面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語 作:ジャギィ
では、結構本気出した第19話ドーゾ!
「不動のデュエル」
「「超重武者 ビッグベン–K」を召喚!これぞ俺の不動の象徴!」
「不動のデュエル、かぁ…中々に興味深いな」
「白星殿も不動のデュエルに興味を持ったか?」
「あぁ、不動のデュエルなら僕もできるぜ!」
「何と!我が権現坂道場の不動の魂がここまで広まるとは…感動の涙がおさまらん!」
「権現坂!見ろ、これが僕の不動のデュエル!
ブリリアントefクラウン落としてセラフィss
クラウンefクラウンss1Tns1Tクラウンで
アクセルssアクセルefジェット落としてLv4
ジェットefジェットssジェットセラフィで
スタチャssスタチャアクセルでスタウォss
ハンド消費2 、エクストラ消費:4
召喚権があと一回残ってるぜ!」
「目まぐるしいほど動き回っているではないか!?けしからん!」
白星 風斗 LP3700 手札 0枚
アンデット・ワールド
レベル8 ATK2800
セットモンスター
伏せカード 1枚
VS
赤馬 零児 LP4000 手札 1枚
DDD烈火王テムジン
レベル6 ATK2000
DDD神託王ダルク
レベル7 ATK2800
DDリリス
レベル4 DEF2100
地獄門の契約書
伏せカード 1枚
危機的状況だ。赤馬が発動した攻撃変動系のアクションカードによって、「DDD烈火王テムジン」との相打ちを狙っていた「ライトロード・セイント・ミネルバ」が一方的に破壊されてしまった。2つあるうち1つの狙いが見事外されたというわけだ
…けど、せめてもう1つの目的くらいは達成しとかないと
「破壊された「ミネルバ」のモンスター効果!自分のデッキトップのカード3枚を墓地に送る!」
思わぬ反撃に一瞬忘れかけていたが、墓地肥やしの為の「ミネルバ」を発動させる。デッキの上からカードを3枚引き抜き、それらを墓地に落とす
落ちたカードは「シャドール・ドラゴン」「シャドール・ヘッジホッグ」「ハーピィの羽箒」……良いカードが落ちたが別の意味で良いカードも落ちてしまったから、気分は上がらない…むしろ若干下降した。けど状況は打開できるから、効果は発動しておく
「カード効果で墓地に送られた「シャドール」モンスター、「シャドール・ドラゴン」の効果を「地獄門の契約書」を対象にチェーン1、「シャドール・ヘッジホッグ」の効果をチェーン2で発動!」
地の底まで続く、虚空が1つ開く。そこから現れたのは、糸でマリオネット人形のように吊り下げられ操られた紫色の竜。赤馬の周囲にアクションカードらしきものはない…今度こそ、妨害はあり得ない
「「シャドール・ヘッジホッグ」の効果に対して、何かカードを発動するか?」
「……いいや、何も発動しない」
「なら「シャドール・ヘッジホッグ」のモンスター効果で、デッキから「シャドール・ヘッジホッグ」以外の「シャドール」と名のついたモンスターカードを1枚手札に加える!「シャドール・リザード」を手札に!そして「シャドール・ドラゴン」の効果解決!対象の魔法・罠カードを1枚破壊する!「地獄門の契約書」を破壊!」
デッキから「シャドール・リザード」を手札に加えながら、フィールドを一瞥する。口の中に紫紺の火球を蓄え、首を勢いよく振り下ろしながら吐き出す。それは対象の「地獄門の契約書」に着弾し、毒々しい色の衝撃波を振り撒きながら爆散した。生温かい突風が近くの赤馬の肌を撫で、マフラーを揺らす。支配の糸が途切れると同時に、「シャドール・ドラゴン」は墓地へ通じる底無しの穴へ再び落ちていった
「伏せたカードではなく、「地獄門の契約書」を破壊してきたか…。どうやら私のリバースカードがどのようなものなのか、看過されているようだな」
サーチの大元を割られても、特に問題はないと言った感じに赤馬はそう呟きながら、アクションカードのないその場を離れる
……さて、一体どうしたものか。ここで「
『おい、足元足元』
「なんだよ、足元ォ?…別に何にも……って、これは」
黒星の言葉に従って足元を見てみるものの、何もなかった。ミミズやムカデでも這い出てきそうなほど腐った腐葉土の地面を見て、「からかったかこの野郎」と心の口で言葉尻まで出して……ふと視界に入ったのが、墓の後ろからチロッとだけ見える茶色の長方形…カード。それは普段僕たちが使っている遊戯王カードと区別をつける為なのか、裏側には「A」の一文字がデカデカと書かれており、その「A」の三角の部位が4方向に上下左右…中心が重なる形で薄く描かれている。あれは、アクションカード
