面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語 作:ジャギィ
あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!
「俺は ハーメルンのランキングを見たかと思ったら いつの間にか投稿していた」
な… 何を言ってるのか 分からねーと思うが 俺も 何をされたのか 分からなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 投稿意欲だとか気まぐれだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…
まぁ、実際は1日経ってしまったわけですけど……それでも僕の小説がランキングに載った事実は、物凄く嬉しいです!これを機会に、もっと色んな人が読んでくれたらなぁ〜って、思います!投稿スピードが遅くて不安定なのは勘弁してね!
それでは、新世界な第24話ドーゾ!
※漫才次元はバリアン世界の神様に書き換えられてしまいました。楽しみにしてた人は申し訳ありませんでした
冷たい水道水が手を濡らし、食器の汚れた部分を微々たる程度だが落としていく。だが当然ながらそれだけのことで食器を洗ったことにはならないので、黄色いスポンジを洗剤で少し泡立ててから手に取った皿、コップ、箸を順番に洗っていく
「砕羽くん、終わったかい?」
汚れと一緒に洗剤も落としたところで、後ろから修造さんが声を掛けてきた。大きな網目の空いたカゴに食器を入れてから、俺は振り向いて答えた
「今終わりました。時間は大丈夫ですか?」
「もうそろそろ始まるよ。今から見れば間に合うとは思うけど」
「分かりました」
手拭きタオルで手を拭いてから、台所の電気を消しつつテレビの置かれた居間へ移動した。その部屋にいたのは2人の少女。事情を知らなければ双子と勘違いするほどに瓜二つの容姿をした…瑠璃と柚子の2人で、そのうちの長い紫髪を後ろで束ねた少女の方の瑠璃が、部屋に入ってきた俺に対して話しかけてきた
「砕羽、ありがとう。風斗の代わりに当番をやってくれて」
「俺だけ何もしない訳にはいかないからな…あいつも仕事で今日は帰ってこれないって言ってたんから、白星の代わりに食器洗いくらいやるさ」
そう、いつもなら俺が台所に立つことなど水道水を飲むときくらいしかない。そんな俺が食器洗いをしていた理由は……食事の当番に組み込まれている白星が柊家に不在だったからである
だいたい1週間前に白星は「良さげな仕事が見つかった。初仕事で上手くいけばようやく金銭不足が解消できる」と、遊勝塾のみんなに報告していた。それは非常に嬉しい内容だったのだが…当事者の白星だけ、その話をする時は微妙そうな表情をしていた。喜ばしい事の筈なのにあいつだけ少し疲れてるように見えたのは何故だろうか?
とにかく、その仕事が1週間後…つまり今日は白星が仕事により帰宅が遅くなった為に、あいつの代わりをやったという訳である。ちなみに瑠璃や柚子にやらせるという考えはなかった。白星の言葉を借りるならば「自分だけ何もしないのは悪いから」…と言ったところだろうか。俺だって、少しは遊勝塾の助けになりたいんだ
「そろそろ始まるわよ」
柚子がそう言うと、俺はつけられたテレビ画面に目をやる。今俺が見ているのは、舞網市の巨大なドームで行われているプロ
『ここ最近着実にランキングの順位を上げてきた
今回の対戦カードは、プロ
そして対戦相手の
『そしてェ!挑戦しますはLDSのお墨付き!容姿、出生、一切が不明!正体不明の
画面越しで入場口にスポットライトが当てられ……そこには誰もいなかった。30秒くらい待っても、誰も出てこない。そして誰かの言葉を皮切りに、会場に文句が吹き荒れる。あそこにいる人間は、全員チケットを買った上で見に来ているのだ。特等席で見るという欲を取ったとはいえ、あれらの反応は当然と言えるだろう。だが聞いていて気分の良いものではないのは確かで、俺は無意識に顔をしかめる。柚子が悲しそうな目で何かを呟いているところまで見て、これ以上は見る理由がないとテレビの電源を切ろうとし……
『……〜〜〜〜♪…〜〜〜〜〜♪……〜〜〜……〜〜〜〜〜♪』
変化が起こる。ふと聞こえた、何かの楽器で吹いたような緩やかなリズムの音。カメラの視点が大きく揺れ、その先に捉えていたのは……開かれたドームの天辺に居座っている人間。ライトが当たっていてもよく見えないが、その男は小さな楽器?を吹いていて、吹いていたそれをポケットにしまってから懐から何かを顔にはめた。黒いロングコートを着込んでおり、黒の手袋をはめ深めに被さったフードが特徴の全身黒づくめの男
……何か、既視感があるような……
男は高いそこから飛び降りると、デュエルディスクを起動し、召喚したてんとう虫の脚を掴んで滑空してからデュエルフィールドに舞い降りた。信じられない程静寂な会場で、白い顔のない仮面をつけた男は見覚えのある動作で手を合わせ……名乗った
『ドーモ 初めまして ローライド・レイト=サン……サウザンド・フェイスです』
「ブッ?!」
「…え?」
…実に1ヶ月ぶりに聞いた、知り合いにつけられた異名と挨拶を。驚きで思わず吹き出してしまいそうだったのを途中で口を押さえることで防ぎながら、同じく混乱の最中であろう瑠璃をよそ目に俺は呟く。様々な感情を込めに込めて
「何をやっているんだあいつは……!?」
俺の魂の叫びとも言えるその言葉は隣にいる瑠璃を除いて、誰の耳にも届かなかった
ビリビリ痛む脚の指をグッパグッパしながら血流を良くして、痛みを和らげる。「レベル・スティーラー」をパラシュートみたいに使ってスピードを落としたとはいえ、結構な高さから落ちたからなぁ……何で黒咲はこれよりも高い位置から素で落ちて、なお何事もなく着地できるのか。とりあえずもう無茶は止めよう
……しかし、サンプルがあったとはいえたった1ヶ月でデュエルディスクに
「……何者だ、貴様」
アイサツからだいたい3秒くらいだろうか。改良の余地あり、と頭の中で報告をまとめていると、目の前の甲冑男は腰につけられた剣を抜き、それを僕に向かって突きつけ問い掛ける。剣を構えるな剣を。どうせ構えるならデュエルディスクにしてくんない?
