面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語   作:ジャギィ

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ARC–V予告でアスリンキターーー!!テンションアップで投稿だー!見事な融合召喚(意味深)が見たいものですなぁ…

あ、今回ソリティアが混ざってますのでご留意ください。あと北斗くんの扱いが若干アレですの注意を

では越えるべき第21話をドーゾ!

※9月9日に北斗のデュエル内容を大幅修正しました。予告通りとなったデュエルをお楽しみください



「契約金」

「うーん……この世界のレアカードの金額は本当おかしいな。何だ20万って」
「へ!そんなレアカードも、俺様にかかれば容易く手に入るものだがな!」
「沢渡!?何故沢渡が漫才次元に!?まさか自力で出演を?」
「何訳の分からねえこと言ってんだ。そんなことよりレアカードの金額が高いって?そんなもの、パパの力があればチョチョイのチョイよ!」
「良いなぁ、金に余裕のある奴は……」
「なんなら俺様のボディガードでもやるか?20万円で雇ってやるよ!なんなら今は40万だ!どうだ!?」
「いや、お前の金は汚れてそうだから止めておく」
「テメェ!どういう意味だコラァ!」


越えるべき壁

時はおやつ時、場所はLDSのデュエルコート。そこで僕と対峙していたのは、竹刀を背負った小柄な少年…刀堂刃。シンクロデッキでもわりかし強い「X(エックス)–セイバー」が相手ならば、無用な躊躇は即敗北となる……赤馬社長に言外に勝てと言われた以上、少し本気のデッキでいくか

 

「アクションデュエルじゃないのが少し残念だが…俺なら確実にお前を倒すことができるぜ」

 

デュエルディスクのプレートを出現させながら、八重歯を口元から覗かせ笑う刀堂。とても自信満々な態度に虚勢ではないと感じた僕は、カバンに手を突っ込みながら質問する

 

「へ〜…その根拠は?」

「お前のデッキ、前もって準備しねえと威力が出ねえ持久型のデッキだろ?真澄や北斗のデッキはスピードが遅いが、あいつらと違って俺のシンクロデッキは早いし数も多いんだよ!」

 

…なるほど、意外としっかりとした理由があったんだな。しかも結構回したとはいえ、たったあれだけで「霊獣」の性質を見抜くとは……伊達にLDSトップクラスの実力者の1人ではある

 

 

「何、あの言い方……まるで私が刃よりも弱いみたいな言い方じゃない」

「でも、真澄は実際負けた訳だし、そう言われても仕方ないんじゃ……」

「戦ってすらいないあんたが言っても説得力がないのよ」

「うぐぅッ!」

 

 

まぁ、そのトップのうち2人がデュエル外で漫才を繰り広げてる訳だが……北斗ークンはどこでも弄られる運命なんだな、うん

 

けど今はどうでもいいか、ンなこと。ディスクのデッキをケースの中にしまいカバンに入れ、別のデッキをデュエルディスクにはめ込む…といった最後の過程で、刀堂から言葉を投げ掛けられる

 

「あん?お前、何やってんだ?」

「…何、って……デッキを変えてるだけだが?」

「デッキを?デッキは1つだけじゃねえのか?」

「いや、僕はそんなこと一言も言ってないんだけど……」

『微妙に話が噛み合ってない気がするな』

 

黒星の言う通りだ。これはアレだろうか、アニメ世界特有のデッキは己の魂だから複数も持たない!…とかいう理屈だろうか?自分でも何を言ってるのかよく分からんが。でもそういう理由なら驚く理由にもなるし、僕はこの世界じゃとっても異端な決闘者(デュエリスト)ってことになるな。……今更過ぎるな、その評価

 

「珍しいな」と口に零しながら、刀堂はニヤリと笑いかける

 

「へ!さっきのデッキじゃ勝てねえってビビったのか?」

「……別に、好きに言えばいいんじゃない?臆病ってのは間違ってないし……。それに、僕はお前たちに実力を示した上で勝つ予定だからな。融合は見せた……次はシンクロだ」

 

挑発には挑発で……デッキを差し込みながら、僕はディスクを起動させる。戦闘の意思を見せた僕に対して刀堂が向けたのは…獰猛な笑み

 

「面白え…どうやってシンクロ召喚を覚えたのかは知らねえが、簡単に俺を倒せると思わねえことだな!」

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 5枚

VS

刀堂 刃 LP4000 手札 5枚

 

 

「今度の先行は僕だ!僕は手札からフィールド魔法と永続魔法の2枚を発動!「スクラップ・ファクトリー」!「補給部隊」!」

 

大地が揺らぎ、周囲の景色が変容する。それは巨大なスクラップ工場であった。不良品や壊れて使えなくなったものをプレス機で小さく粉砕し、煮え滾った熱い釜で溶かし再利用する為の場所。鉄くずの溶ける音と臭気が充満する

 

「ウオッ…随分フィールドが変わったな〜……」

『しかし、フィールド魔法の映像投影(ソリッドビジョン)だけ気合入れすぎだろ……』

 

だよね。アニメじゃ初期の頃から作画とかヤバかったし…初めてユートや社長とデュエルした時は変化が小さかったけど、本来ならこれくらい変わるものなのかねぇ……

 

一方、「スクラップ・ファクトリー」の発動で周りを見渡しながらも警戒を緩めない刀堂。何かを伺うような、鋭い目つきをさらに細める

 

「フィールド魔法だと?それに永続魔法…一体どんなデッキなんだ……?」

「モンスターをセット。これで僕はターンエンド」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 2枚

 

スクラップ・ファクトリー

 

セットモンスター

 

補給部隊

VS

刀堂 刃 LP4000 手札 5枚

 

 

 

「?モンスターをセットしただけ?カードも伏せない……一体何が狙いなの……?」

「多分いいカードを引けなかっただけだろ?まぁどっちにしろ……刃の「X(エックス)–セイバー」を相手に、中途半端な守備は愚策なだけだけどね」

 

 

「俺のターン!ドロー!最初から飛ばしてくぜ!手札から「XX(ダブルエックス)–セイバー ボガーナイト」を召喚!」

 

前後左右…4方向に角の生えた兜を被った上半身が裸の戦士が現れる。その顔や身体はゴブリンのような荒々しい見た目であり、手にはその容姿からは想像もつかないほど細いレイピアが握られていた

 

XX(ダブルエックス)–セイバー ボガーナイト

レベル4 ATK1900

 

