面倒くさがりな直感系決闘者がゆくARC-V物語 作:ジャギィ
もしかして行き当たりばったりで作品書いてんの僕だけ?!
そんな不安がとっても駆られました
それと感想欄にもあったのですが時折出てくる召喚口上や技名は主人公(作者)の趣味です。厨二全開ですけどカッコいいから構いませんよね!…そんなもんだと思って見ていただければと思います
それではちょっとフラグな3話目ドーゾ!
…………
「…ん…?」
目が、冴える。なんだか真っさらな場所であった。付け加えるなら何もなさすぎて殺風景極まりない…
「……もしかしてまた死んだ?」
今の自分に置かれた状況に心当たりがある。というか見に覚えがありすぎる。ごく最近見たあの場は部屋の形であったが、壁がないってだけでこの白い世界は僕の新しい出発点でもあったわけだ
ついでに死んだことを真っ先に浮かんだ理由としては、これと似たような時に自身の「死」を告げられたのと、まだ鮮明に残っているあの脱力感が答えであった
……あれ?
「じゃあなんで僕こんなとこにいるんだ?」
生まれ直してすぐ死ぬなんてスペランカーの主人公くらい儚く短い人生だったが、このように記憶を有していることがすでに異常であった。
ではこの現状はなんだ?なんかおかしい
「…………」
「ん?」
後ろに気配を感じたので身体ごと振り向くと、真っ白な頭まで覆った全身タイツを着込んだような変人がいた。例えるなら、顔のない真っ白なアンチスパイラルみたいなやつ
「お前は何がしたい?」
「…ハイ?」
コイツは何を言ってるのか?口もないのに響くように聞こえる質問は、抽象的すぎて訳が分からなかった
「なに?哲学?ハッキ…」
浮遊感、気がつくとそいつは既に遥か上空にいた。…いや違う、床の概念すらなさそうなその場所から僕は急に落下していて、声にならない悲鳴をあげていた
「ーーーーーーー………!!!」
全身タイツマンのそのセリフが、耳に溶けていった
「もっと心を揺らせ。……
薬品の匂いがする。僕の一番新しい記憶ではその匂いは入院時の病室で嗅いだのが最後だった…気がする。とりあえずその特徴のある匂いは忘れなれる訳がなく、そのためここが病室的部屋であるとすぐ理解した
「…知らない天井だ…」
1度は言ってみたかったセリフを言ってみた。ちょっと満足したから身体を起こしてみると、薬品棚の隣で人が腕組みしながら壁にもたれかかって立っていた。黒咲である
「起きたか」
僕の寝ていたベッドに近づく黒咲。その言い方からすると僕が起きるのを待っていたかのように思えた。え?なになに?
「お前と話がしたかった」
「話?…なんの?」
「瑠璃のことだ」
真剣な顔をして出てきた話題は黒咲の妹、瑠璃のことであった。なに?その人を伺う目?僕何にもしてないよ?フウトウソツカナイ
「正確には瑠璃から聞いたお前の話についてだ」
「…………」
「その様子だと、俺がなにを聞いたのか察しはついてるようだな」
いいえ全然。なんというかあの子そこまでポロっと人の秘密喋りそうにないし…聞いたとしたら、せいぜい僕がアカデミアの連中と戦ったことだろうか?場合によっちゃシンクロ召喚のこと聞かれて他次元出身と怪しまれてるかもしれないが…
なにか僕のことを盛大に勘違いしてるような気がする黒咲は、そのまま部屋から出ようとする
「詳しい話は会議室で行う。あとで必ず来い」
「会議室?黒咲、なぜ僕はここにいる?そもそもここはどこだ?」
おそらくは瑠璃が案内しようとしてた難民キャンプの病室かなんかなのだろう。しかしそれにしては「会議室」という単語が不自然に感じる。なに?食糧とかの?
「ここは俺たちレジスタンスの本拠地だ」
しかし思った以上に重要な所に運ばれてるなんて僕は思ってもいなかったわけで…
「……ゑ…?」
「基地の中の仲間たちに聞けば会議室の場所を教えてくれるだろう。俺は先に行き話をしてくる」
混乱中の僕を置いて病室から出ていく黒咲。しかし今の僕の心境はまさにごちゃ混ぜな状態に他ならなかった…
「…まるで意味がわからんぞ!」
だから逆に冷静になった頭でネタに走り、現実逃避を開始したのである。わけがわからないよ…
とりあえずベッドから起き上がってコートを着て、バッグを肩に掛けて病室の外を出てみた
(会議室ってどこだ…?そもそも基地内の地形ってどうなってんだ?)
レジスタンスの本拠地とか秘密基地っぽくて少しワクワクしてたが…そもそも現実は非情であり、会議室はおろか自分が今どこに居るのか分からず、病室前でオロオロしていた。他の人に声をかけないのは、自分がよそ者だからきっと歓迎されていないだろう…
などという気遣いから起こした行動ではなく、単に彼があまり人と話さず極力こちらから話しかける気は無いという非常にコミュ症的理由であった
…あとは単純に気まずいからと、未だ頭が混乱状態なのを引きずっていた故である。どうしよ…
「誰に聞こっかな…でも僕の正体って誰も知らないだろうし、下手に話しかけてもなんて思われるか…あぁ不安だぁ…!」
「あの、白星さんですか?」
唐突に名前を呼ばれた。ここに来て1度も名乗っておらず、コートやカバンには名前の入ったタグネームなどついていないのに。思わず声の聞こえた方向に身体を向けるとそこにいたのは、年齢は13・4で中学生くらいの男の子が不安そうな顔つきでこちらを伺っていた
気弱そうな顔と目つきはその薄い空色の髪がより引き立てて、それでいながら所々小さく跳ねている髪色は明るく刺激的な黄色であった。服はオレンジのTシャツに蒼いGパン、これまた薄い水色と所々混じった黄色のパーカーを来て、ジッパーは胸元のちょい上まであげていた。ベルトを巻く為のズボンの隙間に、赤い布を通していた
…なんというか、凄く色の差が激しい見た目というのが第一印象であった。気弱そうな顔つきなどそっちのけになるくらいで
「……誰だお前は?」
「えっと、僕の名前は
…黒咲のやつ、他のやつに聞けと言っときながら案内役よこすなんてな…
「…そっか。僕の名前は白星風斗、名前は?」
「…あの、さっき言いましたよね…?」
「黒咲が案内役よこしたことに驚いててな…少し聞いてなかった。もっかい聞いていい?」
「アハハ…、半田光磁です。よろしくお願いします」
「あぁ…よろしく」
思っていたより、ずっと礼儀正しい子だなぁ…
彼の次の評価は、内心とても高かった
「…………」
「…………」
「……なぁ、1ついいか?」
「はい、なんですか?」
そう言いながらも歩き続ける僕ら。基地の中は思ってたより広く、けどそこまで遠く無いと半田が言ってたので黙って歩いていたのだが…
「…なんか、メッチャ見られてね?」
「アハハ…そうですね…」
メッチャ見られてるのである。視線ガンガンである。穴開いて針千本通りそうなくらい
『オイ、あの人らしいぞ。黒咲さんが連れてきたのって』
『あの威圧感ある歩き姿…黒咲さんに勝ったのって本当みたいね』
『じゃああの噂も本当か?だとしたらすげーな、あの人』
いいえ、視線に緊張して挙動不審なだけです。本当は今すぐ病室の隅に戻って布団を被りたいけど取り繕ってるだけなんです
止めて!止めてよ!身体穴だらけでスカスカになっちゃうじゃないか!コミュ症にはとっても辛いんだよォ!