まぁ、そんな僕の心に悲鳴は当然届かないし、そもそもこの場に限っては僕は僕じゃなく「サウザンド・フェイス」としてデュエルしに現れたのだ。自分の口調と態度を変える。カチリと、自分の中でスイッチが入ったような音がし、それに合わせて剣に対抗してデュエルディスクを改めて起動させ構える
「…貴方の前に現れた
「貴様が、今回のデュエルの相手ということか」
「信じられない…と言った表情ですね。当然でしょう……ならば、証拠をお見せしましょう」
ポケットから小さな金色のバッチ…LDSの所属を証明するバッチを親指と人差し指で摘んで、ローライドの前に突きつける。硬い表情は変わらないが、しっかり見たと確信したからバッチをしまう
「もっとも、今見せたバッチも偽物と断じられてしまえば、私はただの正体不明の
「…例え貴様が今日の相手であろうとなかろうと、私には関係ない。貴様も神の祝福を受けた私のデュエルに打ち倒される、ただそれだけの存在なだけだ!」
剣を鞘に収め、ローライドはデュエルディスクを構え光のプレートを生やす。その眼にあるのは、勝って当然という見下しにも似た傲慢の感情。神の祝福、ね……
「ならば貴方の積み上げてきた傲慢を、私は滅ぼすまでです……私の神によって」
一触即発な雰囲気のローライドに挑発し返すように、僕はそう告げる……最後の言葉は聞こえないように言う
互いにデュエルディスクを構えた
『……ハッ!?み、皆様!大変長らくお待たせいたしました!これより「聖なる
落ち着きを取り戻してきたニコは指を2本立てる。すると無数の光の粒が1枚のカードになり、それを天高く掲げて高らかに宣言する
『今回のアクションフィールドは、ローライド選手のホームグラウンドで行います!アクションフィールド、オン!フィールド魔法「ジャッジメント・パレス」!』
ローライドは宮殿の上のフロアから姿を見せ、こちらを見据える。力の上下関係を見せつける態度が丸分かりであった。そんな奴の勝ったと確信した顔を崩してやるのが……僕のやるべきことだ
『戦いの殿堂に集いし
マイクを片手にニコが向上を1人で述べていく。今回は言う必要がなさそうだな
『見よ!これぞデュエルの最強進化系!アクショ〜ン……!』
「「デュエル!!」」
サウザンド・フェイス LP4000 手札 5枚
VS
ローライド・レイト LP4000 手札 5枚
「先行は
「おや、先行は私からですか……では、遠慮なく頂きましょう。私の先行」
炎が灯る祭壇、その階段に立ちながらサウザンド・フェイスは初期手札を確認し……仮面の下で薄く笑いを浮かべる
「私はカードを4枚伏せて…ターンを終了します」
サウザンド・フェイス LP4000 手札 1枚
伏せカード 4枚
VS
ローライド・レイト LP4000 手札 5枚
彼はディスクに4枚ものカードをセットしてターンエンドを宣言する。その場に4枚の罠と思わしきカードが出てくるものの、モンスターの数は0……極めて危険とも取れるフィールドであった
「何…?」
『なんとサウザンド・フェイス選手!4枚のカードを伏せただけでターンを終わらせてしまった!一体何を狙っているのか!?』
会場の観客たちは戸惑う。勝利の布石か、手札が良くなかったのか、はたまた嘗めているのか……観客席で様々な憶測が飛び交う中、ローライドは兜の中から怒気のはらんだ視線を仮面の男に向ける
「貴様、どういうつもりだ…?」
「どういうつもり、と言うのは?」
「その程度で私に勝てると思っているのか!?」
喉を震わせ騎士が叫ぶ。その顔には自身が見下されてる事実による怒りで歪められおり、剣を抜いて近くの石像に振り抜く。包丁を入れられた豆腐めいて、石像は横に両断された
もしあの場にいたのが自分ならば、切られていたのは自分だったかもしれない。そんな恐怖が観客たちに蔓延するが、当人であるサウザンド・フェイスは飄々とした様子がある
「私は私なりの全力を尽くしているだけですよ。貴方は私が勝てる訳がないと断じているようですが……クククク、ならば断言しておきましょう。私は貴方に勝ってみせます、絶対に」
『おぉーっと、ここでサウザンド・フェイス選手が勝利予告を宣言しました!その伏せられたリバースカードにはよほど自信があるのでしょうか?私には彼が仮面の裏で笑っているように見えます!』
不遜な態度で彼は、勝利宣言を指差して告げる。それにより聖騎士はより怒りを滾らせ、歯を強く噛み締めながら睨みつける
「プロのデュエルも知らぬ愚か者の分際で…!その思い上がり、叩き潰してくれる!私のターン、ドロー!手札の「ライトロード・マジシャン ライラ」を墓地に送り、私は「ソーラー・エクスチェンジ」を発動!デッキの上からカードを2枚墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする!」