「ボガーナイト」!もう既に手札に引き込んでいたのか!そしてそいつを召喚したということは……

 

「その顔…どうやら俺が何をするのか、分かってるみたいだな。だが、罠がないんじゃ俺の「X(エックス)–セイバー」たちは止められねえぜ!「ボガーナイト」の効果!このカードが召喚に成功した時、手札の「X(エックス)–セイバー」と名のついたレベル4以下のモンスターを1体、特殊召喚できる!俺はチューナーモンスター「XX(ダブルエックス)–セイバー フラムナイト」を特殊召喚する!」

 

僕に対抗策がないと分かっているからか、気兼ねなくフィールドを展開してくる刀堂。そんな奴が次に召喚したのは、電気の帯びた鉄鞭を持った小柄な金髪の女性だった

 

XX(ダブルエックス)–セイバー フラムナイト チューナー

レベル3 ATK1300

 

やっぱりチューナーを握ってやがったか!ンでもって出てきたのは「フラムナイト」…となると、出てくるのはレベル7だから「ソウザ」ということに……

 

「さらに、俺の場に「X(エックス)–セイバー」が2体以上いる時、手札の「XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール」は特殊召喚できる!」

「ちょっ、マジかよ!」

『よりにもよって最悪のパターンの方か!』

 

ーーーならなかった。相手が畳み掛けるように特殊召喚したモンスターは、見たことがあるかつ最悪の布陣の前触れである

 

その鎧は輪郭部位が朱くその中が黒く塗り潰されており、朱と黒を際立たせる為の直線と曲線が青白く光る。大地に踏み締めた、ところどころが機械と化した身体を軋ませる。目元を覆う赤いバイザーの横線から閃光とともに、「フォルトロール」は威圧感を放った

 

XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール

レベル6 ATK2400

 

これはヤバいかも…主にハンデスされたらだけど。「スクラップ」に手札除去はちょっとキツい

 

けど、「フォルトロール」は1ターンに1度「X(エックス)–セイバー」を蘇生させる効果を持つ。それを最大限発揮しようとするならば、先に「ボガーナイト」と「フラムナイト」でシンクロする筈……その時が、《《手札のカード》》の使い時

 

「俺はレベル4の「ボガーナイト」に、レベル3の「フラムナイト」をチューニング!交差する刃持ち、屍の山を踏み超えろ!」

 

「フラムナイト」が手を上にあげ、新体操でリボンを回すように鞭で自分の身体を覆うように回す。するとその身体は光り出し、チューニングに必要な光輪を3つ生み出した。輪に入った元「ボガーナイト」の4つ星の列が並び……眩い柱が通過する

 

ボロボロの赤い衣をはためかせ現れたのは、全身に古傷を抱く歴戦の猛者。他を犠牲にしながら勝利に執着する姿は気迫があり、鬼のように醜悪な笑みを浮かべながら、両手の双剣を前面に交差しながら構えた

 

「シンクロ召喚!出でよ!レベル7!「X(エックス)–セイバー ソウザ」!!」

 

X(エックス)–セイバー ソウザ

レベル7 ATK2500

 

「まだ終わりじゃねえぞ?「XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール」のモンスター効果!1ターンに1度、墓地の「X(エックス)–セイバー」モンスター1体を特殊召喚できる!これで墓地のチューナーモンスター「フラムナイト」を……ッ?!」

 

それは唐突に、何の前触れもなく。「フォルトロール」は剣で杖のように支えながらも片膝をつき、力なく項垂れる。その様子には、肝が据わっている刀堂も動揺を隠せなかった

 

「な、「フォルトロール」!?」

「悪いな、刀堂」

 

僕は確認させるかのように、《《たった1枚》》だけの手札をヒラヒラと揺らした。手札が見えるようなヘマは当然だがしない

 

「僕は「XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール」の効果にチェーンして、手札の「エフェクト・ヴェーラー」の効果を発動させてもらった」

「相手ターンに手札から発動するカードだと!」

「「エフェクト・ヴェーラー」は相手メインフェイズに相手モンスターを対象に取り、墓地に送ることで効果の発動が行える。対象となったカードは、このターンの終わりまで効果が無効になる」

 

淡々とした説明に、渋い表情で歯噛みしながら刀堂はこちらを睨みつけてくる。ソリティアの邪魔をされたのは悔しいんだろうけど、その親の仇のような目はやめてくんない?どんだけソリティア好きなのさ

 

「クソ、だから「フォルトロール」の効果が途中で止まっちまったのかよ…!」

 

何か出来ることはないか、手札を見ながら模索し……十数秒。手札との相談の結果、これ以上は何も出来ないと判断したのか展開は中断される

 

 

「凄い…あの刃の展開を、罠カードもなしに止めるなんて……」

「あの「エフェクト・ヴェーラー」ってカード、僕や刃には天敵もいいところだな……けど、何で最初の「ボガーナイト」の効果で止めなかったんだ?」

「知らないわよ、自分で考えなさいよそれくらい」

「うッ…そ、そこまで言うかい…?」

「……でも、確かに何で「ボガーナイト」の時に使わなかったのかしら?さっきの様子だと、「フォルトロール」が出てくるのは予想外だったから?それとも取っておくつもりだった…?」

 

 

「俺のシンクロ召喚をこんな方法で止めたのはお前が初めてだぜ。やるじゃねえか」

「そりゃどうも」

 

先ほどの憎々しげな視線を引っ込め、一転して僕を褒める刀堂。その顔は、まだまだ俺が有利だと物語っている顔だった

 

「だが、シンクロを止めても「ソウザ」と「フォルトロール」の攻撃力は2500と2400!バトルすれば、大ダメージは免れねえぜ!」

「やってみな!出来るもんならなぁ!」

「その言葉、後悔すんなよ!バトルだ!「XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール」で裏守備モンスターを攻撃!」

 

筋骨隆々の肉体を捻らせながら、鋼鉄で出来た腕を勢いよく振る。その先端にある剣から斬撃が飛び、表側になったモンスターに強く食い込ませた……が

 

「モンスターが破壊されないだと!?」

 

白い衝撃波はぶつかった鉄を大きく歪めながらも破壊しきれず、そのまま霧散した。「フォルトロール」の強烈な一撃を凌いだそのモンスターは、蛇口に鍋、カメラやフォーク、洗濯バサミ等々…必要とされないゴミで身体を構築した、鉄クズの生命体だった。曲がったフォークの腕を地面で叩きながら直していく様子は、見てるだけで可哀想な気持ちが込み上がってきた

