようやく俺が…自分で決めたことなんだから……!」
権現坂の一喝と、砕羽の覚悟のぶつかり合いが目の前で繰り広げられる。アカデミアと決別して一晩して経っていないが、スタンダード次元のデュエルでも見て、何か思うところでもあったのだろうか……何か砕羽の言葉には、必死さというより焦っているように聞こえた。だけど、こいつの覚悟も本物なわけで……
「……お前、本当にそれで良いんだな?」
「白星殿?」
「デッキを渡したら、2度と返ってこないと考えろ。……その上で、本気で僕に渡すつもりなんだな……?」
強くその目に睨めつける。物にせよ人にせよ、捨てるというのは…1度捨てるということは、2度と同じ形で戻ってこないということだ。そもそも簡単には取り戻せないし、本当に僅かな確率で返ってきたのだとしても、自分の望む形だとは限らない。むしろ変わったそれを見て、後悔という波が寄せ返ってくるかもしれない
それでも、お前は渡せるのかーーー……?
「……ああ、俺は…今を生きるために、過去を捨てる…!」
砕羽は、怯まない。デッキを僕に握らせる手の力は強く、例え後悔してでも
「捨てるな、しっかり覚えとけ」
「……え…?」
「生きるためには過去が必要な奴だっているんだ。今のお前は捨てるっていうことがそれなんだろうが……」
過去には戻れない。だけど、生きるための糧にすることはできる。もう会うことは出来ないから、僕はみっともなく過去にしがみついたりもするが…それでも間違いなく、今のために
人は思ってるほど強くない……だから逃げ道は必要だ。砕羽がいざという時、生きるために使う逃げ道……
デッキカードの端を整えて、ケースにしまいカバンに入れる
「デッキは
「…ッ!分かった……ありがとう……」
だが、これで少しは吹っ切れたのか、憑き物でも落ちたかのような爽やかな笑みを浮かべた
「すまない、竜太郎。どうやら俺はお前の覚悟というものを侮っていたようだ」
「…いや、俺も悪かった。変に突っかかってしまって……」
先ほどの口喧嘩が嘘のように、2人は穏やかに話し合っていた。権現坂も元々、自分が大切にしているものを手放すな!…って意味で怒っていただけだからな…まぁ仲良くなったなら、別にその辺はどうでもいいか
「しかし、デッキを渡したとなれば、お前はどうやってデュエルするつもりなのだ?」
「……そうだな。どこかでカードが手に入れば作れると思うが……」
「じゃあ、これ使うか?」
デッキケースを取り出し、砕羽に手渡しする。ケースを開けてカードを見ると、口には出さずとも驚いたあと、非常に渋い表情をこちらに向けた。あーー……
「えっと……その、お前の言いたいことも分かるが、1番それが相性いいと思ったんだよ。融合のデッキだし、ゴリ押しのパワーデッキだから……っていうのは余計か?」
「何?融合だと?」
そう言いながら権現坂が覗き見たカードは、外のフレームが紫色で絵柄が6つの首を持つ機械竜…「キメラテック・オーバー・ドラゴン」。砕羽からすれば殺されかけたカードというか、色々と因縁のあるカードだった
「これは!もしや融合モンスターか!?LDSがシンクロ・エクシーズと共に1年ほど前に広め始めたという!」
権現坂は感心した様子で融合モンスターとまじまじと見るが、今の僕にとっては別の思考で頭が敷き詰められていた
LDSが広めた?1年ほど前に……って、そうだ!何も原作開始の時間は、話題に出し辛い遊勝失踪以外でも割り出せる!それが融合・シンクロ・エクシーズといったエクストラカードが広まった時期!そしてそれは赤馬零児が融合次元の野望を知って、スタンダードに強制転移された直後の話……確かその時期も遊勝失踪と同じ3年前だったはず。権現坂の言動通りなら、今は原作から1年ほど前といったところか?