そうだ、どうすればいいか分からないならあれを拾ってから考えよう。別にアクションカードは使う直前に拾うべし、なんてルールはない…はずだ、確か。畜生、記憶が曖昧だな……大丈夫だと思いたい
墓と墓の間に隠すように置かれていたアクションカードの端をつまむ。屈んだ時に手に引っ付いた、墓に小さく茂ってある苔をズボンで
「「奇跡」か……攻撃力UP系じゃないのはあれだけど、まだマシか」
拾ったカードはモンスター1体の戦闘破壊耐性と戦闘ダメージを半減させる「奇跡」。少なくともこれを使えば僕のモンスターはこのターン、戦闘で死ぬことはなくなる。そんなことを考えながらアクションカードを手札に加える
出来れば防御用に使いたいが、これなら赤馬が使うアクションカードにチェーンして…使えるだろうな。じゃなきゃ、アクションカードの応酬なんてできねえし。とりあえず「
「バトルフェイズはまだ続行している!「
指示を出すとともに、「
異能者の、右手が消える。間もない一瞬……気がつけば、優しく…ゆっくり…右腕は振り下ろされていた。その外見からは想像もつかない程、流麗な動き。しかし、この時点で勝敗は決していた
盾と剣を含め「テムジン」の鎖骨部位から腹下にかけて描かれる、揺れるような線。0.2秒、変化はない。0.8秒、やはり変化なし………そして、白に塗りつぶされる。太陽など存在しない陰鬱な墓場がフラッシュで覆い尽くされる。そんな中で聞こえる電撃が強烈に弾ける音…異次元の悪魔の身体を破壊するプラズマは、光が途切れた頃には宙に霧散しており……「テムジン」の残りカスらしき物が命とともに大地に吸い込まれた。僅か0.07の出来事であった
赤馬 零児 LP3200 手札 1枚
「「DDD烈火王テムジン」のモンスター効果。このカードが戦闘・効果で破壊された時、墓地の「契約書」と名のついたカードを手札に加える。私は墓地の「地獄門の契約書」を手札に」
冷静に、淡々と、赤馬はモンスター効果を発動させるが、ちょっとした疑問が残った
アクションマジックを使わなかった…いや、拾いすらしなかった?必死に動けばアクションカードくらい手に入れられそうな気はしたのだが……「テムジン」の効果が目的なら、さっきの時アクションカードで反撃する必要すらなかった…何が狙いだ…?
「これで僕はターン…」
「君のターンが終わる前に私は永続罠「
「…?そんなカードを今使って、何が狙いだ?バトルは終了している…しかも「アンデット・ワールド」の効力でフィールド・墓地のモンスターは全てアンデット族……あまり意味があるとは思えないんだけど?」
「何、私には私なりのプランというものがある。私がするのはこれだけだ」
「うぅん……改めてターンエンド」
白星 風斗 LP3700 手札 2枚
アンデット・ワールド
レベル8 ATK2800
セットモンスター
伏せカード 1枚
VS
赤馬 零児 LP3200 手札 2枚
DDD神託王ダルク
レベル7 ATK2800
DDリリス
レベル4 DEF2100
「私のターン、ドロー。さて、先ほど発動させた「
知ってる。だからこそ、なんでそのデメリッ……あ、デメリット?
「やっべ、「ダルク」か……」
「テムジン」倒すのに必死で完全に忘れてた。つーか現段階で倒せないと判断して思考の外に放り込んでたよ「ダルク」
「「
「待った!「
「……墓地にカードを溜め込み、効果を発動して一気に大量展開を行う…それが君の戦略か。「アンデット・ワールド」がある限り「
赤馬 零児 LP4200 手札 3枚
4200か…8000が初期ライフだった頃に比べればまだ半分だから少ない方だが……如何せん相手は「DDD」、大量展開から来るモンスターの物量は尋常じゃない。モンスターを処理しつつ展開する…一応可能なカードは入ってはいるが、それが引けるかどうかは……。つーか、速攻でデッキコンセプトを見破られてる辺りに恐ろしさを感じる
「手札の「地獄門の契約書」を発動させ、効果を使用する。私はデッキからチューナーモンスター「DDナイト・ハウリング」を手札に加える」
「ッ!「DDナイト・ハウリング」……「
すらっと長い人差し指を上空に掲げる。暗雲など何もない空から突如雷が落ち、それが赤馬の手札と「
「「
『ある意味当たりとも言えるが、この状況じゃなぁ…』
「契約書」のデメリット回避と手札補充の為の罠カードだが、「ダルク」がある時点でそこまで必要性は感じない…せいぜい保険くらいか?
