もう一つの千里山女子   作:シューム

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投稿遅くなってしまい申し訳ないです。4月になってなかなか忙しくなったもので...

また、今回から牌画像変換ツールをちょこちょこ使っていこうかなと考えてます。(ちゃんと出来てますかね?)


第15話「限界を超えて」

 東一局 五本場

 東:白糸台 220900

 南:千里山 59700

 西:姫松 59700

 北:龍門渕 59700

 

『なんということでしょう!白糸台高校の宮永選手がここまで連荘し続けています!』

『翻数も、2翻の3900、3翻の5800、3翻の11600、満貫、跳満と上がっていってますね。このままあがり続けると、本当に宮永選手の言った『東一局で終局させる』ということが実現されてしまいそうです。』

『果たして前代未聞のことを宮永選手は達成してしまうのか!?それとも、3校が意地を見せてくるのか!?目が離せません!』

 

 ────────

 

(なんなんやあの人は!化物やろ!)

 

 怜は照の実力を目の当たりにして改めて恐怖を感じた。

 

 ****

 ─東一局 三本場─

「リーチ」

 

 照は点棒を取り出した。ここまで照の独壇場であった。なんとか止められないかと怜は思っていたが、今回はこれまでとはあることが違うことに気づいた。

 

(よし、今までとは違って今回は鳴いてアガリ牌をズラせる。リーチ状態やから手も変えられないし、今回は止められる!)

 

 そして、怜は下家の漫が捨てた牌を鳴いた。

 

「ポンや。」

(これでずらした。あとは本来宮永さんが引くはずであったアガリ牌を龍門渕が捨てなければええだけや。)

 

 この怜の鳴きで察したのか、純はツモってきた牌を捨てなかった。

 

(千里山のあの鳴きとこの牌を捨てたらさらにヤバイ流れになりそうな感じから、多分これが宮永の当たり牌...ただ、鳴いてずらしたはずなのに、流れが全く変わってねぇ。一体どういうことだ?)

 

 純のその悪い考えは照の番で明らかとなった。

 照は牌をツモってきて、そのまま倒した。

 

「ツモ。18000の三本場で18900。」

 

(なっ、ずらしてもあがるんか!?そんなんどうにもならんやろ!?)

(これは一位抜けは厳しいな...2位に食い込めるかってとこだな...)

 

 絶望的なこの状況に2人はもうどうにもできないと感じていた。

 

 ****

 

(とりあえず、一回落ち着いて状況を整理しなあかんな。)

 

 怜は深呼吸をして改めて場を確認した。

 

(今は東一局四本場で、トップの白糸台とは161200差の59700点。そんで、さっき宮永さんは跳満であがったから次にあがるとしたら倍満以上。しかも四本場やから最低でも25200点。こうなるともうトップ通過は厳しいなぁ...ただ、二位抜けになると勝算はある。)

 

 怜はふと龍門渕と姫松の方を見た。二人とも苦々しい顔をしていた。

 

(この試合、仮にこのまま宮永さんがあがり続けると、三人が同じ点数やからどこかで三人全員とんで終局や。そうなると三人が二位になって順位が決まらん。せやから上家優先が適応される。このルールは同点の時、起家、今回の場合は宮永さん、に近い順で順位が決められることや。宮永さんに一番近いのは南家のうちやから自動的にうちらが二位になる。つまり、うちが誰かに振り込まない限りこの試合でうちが三位以下になることはない。)

 

 怜がそう思っている間に照があがった。

 

「ツモ。24000の四本場で25200。」

 

(あがられたか。これで宮永さんは246100点。対するうちらは51300点。さてどうするか...)

 

 ****

 

 東一局 五本場

 

 照は次に三倍満以上であがるために、着々と手をつくっていた。そんな中、照はあることに気づいた。

 

(千里山にも姫松にも、龍門渕にも一位を目指そうとする気が感じられない。確かに、この点差で逆転することは不可能と言っても過言ではないとは思うが、その程度で満足するなら全国優勝はできない。闘争心のないこんな戦い、さっさと終わらせた方がいいのかもしれないな。)

 

 そう思うと、照は手を早めた。

 

「ツモ。36000の五本場で37500。」

 

 ****

 

 東一局 六本場

 東:白糸台 283600

 南:千里山 38800

 西:姫松 38800

 北:龍門渕 38800

 

(さっき三倍満であがったから次は役満以上...ツモあがりならまだ続くけど、誰かが振り込むとその時点で飛び終了か...せやけど、このままやり過ごせば二位抜けは確実なんやし...)

