面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語 作:ジャギィ
それでは、交錯する第25話ドーゾ!
※今回はデュエルがありません。さらにとても短いですが、閑話みたいなものだと思ってください
「ふぅ…何とか上手くいったかね……。お前はどう思ってんだ、赤馬?」
「及第点、といったところか。少なくとも今夜のデビュー戦が、この街の住人たちに強い印象を残すことができたのは確かだろう。君という大きな才能を持った人材を発掘できたという事実によって、
特に変化もなく淡々とそう告げるのは、赤馬社長こと赤馬零児だ。しかし、2つほど違うと思うことがあったので訂正を促す
「2つほど言わせてもらうけど…あそこまでしてなお及第点止まりってどういうことなの?あと、僕は才能なんざ持ち合わせていないからな?」
「謙遜することはない。確かに君の本来の戦い方は愚直なまでに攻撃に特化した戦術で、ゆえにデュエルでミスを起こすこともあるが……綻びのない人間など存在はしない。そう考えれば、君の洗練されたプレイングや徹底して無駄を省いたデュエルへの思考力は、充分才能に値する」
「そーかい……別に謙遜って訳じゃないんだけどな……」
褒めてるのかそうでないのか、何とも難しく分かりづらい言い回しだ……多分褒めてくれてるのだろう。最後の言葉を聞こえないように言いながら、僕はそう思った
夜のプロデビューのデュエルが終わってから、僕は人目がつかないようにLDS本社に逃げ隠れていた。マスコミの類が会場の入り口で押し寄せていたからだ。仮にあいつらが無理矢理あるいは隠れてついて来れば、現在の住処に所属しているデュエル塾(所属とは少し違うかもだが)が発覚してしまう。便宜上正体不明の
「君は本当に疑問と興味が尽きないな。デュエルモンスターズで存在する無数のどのカードよりも一線の越したカード、「三幻神」……。君の「
立派なデスクと一式の椅子に腰掛けゲンドウポーズをとりながら、照明の光を眼鏡で反射させ、赤馬はそんなことを言う。マジか、「三幻神」でも「
「……とにかく、今日の報告はこれで以上だ。これからも同じように、そっちからの呼び出しでLDSに来て仕事をする…で、良いよな?」
「契約に変更はない。もっとも、試作のカードやデュエルディスクのテストプレイに加え、今後はプロ
「デスヨネー」
社長からのお言葉に、ため息を吐きながら項垂れる。仕事を紹介してくれたのは感謝しているし、思いっきりデュエルのできる環境も用意してもらったのだって嬉しいことだ。ギブ&テイクによるものだとはいえ、ここまでしてもらってその恩人に悪印象を抱ける人間は、文字通り性根か脳が腐り切った奴くらいだろう
だが…だがだ。それでも週5日で呼ばれるようになっていたのが更に増えるって…週6日かな?それとも無休?…やはりこいつはブラック社会の権化だ、間違いない。自分が働けるからって周りも働けるって訳じゃねえぞ赤馬ァ!ゆとり教育の化身を舐めるなよ!……これからのことを考えると鬱になってきたよ……
「…あっ、デュエルディスクで思い出した。今回使ったデュエルディスク、単体で使った時に
そう言いながら、画面が完全にブラックアウトした少々焦げ臭いディスクを赤馬のデスクの上に渡すように置いた。きっとまだ試作段階だから回路が焼き切れたりしたのだろう。…「オシリス」を召喚したからとか、そんなのは考えたくない…うん
ポケットに手を突っ込み、スマフォを起動させ時計を確認する。デジタルな数字で23と32が表示されており、良い子は完全に寝ている時間である。もうそろそろ野次馬どももいなくなった頃かな…?