だが、「ナイト・ハウリング」を除外できなかったということは……「
赤馬は手近にあったアクションカードを手に取り、それをディスクにセットした。またアクションカードか……
「私はアクションマジック「灰色の濃霧」を発動。このターンの終わりまで、指定したカード1枚の効果を無効にする。私は「アンデット・ワールド」を指定する」
「何!?」
赤馬の使用したアクションカードにより、周囲に凄まじいまでの霧がかかり視線を阻む。少し明るくなったので視界自体は特に問題はない…が、「アンデット・ワールド」を無効にされたのはマズい
「融合・シンクロ・エクシーズ……それらを全て使いこなせるのは、何も君だけではない。私は「DDナイト・ハウリング」を召喚!」
大きく縦に開かれた、獰猛な口だけのモンスターが軋むような叫び声を上げる。閉じられても剥き出しになる鋭牙から唾液が滴る
DDナイト・ハウリング チューナー
レベル4 ATK300
「「DDナイト・ハウリング」は召喚に成功した時、自分の墓地の「DD」モンスター1体を攻撃力・守備力を0にした状態で守備表示で蘇生させることができる。「DDD」モンスターも「DD」の1種……よって私は、「DDD烈火王テムジン」を守備表示で特殊召喚!」
蘇る「テムジン」。しかしその姿には、名を表すような炎の苛烈さがなかった。紅い長方形の盾を前面に出して、己が身を守らせる
DDD烈火王テムジン
レベル6 DEF 0
あぁっとこれはソリティア(短)来ちゃいますかそうですかー?…現実逃避は悪い癖だな。治す気はないけど
相手のフィールドには「テムジン」もいて、レベル3の「DDナイト・ハウリング」とレベル4の「DDリリス」もいる……ちょうど
「「DDナイト・ハウリング」の効果を発動したターン、私は悪魔族モンスターしか特殊召喚できなくなり、さらにこの効果で特殊召喚したモンスターが破壊された時、私は1000の効果ダメージを受けることになる」
「…けど、「ダルク」が場にいるからそれは回復になる…」
「その通りだ。そして私のフィールドには、チューナーが1体……レベル4の「DDリリス」に、レベル3のチューナーモンスター「DDナイト・ハウリング」をチューニング!」
口だけの異様なモンスターが、暗いアクションフィールドを照らす輪に変容する。その数は、3つ。そこに「DDリリス」が入り込み……光の柱が貫く
「闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!」
柱を切り裂く者は、白く細身な鎧を着た疾風の王。防具のところどころに翡翠の宝石をはめ込み、先端の曲がった剣を手に緑のマントを翻す。王の誕生と同時に、風が代わりに鳴りあげる…王者の産声を
「シンクロ召喚!生誕せよ!レベル7!「DDD疾風王アレクサンダー」!!」
DDD疾風王アレクサンダー
レベル7 ATK2500
「「DDD」モンスターが特殊召喚に成功した時、「DDD烈火王テムジン」のモンスター効果を発動。墓地の「DD」を1体、特殊召喚することができる。「DDリリス」を特殊召喚」
DDリリス
レベル4 DEF2100
「さらに、「DD」が特殊召喚に成功した時、「疾風王アレクサンダー」のモンスター効果!墓地の「DDバフォメット」を特殊召喚する」
DDバフォメット
レベル4 ATK1400
ここまで展開を許しちゃったか……かなり厳しいかも
『レベル4のモンスターが2体…来るぞ風斗!』
「そんくらい分かってるからアストラルしなくてよろしい!それとややこしいんだから白星って呼べ!」
あとお前結構この状況楽しんでるな!?負けたらブラック企業に入社することになんだぞ分かってんの!?
「……君は誰と話をしているのだね?」
「え?……あー…いや、ただの独り言だ」
デカい声を出したおかげで社長に黒星へのツッコミが聞こえてしまったようである。しどろもどろながらも、急に投げ掛けられた質問に咄嗟に答える僕。危なかった…流石に二重人格めいたこの性格だけは誰にも話したくはない。頭のおかしい奴って思われるのもアレだし、同情されんのも気分は良くないからな……
「……今は、そういうことにしておこう…デュエルを続ける。私はレベル4の「DDバフォメット」と「DDリリス」で、オーバーレイ!」
異形の神と誘う娼婦、
「この世の全てを統べるため、今、世界の頂に降臨せよ!」
黒鉄の大剣が、絵に握られた両手とともに光を突き抜ける。光の波を掻き分け現れたのは、丸みを帯びた鮮やかな紫の防具を着込んだ悪魔。肩と背中にそれぞれ刃のようなものを2つ、3つとつけられており、頑丈な肉体をもとに敵を蹂躙せしめれるその威容な姿は…まさに怒涛の一言
「エクシーズ召喚!生誕せよ!ランク4!「DDD怒涛王シーザー」!!」
DDD怒涛王シーザー
ランク4 ATK2400
赤馬のフィールドに、それぞれの「王」を冠す4体の悪魔が揃う
今現在は攻守0…とモンスターとしては1番無力だが、「DD」の展開を補助する「烈火王」
同じく異次元の悪魔たちを並べる能力を内蔵する「疾風王」
戦闘中のモンスターの破壊をほぼ1度だけ無に帰す「怒涛王」
…そして、そんな悪魔の契約によるダメージを全て回復に反転させる「神託王」
OCGでもあまりお目にかかれない見事な布陣である。本当にヤバ過ぎて、このままぶっ倒れて気絶したいと思うほどには
こ!れ!は!ひ!ど!い!何が酷いって、万が一あいつらを破壊できたとしても1度でも戦闘を介した時点で、「シーザー」の効果で「DDD」どもの復活は目に見えてるってところ。しかも「テムジン」は復活された場合ステータスは元に戻ってしまう。さらに「シーザー」の効果のデメリット…復活したモンスターの数だけ自身が1000ダメージを受けるという効果も、「ダルク」によって回復になってしまうという豪華特典付き。