心の言葉が誰にも聞こえないのをいいことに気持ち悪い駄々をこねる僕。…うぅ、少し気分悪くなってきた…
「まぁ、ここに来た時点で既に色々有名ですからね…アハハハ…」
視線と己の気持ち悪さに酔っていると、半田がそんなことを苦笑いしながら言い出した
「有名って…ここに来たって意味でか?そもそもレジスタンスの本拠地に僕みたいなよそ者連れてきていいのかよ?」
「隼さんと瑠璃さんが保証したんですよ。隼さんは「やつのデュエルに対する気持ちだけは鉄の意志や鋼の強さを溶かすほどに熱い」って言うほどでしたし、瑠璃さんはあなたに2度も命を助けられたと言ってましたし…。…凄いことですよ?あの隼さんが他の人をそこまで評価するなんて、親友のユートさんくらいしか居ませんからね」
「味方にも「あの」扱いされる程強烈なキャラなのか黒咲」
「まぁ、色々と凄い人ですから…本当に」
それより黒咲、お前のその妙に高い評価はなんだ?「鉄の意志や鋼の強さを溶かすほどに熱い気持ち」?…なぁにそれぇ?なにその新しいキャッチフレーズ。僕の黒歴史増やしたいの?それとも殺したいの?恥ずか死させる気?
「…それで、結局なんで有名なんだ?」
「さっき言った隼さんがあなたを評価していることと、瑠璃さんを助けたことから知られましたね。………あとあの噂ですかね…」
「あの噂?」
蚊の鳴き声のような声の小ささだったが、あいにく蚊は天敵なのでしっかり聞こえてた。他の人じゃまず聞こえないだろ。あと鈍感系キャラ
ムカつくよね、ああいう鈍感なやつ。特にハーレムとか形成しながらそんなことない云々抜かすやつ。もっと現実を客観的に見ろよ
「なにその噂って?まさか悪い噂じゃないよな?」
「…いえ、あの…白星さんを陥れるような噂ではないのですが…」
「けどなに?」
「えっと…、そのォ…」
ものすごく言いづらそうな半田。なに?悪い噂じゃないなら早く言ってよ、そういうのって分からないのが1番怖いんだから
「…白星さんが……」
僕が?
「…隼さんに対して………シスコンって言ったことが……」
「…………」
…………ハァ?
「そんなこと?」
「いや、隼さんの前では禁句みたいなもので…ってそんなことって、まさか本当に言ったんですか?!」
「うん」
「なんて?!」
なんでそんなに食いつくの?…なんだっけ?えーと…
「確か瑠璃って言わないと会話できないのかシスコン野郎って。…あ、あと妹離れしろよとも言ったな」
「なんてこと…」
半田は頭を抱えて苦悩していた。なんだよ、そんなことならもう多分気にしてないだろ黒咲のやつも。…もっかい言えばまた怒るかもだけど
『ねぇ、今の話聞いた!?』
『あぁ、まさかそこまで言ったとは…狂ってやがるぜ!』
『一体どんな精神構造してたらそこまで言えるんだ?!』
「聞こえてるぞ外野」
人を精神疾患者みたいに言うな
「…まぁ別に黒咲を貶めるために言ったわけじゃないんだよ。話聞かれなくてイライラしてたのと、挑発の意味も含めてだからな?」
妹とはつまるとこ家族だ。その家族を心配して大事にして…それをバカにされる理由が、する理由がわからない。母親を心配する息子に対してマザコンと一蹴できるのか?行き過ぎなのは当然良くないが…、それは周囲だけに収まらず守る対象をも痛みと苦しみをもたらす
苦しい…痛み…愛……ウッ、頭が…
実際シスコンとかが悪いとは思わない。…それにあいつが瑠璃を心配する気持ちはすごく分かるしな…
「…それでもあまり隼さんの前で言わないでくださいね…?」
「……なんかしてきたらポロっと言うかもな」
「ちょっ!?」
そこまで話すと急に半田は足を止め身体を横に向けた。つられて顔だけ向けてみると、なんだかとても頑丈そうな鉄製の扉があった。その扉には白いプレートに「
「ここは?」
「会議室ですよ?プレートに書いてあるじゃないですか」
「英語読めねぇんだよ…おいコラ、なんだその可哀想なものを見る目は?良いだろうが、英語覚えなくても生きていけんだから」
「致命的だと思いますが…?」
ハハッ!なにそれ皮肉?…それともマジで言ってんのかなぁ…
…この世界の
「失礼しまーす」
言葉と同時にガチャッとドアノブを捻って扉を開ける。錆び付いているのかギギッとキツい音を鳴らしながらもドアを開けると、それなりに明るい照明の下に見知った2人と一方的に知っている男が1人
「…白星さん!怪我治ったんですね?良かった…」
「遅いぞ白星、光磁。なにをしていたのだ?」
怪我の治り具合を見て安心してくれる瑠璃と僕らの遅い到着に不満気味な黒咲。さりげなくだがようやく名前を言ってくれた…つーか名前で呼んでもらうほど仲良かったんだな、半田
そして最後に僕を見ている男。黒いズボンと、そこから出してきている暗い緑の襟のたったワイシャツには黒いネクタイが付けられており、その上から羽織るように黒のマントを付けた黒づくしの服装。首と手首にそれぞれつけられている黒の首輪と腕輪はまるで拘束具を想像させた。
そして彼のそこそこ長い逆立った黒髪、その前に更に目立つ薄い紫色をした一部を除いたこれまた逆立った髪。残りの一部は顔の横で徐々に垂れていた。眉間からシワの取れない顔つきはとても凛々しく、しかし僕はその顔にある人物を重ねていた
(…髪型を無視すれば、なるほど。これならなにも知らない奴は間違えるかもな)
「君が隼や瑠璃の言っていた白星か。瑠璃を助けてくれたことを感謝する」
「別に気にしなくても良い。…それでお前は?」
「俺は…」
その男は、遊戯王ARC-Vにおけるエクシーズ次元の
「…俺の名前はユート。アカデミアに対するレジスタンスのリーダーをやっている」
ナストラルこと、ユートが僕の前にいた
「…それで隼、瑠璃。話したいこととはなんだ?」
「白星に関する、かなり重要なことだ」
「僕?」
しかもかなり重要ときた。これはやはりシンクロ召喚のことが漏れてしまったのかもしれない
思わず瑠璃の方を向くと、彼女はなぜか覚悟を決めたかのような表情でこちらを見ていた。いや、なぜそこまで鬼気迫った顔してんだ…?
「…あの、だったら僕は席を外しましょうか?」
瑠璃の状態を疑問視していると、後ろの半田が気まずそうに、しかし笑みを浮かべながら少し後ずさりした。分かる、その気持ちすっごく分かるよ…僕もとてもここから出たいくらいだ
しかしそれは叶わない。話の当事者は他ならない僕なのだから
「いえ、光磁も聞いたほうがいいわ。知る人間は少ない方が良いけど、できるだけ信用できる人にもフォローしてもらうつもりだから」
「そうですか…分かりました」
フォロー?一体なんの話だ?
