穂乃果の奇妙な冒険 ミューズオブヘブン   作:マキシマムダンガル

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第四部 戦闘潮流
豊穣のギャンブラー


五人を包んでいた光は次第に薄れていき、視界が晴れると

 

「ここは、イタリア?」

 

周りを見渡すとイタリアの街並みが並んでいた

 

「ここに皆がいるの?」

 

「皆かどうかはわかりませんが、少なからず、一人はいるようですよ」

 

その聞き覚えのある淑女のような品のある声

 

「花陽ちゃん!」

 

「かよちん!」

 

喫茶店のテラス席で優雅におにぎりを食べている

 

「かよちん、どうしたのその恰好・・・」

 

凛が今まで見たことのない大人びた格好に動揺を隠せないでいる

 

「高坂穂乃果、今回はあの時のようにはいかないぞ」

 

見るからに花陽が穂乃果に向けて敵意を見せていた

 

「ギャンブルでもなんでも、花陽ちゃんが戻ってくるのなら、みんなが戻ってくるのなら、何だってするよ!」

 

「いいでしょう、今回はギャンブルで勝負と行きましょう」

 

勝機でもあるのか花陽は不敵に笑った

 

「ちょ、ちょっと待つにゃ!」

 

そんな中凛がそう言った

 

「どうしちゃったんだにゃ、かよちん、いつものかよちんらしくないニャ」

 

「さぁ?戻ってほしいと願うなら私とギャンブルで勝負していただきたい」

 

「わ、わかったにゃ!受けて立つにゃ!!」

 

「ちょ!凛!」

 

にこが驚きながらそういうと

 

「大丈夫だにゃ、凛に任せるにゃ」

 

そう言って、花陽の前に立った

 

「では、ギャンブルを始める前に、魂を賭ける、と言っていただきたい」

 

「にゃ?何でだにゃ?」

 

「願掛けのようなものですよ、さぁ、早く」

 

「わかったにゃ、魂を賭けるにゃ!!」

 

「good」

 

花陽はテーブルの上に置いてあった大きな肉と小さな肉を手に取り地面に投げ捨てた

 

「そこに猫がいるでしょう、そこに置いた肉を猫はどちらを先に食べるか、あなたから決めていいですよ」

 

頬杖をしながら凛に説明をした

 

「凛が猫だったら、あの大きいお肉を先に食べるにゃ!」

 

「good、では私はあの小さな肉を」

 

そして、猫はゆっくりと肉に歩み寄った

 

「さぁ!大きなお肉を先に食べるにゃ!」

 

凛が大きな声でそういうと、猫は小さな肉を先に加えて、次に大きな肉を取った

 

「にゃ!?」

 

「何やってんのよ凛」

 

にこは呆れながらそう言った

 

「えへへ、ごめんにゃ」

 

凛が軽く謝っていると

 

「では、代償としてあなたの魂をもらいましょうか!」

 

花陽がそういうと花陽のスタンドが姿を現した

 

「凛ちゃん!危ない!」

 

希が凛にそう言った瞬間、花陽のスタンドが凛の体に触れて、凛の体から何かが出てきた

 

「な、何アレ」

 

すると、花陽のスタンドが凛の形をした何かをこね始めた

 

「ククク、私のスタンドの名はオシリス神、エジプト九栄神の一人、ジャンブルで負けた者の魂を」

 

花陽が言い終わる前にオシリスが手を広げると、手元におにぎりがあった

 

「おにぎりに変えてしまうのですよ」

 

「ま、まさか、これが凛ちゃんの魂?」

 

「Exactly!(その通りでございます)」

 

花陽が意気揚々としゃべっていると、猫が花陽の膝の上に乗った

 

「「「「!!」」」」

 

「あぁ、因みにこの猫は私の猫なんですよ」

 

にやりと不敵に笑いながら猫の頭を撫でた

 

「あ、あんた!!」

 

にこは激怒し花陽の胸ぐらをつかんだ

 

「いいでしょう、おやりなさい、ですが、彼女の魂は一生戻らなくなりますがね」

 