発動したのは、「ライトロード」というカテゴリ専用の手札交換カード。手札・デッキからそれぞれ2枚ずつカードが墓地に投下され……デッキから落ちた2枚のうち1枚のカードが光り輝く
「今デッキから墓地へ送られた「ライトロード・ビースト ウォルフ」は、デッキから墓地へ送られた時に特殊召喚することができるモンスターだ!」
右手に巨爪が3本伸びた籠手をつけ、左手に杖のような長い斧を持った白い毛並みの狼の獣人が光を纏って現れた
ライトロード・ビースト ウォルフ
レベル4 ATK2100
「さらに手札から「ライトロード・サモナー ルミナス」を召喚!」
召喚されたのは、程よく日焼けした褐色肌の女性。その両手には不思議な光輪が光っており、輪郭に人間言語とは違う文字が記されていた
ライトロード・サモナー ルミナス
レベル3 ATK1000
「「ルミナス」のモンスター効果!手札を1枚捨てることで、墓地に存在するレベル4以下の「ライトロード」モンスターを1体特殊召喚することができる!私は墓地の「ライトロード・パラディン ジェイン」を特殊召喚!」
白い甲冑を着た青年がフィールドに降り立つ。裏生地の赤い白マントを翻し、剣と盾を装備するその姿は、まさしく守護する騎士であった
ライトロード・パラディン ジェイン
レベル4 ATK1800
『これは凄い!1ターン目から3体ものモンスターを特殊召喚!しかもそのうち2体は攻撃力が1800、2100と強力なアタッカー!これがローライド選手が使用するデッキ「ライトロード」の実力だァーー!』
ローライドのフィールドに現れた3体のモンスター。それは観客を沸かせるのに充分な展開であり、ニコも隙を見て解説を入れる
それでも何1つ反応を見せないサウザンド・フェイスを見て、ローライドは勝ち誇った顔をする
「これだけモンスターを召喚されたにも関わらず、随分冷静だな。余程リバースカードに自信があると見る……だが、貴様の自信もこれでおしまいだ!魔法カード「大嵐」を発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!私のフィールドには魔法・罠がない…よって、破壊されるのは貴様のカードだけだ!」
『なんとォ!ローライド選手、リバースカードを全て破壊するカードを既に握っていたァー!これを食らえばサウザンド・フェイス選手のフィールドは文字通りガラ空き!アクションマジックだけでこの猛攻が果たして防げるのか!?』
暴風。破壊の化身と化した風の塊は、渦を巻いてフィールドを覆い尽くす。それは全ての魔法・罠ゾーンのカードを巻き上げ破壊するーー筈であった。中心から引き裂かれるように嵐は掻き消え、その光景にローライドは眉をひそめる
「何!」
「カウンター罠「魔宮の賄賂」を発動させてもらいました。これにより魔法・罠カードの発動を1枚無効にすることができる……が、その後相手は1枚カードをドローしなければなりませんがねぇ」
『サウザンド・フェイス選手、「大嵐」を打ち砕いたァー!しかし「魔宮の賄賂」とは、随分マイナーなカードを使ってきました!おかげでローライド選手、カードをドローする権利を得た!』
「チッ…ドロー……」
明らかに不服そうな表情でカードを引くローライド。しかし、「魔宮の賄賂」を使ったことには当然意味があった。その隙を逃さず、仮面の
「相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時、永続罠「便乗」を2枚発動させていただきます!」
「「便乗」、だと?」
「このカードが私の場にある限り、貴方がドローフェイズ以外でカードをドローする度に2枚のカードをドローする…そういう永続罠が、2枚です。私のデッキには「魔宮の賄賂」が2枚残っている……この意味は理解できますね?」
伊達にもプロ、あのカード2枚によるコンボをローライドは如実に把握していた。おそらく「魔宮の賄賂」のような強力だが相手にドローさせるデメリットカードを「便乗」発動のキーとして使い、その後も「便乗」とドローデメリットのコンボで手札を補充していく……見覚えも聞き憶えもないカードだからこそ、その不意をついた時のメリットは大きい
(だが、私にカードを引かせる行為は当然私のメリットでもある!そしてたった1枚だけ伏せられた残りのリバースカード…周囲を見渡している限り、あれは攻撃迎撃のカードではない!ならば問答無用で攻撃するのみ!)