 

スクラップ・ゴブリン チューナー

レベル3 DEF700

 

「無駄だ、「スクラップ・ゴブリン」は戦闘では破壊されないモンスター……守備表示である以上、貫通効果でもない限り「スクラップ・ゴブリン」は破壊されない。そして「スクラップ・ファクトリー」により、僕の「スクラップ」モンスターは全て攻守が200アップする」

「何だと!」

「ただし、「スクラップ・ゴブリン」は表守備で攻撃の標的となった時、バトルフェイズ終了時に自らの効果で自壊する」

「なら、やることは変わらねえ!「ソウザ」!「スクラップ・ゴブリン」を攻撃しろ!」

 

刀堂の命令に従い、構えられた双剣を同時に振るいX字の衝撃を叩きつける。耐性のある鋼鉄の獣戦士は当然の如く倒れない…が、外部も内部もゴミ山の寄せ集めで出来た「スクラップ・ゴブリン」の身体では、耐久力があっても持久性が皆無であり……耐え切ったはずの「スクラップ・ゴブリン」は攻撃の終了と共に朽ちながら崩れ落ちた

 

己の効果で自壊した僕のモンスター…しかしこれはただの破壊ではなく、次の展開への予備動作だ

 

「僕のフィールドの「スクラップ」モンスターがカード効果で破壊された時、フィールド魔法「スクラップ・ファクトリー」の効果発動!さらにチェーンして僕のモンスターが破壊され墓地に送られた時、「補給部隊」の効果を発動!」

「破壊をトリガーに発動するカードだと!?」

「まず「補給部隊」の効果で、デッキからカードを1枚ドローする!次に「スクラップ・ファクトリー」の効果!デッキから「スクラップ」モンスター1体を特殊召喚する!「スクラップ・ゴーレム」を特殊召喚!」

 

ボロボロになり、利用価値のない鉄クズと化した「スクラップ・ゴブリン」が巨大な炉に放り込まれる。膨大なドロドロの熱量に溶かされる「スクラップ・ゴブリン」とは別の場所で、鉄が積み重なって出来た山が震える。その中から…扇風機のファンが先端についた腕が飛び出る。その腕がついた身体はカビてヒビ割れ、黄ばんだ冷蔵庫に鉄パイプが外骨格のように巻きついており、その上には頭部と思わしき閉じられた電子レンジの中から……目のような赤い光が灯った

 

スクラップ・ゴーレム

レベル5 ATK2500

 

「攻撃力2500のモンスターをいきなり召喚するとは…最初からこれが狙いでモンスターをセットしていたわけか」

「わざわざ自壊効果を説明したのを怪しまず攻撃したのはお前だぜ?デュエルが強い奴なら、怪しすぎてまず攻撃しようとは思わないな」

「ケッ、どうせ俺が効果で破壊してきた方が、都合がいいって考えてたんだろ?そこまで考えてモンスターをセットしたんだ。そうなると、仮に俺が破壊しなくても自分で破壊できる手段を握ってるに決まってる」

『……鋭いな、あいつ』

 

本当に、観察眼が優れた奴だな

 

確かに刀堂の言う通り、僕が最後に持っていた1枚は「ブラック・ホール」。これを使えば次のターンに無理矢理展開することは可能……なのだが、基本的に逆境か決定的じゃない限り使う気はない。伏せがないなら即使う気ではあるものの…どうなるだろうか、これは

 

「それに、チマチマ考えんのは俺の性に合わねえ!俺はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 2枚

 

スクラップ・ファクトリー

 

スクラップ・ゴーレム

レベル5 ATK2500

 

補給部隊

VS

刀堂 刃 LP4000 手札 1枚

 

X(エックス)–セイバー ソウザ

レベル7 ATK2500

XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール

レベル6 ATK2400

 

伏せカード 2枚

 

 

ふむ、滑り出しは上々だな。墓地には「スクラップ・ゴブリン」…伏せも2枚あるし、ドローカードの場合によっちゃ自壊も視野に入れとくか

 

「僕のターン、ドロー!…僕は「スクラップ・コング」を召喚!」

 

今引いたカードを赤いディスクにセットする。すると瓦礫から這い出てくるは胴体がドラム、手足頭が工業品で作られたゴリラ。それぞれの腕は万力ばさみとチェーンソーであった

 

スクラップ・コング

レベル4 ATK2200

 

「「スクラップ・コング」が召喚に成功した時、効果発動!このカードを破壊する!」

「召喚しただけで自壊する効果だと!?…つーことは……!」

「その通り!「スクラップ・ファクトリー」の効果!チェーンして「補給部隊」の効果!」

 

ベルトコンベアによって「スクラップ・コング」が流れていく。その先にはプレス機が次々とあらゆるものを小さな鉄塊に変えてゆき…当然というべきか、ジャングルの王者を模したモンスターも両側から迫る壁の挟み撃ちには勝てなかった。無限湧きすらするコングを模しても、ボロクズは哀れなまでにボロクズである

 

「まず「補給部隊」の効果で1枚ドロー!そして「スクラップ・ファクトリー」の効果、「スクラップ・ビースト」をデッキから特殊召喚する!」

 

次に現れたのは、身体の部位に車のパーツが使われた大型犬の獣。しなるコードを束ねた四肢を曲げ、首の代わりにつけられた排熱エンジンを唸らせた

 

スクラップ・ビースト チューナー

レベル4 ATK1800

 

「スクラップ」デッキの破壊コンボに苦い表情をする刀堂は、新たに出現した「スクラップ」モンスターを見てさらに顔を顰める

 

「破壊される度に場が整っていきやがる。しかもそいつ、チューナーかよ」

「「スクラップ・ゴーレム」のモンスター効果!1ターンに1度、自分の墓地のレベル4以下の「スクラップ」モンスター1体を自分もしくは相手フィールドに特殊召喚する!チューナーモンスター「スクラップ・ゴブリン」を僕の場に特殊召喚!」

 

スクラップ・ゴブリン チューナー

レベル3 DEF700

 

「僕はレベル5の「スクラップ・ゴーレム」に、レベル4の「スクラップ・ビースト」をチューニング!」

 