「それじゃあ、そろそろ帰らせてもらうわ」
「あぁ、明日もよろしく頼む」
明日働くことは確定なんですねそうですか。ただでさえ鬱気味なのに更に鬱を超えそう…何だよ鬱を超えた鬱って。普段は穏やかな心を持ちながら、激しい鬱によって目覚めた伝説の
「……流石にもう寝てるだろうなぁ……」
すっかり暗くなった夜の景観を見ながら、僕は小さく言葉を漏らした
瑠璃は分からないが、砕羽は最近プロデュエルの試合を見るようになったからな…容姿といい名前といい、まず確実にバレだだろうな。もしかしたら砕羽経由で瑠璃にもバレてるかもしれんが……まぁ、皆がいない時に話せば良いから、明日遊矢たちが学校に行ってる間にでも説明するか
……なんて、僕の考えは非常に甘かった
「…………」
「…………」
「…………」
全員が寝静まっているだろうとタカをくくって遊勝塾もとい柊家に帰宅してみれば、確かに柚子と修造さんはグッスリ寝ていたのだが…1番寝ていて欲しかった瑠璃と砕羽がまだ起きているとは思いもしなかった
砕羽と共同で使っている空き部屋に強制連行された僕は、正座させられながらも目を2人から逸らしつつ軽い現実逃避をしていた。アカデミア元デュエル戦士である砕羽はともかく、中学1年くらいの女の子である瑠璃にまで引っ張られるってどういうことなの?やはりストロングの系譜だったということか
「……どういうことか、説明してもらえる?」
強い意志を瞳に秘め、こちらを真っ直ぐ見つめる2人。後ろめたさがこっちにある分、よりビビってしまい肩を縮こまらせる。地味に続く沈黙が嫌になり、思わずとぼけてしまった
「……説明、っていうのは……」
「隠したって無駄だ。この次元でサウザンド・フェイスという名前を知っているのは、おそらく俺と瑠璃と当人のお前だけしかいない。俺たちが2人で一緒にテレビを見ていた以上、消去法で残っているのはあの場にいなかった白星だけだ」
「う……」
「それに名前だけならまだしも、あの独特な名乗りと高い身体能力まで見せられたら、真っ先にお前のことが頭に浮かぶに決まっているだろ」
て、的確…砕羽のダンガンでロンパな指摘によって、言い訳する暇すら与えず僕は追い詰められた。気分はコナンで出てくる犯人の黒い人
『ダメだな、これは詰んだぞ…諦めて話したらどうだ?』
「むぅ〜〜ぅう〜〜〜……」
困った、本当に困った。これはどう取り繕っても全て無駄な悪足掻きと化すだけだ。正直知る人間は極力少ない方が良いから、教える相手さえ考えれば、1人2人くらいは問題ない…が、話して良いものなのだろうか……特に瑠璃には
……えぇい!この際仕方がない!問い詰めてきたのがこの2人なだけのところを見ると、きっとまだ修造さんや柚子には話していないに違いない。とりあえず納得はしてもらおう
「……分かった。ちゃんと話すから、答えるからお前ら落ち着いてくれ」
「…分かったわ。じゃあまず、どうしてプロ
最初の疑問は、スタンダードに来たばかりの僕がどうして早くプロになれたのか…というものだった。うん、瑠璃。その気持ちと似たようなものを僕も抱いていたよ
「あ〜〜……何というか、それは…力技っていうか、権力ってやつ……」
「は?権力だと?どういうことだ?」
「えっとだな……」
『これだ』
『おぉ、どれどれ……プロ
『見ての通りだ。君がプロデュエル界に参戦し有名になれば、君の言葉に耳を傾ける者も増える。勝ち続けることができれば、その過程で大きな収入を得ることもできる』
『いやいや、いやいやいや!確かにものっそい理想的な仕事だけどさぁ!ここに高い成績を残した人だけが受けることができます的なことが書いてあるじゃん!僕スタンダードに来てまだ1ヶ月しか経ってないのに、そんな成績とても……』
『何を言う。君は既にLDSの塾生・講師相手に、高い勝率を獲得している。さらに言えば、プロでもある私の本気のデュエルを、初めて行ったアクションデュエルにも関わらず勝利を収めた…君をプロに迎え入れる準備は、磐石と言っても過言ではない』