「奴を囲め、「ライトロード」たちよ!そしてバトル!」
光の使徒たちが、アクションカードを取りに動こうとしたフードの男を包囲する。さながらその光景は悪魔を裁くようであり、囲まれて動けない間に聖騎士は取る予定だったアクションマジックを掠め取る
「アクションカードで攻撃を防ぐつもりだったようだが、無駄だったな。もっとも、このカードでは攻撃を凌ぐことなどできなかったがな……アクションマジック「後光の加護」を発動!このターンの終了時まで、相手はモンスターの攻撃時に罠カードを発動できない!」
『ここでリバースカードを封じ込めるアクションマジックを引き当て、発動させたローライド選手!リバースカードは発動できず、アクションマジックも取りに行けない!まさに絶体絶命のピーンチ!』
「終わりだ!「ライトロード・ビースト ウォルフ」でダイレクトアタック!」
ジリジリと距離を詰め、サウザンド・フェイスの前に立ち塞がる白狼の戦士。その手に持った戦斧を素早く振り下ろし……
鐘の音が、会場全体を響かせる
「ウォルフ」は攻撃を途中で止める…否、止めさせられた。ピタリと止まった斧の先には、黄色のベルを鳴り響かせる黒い影。腕と思わしき部位の片方に鈴を垂らし、それを半円状に揺らして音を鳴らす骨だけのような細身の顔の小さな悪魔が存在していた
バトルフェーダー
レベル1 DEF 0
「何!?何だそのモンスターは!」
「私は貴方の直接攻撃宣言時に、手札の「バトルフェーダー」の効果を使わせてもらいました。このモンスターを特殊召喚し、バトルフェイズを強制終了させます」
「手札からモンスター効果をだと…!?そんなバカなことが……!クッ、私はリバースカードを1枚セットしてターンエンド!そしてターン終了時に私のフィールドの「ライトロード・パラディン ジェイン」「サモナー ルミナス」のモンスター効果!2枚と3枚、計5枚のカードをデッキの上から墓地に落とす!」
『なんと、この猛攻を防ぎきったサウザンド・フェイス選手ゥ!しかし気を抜くことはできない!「ジェイン」と「ルミナス」の効果でデッキのカードが墓地に落ち、その合計は既に8枚!デュエルの命とも言えるデッキを自ら削る戦術、これが「ライトロード」だァーー!!』
ニコの熱い解説に合わせるようにヒートアップしていく観客たち。そこにはサウザンド・フェイスの正体などどうでもいいと言った感じであった
サウザンド・フェイス LP4000 手札 0枚
バトルフェーダー
レベル1 DEF 0
便乗
便乗
伏せカード 1枚
VS
ローライド・レイト LP4000 手札 4枚
ライトロード・ビースト ウォルフ
レベル4 ATK2100
ライトロード・サモナー ルミナス
レベル4 ATK1000
ライトロード・パラディン ジェイン
レベル4 ATK1800
伏せカード 1枚
「ライトロード」モンスターたちに囲まれた圧倒的不利な状況でも、彼はただ淡々とカードをドローする
「私のターン、ドロー。…フム、なかなかに良いカードを引きましたね。私は伏せていた魔法カード「暗黒界の取引」を発動!」
「罠カードではないだと!ブラフだったということか…!」
「お互いにデッキからカードを1枚ドローし、1枚捨てる…ドローして、手札の「暗黒界の龍神 グラファ」を捨てます」
「…カードをドロー、私は「ライトロード・ビースト ウォルフ」を捨てる……待て、カードをドローだと?まさか!」
「今気づきましたか…しかし遅い!「便乗」2枚のカード効果を発動!さらにカード効果で手札から墓地へ捨てられた「暗黒界の龍神 グラファ」の効果を、チェーンして発動します!まず「グラファ」の効果で相手フィールドのカードを1枚選択して破壊します!貴方の伏せられたカードを破壊!」
無機質である声に熱がこもる。どこからともなく噴きあがった闇の瘴気がローライドのリバースカードを覆い隠し…反響する破砕音。黒い霧が消えたと同時に、伏せられていたトラップも何処へか消えていった
「そして「便乗」2枚により、カードを4枚ドローします!」
『ご覧になりましたか皆様!たった1枚のカードで手札を4枚もドローし、あまつさえローライド選手のリバースカードも破壊してしまいましたァ!なんと凄まじいタクティクス!逆転が難しいと思われたが、これはどうなるか分からない!』
圧倒的不利から一転。フィールドこそ不利なままだが、互いに同じ枚数の手札によって何が起こるか分からなくなった状況に、観客席の人間たちは唾を飲み込む
「「奈落の落とし穴」が……!」
「「奈落」、ですか。とても恐ろしいものが伏せられていたものです……が、それもなければ意味はない。私は「暗黒界の尖兵 ベージ」を召喚!」
筋骨隆々の薄い紫の肉体の悪魔が現れる。骨のような防具を纏い、薙刀のような槍を持つ姿はまさに尖兵。その身体からは、得体の知れない粘着質な液体が滴り落ちていた
暗黒界の尖兵 ベージ
レベル4 ATK1600
「そして「ベージ」を手札に戻し…蘇りなさい!「暗黒界の龍神 グラファ」!」