「スクラップ・ビースト」は喉の鉄をカチカチ鳴らし、金属音を響かせる。響いた音は「スクラップ・ビースト」自身を同調に必要な形に変え、その中で錆びた巨人(ゴーレム)は新たな意志へと変化するーーー

 

「切り捨てられた怨念を遺棄物に宿し、目に映るあらゆるものを掻き消せ!」

 

ガチャリ……金属を打ち鳴らし、ゴミの山の頂点に降り立ったのは巨大で歪な竜。青いトタンを擦り合わせ広げられた翼、関節の役目を要するタイヤのゴムは汚れきっており、胴体の左右に取り付けられた歪んだ2つの錆びたパイプからガスを排出しその身体を宙に浮かした

 

「シンクロ召喚!吹き飛ばせ!レベル9!「スクラップ・ツイン・ドラゴン」!!」

 

青緑と白が混ざり合った4つのライトの視線はギラついており、軋む竜は2つ首のその喉を震わせ……甲高い金属の不協和音を唄った

 

スクラップ・ツイン・ドラゴン

レベル9 ATK3200

 

「攻撃力、3200……「ソウザ」と「フォルトロール」を上回ってきたか!」

「これだけの筈、がないだろうが!このカードは自分のフィールドのカード1枚と相手フィールドのカードを2枚選択し、効果を発動する。僕は「スクラップ・ゴブリン」とお前伏せカード2枚を対象に、「スクラップ・ツイン・ドラゴン」の効果発動!僕の対象のカードを破壊し、お前の対象の2枚を手札に戻す!」

「何だと!?」

 

「スクラップ・ゴブリン」は己より一回りも二回りも大きい2つ首の竜の効果により、破壊され「ツイン・ドラゴン」に吸収される。その力を糧にして大きく翼を広げ……早く、力強く羽ばたく。穴だらけだが頑丈な剛翼から吹き荒んだ暴風は、刀堂の2枚の浮き上がった伏せカードを霧散させる

 

伏せられたカードの効果は2枚とも使わなかった。正直うち1枚は「ガトムズの緊急指令」辺りじゃないかと踏んでいたのだが……使えなかった?使わなかった?だが今言えること…それは、今がチャンスだということ

 

(くそ、「セイバー・リフレクト」に「メテオ・レイン」が…このターンの攻撃で「フォルトロール」は確実に破壊されるだろうが、次のターンに通常召喚できる「X(エックス)–セイバー」を引けば「ソウザ」の効果であのモンスターは破壊できる。破壊は出来ればしたくねえが…いや、もし「ガトムズの非常招集」を引けば、まだどうにか出来るかもしれねえ…。とりあえず、今はこのターンを……)

「僕の場のモンスターが効果で破壊された時、手札のあるモンスターの召喚条件が満たされ特殊召喚できる!」

「あるモンスターだと?」

「その前にチェーンして「ツイン・ドラゴン」の効果で破壊された「スクラップ・ゴブリン」のモンスター効果だ。墓地の「スクラップ・ビースト」を手札に加える……そして!」

 

5つの虚空が開く。そこから大地を意味するようなオレンジと茶色の機械パーツが飛び出してくる。それらは魚や貝、亀などのような、海洋生物の形状をしており……それらは、宙を舞い動き始める

 

そんな僕の呼び出した何かに、観戦中の志島と光津はギョッと驚く

 

「な、何だァ?!一体何なんだ!?」

「フィールドにモンスターがいるのに、一気に5体のモンスターを……!?」

 

既に「スクラップ・ツイン・ドラゴン」がいるにも関わらず、5体のモンスターと思わしき機械を同時出現したことに光津は困惑の表情を浮かべる。志島に至っては完全に恐慌状態である

 

「人類を滅ぼす象徴が1つよ!大地の焼き尽くす為、絶望の未来より降り立て!」

 

ドーム状の機械が均等に分かれる。そこの間に別の2つに分かれた小さい骨組みのようなパーツが入り込み…挟まると、まるで戦車のようなキャタピラがついた脚部が出来上がる。横長の太いパーツと繋がり、そのパーツの右側に銃口が覆い被さった腕のパーツ、左に小さい銃口が剥き出しの巨大な腕に変形したパーツが……そして最後に細長く後ろのなびく形の頭部が、あからさまにブッピガン!…と音を立てながら合体してゆく

 

「合体せよ!「機皇帝グランエル(インフィニティ)」!!」

 

頭部の赤いモノアイが怪しく光り……「∞」の形に開いた胸部の中から、緑に輝くコアを覗かせる

 

機皇帝グランエル(インフィニティ)

レベル1 ATK 0

 

「…な、何だよ。派手な登場の仕方の割には、攻撃力0のモンスターを攻撃表示かよ。それでどうやって俺を倒すって言うんだ!それともシンクロの素材に使う気か?」

 

かなり警戒していた様子から一転、余裕だという態度を見せる刀堂。どうやら、この「機皇帝」が自分の天敵だとは全く想像してないようだな……

 

「いんや…このカードは、お前を敗北の絶望へと導くカードだ」

「敗北の絶望だぁ?へ、やれるもんならやってみやがれってんだ!」

「そうさせてもらおうか。「機皇帝グランエル」が特殊召喚に成功した時、僕のライフの半分の数値分攻撃力を上昇させる!」

 

機皇帝グランエル(インフィニティ)

レベル1 ATK2000

 

「だが、それでも攻撃力は2000!俺のモンスターたちの敵じゃないぜ!」

「なら……絶望してもらおうか。「機皇帝グランエル(インフィニティ)」のモンスター効果!1ターンに1度、相手シンクロモンスター1体をこのカードに装備する」

「……ハ?」

「吸収せよ!「機皇帝グランエル」!」

 

素っ頓狂な声が、刀堂の口から漏れる。しかしそんな刀堂の様子などお構いなしに、「グランエル」に命令をかます

 

「「ソウザ」!?」

 

「機皇帝グランエル」の「∞」のマークが光り、中央から大口のように開かれる。そこから触手を何本も飛ばし「X(エックス)–セイバー ソウザ」を拘束する。狂戦士は必死に逃れようともがくが、「シンクロキラー」の異名を持つ「機皇帝」相手にそんな抵抗は全くの無意味であり、白い光へと溶かされた「ソウザ」は「グランエル」の体内に吸収された。シンクロモンスターを吸収した「機皇帝」は、その力を増幅させる

 

「そ…そんなバカな…俺の、シンクロモンスターが……」

 

その顔は、いい感じの絶望色に染まりきっていた

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 3枚

 