「バトルを行わせてもらおう。「DDD疾風王アレクサンダー」で裏守備モンスターを攻撃する!」
「アレクサンダー」が緑色のオーラのようなものを剣に纏わせると、それを横一閃に薙ぎ払う。風の衝撃波が飛び出し、それの攻撃により裏守備表示だった「シャドール・ファルコン」が表になる
「「シャドール・ファルコン」のリバース効果!墓地の「シャドール・ヘッジホッグ」を対象!自分の墓地の「シャドール」モンスター1体を裏守備表示で特殊召喚する!さらにチェーンしてアクションマジック「奇跡」を「シャドール・ファルコン」を対象に発動!攻撃による破壊を1度だけ無効にし、ダメージも半減させる!」
こうすれば、このターンは少なくとも凌げる。オマケに「ヘッジホッグ」も伏せたから「
「それを見逃すことはできないな。アクションマジック「ノーアクション」を発動!相手のアクションカードの発動を無効にし、破壊する!」
「何!…チイィ…ッ!」
バトルの一瞬だけ表になった「シャドール・ファルコン」に降り注ぐ加護の光……だがそれは、赤馬の発動した無効系のアクションカードによって途中で断ち切られる。「シャドール・ファルコン」の効果でモンスターをセットすることができたものの、糸に操られし小さき猛禽は剣の一撃により消えてなくなった
アクションマジックが無効にされたか…けど、僕の場にはまだ「シャドール・ヘッジホッグ」が伏せられている。「シーザー」がセットモンスターに攻撃してきて「ダルク」のダイレクトアタックを受けたとしても、僕のライフは残って……
「「DDD疾風王アレクサンダー」はモンスターを戦闘破壊した時、もう1度攻撃することができる」
「ハァ!?連続攻撃効果!?」
「「疾風王アレクサンダー」で裏守備モンスターを攻撃!」
僕の知りうる「アレクサンダー」とは違ったアニメ効果により、激しく狼狽してしまう。おかげで相手の攻撃に対して何の反応もすることができず、「シャドール・ヘッジホッグ」は無慈悲に斬り捨てられた
「うぐぅ……「シャドール・ヘッジホッグ」のリバース効果で、デッキから「シャドール」と名のついた魔法・罠をサーチ…「
予想外の追撃は、僕のライフを0にしたり得る状況を作り上げてしまった。例によって想定外に弱過ぎる僕は頭の中を混乱させる
「「DDD怒涛王シーザー」でダイレクトアタック!」
しかし、そんなことはお構いなしと言わんばかりに悪魔たちの猛攻は続く。地に大剣を突き立て、土を抉らせながら前に向かって勢いよく振り上げる。それにより発生したショックウェーブは大地の上を走り…ライフを大幅に削り取る
白星 風斗 LP1300 手札 2枚
「グワァーッ!」
「「DDD神託王ダルク」でダイレクトアタック!」
攻撃の余波をその全身で受け止め、らしくもない大声を上げてしまう。痛みで悶えている間に、神の啓示を受け取る悪魔王は距離を縮めた僕にその剣を斬りつけようと上に構え……
『おい!「堕ち影の蠢き」を使え!早く!』
「…ッ!罠カード「堕ち影の蠢き」を発動!デッキから「シャドール」モンスター1体を墓地に送る!「シャドール・ハウンド」を墓地に……そして効果で墓地に送られた「シャドール・ハウンド」の効果で、「ダルク」の表示形式を変更する!」
……その攻撃は途中で止められた。レイピアのように細長い剣を振り下ろすことなく主人の元へ戻り、忠誠を誓うように剣を地に置き、「神託王ダルク」は膝をついた
DDD神託王ダルク
レベル7 DEF2000
あ、危ない……!黒星がいなかったら、朦朧とした意識のまま斬りつけられるところだった……気絶するのも嫌だが、会社の奴隷となるのはもっと嫌だからな!
「ほう、これを防ぐか…私の全力を受け止め、耐え切るとはな……。私はこれでターンエンド」
白星 風斗 LP1300 手札 2枚
アンデット・ワールド
VS
赤馬 零児 LP4200 手札 1枚
DDD神託王ダルク
レベル7 DEF2000
DDD烈火王テムジン
レベル6 DEF 0
DDD疾風王アレクサンダー
レベル7 ATK2500
DDD怒涛王シーザー
ランク4 ATK2400
地獄門の契約書
しかし…これは本気でキツい。「
「僕の…僕のォ、ターン!」
社畜生活は、もうゴメンなんだよォ!
並々ならない感情を胸に秘め、デッキトップのカードを引き抜く。曲線を描いて手元に手繰り寄せたカードを見て、思わず舌打ちをする。これじゃダメだ……なら、もう1回ドローするだけ!
「スタンバイフェイズ!自身の効果で除外した「
次元の狭間へ逃げ果せていた「
「手札から魔法「
「デッキから素材を墓地に…?!」
「デッキの「シャドール・ビースト」と地属性の「
デッキ融合に困惑の声を漏らす赤馬社長。デッキから墓地に送られた糸に操られし影の獣と馬の頭を持った鬼が、暗い混濁とした渦に吸い込まれ…影を重ねる
「運命をも支配せし漆黒の糸よ!影と大地を1つに束ね、新たな
束ねられた「影」は巨大なナニカに具現化し、死者が眠る墓場に降り立つ。それは「クリフォート」と呼ばれるモンスターの成れの果てとなった玉座に座し、瞳の閉じられた機械仕掛けの女神。玉座と女神を縛り繋ぐ闇の線は、煌々と紫に輝いていた
「融合召喚!浮き上がれ!レベル10!「エルシャドール・シェキナーガ」!!」
エルシャドール・シェキナーガ
レベル10 ATK2600
赤馬の「DDD」たち相手でもタメを張れるほどの巨躯をしている「シェキナーガ」。赤馬は僕の行ったデッキ融合に驚愕したのか、小さく何かを呟く
「デッキ融合…これは、融合の可能性の1つ……」
「「
引いたカードは……ッ!