尖兵がすぐにフィールド上からいなくなる…その直後、「ライトロード」たちに見張られている男の背後から巨大な虚空が開く。その空虚な穴から……暗黒界の王が、闇を流動させ現れる
その全身は禍々しい黒の堅殻と硬鱗で覆われており、長くも太い尾が大地に引きずられる。暗黒の空とも思えるような闇の翼膜の大翼と、人間のような四肢とそれらに生えた鋭利な爪。こめかみと顎から前に向かって伸びた4本の黒々な角がその龍神の凶暴性を容易に想像させ……闇の王である「グラファ」は、凍てつく咆哮で「ライトロード」たちを吹き飛ばした
暗黒界の龍神 グラファ
レベル8 ATK2700
脚、腕と順にジャンプしていき、サウザンド・フェイスは「グラファ」の肩に乗ってローライドを見下ろす。先程とは真逆の状況である
「レベル8のモンスターを、「死者蘇生」もなしに蘇らせた……!?」
「「暗黒界の龍神 グラファ」は墓地に存在する時、私のフィールドの「暗黒界」モンスターを手札に戻すことにより墓地から特殊召喚することができるモンスター……もっとも、自身の効果で特殊召喚できる最上級モンスターなら、貴方のデッキにも投入されてるでしょうがねぇ」
『こ、これは凄い!手札どころか、フィールドの不利すらも簡単に覆したァー!特殊召喚した最上級の悪魔に乗り、ローライド選手の「ライトロード」相手に立ち向かうゥッ!まさに「光」と「闇」の対決ゥ!」
「さぁ、バトルフェイズです!「グラファ」で「ルミナス」を攻撃!」
龍神を模した悪魔が口を開き、そこから黒い炎を吐き出す。迎撃手段の持たない「ルミナス」は何も抵抗できず、悪しき力によって悲鳴と共に消えていった
「グオォッ!」
ローライド・レイト LP2300 手札 4枚
「グゥ…トドメを確実にする為にモンスターを1箇所に固めたのが失敗だったか……!」
「私は、これでターンエンド」
サウザンド・フェイス LP4000 手札 4枚
暗黒界の龍神 グラファ
レベル8 ATK2700
バトルフェーダー
レベル1 DEF 0
便乗
便乗
VS
ローライド・レイト LP2300 手札 4枚
ライトロード・ビースト ウォルフ
レベル4 ATK2100
ライトロード・パラディン ジェイン
レベル4 ATK1800
「私のターン、ドロー!」
最初の余裕溢れた時とは打って変わって、フィールドを自在に走り回るローライド。アクションカードが落ちている場所にはそれぞれローライドが使役する「ライトロード」モンスターが先回りをしている
『先にライフを削ることができたのはサウザンド・フェイス選手!手札はほぼ互角だが、フィールドとライフはサウザンド・フェイス選手が有利!「聖騎士」ローライド、一体どんな立ち回りを見せるのか!』
「手札から魔法カード「光の援軍」を発動!デッキの上から3枚のカードを墓地に送り、デッキの「ライトロード・サモナー ルミナス」を手札に加える。そして今の私の墓地には、「ルミナス」「ウォルフ」「ライコウ」「ライラ」の4種類の「ライトロード」が存在している!墓地の「ライトロード」モンスターの種類が4種類以上の時、私は手札のこのモンスターを特殊召喚することができる!」
召喚師、獣人、番犬、魔法使い…光の加護を受けた4体のモンスターが天高く光に消え……太陽と錯覚させるほどの光が迸る
「全ての悪を等しく裁く為、聖なる世界より舞い降りろ!レベル8!「
天空より舞い降りたのは、獣のような四肢と強靭な白い翼を広げた聖なる龍。4本の脚には罪人の血のように赤い爪が鈍く光り、毛並みの荒れた身体を揺らす。ロープのように長い髭を鼻先でなびかせながら、「グラファ」と相対するように「
レベル8 ATK3000
『遂に現れました!ローライド選手の切り札「
「現れましたか……」
「終わりだ。このカードはライフポイントを1000支払うことで、「
勝利が目前ゆえか、高ぶった感情でローライドはそう語りかける。しかし、相対する
「ライフを1000ポイント払うことで、「
ローライド・レイト LP1300 手札 4枚
裁きの…滅びの光が裁きの龍から放出される。己以外の何もかもを消し去る破滅の輝きが「
翡翠のような色を放つそれは「
「な…?!どうした!何故効果を発動しない!?」
「無駄ですよ」
横から投げ掛けられた声に、思わず振り向く。何をした、という意を込めて睨みつけた仮面の男の手には、
「貴方の「
「また手札からモンスター効果だと!?」
「えぇ…その効果は、対象のモンスターの効果をエンドフェイズまで無効にする効果。私は「
サウザンド・フェイスの優しみのある問い掛けは、今のローライドにとっては挑発にしか聞こえなかった。彼の脳内で「お前は無駄にライフを1000削っちゃっただけなんですよォ!プギャーwww」と変な変換をされていた。あながち間違っていない
『なんということかァ!必殺の「
追い打ちである。何気ないニコの発言が彼の怒りの琴線をとことん刺激させ、完全に冷静な感情を失わせた
「よくもッ貴様ァ!「
「出来るだけ抵抗をしなさい!「グラファ」!」
「闇」と「光」の権化が、ぶつかり合う
「
