面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語   作:ジャギィ

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新マスタールールを見た僕の反応↓



あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛捕食植物あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ファーニマルあげちまったあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!



…取り乱しましたすみません。それでは第34話ドーゾ!


邂逅した欠片たち

遊矢は混乱する。買い物に行った2人を迎えにいった時に急いでアユが走ってきて、事情を聞いてみれば柚子が1人で沢渡たちを追いかけていったと言ったのだ

 

当然急いで柚子のいる場所へと向かった。沢渡は以前ペンデュラム強奪を行なった実行犯だ。そんな奴が柚子にまた何かしないとも限らない。勝気な彼女のことだ、出会い頭に喧嘩をふっかけて、それに激昂する沢渡の姿が遊矢の脳内に容易に浮かぶ

 

街行く人に柚子を見かけなかったかを端的に聞いて、結果彼女が港区のコンテナなどが密集した倉庫に行ったということが分かった。ならばおそらく柚子は沢渡が根城としている倉庫にあるはずだ……そう思い遊矢は目的の場所へと必死に走った

 

「お、俺と…同じ顔……?」

「君が、スタンダードの俺ということか…」

 

だけど、これは一体どういうことなんだ?遊矢は混乱する

 

到着した倉庫の中途半端に閉まりきってない鉄扉を開いたら、目の前にいたのは探していた柚子と……服装などは違うが、遊矢と同じ顔をした1人の少年。背丈や年齢なども似通っているように見えて、鏡写しの如き光景に遊矢と柚子は硬直する

 

「あ、あいつ、榊遊矢だったのか!?」

「いや、2人いるぞ!どういうことだ?」

「おい、そんなことより早く沢渡さんを運ぶぞ!」

 

一方沢渡と取り巻きの3人は遊矢とユートの姿を見て驚いてこそいるものの、沢渡の原因不明の怪我の方が心配だったのか、山辺が沢渡を背負って柿本と大伴が随伴して外に出る

 

「早くそこどけよ!沢渡さん運べねえだろ!」

「え…あ、ゴメン」

「沢渡さん、しっかりー!!」

 

扉に立ちふさがるように立っていた遊矢にそう言うと、気絶している沢渡を見てどこか気の毒さを感じたのか、倉庫に入り込む形で道を開ける。すれ違うように倉庫から出た4人は、やがて喧騒すらも聞こえなくなるほど離れていった

 

……そして、改めて遊矢は黒のイメージがする服装の少年…ユートと相対する。…本当に、服装を変えた自分が鏡に映っているのじゃないかと遊矢は思う。それほどに遊矢とユートの顔は似ている…いや、一緒だった

 

けど、今ではすっかり馴染んでていたが、半年前も柚子と瑠璃を見て驚いたのだ。あの時のインパクトは、あの塾にいた誰もが忘れられるわけがなかった

 

(いくら俺と同じ顔でも、初めて瑠璃を見た時の衝撃に比べたらなぁ)

 

思いの外冷静に今の状況を客観的に見ていた遊矢に対して、柚子は頭の中で半年ほど前の記憶を掘り起こしていた。瑠璃が初めて塾に訪れた日の、夜の会話を

 

(瑠璃は遊矢と同じ顔のユートって名前の友達がいたって言っていた……もしかして……)

 

柚子が浮かべた疑問は誰にも届くことはなく、ゆえに誰も答えるわけがない。だけど、名前を聞いてみようという考えを後押しすることにはなった

 

「ねえ…あなた、もしかしてーーー」

 

そして言葉を投げかけたその時…不意に柚子のブレスレットから、眩い光が溢れ出した

 

「キャ!え、何?」

「ブレスレットが光って……!?」

「ーーッ!!」

 

少女の手首にはめられた、小さな花の意匠を施したブレスレット。それに埋め込まれたピンクの石と同じ色の光を周囲に解き放ち…やがてその光は数秒景色と人を隠した

 

包まれた光が徐々に薄れるとともに倉庫内の風景が視認でき…ブレスレットの光が完全に収まると、既にそこには遊矢と柚子の2人しか居なかった

 

「消えた……?」

「どういうことなの…」

 