 

 怜はあくまで手は進めていくが、聴牌の気配を感じとったら即おりる姿勢をとった。振り込まなければ負けないのだから...

 しかし、ここで怜にとって予想外のことが起こった。

 

{三三三五五五⑥⑦⑧7799白}

(ここで白を捨てたら聴牌や。宮永さんはまだ聴牌できとらんみたいやな。白はまだ場に出てないけど、きっても誰も鳴かへんみたいやからこれは大丈夫やな。ここはリーチせずに聴牌して待つか...ただそうすると自分でツモらない限りあがれない。)

 

 怜に迷いが生じた。リーチをかけるべきか否か。

 

(いや、うちはこれでええんか?これはまたとない好機やないか。ここで攻めにいかないで千里山の名を背負っていけるか!それに決勝に進めたとしても、結局白糸台とはまた当たるんや。一矢を報いるくらいせな、全国優勝なんか夢のまた夢や!)

 

 怜は吹っ切れた顔をしていた。今までの暗い考えもどこかに消えていた。

 

(ただ、宮永さんが鳴いてうちのツモをずらしてくる可能性はなくならないからな。なんとか、一巡先よりさらに先が見えたら...)

 

 そのとき、怜には今まで目にしたことのない光景が見えた。一巡先しか見えていなかった未来のさらに奥、二巡先を怜は見た。

 そして二巡先を見た後、怜に今までにない疲れが押し寄せた。

 

(なんや今のは!?今のは二巡先か!?しかもかなり疲れが来るし。・・・・まぁ、せやけどそのお陰でうちのあがりへの道筋が見えたで。)

 

「リーチや!」

 

 そう言うと、怜は白をきってリー棒を立てた。

 

 

『ここで園城寺選手が仕掛けてきました。果たして、宮永選手への反撃となるか!?』

『いや、宮永選手はここで黙ってる質ではないですからなにか仕掛けると思いますよ。園城寺選手にはリーチをかけた後に一発であがる傾向がありますし。』

 

 

「ポン」

 

 怜の捨てた白を照が鳴いた。そして、持っていた東を捨てた。

 

(やっぱり鳴いてくるか。そして、うちの引いてくるこの牌─本来姫松の引く牌─は当然アガリ牌やない。)

 

 見るとそこには{②}と書かれていた。怜はそれをきった。

 

(そんで、宮永さんのツモる牌はうちが本来引いてくる牌や。うちが一発であがることを警戒して鳴いたんやから、これを捨てることはまずない。)

 

 照は手牌の中の白を捨てていた。やはり、無理やり自分のあがりを阻止しに来たんだと怜は悟った。

 

(そしてうちが引く牌、これはリーチをかけた時から見て二巡目に本来引くはずであった姫松のものや。そしてその時、姫松はこの牌をツモ切りしていた。せやからうちはこの牌が何かを知っている。)

 

「うちが一発であがるのを阻止して、うちがあがる前に自分があがろうとしたんやろうけどそうはいかんで。そうすることを見越してわざわざ一発であがることを捨てたんやから。」

 

 怜はそう言うと、ツモってきた牌を見ることなく表向きにした。

 

「ツモ。立直、面前、三暗刻で切り上げ満貫やから2000,4000や。」

 

 

『ここで園城寺選手があがり、宮永選手の連荘を阻止しました!』

『正直このまま宮永選手が和了し続けるんじゃないかと思ってただけに、かなり驚きました。一発であがることを逆手に取ってこんなあがりかたをするとは思ってもみなかったです。』

 

 

「これでうちの親番や。ここから連荘して今までの分を巻き返...す...で...」

 

 だんだんと意識が薄れていくことを怜は感じ取った。今まで試したことのなかった二巡先をこの土壇場でいきなり使ったものだから、疲労が限界まで達してきてしまった。さらに、

 

(あかん、一巡先すら見えなくなってる!さっきの反作用か!?)

 

 こんな状態でも無情にも試合は続く。怜はこんなふらふらした状態で、しかももう一巡先を見ることもできない状態で試合を続けるしかなかった。

 

 そして、試合の終わりを告げるブザーが鳴ったと同時に、怜は意識を失って卓につっぷした。




これにて先鋒戦終了です。
春季大会編はあと1回、その後のお話を書く予定です。

果たして結果はどうなったのか!?(おおかた予想はつくと思いますが...)

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