数秒にも満たない間均衡していた力は炎が霧散することで決着がつき、白虹の光線が「暗黒界の龍神 グラファ」に直撃する。浄化されるように白に塗り潰される「グラファ」は、怨嗟の咆哮を叫びながら消えていった
サウザンド・フェイス LP3700 手札 3枚
「グラファ」が消えてなくなったことにより、攻撃への道が出来上がった。続くように「ジェイン」と「ウォルフ」が走り抜ける
「「ジェイン」で「バトル・フェーダー」に攻撃!」
守護者の聖なる一閃が、鐘を打ち鳴らす悪魔を斬りつける。強烈な衝撃波に勢いよく吹き飛ばされるが、空中で体勢を立て直して綺麗に着地する
「これは…なかなか効きますね」
「今度こそ食らえ!「ウォルフ」でダイレクトアタック!」
その脚力の限りを尽くして、白狼の獣戦士が目の前の
「アクションマジック「回避」を発動!「ウォルフ」を攻撃を無効にさせてもらいますよ!」
ーー鋭い爪を紙一重で
彼の周囲にアクションカードはなかった。では何故、「回避」を持っていたのか?答えは単純明快、「グラファ」が時間稼ぎをしている間に遠くだが敵のいないところに行き、アクションマジックを手に入れていたのであった
「「ウォルフ」の攻撃を躱すどころか、受け流しただと!?」
ローライドにとっては、アクションカードを取られていたことよりも驚愕な事実であった。基本、
それを、覆された。目の前の、何もかもが予想外の男によって。兜と鎧の中で脂汗をかき、呼吸を乱れさせていく。もはや今のローライドには、汚い言葉を隠す余裕もなく、みっともなく神にすがる思いであった
「……ハァ、ハァ……クソ!エンドフェイズに「
サウザンド・フェイス LP3700 手札 3枚
便乗
便乗
VS
ローライド・レイト LP1300 手札 4枚
ライトロード・ビースト ウォルフ
レベル4 ATK2100
ライトロード・パラディン ジェイン
レベル4 ATK1800
レベル8 ATK3000
『何という白熱したデュエル!ローライド選手はライフが少ないものの、あと1回「
熱狂の渦に巻き込まれた会場……その中央部で、男2人が言葉を紡ぎ合う
「随分疲弊していますね。勝負は、これからが最も面白くなるところですよ」
「黙れ!例え「グラファ」を召喚して私のライフをギリギリまで減らしたとしても、次の私のターンの総攻撃で貴様のライフは0になる!貴様の敗北は必須だ!」
「クククク、ならば私はこのドローに勝負を賭けましょうか……そういえば貴方、こんなことを言ってましたね…「プロのデュエルを知らぬ愚か者」、と……」
「それがどうした!」
「私からも言いたいことがありましてねぇ……」
ゴウゥッ!
プレッシャーが、ローライドのちっぽけなプライドを萎縮させる。怒気を滲ませる機械音声が鼓膜を震わせた
「OCGプレイヤーを嘗めるなよ、オッサン」
サウザンド・フェイスが、白星風斗として漏らした本音。常に見下した態度に風斗は我慢の限界に達し、目の前の男にのみ聞こえるようにその言葉を呟いた。さらに言いたいであろう言葉を飲み込んで、サウザンド・フェイスとしての口調に戻し……デッキトップを強く引き抜く
「私のッ…ターン!」
思いの込められた渾身のドロー、親指と人差し指・中指の間に挟んで持ったカードを確認し……デッキに言葉を送る
「……ありがとう……私は手札から魔法カード「手札抹殺」を発動!」
「「手札抹殺」だと!」
土壇場で彼が引いたのは「手札抹殺」。最強の手札交換カードであり……彼のデッキでは、最強のドローソースであり、展開用のカードである
「互いに手札を全て捨て、捨てた枚数分カードをドローすることができます!私は3枚の手札を捨て、3枚ドローします!」
「くっ、手札を捨てて4枚ドロー……」
「「便乗」2枚の効果を発動し、チェーンして効果で手札から墓地に捨てられた「暗黒界の尖兵 ベージ」の効果!「ベージ」自身を特殊召喚し、4枚ドロー!」
暗黒界の尖兵 ベージ
レベル4 ATK1600
「「ベージ」を手札に戻して、墓地の「グラファ」を蘇生!」
暗黒界の龍神 グラファ
レベル8 ATK2700
蘇る龍神。しかし、まだ動きは止まらない、止まる訳がない。元々この「暗黒界の龍神 グラファ」も、今のサウザンド・フェイスのデッキの切り札を召喚する為の
「まだです!「手札断殺」を発動!互いに2枚の手札を墓地に送り、2枚ドローします!2枚ドロー!」
「に、2枚捨て、2枚のドロー……」
「貴方のドローにより「便乗」2枚の効果!4枚ドロー!さらに「暗黒界の取引」を発動!互いに1枚ずつドローし、捨てる!」
「ど、ドローォ…!このカードを、墓地へ……!」
「2枚の「便乗」にチェーンして捨てられた「ベージ」のモンスター効果!「ベージ」を特殊召喚します!そして、4枚ドロー!…来ましたか…!」
繰り返される手札交換に、ローライドは顔から玉のような汗を流し歯軋りをする。それでも止まらないドローコンボ
暗黒界の尖兵 ベージ
レベル4 ATK1600
『止まらない!止まりません!「便乗」と手札交換カードのコンボで、次々とサウザンド・フェイス選手の手札が増えてゆく!その総数、14枚!』
「ようやく引きましたよ……神の使いを