ポツリと柚子は呟く。辺りを見渡しても、柚子を助けてくれた少年はもうどこにも居なかった。遊矢は少しボーッとしていたが、少し経ってから隣にいる幼馴染に顔を向けながら質問をする

 

「…なぁ柚子、あいつは一体誰だったんだ?」

「わ、分からないわ……でもあの人、私の代わりに沢渡とデュエルして、守ってくれたの。それに…私のことを見ながら、瑠璃って……」

「瑠璃?ということはあいつ、瑠璃の知り合いってことか?」

「そこまでは……」

 

彼は誰なのか、なぜ柚子を助けてくれたのか、なぜ遊矢と同じ顔をしているのか。山ほどあった聞きたいことを、結局2人は聞けなかった。俯く柚子を見ながら、遊矢も短く思案する

 

(あいつ、俺を見ながら「スタンダードの俺」って言ってたけど……一体どういう意味なんだ?)

 

「standard」。標準、基礎などを意味する英単語である、ということは中学生の遊矢なら知っている。だが、あの少年が言っていた「スタンダードの俺」という言葉を直訳しても「標準の俺」「基礎の俺」……考えてて頭が痛くなる一方だった。意味が分からないから、今は忘れておこうと遊矢は結論を出した

 

けど遊矢は、とにかく柚子が無事だっただけでも良かったと思った。あの自分と同じ顔をした男の子のことは気にはなるが、自分の代わりに沢渡から彼女を守ってくれたことに心の中で感謝する

 

「遊矢…柚子……」

 

そう思っていると、ふと後ろから聞きなれた声が遊矢たちの名前を呟いていた。振り向けば、そこには黒いコートを軽く羽織って目を細めている白星風斗の姿があった

 

「風斗…どうしてここに?」

「鮎川から聞いて急いで来たんだよ。どうやら柚子は無事みたいだな」

 

そう言って垂れ下がったフードを後ろ手で整える。どうやら柚子を助けに来たみたいだということを遊矢は理解して、安堵の息を吐く

 

そして、いつも色々と手を貸して助けてくれる風斗ならば、さきほどの奇妙な状況と現象の話をすれば解決してくれるような気がして、背を向ける風斗に遊矢は話しかける

 

「あの、さ……実は、さっき」

「遊矢、まずは遊勝塾に戻ろうぜ。何を話したいのか知らんが…話は塾に帰ってからゆっくりした方がいいだろうに」

「え……あ、うん、分かった…」

 

出鼻をくじかれて、言葉が尻すぼみになる。遊矢は視線の先を揺らして何か迷いを見せるが、風斗の言うように戻ってから話しても大丈夫だと自分に言い聞かせた

 

「ほら、早く先行けって。また何かあってもすぐ対処してやるから」

「…だってさ。柚子、早く遊勝塾に戻ろう!」

「ちょ、ちょっと遊矢!分かったから手を引っ張らないで!」

 

暗い顔から一転、明るい笑顔に戻った遊矢は柚子の手をパッと握って、倉庫から飛び出した。急に手を握られた柚子は頰を赤く染めながら遊矢の速度に合わせて足を動かす。そして最後に風斗が外に出る

 

倉庫から出て、2人で手を繋いで走る姿を見ながら、風斗は「青春してるなぁ。…爆発すれば良いのに」なんてことを考えて……いなかった。そんなことを考える余裕などなかったから。2人にはもう聞こえない距離で、絞り出すように口にする

 

「………くそッ、間に合わなかったか……」

 

今の彼の頭の中にあるのは、ユートと接触できなかったことに対する自責の念と、神妙な顔で話しかけてきた遊矢への違和感だった

 

 

 

「………見つけた」

 

そしてそんな苛立ちの中にいる彼に、倉庫の上に隠れていた小さな影が緩やかで熱意のこもった視線を送っていた

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

昨日の不思議な出来事を思い返す。あの時柚子を助けてくれた、そして唐突に消えた俺と同じ顔の少年……彼はユートという、風斗や瑠璃がいた街にいる仲間だと昨日聞かされた。竜太郎だけはほんの少し話をしただけの間柄らしい

 