カードを確認し、フィールドを見渡し…確信する。墓地には「
「墓地の「
ゾンビ・マスター
レベル4 ATK1800
ゴブリンゾンビ
レベル4 ATK1100
このターンでケリをつける…だからこそ、あのカードも使う!
「僕はレベル4の「ゾンビ・マスター」と「ゴブリンゾンビ」で、オーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!」
突風が吹き荒れる。このデュエルで召喚された「ライトロード・セイント・ミネルバ」や「DDD怒涛王シーザー」とは比べ物にならない……凄まじいエネルギーの迸り
「来い!「
鞘に収まった巨大な剣のような塔が、混沌の宇宙より浮上する。それは白い外殻をスライドさせて、人の形に姿を変えていく。外殻を担っていた白い装甲は背で2対の翼のようなものに変わり、現れた黄白の身体の腰には2本の剣が収まっていた。そしてその左肩には、古代の文字らしきもので書かれた「39」が赤く照り輝いた
「エクシーズ召喚!光り輝け!ランク4!「
『ホーーープ!!』
希望を背負いしモンスター「ホープ」が、己を誇示するように自分の名を叫んだ
ランク4 ATK2500
「なんだ、このエクシーズモンスターは……「
「さらに「
「シャイニング・エクシーズ・チェンジだと…?」
「現れろォ!「
「ホープ」が、新しい姿に形を変える。無骨な肉体に防具を覆い被せ細身になり、腰に付けられていた2つの剣は突き出た両肩の防具に収められており、その内に宿した雷を小さく放出させる。武器のついた左肩に浮き上がるは、「希望皇ホープ」と同じ存在だと象徴する数字「39」
「一粒の希望よ!今、電光石火の稲妻となりて闇より飛び立て!ランク5!「
ランク5 ATK2500
「エクシーズモンスターを素材に、エクシーズ召喚を行うだと……!」
『社長!エクシーズ召喚の反応が異常値に……いや、計測不能です!』
「何…!?」
通信越しに伝えられた情報に、赤馬零児は耳を疑う。確かに白星風斗という男は、とても高い召喚反応の数値を見せたが……測定不能に至るまでのモンスターを使用することに、驚きを隠せずにいた。そして、測定不能の数値を出した目の前のエクシーズモンスターを見やる。赤馬零児はここで初めて、観察する者から戦う者の目に変わった
白星 風斗 LP1300 手札 2枚
アンデット・ワールド
レベル8 ATK2800
エルシャドール・シェキナーガ
レベル10 ATK2600
ランク5 ATK2500
VS
赤馬 零児 LP4200 手札 2枚
DDD神託王ダルク
レベル7 DEF2000
DDD烈火王テムジン
レベル6 DEF 0
DDD疾風王アレクサンダー
レベル7 ATK2500
DDD怒涛王シーザー
ランク4 ATK2400
地獄門の契約書
「バトルフェイズ!「
大きく離れた距離。それを電磁浮遊の加速によって縮めながら、「
「アクションマジック「回避」を発動!「
……それは見えない壁に弾かれた。いつの間に移動していたのか、赤馬は「DDD」たちとは少し離れた場所でアクションカードをデュエルディスクにセットしていた
攻撃を遮られた「
「だがまだモンスターは残っている。今度は「エルシャドール・シェキナーガ」で「怒涛王シーザー」を攻撃!」
大剣を構える怒涛王に、細い何かが伸びる。糸だ、「シェキナーガ」の運命を拘束する鮮やかな紫が「シーザー」の身体の随所に巻きつき、玉座に引き寄せる。囚われの女神の目の前まで引きずり込まれた「シーザー」は、敵を滅ぼす鉄の四肢を叩きつけられる。10にも満たない数…しかし強過ぎる打撃の連打に「シーザー」はとうとう力尽き、
白星 風斗 LP1300 手札 2枚
アンデット・ワールド
レベル8 ATK2800
エルシャドール・シェキナーガ
レベル10 ATK2600
ランク5 ATK2500
VS
赤馬 零児 LP4000 手札 2枚
DDD神託王ダルク
レベル7 DEF2000
DDD烈火王テムジン
レベル6 DEF 0
DDD疾風王アレクサンダー
レベル7 ATK2500
地獄門の契約書
「「シーザー」がフィールドから墓地に送られた時、デッキから「魔神王の契約書」を手札に加える。……アクションマジックを召喚のコストに利用し展開するとは…君はなかなかに強かなようだな。だが、君のモンスターの数では私のモンスターはまだ残る……どうする気だ?」
「……「シーザー」の効果を使ったか」
「…………」
未だ赤馬は、どこか余裕を残している節がある。その理由を当然僕は知っていて……
だからこそ、僕は赤馬に「シーザー」の効果を
「お前は次のターンに僕のライフを削りきるつもりのようだが……それは幻想だ。このターンで僕はお前を倒す」
「……私のライフをこのターンで0にする、と?どうやって、私の場のモンスターたちを突破する気だね?」
「逆転の手は既に打ってあるんだよ!残念だ……っが!」
相手の方向…正確には、「DDD」たち悪魔王に向かって走り出す。3体のモンスターは通らせまいと立ち塞がる……が、それらは全て僕からすればハートランドでよじ登ったビル同然だった
跳躍し、神託王の剣を蹴る。疾風王の鎧の隙間に指を引っ掛け、振り子の要領でジャンプする。烈火王の盾を足場に乗り越え……地に落ちた先にあるのは、アクションカード
「お前は既に僕の罠に嵌っている……お楽しみは、これまでだ!」
大きな枯れ木の幹に張り付いたそれを、摘んで赤馬の方へ振り向く
「ッ!そのセリフは……」
「アクションカード、ゲェットォ!アクションマジック「奇跡」をコストに、手札から速攻魔法発動!解き放て!神の力宿し究極の融合!」
これこそが引き当てた、僕の逆転の1枚!