『だが、細かい時期を割り出さないとズレが生じるぞ』
分かってる。そもそも原作開始だけを知るなら情報を洗いざらい調べ続けて、遊矢とストロング石なんとかの対戦の日を待てばいい
だけどそれじゃあダメだ。時間を知るのは、
……けど、結局はどうすれば赤馬社長と接触できるかなんだよなぁ…何かうまい手がないものかなぁ……
「…ッ!これは、エクシーズモンスター…?同じカテゴリで、融合とエクシーズが……」
「サイバー・ドラゴン・ノヴァ」。サイバー・ドラゴンデッキの新しいきっかけとなったエクシーズモンスター…どうやら、同カテゴリで融合とエクシーズが共存してることに驚いているらしいが……
「別におかしなことじゃないだろ」
「白星……」
「遊戯王…デュエルモンスターズは、次々と新しく変わっていく。元々は融合のデッキにエクシーズが加わったって、なんら不思議じゃないんだよ」
「新しく変わっていく、か……」
「で、そのデッキどうすんの?嫌なら別のデッキを検討してみるけど……」
「……俺、このデッキを使ってみる。融合とエクシーズを共に使うことが、新しい俺の証明になるかもしれないから……ありがとう」
「そうか…どういたしまして」
さて…と、そろそろ始めないとな。砕羽や権現坂がいるのもお構いなしに、カバンからデッキケースと無数のカード(ペンデュラム抜き)を取り出して、デッキを新しい禁止制限に合わせていく
取り敢えずまだ未来のあるインフェルノイドからかな……今まで「ティエラ」1枚と「虚夢」2枚にしてたけど、「名推理」と「モンゲ」が制限になった以上「ティエラ」2枚と「虚夢」3枚の方がいいなぁ…あとは防御用の「シャドーベイル」ももう1枚入れて、「シャイターン」とか加えよっかな…いや、ここはそれぞれ2積みの「ベルフェゴル」と「ルキフグス」を3積みにして……よし。これで40枚
あとはエクストラか…融合は「旧神ヌトス」3枚「インフェルノイド・ティエラ」2枚、シンクロが「アルティマヤ・ツィオルキン」「
ちなみに「ティエラ」の代わりに抜いたのは「ダーク・リベリオン」。他のカードせいで出番がほとんどなかったからいい機会だと思って抜いといた。「ダーク・リベリオン」はもっと別のデッキに使おう、うん
「前から思ってたが、凄い量のカードだな……」
「そう思う?正直僕もビックリしてる」
「なんで持ち主のお前も驚いてるんだよ」
「そりゃ驚くだろ……それより相手してくんね?お前もデッキ慣らしたいだろ?何時ものでいいから」
「別に構わないが……」
「いつもの?一体何を始める気なんだ?」
あ、そういや権ちゃん居たっけ?砕羽と話し込んでるのもあってすっかり忘れてた
しかし、何をやるか…?デッキ調整のあとにやることと言ったら、決まっている
「デュエルだ」
手軽なテーブルデュエルを、だけどね。スマフォの計算王を起動させ、2人のライフを初期の8000から半分に減らす。そしてエクストラを置き、デッキをシャッフル……お互いのデッキをカットした後、定位置にデッキを置きジャンケン。そしていつもの如く負ける僕。いつも僕って、ジャンケン負けんだよなぁ…なんでだろ?
「「デュエル」」
白星 風斗 LP4000 手札 5枚
VS
砕羽 竜太郎 LP4000 手札 5枚
「俺の先行。………」
手札のカードを凝視しながら、おそらくカードテキストを読んでいるのであろう砕羽。サイバーデッキは「サイバー・ドラゴン」の効果もあって、後攻で動くイメージがあるからなぁ。さてさて、どう動いてくるのやら……
僕?「名推理」も「モンスターゲート」も「煉獄の虚夢」どころか「左腕の代償」すらないけど?…これでもデッキの1/5は今並べたカードが入ってるのだから、1枚くらい初手にきても良いはずなんだけどなぁ……
「……俺は、「サイバー・ドラゴン・コア」を召喚。このカードの召喚に成功した時、デッキから「サイバー」または「サイバネティック」と名のついた魔法・罠カードを手札に加える」
サイバー・ドラゴン・コア
レベル2 ATK400
「「サイバネティック・フュージョン・サポート」を手札に加えて、カードを1枚セット。俺はこれでターンエンド」
白星 風斗 LP4000 手札 5枚
VS
砕羽 竜太郎 LP4000 手札 4枚
サイバー・ドラゴン・コア
レベル2 ATK400
伏せカード 1枚
「コア」を初手に引いてやがったか。「フュージョン・サポート」を手札に加えたところも見ると、「パワー・ボンド」を持ってる可能性も十分あり得る…「オネスト」も怖いしなあのデッキ…次のターンで勝負を決めにくるか?