冷酷な目をしながらにこにそう言った

 

「にこっち!あかん、今やったらあかん!」

 

希は今にも花陽を殺してしまいそうなにこを止めた

 

「だったら、次は私がやるチカ!!」

 

さっきまで黙っていた絵里が急にそう言いだした

 

「賭けの内容はその猫の性別!メスだチカ!魂を賭けるチカ!!」

 

「オスです」

 

絵里は魂を抜かれた

 

「このポンコツ!!」

 

「二行で負けた・・・」

 

「さぁ、次は誰が相手になりますか?」

 

花陽が勝利を確信した目でそういうと

 

「なぁ、ぱなよちゃん、表面張力って知っとる?」

 

希が水一杯のコップを握りしめてそう言った

 

「ハナヨだ。えぇ、知っていますよ」

 

「せやったら、今度はこのコップの中にコインを順番ずつ入れて水を溢れさせたら負け、どうや?ぱなっち」

 

水入りコップをテーブルに置いてそう言った

 

「ハナヨだと言ってるでしょう。いいですよ、では」

 

「魂を賭けるんやろ?かよっぺ」

 

希がいたずらに笑いながらそう言うと、花陽が希を腕をつかみ

 

「ハナヨだ!!二度と間違えるな!」

 

花陽は苛立ち大きな声でそう言った

 

(希・・・恐ろしい策士ね、わざと名前を間違え続けて相手に冷静さを欠けさせた)

 

「いいでしょう、ですが、その前にイカサマがないか確認させてもらいます」

 

「ええで」

 

花陽はコップを持ちあげ隅々まで調べ、コップの底をさするように調べた

 

「では、始めましょうか」

 

「ええで、うちの魂を賭ける!」

 

「good、まず、私から行きます」

 

そう言って、花陽の前に置かれたコインを五枚手に取った

 

「なっ!まさか、一気にそんなに入れたら水があふれて!」

 

「静かにしてください、集中したいんです」

 

花陽は手を震わせてゆっくりと水面につけて、ゆっくりと入れた

 

「ふぅ、それでは、次はあなたの番ですよ」

 

「わかったわ、って言うても、ドキドキする系は苦手やねん、コインは一枚で行かせてもらうで」

 

そう言って、コインを一枚手に取った

 

「ほな、いくでぇ」

 

ゆっくりコインを水面に近付け、水の中にコインが少し入った瞬間、力強くコインをつまんだ

 

(本当に恐ろしい策士ね、自分の親指の腹の部分に小さな布のようなものを挟んで水に入った瞬間、力を入れて水嵩を増やした)

 

(ククク、花陽ちゃんには悪いけど、この勝負はうちが確実に勝てるようになっとる。最初にコインを五枚入れたのは驚いたけど、このコップに何枚入れれば水が溢れるかは計算済み、そして、この少量の水でも十分勝ち目がでる、勝った・・・)

 

希はゆっくりコインを離しコップの中に入れた

 

「ふぅ、今ので寿命が十年は縮んだわ」

 

大きくため息をついて椅子に深く座った

 

「では、次は私ですね、少し位置を変えさせてもらいます」

 

(フフ、どんなに位置を変えたってコインが一枚でも入れば水が溢れる、うちの勝ちや!)

 

希が心の中で勝利を確信した瞬間、あり得ないことが起きた

 

「ポチャン」

 

「「「!!」」」

 

何と、一枚でも入れば水が溢れるはずのコップにコインを一枚入れたのだ

 

「なっ!!そんな、あり得へん!一枚でも入れば水が溢れるはず!」

 

「どうしました?次はあなたの番ですよ」

 

「わ、分かってる・・・」

 

希は動揺した、現時点で水が今にも溢れそうな状態になっている、こんな状態でコインを入れるなど自殺行為だ

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

額から汗が流れ始めた、心臓はうるさくなり続ける

 

(あ、あか・・・ん)

 

その瞬間、希の体から魂が出てきた。そして、オシリスが希の魂を掴みおにぎりにした

 