「「超融合」を発動!!」
「「超融合」……?!」
「「超融合」は究極の融合カード…その効力は互いに及び、フィールド全てのモンスターを素材に融合召喚することができる!」
「私のモンスターも融合素材にするだと…!?」
「僕はアンデット族となった「DDD神託王ダルク」と「DDD烈火王テムジン」の2体で、融合!」
次元をも融合できる究極のカード。あらゆるものを1つに入り混じらせる力に「ダルク」と「テムジン」は飲み込まれ……暗黒の闇を生み出す
「次元をも支配する悪魔の王たちよ!朽ちた肉体と堕ちた魂混じり合わせ、今!冥界の扉を開け!」
闇で形成された球体…様々な方向から渦巻く暗黒に白く長い爪が飛び出る。こじ開けるように真逆を向く5本づつの裂爪、暗黒物質の塊にやがてヒビが入り……砕けた黒の中から、冥界の王が姿を現した
血のように赤い蛇のような下半身から上は、骨のような外骨格をつけた邪悪なドラゴン。赤い肉体には筋肉の筋が不気味に浮き上がり、悪魔のような4つの翼を羽ばたかせる。頭の側面から前に出るように突き出た曲がった黒角には無数の傷痕があり、それは体のそこら中についていた
「融合召喚!亡者支配せし冥界の化身!レベル8!「冥界龍 ドラゴネクロ」!!」
死者を糧にする暗黒の龍は、世界を震わす咆哮を吐き出した
冥界龍 ドラゴネクロ
レベル8 ATK3000
「このような融合が……」
「バトル中の融合ゆえに、追撃はできる!「冥界龍 ドラゴネクロ」で、「DDD疾風王アレクサンダー」を攻撃!「ソウル・クランチ」!」
「ドラゴネクロ」の周辺に歪みが発生する。瘴気を吐き出し、黄色い眼光を鈍く光らせる冥界龍はその腕から色の薄いもう1つの腕を伸ばし……それを「アレクサンダー」の胸部に貫通させた。「ドラゴネクロ」の凶撃を受けた「アレクサンダー」は呻くものの、破壊されない……「ドラゴネクロ」が攻撃した腕に掴んでいるものが、その答えだった
それは、攻撃した「ドラゴネクロ」の腕のように色素を失った「疾風王アレクサンダー」の魂そのものであった
赤馬 零児 LP3500 手札 3枚
「「冥界龍 ドラゴネクロ」と戦闘を行ったモンスターは戦闘では破壊されない…が、そのモンスターの攻撃力を0にし、0にしたモンスターの元々の攻撃力とレベルを持つ「ダークソウルトークン」を僕のフィールドに特殊召喚できる」
魂のみとなった「アレクサンダー」は、冥界の覇王に従服する。膝から崩れ落ちる己が肉体に対して、怨念で形取られた剣を突きつける
白星 風斗 LP1300 手札 1枚
アンデット・ワールド
レベル8 ATK2800
エルシャドール・シェキナーガ
レベル10 ATK2600
ランク5 ATK2500
冥界龍 ドラゴネクロ
レベル8 ATK3000
ダークソウルトークン
レベル7 ATK2500
VS
赤馬 零児 LP3500 手札 3枚
DDD疾風王アレクサンダー
レベル7 ATK 0
地獄門の契約書
これでトドメ!