『で、でも…赤馬に何のメリットもないのにそんな用意周到にされても、裏があるように聞こえるだろ』
『何、当然我々にもメリットは生じる。君という才能ある
『……それ、職権乱用ってやつなんじゃねえの?』
『このような推薦によってプロの道を歩く
『…うぅん……良いのか、それ…?』
『とにかく、私が見つけ出した
「………ってことがあったんだよ。…おい、何だその目は。やめろ!僕は何も不正はしてないぞ!」
僕に対する2人の視線が呆れた者を見るそんな目だったので、両手で視線を遮りながら外に聞こえないように僕は叫んだ。とんだ誤解だ、僕は何も悪いことしてないのに。むしろメッチャ抵抗したのに。LDSに対するスキャンダルなどの手痛いデメリットとか言ったのに
……まぁ、その提案を受け取らざるをえない状況を利用されて、僕が黙っていればそんなことは起きないって言われて封殺されたんだけどね。おのれ、プロ入りよりも魅力的な提案が思いつかない自分の想像力の低さが腹立たしい
「…お前がプロ入りした理由は、まあ分かった。けど、何だって
「良いわけないだろうが……いいか?LDSは他の塾にはない3つの召喚方法と他塾の吸収合併によって大きな力を得ている巨大企業だ」
唐突に振り出されたLDSうんちくに、瑠璃と砕羽は首を小さくかしげて疑問符を浮かべる
「…?さっきと話が繋がっていないけれど……」
「瑠璃、僕は誰の推薦でプロになる資格を得た?」
「え……赤馬零児、って人でしょ?」
「赤馬はどこの会社の社長だ?」
「レオ・コーポレーションだろ。さっきから何が言いたいんだ?」
顔を瑠璃の横の砕羽に向け、別の問いを投げかける。眉をひそめながらも、すっけなくそれを答える。実に回りくどい言い方にうんざりしている様子なので、僕の予想を2人に言う
「前提としてこれは僕の予想…いや、ただの妄想みたいなもんだ。出来ればないとは思いたいが…仮に、仮にだぞ?遊勝塾の皆が僕をLDSの刺客とか、
「……あ」
口元に手を当てて、瑠璃は僕が懸念していたある事実に気づく。砕羽の方も簡単に思い至ったのか、渋い表情をしている
「……あの人たちのことだからな、別に疑ってくることはないと思うんだよ。けど、そんな疑問を1度でも向けられれば、今まで築いた関係は確実に悪くなる…嫌な空気で過ごすなんて、僕は耐えられないんだよ」
瑠璃たちにはこう言ったものの、僕は実際
けど、僕は別だ。誰かと関係が途切れても、居場所がなくなってもいいように心の奥底までは踏み込ませない。だからだろうか……きっと僕は心のどこかで、最後の一歩は踏み込まないようにしている
「風斗……」
「自分の名前を出さない理由はこれで終わりだ。次は……何で異名の方を名乗るか、だったな」
…まぁ、仮に追い出されても僕だけなら1人で生きられる。何ならその時こそLDSの講師になれば済む話だ
瑠璃の呼び掛けによって不安になってくる自分の心を断ち切るように、話題を無理矢理切り替える
「これは赤馬とも話し合ったんだがな……次元戦争に対する下準備みたいなもんだ」
「下準備?」
「うん。自分でも自覚している方なんだが…僕はアカデミアにかなりの危険人物と認識されている可能性がある」
「認識じゃなく、実際に危険視されているぜ。たった1人でアカデミアの大軍を足止めするどころか、返り討ちにするんだからな」
うーん、そこなんだよなぁ。確かに膨大と言っていいほどの軍隊が押し攻めてきたら、その数の暴力に圧倒されてしまうのが世の常であろう
けど…あいつら質が低すぎんだよなぁ。「
「じゃあな、これからアカデミアと戦う時にそんな凄まじいネームバリューのある奴が味方として指揮あるいは切り込み役を打って出てくれたら、どんな気持ちで戦いに挑める?逆に、そんな奴が敵にいたらこちら側の士気はどうなる?」