「グラファ」の体内から2体のてんとう虫が、2つの
レベル・スティーラー
レベル1 DEF 0
レベル・スティーラー
レベル1 DEF 0
「ここに来て弱小モンスターを2体特殊召喚だと…?何を狙っている!」
困惑するローライドをよそ目に、サウザンド・フェイスは炎が煌々と燃える祭壇の中央に足を運び……儀式を始める
「私は、「暗黒界の尖兵 ベージ」と2体の「レベル・スティーラー」を……
突如、雷雲が現れる。白い稲妻を走らせ音を鳴らせる黒雲に、霧状に変化した3体のモンスターが吸い込まれてゆき……神が、舞い降りる
「冥界の神の名を冠する竜王よ!万雷の雷をもってして、立ちはだかる全ての障害を討ち滅ぼせ!!」
その姿は、赤く細長い蛇のような体躯の竜だった。真っ赤な翼を広げ、長い背中には鋭利で小さなヒレが2対ずつ生え揃っており、小さな四肢にはあらゆる物を切り裂くことが可能であろう爪が3つずつ伸びていた。しかし何より特徴的だったのが……縦に連なるようについている、2つの顎。上の顎は、常に閉じられていた
「降臨せよ!「オシリスの天空竜」!!」
頭部に埋め込まれた青い水晶でこの世を映しながら、天空を支配せし神が地上に下降する。会場の全長を優に越すであろう身体を
オシリスの天空竜
レベル10 ATK13000
悪魔を操るモンスター群から一変……現れたのは、神のカードと称される三幻神が1体、「オシリスの天空竜」。怖れは畏れに、異様は威容に変わる雰囲気の中、ニコ・スマイリーは実況の為の言葉を捻り出す
『さ、3体ものモンスターをリリースして現れたのは、レベル10の途轍もなく巨大な竜、ですが……私、このモンスターへの感想が…その、実況者としては語録不足だと思いますが、あえて言わせてもらうならば……これは、果たしてモンスターと呼べるのでしょうか…?』
神としての存在感、異質さ……そして力。それらを当てられた人たちは思考を鈍らせ、ただただ魅入るように「オシリス」を見つめる
そんな中、そんな神と真正面から対峙しても尚戦意を喪失しないローライドは、充分賞賛に値するものであった
「何だ…これは……?攻撃力…13000、だとォ!?」
神と対峙した自称神の使いは、喉が裂けんばかりの絶叫をあげ……その絶叫に当てられ正気に戻った観客たちは、最大の歓声にドーム内の空気を震わせる
「このカードは、三幻神と呼ばれる神のカードが1体…「オシリスの天空竜」」
「三幻神…神のカード……」
「このカードの攻撃力は、私の手札の数だけ1000の攻撃力を得る……私の手札は13枚、よって攻撃力は13000となります!さらに私はフィールド魔法「神縛りの塚」を発動!これの効果により、フィールド上のレベル10以上のモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されなくなります!手札が1枚減ることにより、「オシリス」の攻撃力は1000ポイント下がりますが……」
サウザンド・フェイス LP3700 手札 12枚
神縛りの塚
オシリスの天空竜
レベル10 ATK12000
暗黒界の龍神 グラファ
レベル6 ATK2700
便乗
便乗
VS
ローライド・レイト LP1300 手札 4枚
ライトロード・ビースト ウォルフ
レベル4 ATK2100
ライトロード・パラディン ジェイン
レベル4 ATK1800
レベル8 ATK3000
「全くもって問題はありません」
「これが……神……!」
「さぁ、「オシリス」よ!その力を持って、新たな可能性を見せなさい!「
「オシリス」の第1…下側の口が開かれ、そこに青白い雷撃が力を蓄えながら観客席に届くほどの音を弾けさせる。全てを裁く「
「「超伝導波サンダーフォース」ッ!!」
万雷の雷が、裁きの龍を覆い尽くす。考えられない熱量とあり得ないほどのプラズマが「
「ウオオォォァアァァーーーーーッ!!」
神の一撃の余波をまともに受けた聖騎士は、粒子へと消えた「ライトロード」モンスターたちと共に吹き飛ばされてゆく。剣を落とし、鎧の金具を壊しながらも、宮殿の壁を自らの身体で粉砕しながら貫通し、会場の壁に大の字で勢いよくぶつかった。身体が少し壁に埋まり、そのままうつ伏せに倒れ込んだ
サウザンド・フェイス LP3700 手札 12枚
神縛りの塚
オシリスの天空竜
レベル10 ATK12000
暗黒界の龍神 グラファ
レベル6 ATK2700
便乗
便乗
VS
ローライド・レイト LP 0 手札 4枚
『……き……』
ニコの震える声がマイクを通して、周囲に響かせる。心なしか、その声音は歓喜の感情で満ちていた
『決まりましたァーーーッ!!今夜のプロデュエルマッチの勝者は、華々しいプロデビューを飾ったサウザンド・フェイス選手だァーー!!皆様、盛大な拍……っとぉサウザンド・フェイス選手、ローライド選手に近づきます!一体何を?』
倒れ込んだ対戦相手にゆっくりと歩み寄るサウザンド・フェイス。左腕につけられたデュエルディスクが煙を上げ、紫電を走らせるがそんなことはお構いなしである。目の前まで近づいた黒装束の