「僕のターン、ドロー。おっ!」
それほど良さげではないものの、少しは回せるカードを引いた。後は落ち次第かな…
「永続罠「サイバー・ネットワーク」を発動!効果でデッキの「サイバー・ドラゴン・ドライ」を除外する!」
「ドライ」?召喚時に自分の「サイバー・ドラゴン」全部レベル5にするモンスターだったよな?あとなんか効果あったっけ……
「「ドライ」が除外された場合に、俺のフィールドの「サイバー・ドラゴン」1体を対象に発動!「サイバー・ドラゴン・コア」はフィールド・墓地にいる限り、カード名を「サイバー・ドラゴン」として扱う。対象のモンスターはこのターン、戦闘と効果では破壊されない!」
「……あ、そういやそんな効果があったな」
「何故自分が渡したデッキのカードを把握しとらんのだ…」
権現坂の鋭い指摘。権ちゃん、言いたいことはよーく分かるけど仕方ないんだよコレは。OCGの環境じゃ、もっぱら
まぁ、これでこのターン中にワンキルできる可能性が減ったな……まだどうにでもするけど
「手札の「インフェルノイド・アドラメレク」をコストに「ワン・フォー・ワン」を発動。デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚できる。「インフェルノイド・デカトロン」を特殊召喚」
インフェルノイド・デカトロン チューナー
レベル1 ATK500
「「デカトロン」の召喚・特殊召喚時効果発動。デッキの「インフェルノイド」モンスター1体を墓地に送って、送ったモンスターの名前と効果を得て、レベル分「デカトロン」のレベルを上げる。レベル3の「インフェルノイド・ルキフグス」を墓地に送って、「デカトロン」のレベルを3つ上げる」
インフェルノイド・デカトロン(インフェルノイド・ルキフグス) チューナー
レベル4 ATK500
いやはや、本当に「デカトロン」有能だなぁ。こいつのおかげで初期はあまり出番のなかった「ルキフグス」や「アスタロス」の効果が非常に使いやすい。しかもチューナーでレベル変動ができて攻撃力が500もある!ホントに素晴らしいカードだ
「さらに墓地の「インフェルノイド・ルキフグス」をゲームから除外して、手札の「インフェルノイド・アスタロス」を特殊召喚」
インフェルノイド・アスタロス
レベル4 ATK1800
「「アスタロス」の効果、自身の攻撃権を放棄して1ターンに1度相手の魔法・罠カードを破壊する効果がある。「サイバー・ネットワーク」を対象に発動、破壊する」
砕羽に他の伏せカードはない。破壊できたのであろう、少し悔しそうな顔でカードを墓地に送った。…けど、「サイバー・ネットワーク」の真価はここで発揮される
「フィールドから「サイバー・ネットワーク」が墓地に送られた時、除外されている俺の機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚できる!除外されていた「サイバー・ドラゴン・ドライ」を……守備表示で特殊召喚」
サイバー・ドラゴン・ドライ
レベル4 DEF800
このやろ…警戒して守備表示で出しやがった。攻撃表示だったらワンキルできたのに
「?竜太郎、何故「サイバー・ドラゴン・ドライ」を守備で出したのだ?」
「……なんとなく、攻撃表示で出したら負けそうな気がしたから……」
良い勘働かせるな、砕羽の奴。まぁ、勘云々抜きでも「コア」が攻撃表示の無防備状態なのだから守備で出したのは正しい選択だろ
それでも、僕の勝ちだがな
「レベル4の「インフェルノイド・アスタロス」にレベル4となった「インフェルノイド・デカトロン」をチューニング。レベル8「
レベル8 ATK2800
「何!?いきなり攻撃力2800のモンスターが現れただと!?」
「落ち着け、今は僕らのデュエル中だ」
「あ、あぁ…すまない……」
攻撃力500と1800がいきなり2800になったことに驚きを隠せない権現坂。これがデュエルディスクを使ったものならもっと迫力あって驚かせれたんだけどな〜……