「……味方の場合、安心感があるな。その人が…それもお前みたいに大軍を退けるほどの実力者がいるだけで、安心して自分の役割を全うできる。…逆に敵だったら、かなりの士気の低下に繋がるな。つくづくお前が味方で良かったって思う」
そう、一騎当千…って自分で言うのもアレだが、とにかく僕はそう言われる程度にはエクシーズ次元で多くのアカデミア兵をデュエルで倒している。そんなのが味方に1人でもいてみろ?僕だったら「もうあいつ1人でいいんじゃないかな?」状態になって1人ほっぽり出すレベルだからね。もっとも…僕1人はおろか、レジスタンスの皆ですらジリ貧に追い詰められているから、1人でも多くの仲間を募る必要がある訳だけどな。……レジスタンスの皆、大丈夫だろうか……
「……俺たちで言うところの、強大な
「アカデミアの総司令?そんな奴がいるのか?」
くそったれユーリと同じように羅列して出てきたのは、総司令官という1単語。確かに軍が戦場にいる以上、それを指揮する人間は必要だが……今まで総司令の「そ」の字すら出たことがなかったから、ある意味初耳だよ。しかし、次元
「あぁ、噂でしか聞いたことがないが、総司令官を任されるほどの力量ではあるらしい…そのエド・フェニックスという男は」
「ーーー何だと?」
今こいつ…なんて言った?エド・フェニックス、だと?
ポロリとそんな名前をこぼした砕羽の両肩をがっしりと掴み、無理矢理こちらの方へ身体を向かせる。急に身体を掴まれたからだろうか、少し驚いた表情を浮かべている
「おい砕羽」
「な、なんだ?」
「聞き間違いじゃなければ、エド・フェニックスと聞こえたような気がしたのだが……本当か?」
「あ、あぁ…確かにそう言ったが……」
「「D-HERO」使いの?」
「いや…俺もそこまでは……」
…これ以上は聞いても無駄っぽいな……。砕羽から離れて、顎に指をあてがいながら思案する
正直に言うと、そこまで驚いている訳ではない。シンクロ次元編でクロウ・ボーガンやジャック・アトラスという過去作のキャラが参戦した前例を知っている以上、別のキャラも出るのではないか?と妄想していたこともあったが……そうか。あのエドが総司令、か
エド・フェニックスは遊戯王GXの2期に登場した、主人公の十代とは別の「
しかし、ここでちょっとした情報不足がある。GXに出た頃の「
……うん、今は考えても仕方ない。こういうのは情報が出た時に考えればいいだろう。でも、味方側でも過去キャラ出ないかなぁ誰か……エクシーズ次元なら、例えば
「とにかく、僕がサウザンド・フェイスを名乗った理由はそういうことだ。エクシーズ・融合次元で轟いたネームバリューを利用して、こちらの士気を上げて向こうの士気を挫く……分かったか?」
「それは…分かったわ。…でも……」
「うん?どうした瑠璃」
僕の説明を聞いた瑠璃が俯き、霞むほど小さな声で言う。その顔から覗かせる感情は沈痛そのものであり、何か納得できていないような感じであった。痛みを抑えるように、左手を胸の前でギュッと握る
「風斗は…それでいいの?風斗の好きなデュエルを、そんなことに使って…苦しくないの?」
「…………」
真剣な表情でそういう瑠璃の声は、僅かだが震えていた。その質問に対し、頭の中で答えを述べていく
遊戯王はカードゲームだ。そんな最高に楽しい物を、何が悲しくて命の奪い合いで使わなければならない。答えるまでもない問い掛け…だがその倫理は、彼女の中の世界では歪められている。当たり前が捻じ曲げられたエクシーズ次元……戦火に包まれ光のないあの街は、何もかもが狂わされたはずだ。理想郷創りという名の侵略の名の下で、アカデミアによって
「デュエルは、争いの道具じゃない。デュエルは…デュエルは皆に……」
悲壮な彼女の言葉は、途中で途切れる。僕が瑠璃の頭に右手を添え、優しく撫で始めたからだ