半年前に3人が舞網市に来訪して来る前、風斗はその住んでいた…ハートランドという街から出る際に手紙を残していったらしい。詳しい内容は省いていたが、要約すれば「いつか舞網市に来てくれ」という趣旨の手紙だったと言われた。瑠璃が訪問して来た時に見せてくれた手紙の「彼女の家族が必ず迎えに来る」という一文は、きっとこのことを示していたのだろう

 

2人に聞けば瑠璃には兄が1人いるらしく、風斗は「きっとあいつは1番最初に瑠璃を迎えに来るだろうな。行動力は無駄にあるし、シスコンだし」と笑いながら言って、瑠璃は否定しづらいのか苦笑いを浮かべていた。その時思わず俺たちも苦笑いしてしまった

 

つまり、昨日会った俺とそっくりなユートって人は、その行動や他の人から聞いた話を加味した上でも良い人なのだろう。一緒にハートランドに住んでいた瑠璃たちが言う優しい性格というのも当たりだと思っている。柚子を助けてくれたってのもあるけど…なんとなく、ユートとは他人じゃないような気がしーーー

 

「気をつけェ!遊矢ぁ!!」

「うぇっ!?」

 

いきなり呼びかけられたことと投げかけられた指示に一瞬訳が分からなくなり、俺は思わず座っていた…そう、座っていた椅子からすぐさま立ち上がり……

 

ガッ!!

 

「ぃイッッ……?!〜〜〜〜〜ッ!?」

「うわぁ…今すごい音した」

「大丈夫ですか遊矢さん?」

「しびれるくらい痛そうだぜ〜」

 

机の角に左膝を強打した。そのあまりの激痛に左膝を抱えながら俺は床に倒れ込み悶絶してしまう。め、めちゃくちゃ痛い!!アユたち3人に痛みを訴える暇がないほど痛い!!

 

「ちょっと遊矢、大丈夫なの?」

 

柚子が座った姿勢のまま、顔だけこっちに向けて心配そうな言葉をかけてくる

 

柚子、心配してくれるのか。……でもそれだったら、口角を上げないで声を震わせないでほしい。どう見ても笑いを堪えているし。いや、俺が悪いのだけれど

 

「ふふ」

「あっはははは!ガンってすごい音なったよ!あははは!」

「おいやめろ紫雲院、せっかく我慢してんのに……プフッ…!」

 

起き上がる途中で瑠璃が小さく微笑む。そして素良は飴を口に咥えながら爆笑していて、よく見てみると竜太郎も肩を震わせて口を抑えながら笑っていた。そこまで笑わなくてもいいじゃないか!2人ともキライだ!

 

素良と竜太郎に恨めしい視線をぶつける。ある程度痛みが治まったので起きあがると、薄暗い部屋の奥で白い光の中で投射されたディスプレイ。その前で塾長が眉間にしわを寄せながら俺を見ていた

 

「遊矢、俺の熱血授業中に寝るとは!気合が足りないぞ!」

「いや、別に寝てたわけじゃ…ご、ごめん!」

 

いつも通りの大声で喝を入れてくる塾長に俺は寝ていたわけではないと否定するが、普段の2倍は暑苦しい気迫に言葉を途中で切って謝った。上の空になって話を聞いてなかったのは俺の方だし

 

……でも、せっかく久しぶりに教えてくれる塾長には悪いけど、塾長の授業って退屈なんだよなぁ。今教えているのもデュエルの基礎の基礎の内容、通常召喚とアドバンス召喚に関してなんだけど……

 

「え〜このように、レベル5と6のモンスターは1体、7以上のモンスターは2体フィールドのモンスターをリリースする必要がある!」

「塾長〜。そんな簡単なこと、俺たちだって知ってるぜ〜…」

「退屈〜。もっと面白いこと教えてよ〜〜」

 

真面目に聞いてるタツヤを除いて、フトシとアユはすでにやる気をなくしている。2人とも机の上に顎と体を預けた状態でブーたれてる。素良に至ってはアイスとチョコを融合して食べている始末だ。これはひどい

 

「し、しかしなぁ、俺が教えられることなんてこれくらいしかないからなぁ」

「でも他にもいっぱいあるよ!ほら、融合召喚とかエクシーズ召喚とか!」

「融合召喚にエクシーズ召喚を使う人ならこの塾に4人もいるんだぜ〜」

 