何か話が食い違ってるような気がして気が気でないが、とりあえず話だけでも聞いて考えよう
…この時も僕は、何というか…想像力が欠如していたんだと思う。少なくとも少し考えれば予想はついたのだ、「自分が多次元出身者と思われている」などを…
「では、聞かせてもらうぞ、白星」
しかしそれは変化の連続についていけない僕には難しい話である。…それに想像力とかがあったとしても、実は意味はほとんど機能しない
なぜなら…
「…お前が別の世界から来たと言うのは、本当か?」
…………?
………?
……?!
…!?
「えぇえッ!?」
…現実は、僕の想像を大きく凌駕していたのだから
…僕も想像力が足りなかったのか…?
「なんで…?」
「……どうやら、本当のようだな…」
何故だ…?思わず自白するような驚き方をしてしまったが、実際仕方ないと思う
仮に…いや、十中八九シンクロ召喚のことはバレているのだろう。そうじゃなければ、あんな意味のない質問を黒咲がするはずがない
「…隼。今の質問はどういう意味だ?」
「そうですよ隼さん、なんでいきなりそんなことを…」
「ユート、光磁。兄さんも確信なしにあの質問をしたわけではないの、ちゃんと証拠…というより証言があるの」
証言…おそらくシンクロ召喚のことだろう。瑠璃にいろいろ教えてしまったからな
けどどうしても分からない。何故「
いや、もしそう断定したら今度はエクシーズ召喚を使えたことが問題になる。この荒廃しきった次元ではカードなどまともに手に入らないことを考えると、それ以外のなにかがあるのではないかと考えてもおかしくはない
なんてこった…こんな単純なことを予想…いや、想像できないなんて…
「僕も想像力が足りなか…」
「こいつ自ら「この世界に来た」と言っていたからな」
「私も聞いたわ、すごい大声で言ってた」
足りなかったのは想像力ではなく注意力だったらしい
「…え?あれ?……ゑ?」
こいつ自ら?すごい大声で?…言ってる意味がわからない…いや分かってるけど、正直それはとても認めたくない
「…あの、どうかしましたか?」
「ゴメン、ホントちょっと待って。時間かからないから」
半田が心配そうにこちらを見るが、正直そんなことに気を回せるほど余裕がなかった
認めたくないけど認めないといけないから必死に記憶を掘り返す。えーと…黒咲とのデュエル再開した時?…いや違う。じゃあ瑠璃を助けた時?…そもそもそこまで大声あげてない。…大声?
…………
「ヴァァァァァアアァアァッ!?」
思わず膝をつき、肘もつきながら頭を抱えるがそんなことはどうでも良かった
言ったァッ!言ったよ思いっきり!恥も外聞もかなぐり捨てて叫びまくってたよドチクショウ!!…ってよくよく考えればその時に召喚法のことまで叫んでんじゃねぇか!シンクロは全然いいけどペンデュラムって瑠璃が攫われてないからまだ出てなくね!?そこんとこ追求されたら流石にどうしようもねぇよ!…ってかそんなことよりも黒歴史再び作ったほうがヤバい!な・ぜ・だ!!黒歴史を封じる心を手に入れたというのに…。黒歴史とはいったい…うごごごごっ…
「し、白星さん?!凄く痙攣してますけど大丈夫ですか?!」
「貝になりたい」
「白星さん?!」
「石ころのような生をおくりたい…」
「落ち着いてください!しっかり!」
僕の肩をガタガタ揺らして正気に戻そうと必死な半田。とてもいい奴だなぁ…と思った。あとツッコミうまいなとも
そんな僕の豹変を見てユートは目を丸くしており、瑠璃は腰と頭に手を当てて溜め息を吐いていて、黒咲は厳しい眼差しで見下ろしていた
「…そろそろ質問に答えろ」
「隼さん、流石にこの状態じゃ話はできないと…」
「…フゥ、すっきりした」
「あれ?!」
だいぶ落ち着いてきたので起き上がり埃を払う。こうやって内側に溜まってるもん一気に吐き出せば結構すっきりするんだよねぇ…人はこれを賢者タイムと言うが
驚く半田をよそに、黒咲たちに向かい合うように身体を向けた
「よく落ち着いてるって分かったな」
「1度似たようなものを見ているからな」
「…頑張って忘れないとなぁ…」
これ以上の黒歴史生産はゴメンだ
「で質問の答えだけど…なんつーかなぁ…」
「…答えられないというのか?」
「答えても信じてもらえないに一票かな?」
「信じてもらえない?」
今更すぎる僕の言葉に首をかしげる瑠璃。僕はそれを頷いて肯定する
実際そうであろう。実はこの世界がアニメの世界で、あなた方も空想上の人物でした!…なんてのは言っても信じてもらえないだろうしそもそもいう気がない。たとえ彼らが、この世界が作られた世界だとしても、僕は「アニメ」の一言で片付けることはできない
それは彼らの存在の否定になるし、この世界を望んだ僕が言うのは筋違いもいいところだ
「ブッとんだ話だが、それでも良いなら説明する。…聞くか?」
「当然だ」
「はい」
「…俺も気になる」
「僕にも聞かせてください」
だが説明しないわけにはいかない。だから説明しないのは「アニメ」のことだけだ。それを除いて、簡潔に僕の「次元」を説明する…
「…これが、僕のいた世界の話だ」
「……本当に、そんな世界があるの…?」
「デュエルモンスターズが娯楽の1つの世界…」
「ソリッドビジョンもないなんて、正直信じられませんね」
「少なくとも、僕の世界に関しては何1つ嘘はついてない」
そう、嘘は本当についてない。ただ語ってないことが多すぎる…それだけの話である
「だが、それならばコイツが多くの召喚法を知っていたことに…使えることに、説明がつく」
「多くの召喚法?融合以外の他にもなにかあるのですか?」
「私を助けてくれた時には、シンクロ召喚ってのを使ってたわ」
「それと、ペンデュラム…なども言っていたな」
…正直、隠せそうにないなぁ…もう…
「…うん、召喚法…エクストラデッキから特殊召喚する召喚法は、融合・シンクロ・エクシーズ…そして、ペンデュラムがある」
「全部使えるのか?」
「当然。カードだってある」
実は内心、融合召喚を使えることでまたなにか黒咲あたりが問い詰めてくるものだと思っていたのだが……
「…怒らないのか?」
「なにがだ?」
「融合、使えるんだぞ僕。お前たちの敵の」
そこまで言うとみんなが顔を伏せ、目をそらす…が、1番意外な人物だけが僕を見据えていた
「…お前はアカデミアではないからな…」
「黒咲…?」
黒咲だった。正直意外過ぎた。この中で融合召喚を最も嫌悪しているのは黒咲とも言えよう。その黒咲のリアクションに、僕だけでなくユートや半田も驚きを隠せないでいた
「…融合召喚に、罪はないのだろう?」
「ッ!」
目頭が、熱くなった。思わず顔を伏せ、ポロポロ溢れそうだった涙を抑える
融合に罪はない