「大丈夫だって。僕だってこれ以上の犠牲を出さない為に、多くの人たちを救いたい為にここまで来たんだ。お前が考えているほどツラくはないって」
「……本当に…?」
上目遣いで僕を見つめてくる彼女に、ほんのちょびっとだけ心拍数を早めながらも笑って受け止める
「うん。だからこの話はもう終わり!そろそろ寝ようぜ。2人とも眠たいだろうし、僕だって正直かなり疲れて…ファアァ〜〜ァ〜〜…無理、もう寝る……」
少し話を投げやり気味に終わらせてしまったが、キツいものはキツい。欠伸を噛み殺しながら布団を敷き始める僕を見て、瑠璃は微笑み、砕羽はフッ…とカッコつけるように笑った
「いつも通り過ぎるな、こいつは」
「そうね……でも、だからこそ大丈夫って思えるわ。この人ならきっと、何があっても世界を平和にしてくれる…って。笑顔の溢れるデュエルを取り戻してくれるって……」
「皆を笑顔にするエンタメデュエル、か。俺も頑張らないとな」
後ろで何かを言っているが、眠気を抑えて布団を敷いている僕には何も聞こえはしなかった
あの説明会から、だいたい2時間が経った。瑠璃は柚子の部屋に戻り、砕羽が完全に寝静まったタイミングで、僕は部屋を出て応接室に移動していた。傍にはこの世界でも大事に使わせてもらっているカバンが置いてあり、その中から大量のカードを取り出した。融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムと…なんでもござれである
「メタルフォーゼ」などの新規カードに目を通しながら色んなデッキを思案していると、脳内から僕自身の声が響いてきた。黒星だ
『良かったのか?』
大雑把な言葉を投げ掛けてくる黒星。別のことを考えているのもあって、カードを弄りながら雑に返す
「何が?」
『さっきのことだよ、「サウザンド・フェイスを名乗った理由」のこと』
弄る手が止まる。手に持ったカードをビデオの逆再生みたいにテーブルに置きながら、ソファに大きくもたれかかる。真っ白なLEDのライトが眼球を刺激し、思わず細める
『赤馬はアレだが、瑠璃や砕羽にくらいは言っても良かったんじゃないのか?』
「……お前、あの時にそれを言うのがどれだけ小っ恥ずかしいか、分かってて言ってるだろ?」
『…まぁ、確かにあのタイミングでそれを言うのは勇気があるなぁ……けど、本当に言わなかった理由は別のところにあるんだろ?』
「そこまで分かってるくせに、普通聞く?」
『逆に聞くが、聞かないと思うのか?あと、普通だと思っていないだろうに』
「……それもそうだな」
意味のない問答だったと、自嘲気味に笑いながら再びカードを手に取った
赤馬と瑠璃と砕羽、あの3人にそれぞれ述べたサウザンド・フェイスを名乗った理由…スタンダードの
いや、当然今までの理由も必要だからこその理由。だが、最初に考え至った目的の隠し蓑なのは確かである。そこまでして隠した本当の目的は……ひとえに、瑠璃の安全の確保の為
LDSの講師の自己紹介の際に様々な情報を見通したのだが、その時に「LDSブロードウェイ校」という名前を見つけて…すっかり忘れていた、だが最悪の事実を思い出したのだ
実はARC-Vのストーリーでは、LDSのブロードウェイ校に紫雲院素良とは別のアカデミアの人間がスパイとして存在している。むしろこっちの方が、本来のスパイといったところだろう……。そいつの名は、デニス・マックフィールド。エクシーズ次元への侵略、そして瑠璃の誘拐…両方を引き金を引いた、次元戦争の諸悪の権化の1人ともいうべき人間である。今はいるかは分からないが、仮にいたのするならば…それは大変ヤバい事態を引き起こしてしまう。もしストーリーが始まる前の1年のうちにデニスが瑠璃とどこかで出くわしたら?瑠璃の存在が発覚してしまったら?ペンデュラムという武器を得る前にこの次元は侵略されてしまう、融合次元の手によって