「へ、何が起きたの、まだ勝負はついてないはずよ!」

 

「いいえ、勝負はつきました、心の中で敗北を認めたのです、そして、彼女の魂はこうなってしまった、それだけのことです」

 

花陽は不敵に笑った

 

「だ、だったら、私が・・・」

 

意を決してにこが前に出ようとすると、穂乃果がにこの前に手を出した

 

「私がやる」

 

にこは驚き穂乃果に何か言おうとするが、今までに見たことのない真剣な表情を見て口を閉じた

 

「勝負内容はポーカー、いいよね?」

 

「ククク、よろしい、では」

 

「穂乃果の魂を賭ける!」

 

「good!!openthegame!」

 

穂乃果は花陽の前に座った

 

「ここにいる人は花陽ちゃんの手下かもしれないし、あそこの男の子にディーラーをしてもらうよ」

 

穂乃果が指さす方向にはサッカーボールで遊ぶ少年がいた

 

「いいでしょう」

 

少年を呼びにこがトランプを持たせた

 

「さて、始めましょうか」

 

花陽は手元にある分厚い本を片手でパラパラとめくり、止めた

 

(75ページ?いや、77ページか)

 

流し目で確認すると確かに77ページで止めている、花陽は目で見ずにページ数を当てることが出来るのだ

 

(ククク、今日も絶好調だ・・・)

 

少年は二人に交互にカードを配った

 

「さてでは・・・二枚チェンジだ」

 

花陽がカードを二枚出すと少年は新しいカードを二枚出した

 

「私は、一枚チェンジ」

 

穂乃果がカードを出すと、少年も新しいカードを一枚出した

 

「レイズ、二枚上乗せと行こう」

 

「コール」

 

花陽はにやりと笑った、二人が同時にカードを開くと

 

「穂乃果がワンペア、花陽がツーペア」

 

花陽が今にも笑い出しそうな顔でコインを取った

 

「nextgameだ」

 

(ククク、馬鹿め、私の手下は私の視線にいる全員。つまりこのガキも手下なのだ)

 

少年がカードを二人に配った

 

「さてと」

 

その時、穂乃果は蓋のついたビンを手に取り、一瞬のうちに蓋を開けた

 

「今、何をした!?」

 

「?」

 

「今何をしたと聞いたんだ!」

 

「別に、穂乃果のスタンドで蓋を開けただけだよ?」

 

(なんだあのスピード、まるで勝手に蓋が外れたようではないか。これほどまでにスタンドが成長しているとは)

 

花陽の思いとは裏腹に、穂乃果はジュースを一口だけ飲み、カードを二枚チェンジした

 

「私は、三枚だ」

 

花陽もカードをチェンジして

 

「レイズ、二枚上乗せするよ」

 

穂乃果に合わせるように、花陽はコールした

 

「今度は、穂乃果がブタ、花陽がスリーカード」

 

ついに穂乃果のかけ金が残り数枚になってしまった

 

「さぁ、そろそろ、終わりにしようか」

 

花陽は意気揚々と配られたカードを見ながらそう言った、その時

 

「!」

 

何と、穂乃果は配られた状態で見る事すらしていない

 

(穂乃果め、私に挑発しているのか?あんなふざけた真似を)

 

すると、穂乃果が

 

「私はノーチェンジで行くよ」

 

穂乃果は椅子に深く座りながらジュースを飲み始めた

 

「いいだろう、小僧!二枚チェンジだ!早く渡しなさい!」

 

「は、はい!」

 

花陽は穂乃果の態度にあからさまに苛立ちを見せた

 

(まぁ、どのみち、カードがブタになるように指示してある、何も恐れる必要はない)

 

そう安堵の息を吐いていると

 

「私は、私のすべての魂とにこちゃんの魂を上乗せする!」

 

「「!!」」

 

「高坂穂乃果、あなた正気?」

 

花陽は驚き穂乃果の正気を疑った

 

「うん」

 

(ほ、穂乃果、本当にあんたに任せて大丈夫なのね?私はこの手の物は運が悪いから出来ないけど、あんたに、私の命預けたわよ!)