僕はとても嬉しかった。その言葉を、他でもない黒咲本人の口から聞けたからだ。アカデミアではないと疑いが晴れるよりも、ずっとずっと嬉しい変化だった
「…うん、融合に罪はない。シンクロもエクシーズもペンデュラムも、みんな違っててみんな良いんだ。使いたいものも、好きなものもみんな違うものなんだよ…」
だから
「だから僕はアカデミアを断じて許さない。元の世界だろうと、この世界だろうと、遊戯王は…デュエルは、楽しんで笑い合ってやるもんだ。それを下らない侵略だの戦争だのに利用するアカデミアは、僕のこの手で滅ぼしてやる」
結局のとこ、僕のやってることもアカデミアの人間と変わりはしない。他人に自分のエゴを押し付け、思い通りにならなければ抑えつけるなり消すなりする。こんな自己嫌悪の塊な自分は嫌いだし、アカデミアのカスどもはもっと嫌いだ。だから人間という存在にも諦めがついていて、もっと嫌っているはずなのだ
…だけど…
「そうだ、奴らは俺たちの故郷を踏みにじり、多くの関係のない人間をカードにしていった。奴らは必ず俺たちの手でぶっ潰す!」
こんなに前を向いて進む
「…そうだ、多くの人間を不幸にする融合次元のアカデミアを、なんとしても打倒しなければならない!」
「兄さんの言う通りだわ。これ以上、私たちの他にも悲しい思いをする人たちを増やしてはいけないわ」
「そのためには、何としてもアカデミアに勝たないとですね」
ユートも、瑠璃も、半田も立ち上がってゆく。そこには確かに、多くの人間の心を照らす「
「…隼、変わったな。…いや、取り戻したというべきか」
「…そこのデュエルバカのおかげでな……」
そこのデュエルバカ?どこのデュエルバカですかねぇ…?…はい僕ですよね、分かります
「ンだと黒咲、なんてこと言いやがるこの野郎」
「分かりやすい特徴をあげてみただけだ。自覚はあったようだな」
「うっさいこのシスコン」
「…………フッ…」
「………フハハハッ…」
互いに、笑い合う。小さく、短く…だが確かに、心から笑い合う
…最初はこの次元に来たことにとても嘆いてたものだったが、今ならある意味最高だったとも言えるな
なぜなら、デュエルは楽しむものだと共感できる人と知り合えたのだから
「白星」
「なに?ユート」
「頼みがある」
頼み?…だいたい想像つくなぁ…
「なに?」
「俺とデュエルをしてくれ」
「…なんで?」
今の話の流れでデュエルを申し込んでくるあたりに、遊戯王世界に来たのだと改めて実感した
「デュエルをする前に、もう1つ頼みがある」
「またぁ?なに?」
レジスタンスの訓練所に移動し、すでにデュエルディスクを構えるユートとどのデッキを使おうか目移りしてる僕。どれ使おっかなー…
ちなみにこの訓練所、もともとプロデュエリストなどがデッキ回しや練習等のために使ってたらしく、野球会場のような観客席に様々なレジスタンスメンバーが集まっていた。お前ら暇だなオイ…黒咲たちに至っては僕とユートの間辺りの横の観客席の最前列に座ってるし…
「本気でデュエルしてほしい」
「いや、本気でするよ?当然」
「…君が本気で強いと思うデッキで来てくれ」
ピクッと、思わず反応してしまった。ユートの方を向き見てみる。その強い力が込められた瞳には、全力を望んでいると理解できた
「…良いのか?本当に使って?」
僕の本気のデッキ…いうより、現状1番回し慣れているデッキは「オッドアイズ魔術師」。そのデッキは「
なによりあらゆる召喚法を取り入れたこのデッキは、融合も当然入っており、場合によっては僕がここから追い出されかねない
そういう事情があり、一応ユートに確認の意味で聞いたのだが…
「俺では相手にならないと言いたいのか…?」
しかしどうやら言葉のニュアンスが誤って伝わったようで、怒っているようでどこか悲しんでるようにも聞こえた。心なしか髪型のナスもしなびてる気がして、なんというか罪悪感で胸一杯になった
「…使った場合、融合モンスターが出てくるかもしれないんだよ」
だから事実だけを簡潔に述べる
『融合モンスターが出るだと…?』
『じゃあアイツ、アカデミアなのか?』
『でも瑠璃さんは恩人って言ってたぞ?』
そして今の台詞が観客にも聞こえたのか、伝言ゲームのよう僕のことが広められてゆく
「静かに!」
ユートの大きな声が訓練所に響く。流石この若さでレジスタンスのリーダーをやるだけのことはあるのか、周囲の声はポツリポツリと止んでいく
「彼はアカデミアでは、敵ではない!瑠璃をオベリスクフォースから救ってくれた恩人だ!」
先ほどとは打って変わっての静寂。ユートの話はまだ続く
「俺は今から彼とデュエルする!それを見て判断してくれ!彼がアカデミアであるのかどうかを!」
そう言って、ユートは僕の方へ振り向く
「このデュエルは誰にも文句を言わせない。全力でぶつかって来てくれ」
「…分かった」
こいつの気持ちは、気遣いは、充分心に染み込んだ。ならば、それにはしっかり答えてやるべきだろう
…OCGデュエリスト 白星 風斗…
全力で潰す!
「「デュエル!!」」
白星 風斗 LP4000 手札 5枚
VS
ユート LP4000 手札 5枚
先行はこちらに表示された。…この初手はなかなかに強いな…
「僕の先行!魔法カード「ペンデュラム・コール」を手札1枚をコストに発動!デッキから同名カード以外の「魔術師」と名のついた「
「…ッ!ペンデュラム…!」
『ペンデュラム?なんだそれ?』
『そんなカード、聞いたことないぞ?』
「僕はスケール8の「竜穴の魔術師」とスケール4の「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」で、
僕のフィールドの両端から、大きな光の柱が伸びる。そこには先端に丸い輪がつけられた杖を持つ男「竜穴の魔術師」と、世にも珍しき2色の眼を持つ竜「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」が存在してい……
…ズクンッ…
身体の中で、
ドクンッ…
その間で薄い
白星 風斗 LP4000 手札 3枚
(スケール4)オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン
(スケール8)竜穴の魔術師
「これは…?!」
「…これで1ターンに1度だけ、レベル5から7のモンスターを同時に特殊召喚できる」
「ッ!?」
ドクンッ… ズクンッ… ドクンッ…
揺れる、ペンデュラムが。さらに大きく揺れる、黒のクリスタルは
「揺れろ、深淵のペンデュラム!虚空に描け、漆黒のアークゥ!」
ドクンッ…ドクンッ…ズクンッ…ズクンッ…
揺らせ!揺らせ!もっと大きく!もっと強く!強く強く強く!