そうなれば、もう何が起きるか本当に予想がつけられなくなる。何より、スタンダード次元がエクシーズ次元の二の舞になってしまうのだ…僕の手によって。そんなことになれば、アカデミアへの対抗策が1つなくなってしまう。何より遊矢、主人公である彼がペンデュラムを身につけなければ、融合・シンクロ・エクシーズ…全ての召喚法を得る機会を失うことになる。ペンデュラムエクシーズである「オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン」も、カード情報だけだがペンデュラムシンクロの「
最悪、瑠璃だけでもエクシーズ次元に帰せばいいのかもしれないが、またユーリがやって来ないとも限らない。シンクロ次元も多少だが融合次元の息の根がかかっている以上、危険であることに変わりはない。つまり、このスタンダード次元で融合次元侵略を阻止する為に必要だったのが、サウザンド・フェイスという僕の異名であった
単純にスタンダード次元に隠れている僕をアカデミアの人間が見つけたのならば、僕に見つからないよう…あるいは足止めなりをして、瑠璃を攫っていくことだろう。けれど、この次元に侵入して、どこもかしこもアカデミアが恐れる存在の名が広まっていたら…?警戒するはずだ、何かあると。僕がスパイの立場ならば、もう少し準備を整えてから攻めるように促す。それに、アカデミアだって計画の修正に手間を取られているに決まっている。アカデミア兵も微々たるものだが潰してから逃げたのだ、戦力の補充には時間がかかるはず……。オベリスクフォースが偵察に来たならば、僕と砕羽で遊撃に打って出ればいい
これが僕の策だ。誰にも…しいて言えば黒星以外にこのことを教えないのは、作戦の漏洩は絶対に避けたいから。 こういう時に、二重人格めいた黒星の存在がホントに助かる……。でも、それを考慮してもハッキリ言って運任せなガバガバの一手ではある…が、どれもこれもが悪手にしかなりかねない以上デニスの強い警戒心に賭けるしかない。仮面の裏の本当の表情、しっかり隠し通せよ…エンターテイナー
ふと、右腕の袖をまくって腕に巻きつけた
「ユート…黒咲…暗斎…半田……」
勝手に色んなものを託して置いてきたあいつらは、今どうしているのだろうか。あの4人にはそれぞれ手紙を書いていったが、読んでくれたのだろうか
ユートは皆を守ってくれてるのだろうか。黒咲は復讐に囚われていないだろうか。暗斎は勝手に出て行った僕に幻滅しただろうか。半田は大丈夫だろうか。灰色の感情が渦を巻き、不安と一緒にかき混ぜられる。それでも、僕はあいつらを信じるしかない…自分の行動を信じて、先に進むしか
僕が抱いた瑠璃の未来を離さないように、前へ
今回すっごく短い……スランプ気味なのと説明回だったので、過去最低の文字数です。言葉のボキャブラリーがどんどん減ってゆくー!
感想欄でもあったサウザンド・フェイスを名乗った理由がアカデミアへの牽制の為です。こじつけ感というか、無理矢理感がある人には申し訳ありません、これが僕の限界です。非力な私を許してくれ……
あと、だいぶ前から修正入れてたのですが、第1章のところどころにレジスタンスの証である赤いスカーフを身につけている文章を追加しておきました。と言っても、特にストーリーに絡んでくる予定は今のところないので、あくまで補足のようなものです
次回予告
日を重ねるにつれ、その異名を舞網市に轟かせてゆく風斗。そんな日常の中、急に誘われた遊矢とのデュエル。しかし彼の顔には、いつもの遊矢には存在しない陰りが浮き上がっていた
「俺の、父さんのエンタメデュエルは、間違っていたのか…?」
「間違わない奴なんて、この世には存在しない」
「なら榊、見せてやる。僕なりのデュエルって奴をな!」
面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語
第26話 「それぞれのデュエル」
お楽しみは、これまでだ!