でもデッキ調整のためのデュエルはテーブルデュエルの方が手っ取り早いし、盤面も分かりやすいから楽なんだよな〜
「これがシンクロ召喚だ。チューナー1体とそれ以外のモンスター1体以上を墓地に送ることで、墓地に送ったモンスターの合計レベルと同じレベルのシンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できる。大雑把に言えばこんなところだ」
「う〜む…低い攻撃力のモンスターがこれほど強力なモンスターに変わるとは、これがシンクロ召喚……」
解説はまた後で、それも求められた場合のみだ。無数のデッキを調整しなければならない以上、時間かつかつでやらなければならない。……流石にペンデュラム入ったデッキは1人でするけどね
「墓地の「インフェルノイド・アドラメレク」の効果。手札・墓地の「インフェルノイド」モンスターを2体除外することで、手札・墓地から特殊召喚できる。「デカトロン」と「アスタロス」を除外して特殊召喚」
インフェルノイド・アドラメレク
レベル8 ATK2800
いくら「サイバー・ドラゴン・コア」を効果で守ったところで、戦闘ダメージは当然通ることになる。2800の攻撃力から「コア」の攻撃力400を引いた数値を2回……つまり、合計4800の戦闘ダメージを受けることになる。この世界での初期ライフを上回った数値……要するに僕の勝ちということだ
でも出来ればもっと安定した動きが良かったかな……まぁ良いや、その辺はまた後で直していこう
「バトルフェイズ、「インフェルノイド・アドラメレク」で「サイバー・ドラゴン・コア」を攻撃」
「アドラメレク」ですぐに「コア」に攻撃を仕掛ける
……この時……
もし、「アドラメレク」で先に攻撃したのが「コア」ではなく「ドライ」だったら…。先に攻撃したのが「
結果は、ちょっと変わってたのかもしれない
「光属性の「コア」が攻撃された時、手札の「オネスト」を捨てて効果発動」
「……え?」
ちょっと待て、手札のうち1枚は「フュージョン・サポート」でもう1枚は多分融合カードで……あれ?
『マジか』
「ちょっ…」
「戦闘する相手モンスターの攻撃力分、「サイバー・ドラゴン・コア」の攻撃力は上がる。つまり「コア」の攻撃力は3200になるから、「アドラメレク」を逆に破壊する」
「あぁ!」
白星 風斗 LP3600 手札 3枚
かか、返り討ち!「オネスト」で返り討ち!?そんなバカな!
「あぁ!「アドラメレク」が!僕の「アドラメレク」がァ!」
「白星殿、情けない声を出すでない!」
「……こいつ、本当にあの時俺を助けてくれた奴と同一人物なのか…?」
ヤバいヤバいヤバい!こいつぁ完全に予想外……じゃねえ!さっき頭ん中に思い浮かべてたじゃねえか!なんでこうも大事なことすぐに頭の中からすっぽ抜けんだよ僕のバカァ!
『テンパってるテンパってる』
「だあってろ!」
イカン、苛立ってる…落ち着け落ち着け……
とりあえず「
仮に外したとしても、今伏せるのはモンスター効果無効の「ブレイクスルー・スキル」…勝算は十分にある!
「「
白星 風斗 LP3600 手札 2枚
レベル8 ATK2800
伏せカード 1枚
VS
砕羽 竜太郎 LP4000 手札 3枚
サイバー・ドラゴン・コア
レベル2 ATK400
「俺のターン、ドロー!」
「相手スタンバイフェイズに「
来い!伏せを、破壊して来い…!
「手札から「サイクロン」を発動、そのセットカードを破壊する」
ッ!来たァ!
「その効果にチェーンして「
何か2人とも、いかにもドン引きしてる様子だけど知ったことか!ミスは自分で修正する……!
残り1組とジョーカーのみでのババ抜きをしているような緊張感…確率は実際ずっと低いけど、ここで融合系を引かなければ絶対負ける…!どれだ…どれだ…どれだ…!
『ざわ…ざわ…ざわ…』
カッ!……これだー!
意を決して手札の1枚を掴み、引き抜き……公開させる。カードフレームは緑、絵柄は機械を溶接しているような絵、カード名は……「パワー・ボンド」!!