スクラップ・ファクトリー

 

スクラップ・ツイン・ドラゴン

レベル9 ATK3200

機皇帝グランエル(インフィニティ)

レベル1 ATK4500

(装備)X(エックス)–セイバー ソウザ

 

補給部隊

VS

刀堂 刃 LP4000 手札 3枚

 

XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール

レベル6 ATK2400

 

 

「バトルフェイズ。「スクラップ・ツイン・ドラゴン」で「XX(ダブルエックス)–セイバー フォルトロール」を攻撃」

 

静かな声音で、敵モンスターに死刑宣告を告げる。2つの首でそれぞれサイボーグの戦士に狙いを定めながら、「ツイン・ドラゴン」は熱線を吐き出した。2方向からのドロドロに溶けた鋼鉄のブレスは「フォルトロール」の鉄の腕や鎧、剣をも焼き焦がし……「フォルトロール」は映像投影(ソリッドビジョン)の露へと消えた

 

「グウゥッ……!」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 3枚

 

スクラップ・ファクトリー

 

スクラップ・ツイン・ドラゴン

レベル9 ATK3200

機皇帝グランエル(インフィニティ)

レベル1 ATK4500

(装備)X(エックス)–セイバー ソウザ

 

補給部隊

VS

刀堂 刃 LP3200 手札 3枚

 

 

「チクショウ……例え「セイバー・リフレクト」が使えてても、俺の負けかよ…!」

「少年、これが絶望だ。「機皇帝グランエル」の攻撃…「グランド・スローター・キャノン」!」

 

「グランエル」が左腕の銃砲を構える。遠目でもしっかり確認出来るほどの強いエネルギーの球体を先端に溜め込み、圧縮し、迸らせ……解き放った。並々ならない殺戮の奔流は刀堂を覆い尽くし、ライフを根こそぎ奪った

 

「グワアアアァァァーーーッ!!」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 3枚

 

スクラップ・ファクトリー

 

スクラップ・ツイン・ドラゴン

レベル9 ATK3200

機皇帝グランエル(インフィニティ)

レベル1 ATK4500

(装備)X(エックス)–セイバー ソウザ

 

補給部隊

VS

刀堂 刃 LP 0 手札 3枚

 

 

 

「刀堂、大丈夫か?怪我…ないよな?」

 

あまりに勢いよく吹っ飛んだから、つい不安になり起き上がる刀堂に近づく。その顔には悔しさなどの感情が混ざった表情で……力を見せつける為とは言え、流石に絶望云々は言い過ぎたかと心の中でちょっぴり反省した

 

「クソ、負けちまったぜ。俺のターンに手札からモンスター効果……まさかシンクロ召喚にこんな弱点があったとはな……」

 

項垂れながら、先ほどのデュエルの内容を反芻する竹刀くん。目を閉じながら片手で髪の毛をガシガシとかきむしる

 

いや、どちらかというと妨害に関する認識はこの次元共通の課題なんだけど。それに1番の慢心はレベル・攻撃力が低いからって「機皇帝」を侮ったことだろうに。……まぁいいか、「サクリファイス」とかのその辺のカードはこれから徐々に教えて変えていけばいいし……それにメンタルも強いみたいだ、シンクロモンスターを取られて自信喪失とかにはならなくて本当に良かった

 

「あ〜っと、そのぉ…次が控えてるからな?そろそろエクシーズの彼と変わってくんない?」

「あぁ、分かってるって。…あんだけ啖呵きっておいて、シンクロ勝負に負けるなんて情けねえぜ……」

 

最後の呟きは聞いてなかったが、ため息を吐いて何かを言いながら、彼はエリア外で待機しているLDS首席チームの2人の元へいった。光津から何かお小言でももらったのだろうか、刀堂がえらい大声で光津に言い返していた

 

「やるじゃないか、刃と真澄を倒すなんてね。しかし…どうやって融合やシンクロを身につけたんだい?LDS、だけで教えている召喚法を……参考にまで教えてくれよ」

 

入れ替わるように入ってきた最後の男…志島北斗は、星の髪飾りをつけた逆立った髪を揺らしながら、嫌味ったらしい顔で僕に問いかける。LDSの部分を強調しているのがまたさらに嫌味ったらしい、何というか神経を逆撫でてくれる感じだ

 

なので、意趣返しの意も含めて遊戯王風にズバッと切り返す

 

「消えゆく者に教える答えはない」

「何だと……?」

 

そんな僕の返答を聞いてコメカミに青筋を浮かべ、怒り心頭の気持ちを顔で表してくる志島。ここで「俺好みの答えだ」って感じで返せないあたり、彼はカード化が逃れられない運命なのかもしれない。ネタキャラだろうとプラシドやエアーマン(三沢)バリアンの(面)白き盾(ブックス!)に匹敵、あるいは準ずる実力でなければ、待っているのは哀れな末路(退場)なだけ。北斗ークンはどこまでも北斗ークンなのだ

 

「ふん、2人を倒したからっていい気になるなよ!デュエルで最強なのは、LDSのエクシーズだということを思い知らせてやる!」

「…………」

 

ここまで…ここまで高慢ちきに見下されると、流石に……イラっとくるぜ!

 

決めた、こうなったらガチだ。この思い上がりバカに、OCGにおけるエクシーズデッキの恐怖を身をもって思い知らせてやる。禁止?制限?知らんな、そんなもの僕の管轄外だ。何よりここは異世界…元の世界のリミットレギュレーションなんざ、ないも同然!縛りプレイ状態であろうと「プレアデス」すら召喚させずに勝利なんて余裕……

 

ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

「ウオッあぁ!?」

 

何て考えながらカッコよくデッキを差し込んだら、デュエルディスクからけたたましい警告音が鳴り響いた。うるさ過ぎて両手で塞いで、そしたら腕のディスクが耳に近づいてより耳にダメージを与えたので、今度は腕を顔から離しながら片耳を塞ぐ。う、うるせえぇぇっ!