「何だ…?私を、笑いにでも来たのか…?それとも、慰めに来たのか?……下らない情けは止めろ…!」
どこまでもプライドの高い…相手にも己にも厳しい、厳格な
「良いデュエルでした、ありがとう」
温かみのある感謝を返した。投げ掛けられた言葉を一瞬理解できず、ローライドは目を丸くする。変声機のスイッチを入れ直して、懐に手を入れると2枚のカードを取り出し、それをボロボロの騎士に手渡す
「…何のつもりだ?これは……」
「「ライトロード・アサシン ライデン」「ライトロード・アーチャー フェリス」。どちらも貴方を強くする力を秘めたカードですよ」
「……チュー…ナー……?」
力なく、彼は呟く
「貴方は本当に強かった。最後の場面で「手札抹殺」を引けなければ、きっと私は押し負けていたことでしょう」
「…………」
「貴方はもっと強くなることができる。相手にも、自分にも、敬意の払うことができるデュエルをすれば…もっと……。しかし、これはあくまで私の持論です。貴方は貴方なりに強くなれば良い。そしたら、またデュエルをしましょう。心躍る、ワクワクするデュエルを」
どこまでも楽しいデュエルを望む、しかし不気味な仮面の
「貴様は、途方もなくバカだな」
「えぇ、自覚してます…デュエルが大好きですから」
手を前に出す。左手には、鞘に収まった立派な剣。右手は何もなく、ただ宙ぶらりんで手を開いている。それを察したローライドは、左手で剣を取り腰につけ……右手で差し出された右手を握り、握手した
「次は覚悟しろ。必ず地に這いつくばらせてやる」
「フフフ…その時が心待ちです。楽しみですねぇ」
デュエル上の隅で行われた、小さなやりとり。しかしこのやりとりが確かに、ローライドのデュエル魂に火をつけたのであった
『うぅ…なんと感動的な光景でしょうか…!このニコ・スマイリー、涙が溢れて止まりません……!』
そんな中、ニコ・スマイリーは1人涙を流していた。殺伐としたプロデュエル界のデュエルでこのような光景を見るとは露にも思ってなかったようで、みっともなく鼻水を流して顔をグシャグシャにしていた
そして、仮面の彼はまだ動く。今度は出来るだけ会場の中心部に移動すると、仮面の下で大きく息を吸い……観客に問いかけた
「この会場の…いや、このデュエルを見た全ての人に問いたい!貴方方はこのデュエルで、一体何を感じ取ったのか!?」
投げ掛けられたのは、要領の得ない質問であった。哲学めいた命題に、観客たちは疑問符を浮かべ、首をかしげる。答えを言う前に、言葉を紡ぎ続ける
「見応えのあるデュエルだった、驚くばかりのデュエルだった、卑怯な戦法を使ったデュエルだった、相手を倒すだけの悲しいデュエルだった、既視感のあるデュエルだった……様々な答えが私に返ってくるでしょう。しかし!それよりも感じ取ったものを、このデュエルで私は見つけた!」
演劇のような決められたセリフを次々と言う姿に、人々の視線は一点に集中する。誰もが謎の
「デュエルはまだまだ進化する!私が今まで戦った
シン…と、打って変わって静寂に包まれる会場。いつも間に照らされたのか、重なったスポットライトの浴びながら、サウザンド・フェイスは人差し指を突き立てる
「私が貴方方を導きましょう」
傲慢とも取れる宣告。しかし何故だろうか、この宣告を聞いている誰もが…彼から嫌悪感を感じ取らなかった
「貴方方の知らないカードを見せ、知らない戦術を教え、未知のデュエルを魅せましょう。そして貴方方のデュエルも私の糧とし、様々なデュエルを魅せてもらいます」
その理由は、彼にも弱者としての自覚があるから。絶対勝利のない遊戯王で多くの黒星を積み重ねてきた彼だからこそ、魅せる代わりに魅せて欲しいと言う彼だからこそ、デュエルに対する心は誰よりも真摯であった
「これから貴方方に魅せていきましょう!未知のデュエルを……
新たな謎のプロ
彼のプロデビュー戦デュエルは、止むことの知らない喝采と共に終わりを遂げた
さて!今回のデッキはリアルでも使っていた「便乗」と「暗黒界」と手札交換カードでドローしまくり、場を整えてから「オシリス」でワンキルするデッキです!第2の効果は使わないからドジらないよ!……あれ?使われてないんじゃ結局ドジってる?
実際このデッキ、「便乗」が引けなかったらとことんただの「暗黒界」デッキなのですが、コンボが決まればウイルスカードの下準備も合わせてワンキル間違いなし!ちなみに「幽鬼うさぎ」で「便乗」割られたら何もできません!「エフェクト・ヴェーラー」には強いからその辺はごめんね
あと前話の疑問は、次回に説明します
後光の加護
①このターンのエンドフェイズまで、相手は自分モンスターの攻撃宣言時に罠カードを発動することができない
次回予告
遊勝塾に帰ったら、瑠璃と砕羽に物凄い剣幕で色々問いただされてしまった風斗。しかし、彼の今回の出来事には、ある思惑があった……
面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語
第25話 「交錯する陰謀と想い」
お楽しみは、これまでだ!