アユの言葉に俺はちょっとだけ同意する。確かにLDSの専売特許とも言える融合召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚全てを使いこなす人がこの塾には存在するのだ…俺たちの講師として

 

それにフトシの言うように、3つの召喚法を使う風斗の他に、融合を主軸にエクシーズも使う竜太郎、最近新しくこの塾に入塾してきた友達の素良も融合召喚だけとはいえ融合使いの1人だ。それに今はデッキがないだけらしく、瑠璃もエクシーズ召喚が得意らしい。……あまりに当たり前に融合にシンクロにエクシーズを使われてるから忘れかけてたけど、よくよく考えればLDSに入塾できるような、いわゆるエリートって言えるような人たちじゃないと知ることができない貴重な召喚法なんだよなぁ

 

4人ともどうやって融合とかエクシーズとか覚えたんだ?って聞くと4人揃って「故郷でみんな普通に使っていた」って言う。でも竜太郎や素良、瑠璃みたいに融合やエクシーズだけ(竜太郎はエクシーズ召喚を風斗や瑠璃から学んでいた)ならまだ納得できるけど、風斗の故郷で融合、シンクロ、エクシーズがみんなに使われてるってのは正直信じられない

 

何か言えない理由があって嘘でもついたのか?でもサラッと言うどころか「何言ってんだこいつ?」みたいな目で見られた時はかなりイラっときた…じゃなくて、そんなごく当たり前のことを聞かれたような彼の反応はとても嘘とは感じられなかった

 

だとすると、風斗の住んでいた街では3つの召喚法を駆使して戦う決闘者(デュエリスト)が大勢いるわけ……で………

 

(なにその魔境)

 

想像してしまった。周りの人たちが全員融合、シンクロ、エクシーズのデッキを1デュエルごとに変えながらデュエルしていく光景を……はっきり言って怖い。そんな環境でデュエルなんて続けられるものなのか?

 

今まで風斗と何回もデュエルをしてきたが、大体が良いようにあしらわれて負ける。当然全部が全部負け試合な訳ではないが、いくつかの勝てたデュエルだって新作のデッキの試しだった時だったり、アクショントラップをやたら引きまくって自爆してたり、柚子や権現坂や竜太郎との2対1のタッグで勝てたりと、まともに勝てたと思える勝利が1つもない

 

彼が、風斗が強いのは、そういう強い人たちがいるのが当たり前なところで育ったからなのだろうか?デュエルの授業では常に「上には上がいる」と言い聞かせていた。あれはもしや自身の境遇による体験談なのか?「向こうじゃ満足できても大体は勝てなかった」というのもジョークではなく本当?

 

周りの人間全てが3つの召喚法を使う事実が恐ろしいというのは変わらないが、同時にどんなデュエルをするのかもとても気になる。やっぱり強力なモンスター同士の熱い激突なのだろうか?それも毎ターン新しいモンスターが出てくると考えれば、ちょっとワクワクしてきて

 

「エクシーズ召喚なんて大したことないね。融合は強いし、召喚する時も美しいんだから!覚えるなら融合召喚だよ絶対」

「え〜?でもエクシーズ召喚もすごく強いよ。この前沢渡にさらわれた時、白星お兄ちゃんすごくキレイで強いエクシーズモンスター出してたもん!」

「あれはしびれる〜!」

「……むぅ、またあいつか…」

「紫雲院、融合は融合、エクシーズはエクシーズだろ。いちいち比べる必要なんかないだろ」

「だってエクシーズなんて、融合のパワーには圧倒的に負けてるし。どっちかつかずな砕ちゃんじゃそりゃ決められないよね〜」

「……今ここで決着つけるか?」

「へぇ、やる?」

 

ーっと、また深く考え込んでしまった。見ればアユたちは柚子と瑠璃に話しかけていて、素良と竜太郎は何か一触触発な雰囲気になっている。基本的には人懐っこい感じの素良だが、風斗と竜太郎に限ってはなぜか違う

 

風斗に対しては妙によそよそしいというか、何か警戒しているような感じがする。竜太郎に至っては何かあるごとにエクシーズより融合が強いと主張してケンカをふっかけてと、明らかに敵意が剥き出しだし。例えれば前者が警戒する猫、後者が威嚇する犬と言ったみたいな感じだ