「ペンデュラム召喚!出でよ!我が
円状に揺れるペンデュラム。その黒き穴から、2体のモンスターが現れる。1体は先ほどまで手札に加えた魔術師。フードの付いた緑の装束を着込み剣のついた杖を持つその姿は、魔術のみならず武術にも長けているように思えた
そしてもう1体。赤き身体と黄色の翼膜、幾つも重なった尾は正しく不死鳥だが、小さい帽子、青い服、カラフルな蝶ネクタイがその鳥をコメディアン一色に塗り替えていた
「レベル6!「賤竜の魔術師」!レベル5!「
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
『ペンデュラム召喚ッ?!なんだそれ!?』
『モンスターが2体、それもレベル5以上がリリースもなしに出てきやがった!』
『彼、一体何者なの!?』
「………クフ、フフフフフフフフフ…」
笑いが、止まらない
「アハハハハハハハ………」
黒いナニかが、内側から溢れ出る
「…さぁ、ゲームを始めよう…」
風斗のその黒い瞳は、淀みなく澄んでいた
「白星…?」
なにか様子がおかしい、ユートはそう思わざるおえなかった
急に笑い始めた彼の瞳は、とても綺麗であった。まだ何も知らない、分からない子供のように純粋に笑い、楽しそうだった
だから、恐ろしい
「白星!」
彼はとても熱いデュエリストだとユートは思っていた。デュエルは楽しむものだと本気で思い、だからアカデミアのしていることは間違っている。住んでいた環境が…世界が違うと言えど、彼も本気でデュエルモンスターズを愛している人間の1人なのだと理解していた
だからこそ目の前の彼が理解できない。オベリスクフォースよりも愉快に、楽しく笑うその姿は、不快感よりも恐怖心が勝っていた
「…ンァ…?」
そこまで考えていたら、いつの間にかいつも通りの風斗がそこにいた。なにか頭を抑えて蹲っているが、先ほどのはなんだったのだろうか…?
「…大丈夫か?白星」
とりあえず、ユートは風斗に声をかけてみた
あぁ、ものすごく恥ずかしい…!
「…大丈夫か?白星」
ユートが心配かけて話しかけてくるが、その優しさすらも今の僕には痛かった
さっきまで僕は何をトチ狂ったのか、妙に芝居掛かったセリフを吐いて、オマケに高笑いまでするという暴挙に出てしまったのである。「深淵のペンデュラム」って…!この世界に来てから暴走気味だったが、いくらなんでもこりゃねぇだろ…!
「大丈夫だユート、ちょっと芝居掛かって喋ってしまったが途中で凄く恥ずかしくなってな…。
「い、いや…俺も気にしてはいない……」
「本当?ゴメンな」
この子メッチャ良い子だわ。真剣勝負を望んでそれに対してふざけてしまったというのにそれを許してくれるなんて、なんて懐の広さ。流石レジスタンスのリーダーをやっているだけはある
…あ、ヤベェ
「召喚・特殊召喚に成功した「賤竜の魔術師」の効果発動!「賤竜」以外の「魔術師」、あるいは「オッドアイズ」と名のついたモンスター1枚を墓地から手札に加える。「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」を手札に」
「賤竜」の効果処理を忘れそうだったが、間一髪のところで思い出す。危ない危ない、危うくコストで落とした「オッドアイズ」無駄になるとこだったわ
「エンドフェイズ」
すると、僕が片方にセットしていた「オッドアイズ」が叫び声をあげ、光となり散っていった
「そしてエンドフェイズ時に「ペンデュラム・ドラゴン」のペンデュラム効果発動!このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に加える。攻撃力1500の「慧眼の魔術師」を手札に加える」
「ペンデュラム効果…モンスター効果とは別の効果なのか……?」
「ペンデュラム効果は魔法・罠扱いの効果だ」
おっと、説明忘れるとこだった
「ちなみにペンデュラムモンスターは
「エクストラデッキに?」
「そしてペンデュラムモンスターはエクストラデッキからもペンデュラム召喚できる」
そこまでいうと、ユートはその顔を険しくさせた
「…ペンデュラムカードがある限り、何度でもそのモンスターをペンデュラム召喚できるということか」
「そういうことだ。もっと言えばペンデュラム効果の際に魔法・罠と言ったが、ペンデュラムゾーンにあるカードは魔法・罠カードとして扱う。要は「サイクロン」の類で破壊できるってことだな」
「…そこまで教えて良かったのか?」
「真剣勝負なんだろ?あらゆる戦い方や手段は使うが、ルールくらいはちゃんと教えとかないとな」
『何度も同じモンスターが出て来るってズルくねぇか?』
『でも出てくるモンスターが同じなら対処は取りやすいんじゃないかしら?』
『ペンデュラムゾーンのカードがなくなったら一気に負けてしまうんじゃないのか?』
結構的確な考察をするレジスタンス諸君。洞察力はかなり良いな、ステータス主義な他次元の住人も見習ってほしいものである
「んじゃ、これで僕はターンエンド」
白星 風斗 LP4000 手札 3枚
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP4000 手札 5枚
さて…「
「俺のターン!ドロー!…俺はモンスターをセット。カードを3枚伏せてターンエンド」
白星 風斗 LP4000 手札 3枚
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP4000 手札 2枚
セットモンスター
伏せカード 3枚
うーん…ずいぶん消極的だな…手札が悪いのか、それともブラフか…
「なんにせよやることは変わらん。僕のターン!ドローカード!手札からフィールド魔法「天空の虹彩」を発動!このカードがある限り、僕のペンデュラムゾーンの「魔術師」、「
「ペンデュラムカードをサポートするフィールド魔法か」
「更に僕は「慧眼の魔術師」をペンデュラムゾーンにセッティング!」
白星 風斗 LP4000 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール5)慧眼の魔術師
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
「自分のもう片方のペンデュラムカードが「魔術師」の時、「慧眼の魔術師」のペンデュラム効果発動!このカードを自壊し、「慧眼」以外の「魔術師」ペンデュラムカードを直接セットする!「賤竜の魔術師」をセッティング!」
「慧眼の魔術師」がその手に持った天秤を掲げると、破壊される。しかし天秤の片皿だけ残っていて、それが光を発するとそこには別の魔術師が鎮座していた。「賤竜の魔術師」である
白星 風斗 LP4000 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
「「賤竜」のペンデュラム効果!もう片方が「魔術師」ペンデュラムだった時、エクストラデッキの「魔術師」ペンデュラムを1枚手札に加える」
「エクストラのペンデュラムを手札にだと!?」
「「慧眼」を手札に加えるぜ」
今度は「賤竜」がなにかの呪文を唱える。するとデュエルディスクのエクストラゾーンをしまうところが光り出し、そこから「慧眼の魔術師」が出てくる
「「天空の虹彩」の効果をペンデュラムゾーンの「竜穴の魔術師」を対象に発動!対象のカードを破壊し、デッキから「オッドアイズ」と名のついたカードを1枚手札に加える!「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」を手札に!」
白星 風斗 LP4000 手札 4枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
「そして再び、「慧眼の魔術師」をセッティング!ペンデュラム効果発動!このカードを自壊し、デッキの「竜穴の魔術師」をセッティング!」
白星 風斗 LP4000 手札 3枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
「…ッ!これは!」
「ペンデュラム召喚!出て来い!僕のモンスターたち!」
天空の白い虚空から、3つの光が次々と降りてくる。1体は熟練の魔術師「竜穴」。1体は天秤の魔術師「慧眼」。
そして唯一手札から召喚された最後の1体は、二色の眼の竜。その紅い巨躯を揺らし、「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」は地に降り立った
白星 風斗 LP4000 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン
レベル7 ATK2500
竜穴の魔術師
レベル7 DEF2700
慧眼の魔術師
レベル4 ATK1500
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
観客のみんなは、全員呆気を取られていた。なにが起きたかわからないうちに風斗の場にはモンスターで埋まっており、ユートは強く歯噛みした
(これが…ペンデュラム召喚…!)