「「
ランク5 ATK5000
「やれ!「ホープ・ザ・ライトニング」!「ホープ剣・ライトニングスラッシュ」ッ!!」
肩に、手をあてがう。剣の柄を握り、その刃に雷撃を纏わせながら……魂を失った疾風王に振り下ろした。鉄を溶かし、身体を弾けさせながら…風の力を司る悪魔の王は、希望の皇に討ち取られた
「これが…融合召喚とエクシーズ召喚の先……」
白星 風斗 LP1300 手札 1枚
アンデット・ワールド
レベル8 ATK2800
エルシャドール・シェキナーガ
レベル10 ATK2600
ランク5 ATK5000
冥界龍 ドラゴネクロ
レベル8 ATK3000
ダークソウルトークン
レベル7 ATK2500
VS
赤馬 零児 LP 0 手札 3枚
あ、危なかった…!最後の最後の土壇場で「超融合」が引けたのが本当に良かった。ダメだった時は「ライトニング」の代わりに「カステル」エクシーズ召喚して「ダルク」バウンスするつもりだったが…、まあ何とか勝つことはできたし良しとしよう
デュエルディスクを仕舞いながら、消えていくアクションフィールドの中、赤馬が話し掛けてくる
「どうやら、私の負けのようだな」
「そうだな…今回は僕の勝ちだな。……かなり危なかったけど」
「何、仮にこのターンを凌げたとしても残りライフも少ないだろう…そこに私自身が発動した「契約書」のデメリットで追い打ちをかける。…君にターンを渡した時点で、既に決着はついていた…ということか」
「そんなんでもない。あのタイミングで「超融合」を引くことができたから運良く逆転できたんだ、違うカードだったら多分もう少し長引いて……押されてたと思うな」
ペンデュラムを使ってないとはいえ…否、ペンデュラムを使ってないからこそ遊ばずにガチカードを使ってまでデュエルしたのだ。これが試作の「メタルフォーゼ」とかだったら間違いなく負けていた。…つーか、よくよく考えればこれでもペンデュラム抜きなんだよな「DDD」……将来的に勝てる気がしなくなってきた
「さて……白星風斗、君は私とのデュエルに勝利した。約束通り、君の正体に関しての追求はこれ以上行わないと誓おう。そして、君たちレジスタンスとの同盟関係を結ばせてもらおう…ようこそ、スタンダードへ」
口元にいい感じの笑みを浮かべながら、赤馬社長は僕…僕たちに対してだろうが、そう告げた。その悪そうな笑み止めてくれませんかねぇ?他の人なら何とも思わんが、あんたがやると途端に胡散臭くなるよファンサービス社長
「…とりあえず、互いの情報を整理しておきたい。誰かに聞かれないところで話がしたいのだが……」
「…理解した。部屋を用意させる、そこで話を設けよう。……私も、このデュエルで聞きたいことは増えたからな」
……やっぱもう少し、使うカード考えるべきだったかなぁ…?
今となっては後の祭り、覆水盆に返らず、光に攻撃ダメステイイデスカ?…であった
「………なるほど、そしてアカデミアから離反した、と……」
「そういうこと。アカデミアに処刑されかけていたところを僕が助けて今現在に至る…といったところかな」
防音の効いた高級そうな物が多く置かれた部屋……そこでソファに腰掛けながら、僕と赤馬と砕羽はそれぞれエクシーズ次元とレジスタンス、スタンダード次元のことと融合次元で赤馬零王と出会った時の出来事、融合次元の内部事情……情報を整理し、会話をしていた。その際に赤馬が疑問に思った、砕羽のアカデミア裏切りの経緯を聞かせている途中であった
……しかし、こいつのハリガネマフラーはマジでどういう素材で作られてんだよ。現在進行形で重力とは真反対の方向に浮かび上がっているなんて……何でだろ?理由聞こうかな?
『おいバカやめろ』
うるせぇ止めるな!これは僕の心の隙間を埋めるために必要なこと……つまりは信頼を結ぶためにある!そのマフラーの秘密を聞き明かし、僕と真の同盟を結ぼうじゃないか零児ィ!
『ダメだこいつ、早く何とかしないと……』
……まぁ今度はここまでにしておいてっと。流石にこのシリアスな状況でギャグに走る勇気が僕にはないよ、僕は空気の読める人間だからね!
『このチキン野郎』
はいはいそうですねー無視無視。…つーか僕に対する罵倒は自分に向かってるものだって、いつになったら理解すんだ?今は良いか、そんなこと
それよりも重要なのは、改めて聞かされた砕羽の新しい状況…というより、キーワード
「「アーク・エリア・プロジェクト」ねぇ……」
「アーク・エリア・プロジェクト」。それが砕羽から聞かされた新たな単語。世界の4つの召喚法に応じて別れている4つの次元、それらを統一し理想郷を創り上げる……という計画らしい。理想郷…何とも素晴らしい言葉だ、それを実現する計画とやらは誰もが手を挙げて賞賛するものだ……なんて、言うわけがない
もしただただ次元を1つに纏めるだけならば、侵略なんて手段を最初に使うのがそもそもおかしな話だ。何よりあいつらのエクシーズの何もかもを見下す言動、人間のカード化……4つの召喚法を纏める為の計画とはとても思えない。思えるわけがない。つまり、この「アーク・エリア・プロジェクト」とやらは表向きの計画と言えるだろう。それを隠れ蓑に何か別のことを企てている、と考えるのが普通だろ……あくまで想像に過ぎないんだけど
…しかし「アーク・エリア・プロジェクト」……「ARC-V」……「アーク・エリア・プロジェクト」は
……分からんな、考えてもマジ分からん……
「……彼は、信用しても問題ないのだな?」
そういう赤馬の視線は、僕の隣でちょっと緊張している砕羽に対してのものだった。質問の意図は、たった1つ
「それは、こいつが裏切るかもしれない…って意味か?」
「確定というわけではない。しかし、元アカデミアの人間だと言うのならば、ふとした拍子でアカデミアに戻っても不思議ではあるまい」
「…ごもっとも……」
緊張で口を開こうとせず、代わりに首をブンブン横に振っている砕羽を見て、どういう言い訳が通用するのか頭の中で模索する。流石にこいつのことまで信じてくれー!…なんてのは虫が良すぎるな、何か良さげな……ないな
「…都合が良いのは承知の上だけど、こいつのことに関しては見逃してくんない?少なくとも命乞いのチャンスを棒に振ってまでアカデミアじゃないって言い切ったこいつは」
「…………」
「けど、それでもというのなら」
膝に手を置き、頭を下げる。社長相手なら焼き土下座くらいすべきなのかもしれないが、これが精一杯だし、僕そこまでの根性はないし……これが今の限界。ゴメンね
「裏切ったと判断した際に僕に言え……
始末…という言葉に、砕羽はピクリと反応する。顔には、少々の焦りと恐れが見え隠れしていた。赤馬零児は眼鏡のフレームを光らせて、僕の言葉を反芻する
「始末…?…それはつまり」
「お前の考えてる通りで良い。アカデミアに与するものは、全て僕の敵だ……結局のところ、そこに行き着くだけだ」
「アーク・エリア・プロジェクト」を聞いて、改めて確信した。やはりアカデミアの人間共には慈悲の欠片もいらない…人生に於いて常に敵とは潰すべきものであり、僕の世界を侵す害悪だ
もしまた瑠璃を攫ったり、目の前で大事なものを奪おうとするならば……例え赤馬が相手だろうと、全世界・全次元が相手だろうと……全て皆殺す!