 

「素良、やめろって。竜太郎もいちいちケンカ腰にならなくてもいいだろ?」

「む〜、遊矢は僕の友達でしょ?だったら僕を助けてよ」

「遊矢、俺だって穏便に済ませたいが、こいつが煽ってくるんだから仕方ないだろ」

「ハイハイ、分かった分かった」

 

険悪な雰囲気が少しは落ち着いたから、俺は席に着いた。塾長も咳払いをして気持ちを落ち着けてから、改めて講義を再開しようとして…そんな時だった

 

『闇討ちだと!?遊矢がそんなバカなことをするか!!』

 

外から、権現坂の険しい大声が響いてきた

 

 

 

 

 

 

 

僕は今、LDSの社長の執務室で赤馬と対面していた

 

「ーーこれが遊矢から聞いた情報だ。柚子から聞いた情報と照らし合わせても、沢渡を撃退したのは間違いなくユートだと思う」

 

話の内容は、今回の沢渡が入院する羽目になった騒動についてのことだ。ユートが襲ったみたいに言われるのは腹が立つので、あくまで撃退しただけと話を通しておく

 

一通り情報を明け渡すと、赤馬は腕組みを解いてクイッとメガネを動かす。そういう動きやめてください、メガネキラリと光らせないで、マジビビりますから

 

「…なるほど、その榊遊矢と同一の容姿をしたレジスタンスのリーダー、ユートに関しては理解した。だが、立体映像投影(リアルソリッドビジョン)を使った反撃はいささかやり過ぎたな。そのおかげで沢渡シンゴは入院、彼の父は自身の全権を用いてでも犯人を探し出す気でいる」

「すんません、ウチのリーダーが」

 

ソファに座りながら頭を深く下げる

 

ユートが沢渡を倒すのはストーリーの大きな変化の1つなのだから止める気は毛頭なかった。そもそも沢渡のケガは自業自得なわけだし、ユートや黒咲と接触できれば話し合いと赤馬の協力でそれらの事態をもみ消すことは可能だ

 

だが、既にそういう話をつけていてもそれは裏での話。そもそも僕がLDS襲撃犯(黒咲)にその仲間であるユートと関わりを持ってる時点で、それが明るみになった時に糾弾の的がこちらに向くのは当然の話

 

ならば、例え表面上だとしても謝罪したという事実は後々必要になってくる…はず。必要なかったとしても僕が損するだけなのだからやるだけやるべきだろう。……LDSが被る被害を細かく知ってて黙ってた時点で、同罪の余地はあるわけだし

 

「それと、LDSの関係者たちに襲撃を仕掛けている者についても…どうやら心当たりがあるようだな」

「うん。さっき事情聴取してきたから…あんのクソトリ頭、一体どうしてくれようか…!!」

 

頭を抱える僕の姿に察する赤馬。そう。それよりも驚いたのは、黒咲のことだ

 

LDS襲撃犯…被害者の証言からして間違いなく黒咲だと思う。…そう、()()()の証言。黒咲は襲いかかったLDSの塾生・講師を、現状誰もカード化していないのだ。これはアニメとは違う大きな変化だ。あの書き置きをちゃんと読んでくれたのだろうか?正直あいつなら一蹴しそうな気がしたから保険程度のつもりで書いたんだけどな

 

けど、驚きの大半を占めているのはカード化しなかったことだけではなく、LDSを襲撃したことだ

 

そもそも赤馬零児、もといLDSと同盟関係を結ぶことは書き置きで通達済みで、ユートにも前もって伝えていたことだ。LDSとの提携で宣伝されているプロ決闘者(デュエリスト)、サウザンド・フェイスというのも、アカデミアに対しての威嚇も備えた味方へのシグナルでもあるのだ。僕がこの次元で、無事LDSと繋がることができたというシグナル

 

頭の回転がいいあいつらならそれは絶対に理解しているはずだ。だからこそ、その同盟ともいえる相手をことごとく襲撃している黒咲の意図が読めない。……ユート?あいつは正当防衛だから悪くない

 

悩みのタネを増やすレジスタンス1の問題児は…今は置いておこう。被害を出し続けているといってもカード化されているわけではないのだ。塾生、講師のみんなには申し訳ないが、もう少しの間黒咲の相手をしてもらおう