彼の話を疑っていたわけではなかった。信頼を得るのがとても難しい隼があそこまでいうのだ、きっと本当のことだと思ってはいた。だが実感がわかないことにはなにも言いようがなかったのだ
しかし今は違う。彼は間違いなく強い。今自分と敗北寸前まで追い詰めている彼を、弱いなどとは口が裂けても言えるわけがなかった。それに彼は油断などしていない…最後の勝つ瞬間まで気を抜く気が一切感じられない。全てのモンスターを攻撃表示にしなかったのが良い証拠であった
その押し潰されそうなプレッシャーを、ユートはその肌で感じ取っていた
「バトルフェイズ!「
その不死鳥が甲高い鳴き声を上げると、その鋭い脚の鉤爪で容赦無くリバースモンスターに突き立てる。表側になったモンスターはローブを着込んだ戦士であり、その爪が内部にまでダメージを与えたのか、「
白星 風斗 LP4000 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン
レベル7 ATK2500
竜穴の魔術師
レベル7 DEF2700
慧眼の魔術師
レベル4 ATK1500
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP4000 手札 2枚
伏せカード 3枚
「クッ…」
「「賤竜の魔術師」でダイレクトアタック!」
「させない!攻撃宣言時、リバースカード「
馬に乗った騎士が現れる。大きな槍を持つその姿は、まさに中世の騎士というものだった
レベル4 DEF300
「構わん!対象を「シャドー・ベイル」に変更して攻撃続行!やれ!」
僕の声と同時に「賤竜の魔術師」は一気に距離を詰め、その刃で「シャドー・ベイル」を肉薄にした。切られた部位から「シャドー・ベイル」は崩れ落ちてゆき、その身体を砂と塵に変えて消えていった…
「…フィールドから離れた「シャドー・ベイル」は、ゲームから除外される」
「「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」でダイレクトアタック!「螺旋のストライク・バースト」ォ!」
「オッドアイズ」はその眼を二色に光らせる。そして口から放たれた、光り輝くブレスが螺旋を描き、ユートに迫る…!
「「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」を対象に永続罠「
そのカードから現れた霞んで見える剣が、「オッドアイズ」の体内に入り込む。すると「オッドアイズ」の身体が霧のように薄くなり、放たれた螺旋が露となり消えた…
「「
それはまさに「オッドアイズ」を霧に変えると同様のカードだった
「なんだと!?…クソ!「慧眼の魔術師」でダイレクトアタック!」
「グッ…ッ!」
ユート LP2500 手札2枚
削りきれなかったか…!
「仕方ない。メイン2!僕はレベル7の「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」と「竜穴の魔術師」で、オーバーレイ!」
2体は青の球に変わり、光の渦に飛び込んで行き…そこから突如氷の柱が現出した
「全てを凍てつかせる二色の眼よ!氷結の力を持って全てを停止させ、同胞を創り出せ!」
氷の中から割れて出てきたのは、冷気を漂わせた「オッドアイズ」であった。ただしその身体は氷のような角張が目立ち、色は紅とは対称的な青色をしていた。背中には氷の細い柱がX字で背負われており、胸の蒼く透けた球体を輝かせると、とても特徴的な甲高い声が、大気と冷気を震わせた
「エクシーズ召喚!震え出でよ!ランク7!「オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン」!!」
オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン
ランク7 ATK2800
「エクシーズ召喚…!」
ほぞを噛む。「オッドアイズ」はどうやって対処するのかと思ったが、このタイミングでエクシーズしてくるとは思いもしなかった
「これで僕はターンを終了する」
白星 風斗 LP4000 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン
ランク7 ATK2800
慧眼の魔術師
レベル4 ATK1500
賤竜の魔術師
レベル6 ATK2100
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP2500 手札 2枚
伏せカード 1枚
レジスタンスのみんなは息を呑んでいた。自分たちのリーダー、ユートが終始押されている事実に、それでも涼しい表情と隙を見せないプレイングを平然とやってのける風斗に、戦慄せざるえなかった
ユートは決して弱くなどない。強さもさることながら、みんなを引っ張ってゆくカリスマ性と、人のためにどんな敵にも立ちはだかる力強さと優しさもあった。実力ならば黒咲 隼も劣らないが、いかんせんすぐに激昂してしまう性格が玉にきずであった
しかしこの外からの来訪者は何もかも異常であった。黒咲を倒し、今ユートをも圧倒しているデュエルタクティクス。人の地雷原の上を裸足でタップダンスするという狂った精神力
しかしそこまで異常でありながらユートや黒咲瑠璃、果てには黒咲隼までも彼という存在を認めている。一瞬洗脳されたなんて失礼なことも考えたが、彼らは騙されるほどのお人好しではない
絶大な信頼を短時間で得た彼の人間性を…
最初に垣間見せた残酷さを、皆は知りたがっていた
「俺のターン!ドロー!」
強い…本当に強い。彼の世界の人間は、こんなにも強いのか!?
例え別世界だろうと、上には上がいるのだとユートは実感していた。もっと言えば彼のプレイングですら前の世界ではお粗末の一言で片付けられるのだから、無限ループやパーミッションと戦った暁にはこの世界の人間は卒倒するであろう
「魔法カード「マジック・プランター」を永続罠「
しかし自分もデュエリストの端くれ。簡単に負けてやるわけにはいかないと、己を鼓舞する
「俺は「
おどろおどろしい様子で出てきたのはボロボロの巨大な籠手をつけた霊体の戦士だった
レベル3 ATK1000
「さらに俺の場に「
ボロボロの布を着込んだ細身の霊戦士は、静かにブーツをならせた
レベル3 DEF1200
「俺はレベル3の「
「
「戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!」
漆黒の馬に跨りし、命の炎が青く人の形を維持している。暗い紺色の鎧を着た魂の騎士は、その片手に先端の折れた大剣を肩に担ぎ、無感情にこちらを向いた
「エクシーズ召喚!現れろ!ランク3、「
ランク3 ATK3000
来た!「スクラップ・ドラゴン」のエクシーズ版…!