「サイクロン」により「ブレイクスルー・スキル」が破壊されるが、思わずガッツポーズを取る。それほどだったのだ。たかが1デュエルと思うかもしれないが、心が物凄く満たされた……そうか、今なら分かる!これが…満足……
「…えーと……俺は、魔法カード「融合」を発動」
だが、現実はどこまでも非情である。感極まってるところに氷水を頭からぶっかけられたかのような冷たさを感じる。冷たい…というか、可哀想なものを見る視線も2つほど感じられた。冷え切った脳内に浮かんだ言葉は……
「……マジでー……」
もう、それしか言えなかった
マジかーもう既に「融合」握ってたのかー…それとも今引いたのかな?つーか手札に別の「サイバー・ドラゴン」いたのか?…僕の場にいた「
「俺の手札・フィールドの「サイバー・ドラゴン」モンスター2体で融合、「キメラテック・ランページ・ドラゴン」を融合召喚」
手札の「サイバー・ドラゴン」と場の「サイバー・ドラゴン・コア」で融合召喚されるは、サイバーデッキワンキルの代名詞でもある「キメラテック・ランページ・ドラゴン」だった
キメラテック・ランページ・ドラゴン
レベル5 ATK2100
「「キメラテック・ランページ・ドラゴン」のモンスター効果発動。デッキの機械族・光属性モンスターを2体まで墓地に送ることで、このターン通常の攻撃に加えて、墓地に送った数だけ攻撃できる。「サイバー・ドラゴン」と「超電磁タートル」を墓地に送って、3回の攻撃を可能にする」
ひっどいオーバーキル……いや、「キメラテック・オーバー・ドラゴン」よりはマシか
「バトル!「キメラテック・ランページ・ドラゴン」で、白星に3回のダイレクトアタック!」
『砕羽のデュエルに・丸藤亮を見たり・インガオホー』
頭の中でハイクを詠まれて、吹き出さずにはいられなかった
白星 風斗 LP 0 手札 2枚
VS
砕羽 竜太郎 LP4000 手札 0枚
キメラテック・ランページ・ドラゴン
レベル5 ATK2100
計算王のライフをリセットして、再び4000に戻しながらさっきの戦いを思い返していた。砕羽の奴、思いの外サイバー流使いこなしていたな〜…あげたのは正解だったが、また自分のサイドラデッキ作らなければな……とも思った
「いやー負けた負けた……僕にも原因あるとはいえ、ノイドもキツくなったなぁ……」
つーか7割くらいプレイングミスが敗因だけどね…頭を使うデュエルは大変だからなー…
「しかし、凄まじい攻防だった。あれが融合召喚とシンクロ召喚の戦いか…」
権現坂も僕たちのデュエルに目を見張るものがあったのか、うんうん頷いていた。たった3ターンのテーブルデュエルなのだが、とても喜んでもらえたようで何よりです
さて、再びデッキをカットしてっと……
「とりあえず今日はノイドだけでいいから、あと9戦はしようぜ」
「……頼むから、もう少し減らしてくれ……」
えぇー?これでも随分妥協した方なんだけどなー……OCGじゃあ1調整毎に30戦は常識だろ…だよね?そっちも新しいデッキに慣れた方がいいとは思うけど……
けど、嫌がる相手に無理矢理デュエルしても楽しくもない。なら、妥協することも大切
「じゃあ4戦」
「…それならいいか……」
よし!承諾してくれた!次こそは1/5の確率引き当てろよ〜……
「「デュエル」」
ーーー結局デッキ弄り自体は、瑠璃たちが晩メシを呼びに来るまで続いた
「コンマイ!禁止制限の権化のコンマイは、何度倒しても僕の怒りは収まらない!ぶっ倒しても!ぶっ倒しても!!ぶっ倒しても!!!僕の仲間たち(制限行きカード)は、もう…蘇らないんだ…!」
ようやく2章突入です!……上のセリフ?あっはっはっはっは!……忘れてください
これからの本編の話(漫才次元も含め)は少し執筆に時間が掛かります。それと、そろそろドラクエジョーカー3が発売なのでそっちに取り掛かると思います。…まぁちょくちょく書き綴ってはいますので、気を長くして待ってくれれば……と思います
次回予告
デッキ調節と仕事の息抜きに瑠璃と街に繰り出すことになった風斗。そしてそこで、思わぬ人物と出会ってしまう…!
「俺が誰だか分かってんのか?」
面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC–V物語
第17話「瑠璃色少女とのお出掛け」
デュエル・スタンバイ!