 

大音量に我慢しながらもデュエルディスクの赤い液晶画面を見る。すると、そこには「No.(ナンバーズ)23 色の支配者ショック・ルーラー」「ラヴァルバル・チェイン」「星守の騎士(テラナイト) プトレマイオス」「旧神ノーデン」「Em(エンタメイジ)ダメージ・ジャグラー」などなど……万が一の為に対アカデミア用に組んでおいたデッキに入っていた、この世界の住人には分からない禁止カードたちが画面上に羅列していた。それらの上には赤い文字で「limitation(イリティーション)」と書かれていた…意味は、禁止や制約

 

察した僕はエクストラから「ショック・ルーラー」「チェイン」「プトレマイオス」「ノーデン」、メインデッキから「ダメージ・ジャグラー」を急いで抜き……ようやく音が鳴り止み、ディスクの画面も正常に戻った

 

「グゥゥ……!オイあんた!自分のデュエルディスクくらいちゃんと管理したらどうなんだ!?耳が痛いだろうが!」

「わ、悪い……」

 

怒鳴りつけてくる志島だが、今回は僕のミスで起こした事態だから素直を謝り、抜き取ったカードを見やる。さっきの状況を思い返して、この世界に来る際にもらったデュエルディスクの欠点…いや、制約を簡単に理解した

 

このデュエルディスク、僕の世界の禁止制限に対応してやがるのか。禁止制限に反したカードがデッキ・エクストラデッキに入っていたら、さっきのように警告音を鳴り響かせてデュエルを行えなくするのか……。それによくよく考えてみれば、この世界にOCGのリミットレギュレーションは意味をなさないのにそれを更新していくなんて無駄な行為……だが、このディスクがもしスマフォの情報と連動しているならば、それは意味があるものとなる

 

けど、何だって今ここでそれが発覚しちゃうわけ?バカなの?死ぬの?生憎入ってる禁止・制限カードはそこまで多くはないが…この場でデッキ修正すんの、面っ倒くせぇ〜……

 

「……また後で直そ」

 

とにかくデッキを抜いて、本来使う予定だったファンサービスデッキを入れた

 

「待たせたな」

「まったくだ…だが、どんな手を使おうがLDS最強のエクシーズに勝つことは出来ない!それを、このデュエルで証明してやる!」

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 5枚

VS

志島 北斗 LP4000 手札 5枚

 

 

 

今回の先行は……僕か。先行プレアデスされないのも含めてラッキーだな

 

「僕の先行。僕は「ギミック・パペット–死の木馬(デス・トロイ)」を召喚」

 

カードをデュエルディスクにセットすると、地面からバラバラな状態の不気味な西洋人形が、カシャカシャ音を立てながら組み立てられる。やがてそれは、無数の人形パーツでできた馬の人形になった

 

ギミック・パペット–死の木馬(デス・トロイ)

レベル4 ATK1200

 

うひゃ…思いの外気持ち悪い召喚エフェクトだったよ。見ろよ光津の顔とか、真っ青になってるよ

 

「うっ、気持ち悪いモンスターだな……」

「同感。……さて、「死の木馬(デス・トロイ)」のモンスター効果。フィールド上の「ギミック・パペット」1体を破壊できる。この効果で「死の木馬(デス・トロイ)」自身を破壊する」

 

内側から弾けて爆☆殺した「死の木馬(デス・トロイ)」。しかし墓地に送られた「死の木馬(デス・トロイ)」がフィールドに出現する

 

「「死の木馬(デス・トロイ)」がフィールドから墓地に送られた時、手札の「ギミック・パペット」を2体まで特殊召喚することができる」

「そのためにわざわざ「死の木馬(デス・トロイ)」自身を破壊したのか」

「「ギミック・パペット–ネクロドール」と「ギミック・パペット–ギア・チェンジャー」を守備表示で特殊召喚!」

 

死の木馬(デス・トロイ)」の背中が開くと、そこから2体の「ギミック・パペット」モンスターが飛び出してきた

 

片目を隠すように頭に包帯をつけて、血がこびりついたドレスを着た女の子の西洋人形。「ネクロドール」が微笑み声を出しながら棺桶のベッドから起き上がる

 

もう1体は胴体の部位がギアの箱になっている頭部のない青い人形。無我夢中にギアを調整する姿は悪夢に出てきそうだった

 

ギミック・パペット–ネクロドール

レベル8 DEF 0

ギミック・パペット–ギア・チェンジャー

レベル1 DEF100

 

「お、おい!さっきから何なんだよそのモンスター!趣味が悪いぞ!」

「そうは言われても、そういうデッキだからな」

 

それに僕、「ギミック・パペット」は好きなデッキの1つだし

 

「しかも低い守備力のモンスターを2体…レベルも違うし、守備でも固める気かい?」

「違うね。「ギミック・パペット–ギア・チェンジャー」のモンスター効果!「ギア・チェンジャー」のレベルを自分の他の「ギミック・パペット」モンスターと同じレベルにする!」

「何!?」

 

「ギア・チェンジャー」が細い腕を忙しなく動かしてギアを調節する。「ネクロドール」のレベルは8、つまり「ギア・チェンジャー」のレベルも同じ8になる

 

ギミック・パペット–ギア・チェンジャー

レベル8 DEF100

 

「レベル8のモンスターが2体…!エクシーズか!」

「レベル8の「ギミック・パペット–ネクロドール」と、レベル8となった「ギミック・パペット–ギア・チェンジャー」の2体で、オーバーレイネットワークを構築!!現れろ、「No.(ナンバーズ)15」!!」

 

2体のモンスターが飛び込んだ渦から光が溢れ、そこから現れたのは……強く脈動する巨大な心臓

 

「運命の糸を操る地獄からの使者。漆黒の闇の中より、舞台の幕を開けろ!エクシーズ召喚!」

 

心臓が内側から開いて変形していく。人形のパーツとなり形となって現れたのは、イスに座る巨大な黒い人形。無機質な翠の瞳には光が存在せず、座席の上から吊るされた糸に引っ張られ手脚が揺れる

 

「出ろ、ランク8!「No.(ナンバーズ)15 ギミック・パペット–ジャイアントキラー」!!」

 

No.(ナンバーズ)15 ギミック・パペット–ジャイアントキラー

ランク8 DEF2500

ORU(オーバーレイユニット) 2

 

背後に鎮座するように現れた「ジャイアントキラー」。あまりの巨大さに威圧感でも感じたのか、志島は1歩後ずさる

 

「で、デカい!なんだエクシーズモンスターは!?」

「カードを2枚伏せてターンエンドっと」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 0枚

 

No.(ナンバーズ)15 ギミック・パペット–ジャイアントキラー

ランク8 DEF2500

ORU(オーバーレイユニット) 2

 

伏せカード 2枚

VS

志島 北斗 LP4000 手札 5枚

 