「
「ッ!」
「俺は「
馬が、駆ける。「アブソリュート・ドラゴン」は近寄らせまいと地からいきなり伸び現れた氷の槍で「ブレイクソード」を狙う。しかし「ブレイクソード」は近づく。しびれを切らして氷結の竜は絶対零度の息を吐きかける。その白いブレスは「ブレイクソード」を飲み込んだ…、だがそれでも漆黒の騎士は止まらない。そしてその壊れた大剣を「アブソリュート・ドラゴン」の胸に突き刺す。それだけで氷竜は動かなくなり、胸の水晶から光が溢れだす。「ブレイクソード」も限界だった。落ちてゆく地面には光り輝いた冷たい槍が突き上げており…それは騎士を鎧ごと貫いた
「ウグゥ…ッ!」
「うおぉお…!」
そのまま2体は同時に己が身を周りに撒き散らしながら、爆発四散した
「ウゥ…エクシーズ召喚した「ブレイクソード」が破壊された時、効果発動!墓地の同レベルの「
「チェーンして、破壊された「オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン」の効果発動!エクシーズ召喚したこのカードが墓地へ送られた時、エクストラデッキから「アブソリュート・ドラゴン」以外の「オッドアイズ」モンスターを特殊召喚する!」
「なに!?」
突如、雷が落ちた。室内にも関わらず雷鳴が轟いたことに周囲の人間は怯んだが、ユートや黒咲たちだけは目を逸らさなかった
「全てを拒絶する二色の眼よ!その弾ける雷撃と暴風をもって、全ての敵を消し炭に変えろ!」
それは、嵐の化身であった。「アブソリュート・ドラゴン」よりもさらに深い青色の水晶を胸元から覗かせ、その全身を緑と白の鎧で覆っていた。身体中に電撃を彷彿させる刺々しいパーツがついており、それらはオレンジの光を弾けさせた
「現れろ!レベル7!「オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン」!!」
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン
レベル7 ATK2500
「…融合……」
ユートは呟くが、その呟きは誰も拾えなかった。それよりもざわめきの方が遥かに大きかったから
『お…おい、本当に融合モンスターが出たぞ』
『じゃあやっぱりアカデミアなの?』
『いや、アカデミアの奴らならエクシーズ召喚を使わないだろ』
「どうしたユート、チェーン1…お前の番だぜ」
「ッ!」
周りはざわめいてる、融合モンスターの登場に誰もが不安と恐怖を隠せていなかった。中には怒りに震えるものもいるだろう
ユートはここで疑問が生まれた。なぜ彼は気にしない?融合モンスターを出したせいで、周りから強い不信感を抱かれているのに
「辛くないのか…?」
「…?なにが?」
「融合モンスターを…出したせいでここまで疑われているんだ…なんとも思わないのか?」
「そんときはオベフォのアホ共から食料なりなんなり奪って戦っていきゃいいだろ」
メチャクチャであった。しかし残念なことに彼は真面目な思考を上で今の解答を答えたのである
「それにお前が全力でこいって言ったんだ。それにイエスって答えた以上全力でやらないわけにはいかないだろ」
「それは…」
「それに、お前とのデュエルも面白いからな。本気でやらないやつはバカってもんだろ?」
…………
「…うん?」
会場が、静まった。水を打ったかのような静寂の後に出てきた音は、目の前から聞こえる笑い声であった
「アハハハハハハハ!!ハハハハハハハ!!」
ユートであった。誰も見たことがないくらい、ユート自身生まれて初めてなくらい、楽しそうに笑っていた
「ハハハハ…なるほどな、確かに隼が言うようにとんでもないデュエルバカだ。ぴったりだな」
「おまッお前なァ!お前まで言うのか!?おい!」
楽しそうに、笑っていた。気兼ねない友人同士の会話のように、心から楽しそうだった
「あーもう…ったく…。…つーかチェーン1!お前の番だろうが!」
今更ながら、今はデュエル中だったと風斗は思い出した
「あぁ、そうだな。…墓地の「サイレントブーツ」と「ラギットグローブ」を特殊召喚し、レベルを1つあげる!」
レベル4 DEF1200
レベル4 DEF500
…来るか!
「俺はレベル4となった「
渦に飲み込まれた黒い球体が…弾ける
「漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!」
そこから現れしは、黒き闇の反逆であった。全てに抗う刺々しい印象の翼や爪、怒りの主張するような真っ赤な水晶が翼と腕に1組ずつ、胸に大きな水晶がある。そして顎から斜め下に伸びるようにとても発達した牙が、その竜の反逆の武器であった
「エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」!!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK2500
来た、「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」!「ブレイクソード」を自壊する時点で来るのは分かっていた!そのためのエクストラデッキにわざと残した「ペンデュラム・ドラゴン」とフィールドの「ボルテックス・ドラゴン」だ!
さぁ来いユート、「ダーク・リベリオン」を使った瞬間、「ボルテックス・ドラゴン」の餌食にしてやる…!
「「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」の効果発動!
「無駄だ!チェーン2で「オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン」の効果発動!自分のエクストラデッキの表側ペンデュラムモンスターでデッキに戻すことにより、相手カードの発動を無効にし破壊できる!」
これで、僕の勝ちだァ!
「勝ったぁ!第3…」
「そのカードの発動に対して、さらに「
「部か……え?」
あ、あれ?なんで?ここは僕が勝つフラグじゃね?どういうこと?敗北フラグなんてどこにも立てて…
(来た、「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」!「ブレイクソード」を自壊する時点で来るのは分かっていた!そのためのエクストラデッキにわざと残した「ペンデュラム・ドラゴン」とフィールドの「ボルテックス・ドラゴン」だ!
さぁ来いユート、「ダーク・リベリオン」を使った瞬間、「ボルテックス・ドラゴン」の餌食にしてやる…!)
………あっ…
「説明フラグかアアァァァーーーッ!?」
「「
カチッ!「ダーク・リベリオン」の翼の水晶部位が少し開くと、そこから赤色の稲妻が「ボルテックス・ドラゴン」を縛り付け、反逆の牙は力を増す
「「トリーズン・ディスチャージ」!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK3750
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン
レベル7 ATK1250
「「ダーク・リベリオン」の効果をもう1度発動!狙いは「賎竜の魔術師」!」
「ゲッ!!」
「「トリーズン・ディスチャージ」!」
更に「ダーク・リベリオン」は力を増すというのか。非常に止めたかったがナムアミダブツ、「ボルテックス・ドラゴン」は効果が無効化され攻撃力も半分、まさにまな板の上の鯉状態だった
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK4800
賎竜の魔術師
レベル6 ATK1050
「攻撃力4800ゥッ!?」
さっきのターンまでが嘘のようである。バカな、いったいどこで間違えたというのだ…
「バトル!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」で、「賎竜の魔術師」を攻撃!」
翼が展開され、そこから弾ける赤い雷が推進力となり「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を浮かし、「賎竜の魔術師」に高速で迫る
なんとしても防ぎたかった…しかし防ぐ術も避ける術も何もなかった
「「反逆のライトニング・ディスオベイ」!!」
そしてその牙が…「賎竜」を捉え、吹き飛ばした
「わああぁぁぁあーーーあだ!?」
ついでと言わんばかりに僕ごと吹き飛ばして壁に強かに激突、しめやかに倒れ伏した
「うおおぉ……背中イテェエエェェ………ッ!」
「…丈夫な身体だな……」
何言ってやがる!?吹っ飛ばした張本人がなんで驚いてんだよ!?
『…やっぱり大丈夫そうね、白星さん』
『当然だろう。ビルの下敷きになっても、あの程度の怪我で済むような奴なのだからな』
『ちょっと待ってください!今おかしな単語が聞こえたんですけど!?あの怪我、ビルの下敷きになって負った怪我だったと言うんですか?!』
なんか聞き覚えのある声が聞こえたような気がするけど無視する。これ以上の無駄なダメージは精神的にもよろしくない!
白星 風斗 LP250 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン
レベル7 ATK1250
慧眼の魔術師
レベル4 ATK1500
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP2500 手札 2枚
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK4800
あっちゃー…しかしまずいな、ライフが一気に逆転されてしまった…
…まぁ負けてないだけ儲けもんと考えよう
「メインフェイズ2、墓地の「
レベル3 DEF1200
レベル3 DEF1000
「そして俺はレベル3の「
再び現れるは、氷結の竜と相討ちになった、壊れた剣
「戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク3!「
ランク3 ATK2000
「カードを1枚伏せ、「
「マジ!?…ッウォッ!」
ユートの伏せカードを割った「ブレイクソード」は、「アブソリュート」の時とは比較にならないスピードで「ボルテックス」に近づき、一瞬で切り捨てた。ボルテックスェ…
「「ボルテックス・ドラゴン」が破壊されたことで俺の「
白星 風斗 LP250 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
慧眼の魔術師
レベル4 ATK1500
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP2500 手札 1枚
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK2500
ランク3 ATK2000
(今「ブレイクソード」の効果で破壊したカードは「ギャラクシー・サイクロン」…ペンデュラムゾーンにカードがある限りモンスターはいくらでも湧いてくる。…だがそれはこちらも同じ!「
「僕のターン!…ドロォーッ!!」
引いたカードは…!「竜脈の魔術師」…!