「…なるほど……だが、その必要はない」
「何ィ?」
「それは我々LDSが監視をすれば特に問題はない。完璧な人間などこの世には存在しない…もし融合次元に離反するならば、それ相応の準備と時間が必要なものだ」
「……だとよ砕羽、どうする?」
同意を、横の黙りこくってる奴に投げ掛ける。その目には決意と覚悟の色が交ざっている……アカデミアの猛進された暗い瞳たちとは違う、自分の目。この目から滲み出るものが、理由もなくこいつを信じる理由だ…砕羽なら、大丈夫だと思わせる目だ
「……俺は…そうすることで、信じてくれるなら……」
「ならば、LDSから監視役を用意しよう。何、君の生活に支障が出ないよう最低限のマナーは守るつもりだ」
「分かった」
良かった。解決とは程遠いのかもしれんが、それでもこの事態はひとまず終わったと捉えて大丈夫なのだろう。あ゛〜もう、緊張する〜……
通信を伝える電子音が赤馬を中心に響く。何かしらの連絡を取り合っているのか、それが終わるまでジッとして待ちながら……赤馬がデュエルディスクの通信を切った
「すまないが、この話はここまでにしておこう。私にも執務があるものでな…これ以上は、また別の機会に話をするとしよう」
「あいよ…まぁ、社長だから忙しいよな。連絡はどうする?」
するとどこからかメモとペンを取り出し、そこに何かをサラサラと書き付けてそのメモを僕に手渡ししてきた
「私個人の連絡先だ。出来れば君の連絡先も教えてもらえればありがたい」
「あーうん、えっーと…通信機能は……あった、これだ」
こちらも適当にカバンから紙を取り出し、そこにボールペンで連絡先をパパッと書いていく
「僕からはしてくることが特にないだろうな……時間があったら、ここに掛けてくれ。まだ話すべきことは多いからな」
「そうだな……あの「超融合」という融合カードと、エクシーズモンスターを素材とするエクシーズモンスター…「
「……機会があったらな」
「送りの者を派遣しよう。それまで、この部屋で待機しているといい」
それを伝えると、赤馬は僕たち2人を残して部屋を退出した。なんとも言えない沈黙が、空間を支配する
胸の中に思い浮かんだ、些細な疑問と不安。それをソファから立ち上がりながら砕羽に質問する
「砕羽」
「何だ?」
「お前は…もう、アカデミアではないよな?」
本当ならば、触れてはいけないことである。こいつにとっては
「あぁ、違う」
「……そうか……」
それでも、こうしっかりと答えてもらえると暗い何かは消えてなくなる。やる気と力が、心の底からムンムン湧き上がる
………頑張って、
そんな決意を固めながら、部屋に入ってきた送りの人たちに僕たちはついていった
前回の話の感想でアクションフィールドに関しての説明を受けたのでここで確認
この作品でのアクションフィールドはあくまでアクションデュエルをする為のフィールド魔法で、デュエル中に使用されるフィールド魔法は永続魔法扱いということになります。アクションフィールドにも特に影響はありません。分かりやすく言うならば、アクションフィールド「クロス・オーバー」発動中にセルゲイがフィールド魔法「地縛原」を使ったイメージで構いません。アニメとの設定で食い違いが生じるかもしれませんが、そういう作品だと理解していただければ…と思います
あと赤馬零児の使った「DDD」モンスターに関してですが、アニメ基準でありながら「シーザー」の効果が発動できたのは基本的にwikiの情報を参考にアニメカードの効果を把握しているからです。その際に「「シーザー」は効果を何故か発動しなかった」と書かれていたので、今回の「シーザー」はモンスター効果で「契約書」をサーチしました。「アレクサンダー」の連続攻撃もアニメ限定効果です。他は特に変わりはありません
灰色の濃霧
①フィールド上のカードを1枚対象に発動できる。エンドフェイズまで対象のカードの効果を無効にする
次回予告
いざこざと誤解を何とか解いて、赤馬零児と同盟(仮)関係を結んだ風斗。スタンダード次元で対アカデミアの対策を講じる風斗に、赤馬からある依頼の解決を持ち出されるーーー
「融合の凄さ、理解できたかしら?」
「シンクロの強さ、その目でしかと刻みやがれ!」
「LDSのエクシーズこそが最強だ!」
「テメェら全員そこで正座しろ!」
面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語
第20話「こだわりのデュエル」
デュエル・スタンバイ!