 

「くっ…しかし守備力が2500あろうと僕の「プレアデス」の敵ではない!僕のターン、ドロー!」

 

己を奮い立たせながらカードを引いた志島は、モンスターの召喚に移った

 

「僕はセイクリッド・グレディ」を召喚!「グレディ」は召喚に成功した時、手札の「セイクリッド」モンスターを1体、特殊召喚できる!」

 

黄道十二星座が1つ、山羊座の力を司る白銀の鎧を着た魔法使いが現れる。体格と身体つきから女性なのだと分かり、その手には杖が握られていた

 

セイクリッド・グレディ

レベル4 ATK1600

 

「セイクリッド・グレディ」は力を溜める。新たな星の体現者を呼ぶ為にその杖を振るう

 

「この効果により、僕は「セイクリッド・カウスト」を特殊召喚!」

 

次に出てきたのは下半身がケンタウロスのように馬の胴体になっている金の弓を持ったモンスター。見ただけで射手座と分かる風貌であった

 

セイクリッド・カウスト

レベル4 ATK1800

 

「「セイクリッド・カウスト」のモンスター効果!1ターンに2度、自分フィールドの「セイクリッド」モンスターのレベルを1つ変化させる!「カウスト」と「グレディ」のレベルを1つあげる!」

 

「カウスト」が天に向かって矢を射る。すると空から光の雨が2体の「セイクリッド」に降り注ぎ、レベルを上昇させた

 

セイクリッド・グレディ

レベル5 ATK1600

セイクリッド・カウスト

レベル5 ATK1800

 

志島のフィールドにレベル5のモンスターが2体揃う。間違いなく出てくるのはあのモンスターだろう

 

「僕はレベル5の「グレディ」と「カウスト」の2体で、オーバーレイ!!」

 

宇宙のような穴にモンスターたちが吸い込まれ、そこから眩い光が止めどなく漏れる

 

「星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!」

 

星雲の切り開き出現したのは、星のように金銀に輝く鎧を纏った戦士。マントの内側には星が漂う宇宙が広がっており、周囲には光の球がゆっくり旋回していた

 

「エクシーズ召喚!ランク5!「セイクリッド・プレアデス」!!」

 

セイクリッド・プレアデス

ランク5 ATK2500

ORU(オーバーレイユニット) 2

 

召喚されたのは先行プレアデスで名高い「セイクリッド・プレアデス」であった。……名高いっつーか悪名高いってところか。一時期のこいつにはホント舌打ちもんだったし……チッ

 

「これが僕の切り札、「セイクリッド・プレアデス」!!いかに君のモンスターの攻撃力、守備力が高くても「プレアデス」の前には無力だ!」

「ハイハイ、ソーデスネー」

「ってなんだその態度は!」

「いや、正直「プレアデス」1体出されたくらいで「だから?」って話だし……」

 

正直に言ったのが相当頭にきたのか、志島は眉間にすごいしわを寄せてこっちを睨みつけてきた

 

「ならば「プレアデス」の力を思い知れ!「プレアデス」のモンスター効果!ORU(オーバーレイユニット)を1つ使い、フィールドのカード1枚を手札に戻す!「ジャイアントキラー」を手札に戻す!!」

「させるかよ。「ブレイクスルー・スキル」を「プレアデス」対象で発動!エンド時まで対象のモンスター効果を無効にする!」

「なんだと!?」

 

ORU(オーバーレイユニット)を握り潰して効果を発動しようとする「プレアデス」だが、オープンした「ブレスル」から出た光線を食らって効果を無効化される

 

「これで「プレアデス」の効果は不発」

「くっ……僕はこれでターンエンドだ!」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 0枚

 

No.(ナンバーズ)15 ギミック・パペット–ジャイアントキラー

ランク8 DEF2500

ORU(オーバーレイユニット) 2

 

伏せカード 1枚

VS

志島 北斗 LP4000 手札 4枚

 

セイクリッド・プレアデス

ランク5 ATK2500

ORU(オーバーレイユニット) 2

 

 

(落ち着け、「プレアデス」の効果は相手ターンにも使用できる。ここで「ジャイアントキラー」を戻しても構わないが、あのデッキはおそらくランク8が主軸のデッキ。なら「ジャイアントキラー」以上の攻撃力を持ったエクシーズが出てくる可能性は高い。ならそのエクシーズモンスターが召喚した時を狙い撃ちした方が有利になる!「ジャイアントキラー」では「プレアデス」を破壊することはできない…次のターンで決めてやる!……うん?そういえば「ブレイクスルー・スキル」でモンスター効果を無効にできるなら、どうして「グレディ」の時点で止めてこなかったんだ?なんか、刃の時にもこんなことが……)

「僕のターン、ドロー」

 

うーん、「ジャンク・パペット」かー。まあ万が一「ジャイアントキラー」がどうにかされた時にでも使うか

 

「「ギミック・パペット–ジャイアントキラー」のモンスター効果、ORU(オーバーレイユニット)を1つ使うことで相手の特殊召喚したモンスターを対象に発動できる。そのモンスターを破壊する」

「な、なんだと!?」

 

「ジャイアントキラー」の効果を聞いて目を見開く志島

 

「対象は当然「プレアデス」」

「させるか!「プレアデス」の効果で、ORU(オーバーレイユニット)を使って「ジャイアントキラー」を手札に」

「墓地の「ブレイクスルー・スキル」除外して効果発動。「プレアデス」の効果をエンドフェイズまで無効」

「また「プレアデス」の効果が無効にされた!?」

 

哀れ志島北斗。君の切り札の「プレアデス」はこれから無残に蹂躙されるのだからな

 

「さあ!「プレアデス」を粉砕しろ「ジャイアントキラー」!!」

 

今までの恨みつらみが吐きながら巨大な人形に命令を下す。掌から細い糸を飛ばして、「プレアデス」を操り人形のように動きを止める。そのままゆっくりと「ジャイアントキラー」の方に引っ張られる「プレアデス」に待つのは……開かれた胸部の入り口で凶悪に回転する粉砕機

 

「な……ま、まさか!?」

 

何かを志島が察するがもう遅い。「ジャイアントキラー」の胸部まで引っ張られた「プレアデス」は、粉砕機に無理やり引きずり込まれる

 

苦悶を声をあげ必死に逃れようと抵抗するが、そんな抵抗も虚しく嫌な音を立てながら徐々に粉砕される

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!