(どうする?僕の場には「慧眼の魔術師」と「ライトフェニックス」しかいない。手札の「ペンデュラム・ドラゴン」とエクストラの「賎竜の魔術師」をペンデュラム召喚しても「ブレイクソード」の効果でユートのライフは残る。そもそも墓地にも「ブレイクソード」を使って何か落としたかもしれない。僕のライフは250しかない。「慧眼の魔術師」は攻撃表示には出来ない、「マジェスターP」をエクシーズしてサーチと時間を稼ぐ?…いや悠長してたら「ブレイクソード」が飛んでくるかもしれねぇ。ライフはない、手段はない、時間もない…クソ!どうすれば………ッ!!)
ユートの、フィールドを見る。…ある、1つだけ手が。だけど良いのか?「ペンデュラム・ドラゴン」まで出して言うセリフじゃないが、これ以上何かストーリーが大きく変わるかもしれん。やはりここは別の…
『全力で来て欲しい』
…ッ!
(…そうだ、なにやってんだ僕は?躊躇なんて今更だし、今やりたいことはただ1つ…
デュエルを楽しむことだ!)
「…ユート、悪いが…勝たせてもらう!」
「ッ!」
覚悟は、まぁないが…だが腹はくくった!あとはやってやるだけだ!
「僕は「竜脈の魔術師」を召喚!」
竜脈の魔術師
レベル4 ATK1800
「効果のないペンデュラムモンスター…?いったい何を…」
「僕はァ!レベル4の「慧眼の魔術師」と「竜脈の魔術師」で、オーバァーレイィ!!」
2体のモンスターは、巨大な渦に飛び込み…「逆転の切り札」が現れる
『………えっ?』
観客が、押し黙る
『ウソ…』
瑠璃は、目の前を疑う
『バカな…ッ!?』
黒咲は、驚愕する
『有り得ない…』
半田は、否定する
そしてユートは…
「…これは…」
目を、丸くした
「全てに反逆せし竜王よ!力の限りを尽くして、弱者も強者も薙ぎ倒せ!」
それは、自分がレジスタンスで共に戦ってきた切り札であり、共であり、半身である存在…
「エクシーズ召喚!顕現せよ!ランク4!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」!!」
ユートの目の前に…「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」が、現れる
「「ダーク・リベリオン」…」
声が出なかった。自分にとって最大の仲間が、最恐の敵として、現れたのだから…
「「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」の効果発動!」
「ッ?!」
「このカードは、お前の「ダーク・リベリオン」とは違う、ただのカードだ…」
だが、と
「僕にとっては大事なカードだ!」
「…ッ!!」
「
「なにッ!?」
「対象のモンスターの攻撃力を半分にして、半分にした数値、攻撃力をアップさせる!」
僕の「ダーク・リベリオン」が、ユートの「ダーク・リベリオン」の力を吸い取る
「「トリーズン・ディスチャージ」!」
白星 風斗 LP250 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK3750
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP2500 手札 1枚
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK1250
ランク3 ATK2000
「バトルフェイズ!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」で、ユートの「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を攻撃ィッ!!」
雷が、弾ける。「ダーク・リベリオン」が、浮く。しかし僕のユートの「ダーク・リベリオン」にも一応違いがあった
僕の「ダーク・リベリオン」は、闇のように暗い雷だった
「「撃滅のォ!ダークネス・ディスオベイ」ッ!!」
黒き雷を放出させながら、もう1体の自分に向かって「ダーク・リベリオン」はその逆鱗を…
力の限り、ぶつけた
「うわああぁあぁーーーーーッ!!」
白星 風斗 LP250 手札 2枚
天空の虹彩
(スケール2)賤竜の魔術師
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ランク4 ATK3750
レベル5 ATK2000
(スケール8)竜穴の魔術師
VS
ユート LP 0 手札 1枚
「…大丈夫かぁ?」
ユートは、仰向けで倒れていた
完敗だった。全力で挑んだが、それでも負けた…
しかし、不思議と気分は良かった
「おーい、ユートォー!本当に大丈夫かァー?」
「…あぁ、大丈夫…」
ユートは起き上がった姿勢で、そのまま話をする。なので風斗はその場で胡座をかいだ
「まさか「ダーク・リベリオン」が出てくるとは思わなかったよ」
「そりゃあ、こっちの世界からしたらそうだろうな」
「…そっちでは、普通にあるのか?」
「普通に出るぞ。戦闘で2500絶対削るマンなんてキャッチフレーズがあるほどだし、僕は好きだぞ」
「そうか…」
…………
「…デュエル、どうだった?」
「あぁ、良いデュエルだった」
「あー違う違う。いや、それもあってるけどもう1つ、なんかないか?」
「…………」
ユートは考えた…そして思い出した。自分がデュエルの最中、なにをやったのか…
「…とても…、楽しいデュエルだった」
「そうか!そりゃあ良かった!いやマジで」
ユートは、微笑む。風斗は、笑い声をあげる
「…こんなに楽しいデュエルは、本当に久しぶりだったな…」
「久しぶり、っか…」
「…アカデミアが来てからは、みんなで楽しいデュエルもできなくなった。みんな、いつも恐怖に怯えている」
「…そうだな…」
「アカデミアを俺たちは必ず倒す。そして、いつかまた楽しいデュエルがしたい。みんなが笑い合えるデュエルを…デュエルでみんなを、笑顔に……」
「ユート…」
…もう…、ストーリーどうこう考えんのは面倒だな…
もっとシンプルに行こう。デュエルを楽しむのにアカデミアが邪魔だ、アカデミアを倒すにはレジスタンスだけでは足りない…きっとランサーズの力も必要になってくる
ならば……
「白星、改めて頼みがある」
「…なんだ?」
「俺たちとともに、アカデミアと戦ってくれないか?」
「………条件がある」
「条件…?」
そう、とっても重要な条件だ
指を1本立てる
「1つ、最低限の移住食を用意すること」
「それくらいなら用意する」
んじゃ2つ目
「絶対に無茶をするな。僕がいる以上、玉砕だの相討ちだのは断じて行わない。これが2つ目」
「…分かった、絶対にしないと誓う」
「そんじゃあ3つ目だ…暇さえあればまたデュエルしようぜ」
「…………」
………アレ?…もしかして滑った?
「…そうだな…時間があれば、やろう」
よっしゃ!
そう言うながら右手をこちらに差し出してきたので、こちらも右手で答える
「交渉成立だな、リーダー殿」
「これから俺たちは仲間だ。…よろしく頼む」
「おうよ、こちらこそ」
こうして黒咲たちがやってくるのをよそ目に、僕たちの交渉は成立した
交渉部分が後半しかないとかタイトル詐欺も良いとこ…どうしてこうなった?
さて、今回のから出たオリキャラこと
結局行き当たりばったりですがどんなデッキかだけは決めていますので想像してみてくださーい!
(ヒント 基本的にデッキの見た目や印象でつけた名前です)
次は少し時間が経ってからの話になります
それではオタッシャデー!