 

「とにかく、沢渡の親父さんはどうする?」

「フム…ならば私から直接制止の声をかけておこう。こちらが調査を行なっていると圧力をかければ、いかに次期市長といえど表立って動くことはできないはずだ」

 

大丈夫かなぁ…。赤馬の提案はちょっぴり信用性に欠けていたが、レジスタンス(こちら側)が引き起こした問題である以上、それを断ることも難しかった

 

ガチャリ

 

話がある程度纏まってきたところで、部屋に中島さんが入ってきた。話も終わったし、今日もこれで終わりかな…

 

「何かあったのか?」

 

赤馬が問いかける。すると中島さんは少し躊躇ったあと、歯切れが悪そうに伝えてきた

 

「社長、実は先ほど、赤馬理事長がLDS融合・シンクロ・エクシーズコース主席を連れて遊勝塾に向かいまして…」

「ゑ?」

「なに?」

 

What?遊勝塾?なぜに?

 

おかしいおかしいおかしい。だってこの会談は遊勝塾関係者には加害者がいないと証明できることを話しにきたのだ。そうじゃなくったって目的であるペンデュラムも極秘ながらも着々と進んでいって……

 

………極秘?

 

「……なぁ社長。お前のお母さんにペンデュラムの開発具合って話してある?」

「…なるほど。ペンデュラムカードの開発を一気に進めるために、沢渡の件を口実に遊勝塾を乗っ取ろうと考えたか」

 

お前のお母さん、なんでそんなに策謀とバイタリティに溢れてるわけ?わざわざ早起きしてここにきたのがバカバカしいじゃんか

 

って、言ってる場合じゃない!

 

「やべ!早く遊勝塾にーー」

「落ち着け。そもそも私は遊勝塾を乗っ取るつもりも理由は最初からない」

 

腰とマフラーを浮かして、冷静に赤馬は立つ。そして中島さんにすぐに命令を飛ばす

 

「すぐに車を用意しろ!目的地は遊勝塾だ」

「ハ!すぐにご用意します!」

「白星、君もすぐに乗れ。君と話すべきことは、まだ多く残っているのだからな」

「…はいよ、社長殿」

 

確かに赤馬のいうように遊勝塾を狙う理由が今のLDSにはない。焦ったところでなにも解決はしないのだ。それに、話すことが多いのも確かだから

 

冷静にならねばと無理矢理頭を冷やしながら、赤馬社長に促される形で僕は執務室から出た




長らく放置して申し訳ございませんでした。非常にバカバカしい理由かもしれませんが、実はあまりアニメとは変わり映えしない北斗ークンとのデュエルを書くべきなのかどうか…ただそれだけを迷って書くのを放置してました。そこに新マスタールールを見てビクンビクンして、ちょっと凹んでいました。別の小説とモンハンしてたら、だいぶ元気になれました

そうそう、北斗ークンといえば、リンク召喚の素材にトークンが使えるという話をスタ速で見ました。新マスタールールとリンク召喚の導入は大きな衝撃でしたが、なら新しいデッキを組むまで!なのでちょっと「スケープゴート」を捜索中なのじゃ。あ、「ダストン」も案外いいかもしれない

最近この小説の文字数がかなり多いということを自覚しまして、多分デュエルがある話はかなりの文字数になりますが、デュエル抜きや考察回(今回みたいな)の時は半分以上減ると思います

文字数だけが取り柄のくせに!なんて思う人もいるかもしれませんが、これからも読んでいただければと思います



それでは次回予告!

遊勝塾存続がかかった3回デュエルの結果は1勝1負1引分けだった。しかしそれで納得する赤馬日美香ではなく、4戦目の相手として現れた赤馬零児は対戦相手に白星風斗を指名する

「君には、以前敗れた雪辱も果たしておきたかったからな」
「あるんだよ。闇の力で強大になった、闇のシンクロ召喚が!!」
「榊遊矢よ、しかと見るがいい。ペンデュラムがもはや、君だけのものではないということを!」

面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語
第35話 「風斗VS赤馬 その名もダークシンクロ!!」
お楽しみは、これまでだ!
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