 

「プ、「プレアデス」ゥゥゥーーー!!」

 

大事な切り札を残虐に破壊されて涙を流す志島とそれを見て楽しくなってきた僕。やっべ、これちょっと愉快だわ

 

「そして破壊したモンスターがエクシーズモンスターならば、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」

「な、何ィ!?」

 

胸部の暗い穴の奥から大きな大砲が伸びてきて、志島に狙いを定める。Ⅳ様に成りきりながら僕は宣言する

 

「俺のファンサービスを受け取れェ!「ディストラクション・カノン」!!」

「グワアアア!!」

 

志島 北斗 LP1500 手札 4枚

 

「く、くそ!エクシーズモンスターを召喚させたのはこれが狙いだったのか!この僕が負けるなんて……」

「罠カード「ミス・リバイブ」を発動。相手の墓地のモンスター1体を相手フィールドに復活させる。「プレアデス」を蘇生」

「えっ?」

 

僕が発動したカードにポカンとする志島だが、「ミス・リバイブ」の効果は適応され「プレアデス」が復活する

 

セイクリッド・プレアデス

ランク5 ATK2500

ORU(オーバーレイユニット)

 

「な、なんのつもりだ!?まさか僕に情けをかけるとでも…!」

「いや、そういうことじゃなくてだな」

 

何故だか憤る志島に「プレアデス」を蘇生させた理由を告げる

 

「「ジャイアントキラー」の効果な、1ターンに2回使えるんだよ」

「………ハ?」

 

訳がわからないといった感じで硬直したのも束の間

 

「…〜〜〜ッ!?!?!?」

 

ものすごく顔を真っ青にして、「ジャイアントキラー」の周囲で回るORU(オーバーレイユニット)を見ながら金魚みたいに口をパクパクさせていた。おお、スッゲェ変顔

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 1枚

 

No.(ナンバーズ)15 ギミック・パペット–ジャイアントキラー

ランク8 DEF2500

ORU(オーバーレイユニット) 1

VS

志島 北斗 LP1500 手札 4枚

 

セイクリッド・プレアデス

ランク5 ATK2500

ORU(オーバーレイユニット) 0

 

 

「それじゃ、「ジャイアントキラー」のORU(オーバーレイユニット)を使って効果発動!」

「や、やめろぉ!!」

 

やめろと言われてやめるバカはいない。ORU(オーバーレイユニット)の力を吸収した「ジャイアントキラー」は再び掌から糸を飛ばし「プレアデス」を拘束、そのまま粉砕機に押し付けられる

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!

 

破壊の音色と「プレアデス」の断末魔がコーラスを奏でる

 

「うわあああああああああああ!!!?」

 

もはや訳がわからないと言った感じで志島は絶叫していた。なんて可哀想な(コナミ感)…しかし慈悲はない

 

「さあ、「ジャイアントキラー」!!いい悲鳴をあげさせてもらった礼をたっぷり返してやれ!!「ディストラクション・カノン」!!!」

 

巨大な我がしもべは内側から大砲を展開し…2500ダメージの光の奔流を志島に叩きつけた

 

 

白星 風斗 LP4000 手札 1枚

 

No.(ナンバーズ)15 ギミック・パペット–ジャイアントキラー

ランク8 DEF2500

ORU(オーバーレイユニット) 1

VS

志島 北斗 LP 0 手札 4枚

 

 

「ぼ…僕の、「プレアデス」……ガクッ」

 

ライフが0になった志島はそのまま力尽きた

 

デュエル終了直後、黒星が僕にささやいた

 

『なあ、なんで最後、わざわざ「ミス・リバイブ」を使ったんだ?』

「あん?そんなの決まってる……」

 

それは………楽しいからだ!!

 

 

 

 

 

デュエルが終わって数十分後、僕は遅れてやってきた赤馬と話をしていた

 

「君とのデュエルは中々良い刺激になったようだ。きっと明日から、彼らは君を倒すべく己を高めようとするだろう」

「それは良かった」

 

どうやらこの様子だと、僕が志島にしたことはバレてはないようだ。良かった良かった

 

「…ところで、エクシーズコース主席の志島北斗とのデュエルは随分容赦がなかったようだが」

「…………」

 

前言撤回、モロバレでした。罪悪感のあまり顔を背ける僕

 

「……まあいい。彼もあのデュエルでは得たものも大きかった。次からはもう少し加減してやることだ」

 

それを聞いて安心した。今度から気をつけようとちょっとだけ思った

 

「……赤馬、そろそろ時間的にも帰らせてもらうよ。遊勝塾のみんなに迷惑かける訳にはいかないからな」

「分かっている。送りの車は既にビルの前に待機させている、ゆっくり身体を休めるといい…中島」

「ハッ」

「毎回送ってくれなくてもいいのに……まぁ、ありがとう」

 

ぶっきらぼうに礼を返しながら、僕は中島さんについていきデュエルコートの扉に手を掛ける。そして部屋を出る寸前に、後ろから赤馬に声を投げ掛けられた

 

「デッキ融合、数多くのシンクロモンスター、エクシーズモンスターを使ったエクシーズ召喚……多くのカードの試作も兼ねて、君にはこれからもLDSに来てもらうことになる。また来たまえ」

「あいよ、了解した……また連絡をよこしてくれ、社長殿」

 

いつもの砕けた口調でそう返しながら、今日も僕はLDSの見慣れた廊下を歩いた




刃と北斗の噛ませ感ェ…ファンの皆様申し訳御座いません。しかし作者は決して彼らが嫌いなわけじゃないのです、単なる文章力の問題なのです。それに初戦ですから、これからのデュエルでは普通に勝っていく予定です

それと、現在のスタンダード次元ではエクシーズモンスターに重ねてのエクシーズ召喚がまだ広まっていません。作中では途中のどこかで社長が権力を駆使して作ったのでしょうが、本作では風斗のカード提供でより早く作れた…という扱いになりましたので、あしからず



次回予告

遊勝塾の講師としてみんなに内緒でLDSでデュエルをし続ける風斗。デュエルデュエル&デュエルの果てに、1つの事態に気付くーー!

「ところで今日のデュエルは誰が相手?」
「レアで持ってる、この沢渡シンゴ様が相手してやるぜ!」
「「「沢渡さん、マジ凄すぎっすよォ!!」」」

面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC–V物語
第22話 「予想を超える男」
デュエル・スタンバイ!
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