 

(お、落ち着け花陽、あいつの手札はブタ、勝てるはずが・・・)

 

その時、花陽はあることを思い出した

 

(待て、確かあいつのスタンドは接近パワー型、高速で動くことが出来る、もし、あいつはスタンドでイカサマしていたら、出来ないことではない、私の動体視力を遥かにしのぐスピード、しかもこの小僧はスタンド使いではないから見ることが出来ない)

 

花陽は途端に汗が流れ始めた

 

(いや、あいつがスタンドを出しイカサマをしたのならなぜカードを見ない。そうか、あいつはイカサマをしていない、ただのブラフだ。はは、そうだ、そうに違いない)

 

「どうしたの?コール?それともドロップ?」

 

穂乃果は今までにないくらい勝ち誇ったのような顔でそう言った

 

(だが、なぜ、あそこまで動揺せずにいられる、もしかして、本当に・・・)

 

「さぁ!花陽ちゃん!!!賭ける《コール》か!賭けない(ドロップ)か!!はっきり言葉に出して言ってもらうよッ!!」

 

花陽は一気に汗を噴き出した、心臓は五月蠅くなり続ける

 

(い、言うぞぉ、こ、コールと行ってやるぞぉ)

 

「コッ」

 

その時

 

(こ、声が出な・・・い、び、ビビってしまっている・・・)

 

花陽はより一層汗を流し始めた

 

「息が・・・い、息が・・・ヒック、うっクク」

 

「さぁ、花陽ちゃん!さぁ!早く!」

 

(わ、私が負けるはずがない!わ、私は最強のギャンブラーだぁぁ!こんなその時その時だけで動くような奴なんかにィィィィ!!!)「プツン」

 

花陽の中で何かが弾け

 

「花陽ちゃん?」

 

「花陽?」

 

花陽はいつの間にか気を失っている

 

「ガタン!!」

 

花陽はそのまま倒れた

 

「い、イヒヒ、イィヒイヒ、アヒヒフヘホヘハヘ」

 

花陽は倒れたまま不気味に笑い始めた

 

「ハハハハヒフヘヘヘホホホ!みんなぁぁぁ、いっしょにおにぎりたべようよぉぉ!」

 

花陽がくねくねと不気味な動きをしながらうわ言の様にそう言っていると、おにぎりにされた三人の魂が三人の元へと帰っていった。

その時、花陽が倒れた勢いでテーブルが倒れ、伏せられたカードが裏返った

 

「ぶ、ブタだぁぁ!!??」

 

少年が大きな声でそういった

 

「ノーペアだったんだ・・・、流石にこれを見てたら怯えて声も出なかったかも」

 

穂乃果は苦笑いしながらそう言った

 

「あ、あんた、勝機も無しにあんなこと言ってたの!!??」

 

「エヘヘ、穂乃果の特技の信じて疑わないって言う精神でやってみたんだ。勝ててよかったよ(⌒‐⌒)」

 

そんな事を話していると

 

「う、ん?穂乃果ちゃん」

 

いち早く起きだしたのは希だった

 

「希ちゃん!よかったぁ」

 

すると、残りの二人も起きた

 

「みんな無事でよかったよ」

 

「かよちんは!?」

 

凛が必死の形相で穂乃果に聞いた

 

「は、花陽ちゃんならそこに」

 

穂乃果の指さす方向にはくねくねと動きながら何かを言い続ける花陽がいた

 

「かよちん!大丈夫?かよちん!」

 

凛が肩を揺さぶりながらそう言うと

 

「は、へ?凛・・・ちゃん?」

 

花陽が正気を取り戻した

 

「か、かよちーーーーん!!」

 

「り、りんちゃんどうしたの!?」

 

その時、にこは思った

 

「これは、何のデジャビュなの?」

 

to be continue




新たに花陽を助けることに成功した穂乃果たち
その様子をジッと観察する謎の影
彼女たちに表れる次なる刺客とは一体

次回「皇帝の蒼と赤い茨」
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